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{{Short description|郊外の無秩序な開発}}
{{複数の問題|独自研究=2013年8月|出典の明記=2020年3月}}
[[ファイル:Urban sprawl per country.png|thumb|400px|欧州におけるスプロール現象の指標。左上は市街地の分散(DIS)、右上は{{仮リンク|加重都市拡散|en|weighted urban proliferation}}(WUP)を表す。]]
[[ファイル:Scottsdale cityscape4.jpg|thumb|right|upright=1.15|[[フェニックス (アリゾナ州)|フェニックス]]大都市圏の郊外住宅地。]]


'''スプロール現象'''(スプロールげんしょう、{{Lang-en-short|urban sprawl}})とは、都市計画がほとんど実行されなかった結果として、住宅、商業開発、道路などが、都市周縁の広範な地帯に無秩序に拡大すること<ref>{{Cite book |title=Human geography: people, place, and culture |last1=Fouberg |first1=Erin Hogan |date=2012 |publisher=[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ|Wiley]] |others=Murphy, Alexander B.; De Blij, Harm J. |isbn=978-1118018699 |edition=10th |pages=560 |location=Hoboken |oclc=752286985}}</ref>、加えてそうした現象が社会環境にもたらす影響のことである<ref>{{Cite journal|last1=Sarkodie|first1=Samuel Asumadu|last2=Owusu|first2=Phebe Asantewaa|last3=Leirvik|first3=Thomas|date=2020-03-05|title=Global effect of urban sprawl, industrialization, trade and economic development on carbon dioxide emissions|journal=Environmental Research Letters|language=en|volume=15|issue=3|pages=034049|doi=10.1088/1748-9326/ab7640|bibcode=2020ERL....15c4049S|issn=1748-9326|doi-access=free}}</ref>。
'''スプロール現象'''(スプロールげんしょう、urban sprawl)とは、一般には[[都市]]が無秩序に拡大してゆく現象を指す。'''スプロール化'''とも言う。「スプロール」とは「虫食い」の意味<ref>新編 地理資料 2014 ISBN 978-4-8090-7612-1 p,226</ref>。


[[産業革命]]以後の都市においてスプロール現象は、郊外の市街地が[[城壁]]による保護を失うというような、直接的な不利益をもたらしているわけではない。しかし、スプロールには移動時間や交通費の増加、汚染、田園地帯の破壊といった諸問題があることが知られている<ref>{{Cite book|title=Encyclopedia of the City|url=https://archive.org/details/encyclopediacity00cave|url-access=limited|last=Caves|first=R. W.|publisher=Routledge|year=2004|isbn=9780415252256|pages=[https://archive.org/details/encyclopediacity00cave/page/n666 626]}}</ref>。また、郊外インフラの新規整備コストが固定資産税で回収されることはほとんどなく、多くの場合は公金、すなわち既存市街地住民から徴収された税金から、開発者や新規居住者への巨額の補助金が捻出されている<ref>{{Cite book |author=Charles L. Marohn, Jr.|date=2019|title=Strong Towns: A Bottom-Up Revolution to Rebuild American Prosperity |url=https://www.google.com/books/edition/Strong_Towns/sSSpDwAAQBAJ|via=[[Google ブックス|Google Books]]|publisher=[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ|Wiley]]|isbn=978-1119564812}}</ref>。スプロールを定義する構成要素が何か、スプロールをいかに定量化すべきかについては様々な主張がある。スプロールの進行状況を測定する基準としては、面積あたりの住居数の平均、脱中心化(中心市街外部への人口分散)の度合い、不連続性(後述するような「蛙飛び型開発」)、土地利用の分離といった要素が注目される。
== 問題点 ==
都市が発展拡大する場合、[[郊外]]に向かって[[市街地]]が拡大するが、この際に無秩序な[[開発]]を行うことをスプロール化と呼ぶ<ref>[https://imidas.jp/genre/detail/F-117-0126.html イミダス]スプロール現象 無秩序な都市化、都市拡大 鳴海邦磧・客野尚志 2013/3</ref>。[[都市計画|計画]]的な街路が形成されず、虫食い状態に[[住宅地|宅地]]化が進む様子を指す。


「スプロール現象」という言葉は強い政治的意味合いを孕んでおり、往々にして否定的なニュアンスを含む。スプロールは[[自然破壊|環境破壊]]、[[セグリゲーション (社会現象)|セグリゲーション]]の激化、市街地の活力の損害などをもたらすとされ、景観上の問題からも批判される。この用語には否定的文脈が多分に含まれるため、公然と支持する人は少ない。「スプロール現象」という用語は、都市成長を管理の必要性を強調するスローガンとして用いられることも多い<ref>{{Cite book |year=2013 |last1=James |first1=Paul |author-link1=Paul James (academic) |last2=Holden |first2=Meg |last3=Lewin |first3=Mary |last4=Neilson |first4=Lyndsay |last5=Oakley |first5=Christine |last6=Truter |first6=Art |last7=Wilmoth |first7=David |chapter=Managing Metropolises by Negotiating Mega-Urban Growth |title=Institutional and Social Innovation for Sustainable Urban Development |editor1=Harald Mieg |editor2=Klaus Töpfer |chapter-url=https://www.academia.edu/7207756 |publisher=[[ラウトレッジ|Routledge]]}}</ref>。
通常、都市郊外の小規模な[[農地]]などが個別に民間開発される場合、周囲の[[道路]]との接続はあまり意識されないまま、もっぱらその土地の形状に合わせて、住宅地などが整備される。


==定義==
このため、開発区域内は整理されていても、開発区域同士の間に計画性がなくなることになる。
[[ファイル:BosWash-Night-Labeled.png|upright=1.25|thumb|米国北東部・[[ボスウォッシュ]]の夜間光写真。[[郊外]]、[[準郊外]]が広範な地域に広がり、スプロールを示している。]]


スプロール現象(urban sprawl)という語句は、[[1955年]]の[[タイムズ]]紙の記事上において、[[ロンドン]]郊外の現状を否定的に表現する用語として初出した。スプロールの定義は曖昧であり、この分野の研究者も学術用語としての「スプロール」が正確さを欠いていることを認めている<ref name=Audirac90>{{Cite journal|last1=Audirac|first1=Ivonne|last2=Shermyen|first2=Anne H.|last3=Smith|first3=Marc T.|title=Ideal Urban Form and Visions of the Good Life Florida's Growth Management Dilemma|journal=Journal of the American Planning Association|date=December 31, 1990|volume=56|issue=4|pages=470–482|doi=10.1080/01944369008975450}}p. 475.</ref>。[[マイケル・バティ]]らはスプロールを「無秩序な成長。成り行きを気にせずにコミュニティを拡大していくこと。しばしば持続不可能とみなされる無計画かつ漸増的な都市成長」と定義する<ref name=Batty>{{Cite journal|last1=Batty|first1=Michael|last2=Besussi|first2=Elena|last3=Chin|first3=Nancy|title=Traffic, Urban Growth and Suburban Sprawl|journal=UCL Centre for Advanced Spatial Analysis Working Papers Series|date=November 2003|volume=70|url=https://www.bartlett.ucl.ac.uk/casa/pdf/paper70.pdf|accessdate=2015-05-17|issn=1467-1298|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150926003140/https://www.bartlett.ucl.ac.uk/casa/pdf/paper70.pdf|archivedate=2015-09-26|url-status=dead|df=mdy-all}}</ref>。また、バスデブ・バッタ(Basudeb Bhatta)らはスプロールの明確な定義には議論があるものの、「複数のプロセスにより推進され、非効率的な資源利用につながる、無計画かつ不均等な成長パターンによって特徴づけられることには一定の合意形成がある」としている<ref name=Bhatta>{{Cite journal|last1=Bhatta |first1=B.|last2=Saraswati|first2=S.|last3=Bandyopadhyay|first3=D.|title=Urban sprawl measurement from remote sensing data|journal=Applied Geography|date=December 2010|volume=30|issue=4|pages=731–740|doi=10.1016/j.apgeog.2010.02.002}}</ref>。
一度スプロール化した地域では、[[地主|地権]]の細分化、[[地価]]の下降などにより、改善は非常に<!---著しく[[再開発]]が--->困難になる。


レイド・ユーイング(Reid Ewing)はスプロール現象を、「低密度ないし単一用途の開発」「線形の商業地開発」「断片化した開発」「蛙飛び型開発」という4つの構成要素のいずれか1つ以上に特徴づけられる都市開発であると定義した。ユーイングはスプロールを識別するためには、形態的な特徴よりも指標を用いるほうが、柔軟かつ恣意的でないため、有用であると主張した<ref name=Ewing97>{{Cite journal|last1=Ewing|first1=Reid|title=Is Los Angeles-Style Sprawl Desirable?|journal=Journal of the American Planning Association|date=1997|volume=63|issue=1|pages=107–126|doi=10.1080/01944369708975728}}</ref>。ユーイングはスプロールを識別するための指標として「アクセシビリティ」と「機能しているオープンスペース」を提唱した<ref name=Ewing97/>。このアプローチは、スプロールがネガティブな特徴により定義されることを前提としているとして批判されている<ref name=UCL>{{Cite journal|last1=Chin|first1=Nancy|title=Unearthing the Roots of Urban Sprawl: A Critical Analysis of Form, Function and Methodology|journal=University College London Centre for Advanced Spatial Analysis Working Papers Series|date=March 2002|volume=47|url=https://www.bartlett.ucl.ac.uk/casa/pdf/paper47.pdf|accessdate=2015-04-19|issn=1467-1298|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160304044026/https://www.bartlett.ucl.ac.uk/casa/pdf/paper47.pdf|archivedate=2016-05-04|url-status=dead|df=mdy-all}}</ref>。どの要素がスプロールを形作るかは程度問題とも考えられるし、数多くある定義の下ではいくらかの主観性は廃し得ない<ref name=Ewing97/>。ユーイングは、郊外の開発それ自体がすなわちスプロール現象となるわけではないと主張しているが<ref name=Ewing97/>、ピーター・ゴードン(Peter Gordon)とハリー・リチャードソン(Harry Richardson)は「スプロール」という言葉が時として郊外化現象の単なる軽蔑的な言い回しとして用いられることを指摘している<ref name=G&R>{{Cite journal|last1=Gordon|first1=Peter|last2=Richardson|first2=Harry|title=Are Compact Cities a Desirable Planning Goal?|journal=Journal of the American Planning Association|date=1997|volume=63|issue=1|pages=95–106|doi=10.1080/01944369708975727}}</ref>。
[[土地]]や[[建物]]に対する[[租税|税制]]、[[農地法]]、[[商業地]]・[[工業地]]に関係する諸業法が都市化を規定するものと考えられる。


== 対策 ==
== 特徴 ==
=== 単一用途の開発 ===
[[ファイル:New York-NLT Landsat7.jpg|right|thumb|350px|[[ニューヨーク]]の衛星写真。中央の[[マンハッタン|マンハッタン島]]は計画的に区画された街路が規則的に走っているのに対し、[[ロングアイランド]](写真右側)や[[ハドソン川]]の対岸、[[ニュージャージー州]](写真左側)にはスプロール化した市街地が連なっている。]]
{{Main|{{仮リンク|単一用途ゾーニング|en|Single-use zoning}}}}


商業地域、[[住宅地|住宅地域]]、施設地域、{{仮リンク|工業地域|en|industrial region}}がそれぞれ分離されている状態を指す。その結果、広大な土地区画が単一用途で利用され、それぞれが空地、インフラ、その他の障害物により分断されている。その結果、人々の居住、労働、買い物、憩いの場となる場所は互いに離れており、通常、徒歩、交通機関の利用、自転車での移動が不可能なほどであるため、これらの活動には通常、自動車が必要となる<ref name="cdcreport">Frumkin, Howard (May–June 2002). [https://www.cdc.gov/healthyplaces/articles/Urban%20Sprawl%20and%20Public%20Health%20-%20PHR.pdf Urban Sprawl and Public Health]. ''[[アメリカ疾病予防管理センター|Centers for Disease Control and Prevention]]''. Retrieved on February 7, 2008.</ref>。この主題についての研究では、異なる土地利用がどの程度混在しているかの程度が、スプロールの指標としてしばしば用いられる<ref name=Bhatta/>。
いったんスプロール化が進展した後は、改善が困難になるため、対策はスプロール化の防止が主眼となると考えられている{{要出典|date=2008年9月}}。


この基準のもとでは、中国の都市化は「高密度スプロール」と分類することが出来る。この一見自己矛盾的な言葉は、[[ニューアーバニズム]]の理論家である[[ピーター・カルソープ]]の造語である。カルソープは、中国のスーパーブロック(巨大な住宅街)は、高層建築物にもかかわらず、大部分が単一用途であり、巨大な幹線道路に囲まれているため、都市のさまざまな機能が切り離され、歩行者には不親切な環境になっていると説明している<ref>{{Cite web |author=[[ピーター・カルソープ|Peter Calthorpe]] |url=https://www.cnu.org/publicsquare/china-chokes-high-density-sprawl |title=China chokes on high-density sprawl |work=Public Square: A CNU Journal |publisher=Congress for the New Urbanism |date=2016-07-07|accessdate=2021-03-16}}</ref><ref>{{Cite book |author=Peter Calthorpe |title=State of the World |year=2016 |chapter=Urbanism and Global Sprawl |work=Can a City Be Sustainable? |series={{仮リンク|State of the World (book series)|en|State of the World (book series)|label=State of the World}} |pages=91–108 |publisher=Island Press |location=Washington, DC |doi=10.5822/978-1-61091-756-8_7 |isbn= 978-1-61091-756-8 }}</ref>。
スプロール化防止に有効なのは、[[行政機関|公的機関]]([[地方自治体]]や[[第三セクター]])などによる大規模な[[土地区画整理事業|区画整理]]である。区画整理を[[都市開発]]に先立って行うことで、敷地を整形にすること([[整地]])が可能になり、都市[[機能]]が向上する。しかし、区画整理にも地権者の合意が必要なため、中々事業が進まない事例も多く見受けられる。


=== 職場のスプロールと空間的ミスマッチ ===
都市を新設する際に、計画性を前面に押し出し[[碁盤]]の目のような街路などを形成する方法がある。[[東アジア]]の[[古代]]都市や、[[近代]]においては[[アメリカ合衆国]]や[[北海道]]の都市などがそれにあたる。しかし、都市がその計画範囲を超える場合は、スプロール化する可能性がある。都市の[[地図]]などで、[[都心]]部が合理的な区画になっているのに対して[[郊外]]が無計画化しているものが見られるのは、このためである。例として、[[北アメリカ|北米]]の都市は、近代的な都市計画に基づいて[[設計]]されたが、[[モータリゼーション]]の進展により都市範囲が飛躍的に拡大したことなどから郊外でスプロール化が散見されるようになった。また、日本の[[相模原市]]においては旧市部のうち北部地区は[[太平洋戦争]]前からの大[[軍郷|軍都]]計画によって整然とした区画になっている一方、戦後まで多くが農地として残った南部地区ではスプロール化が激しいなど、同一市内で同程度に発展していても地区によってスプロール化が進行することもある。
[[ファイル:Traffic jam Marginal Pinheiros 6122 SAO 07 2009.jpg|thumb|left|[[ブラジル]]・[[サンパウロ]]は世界有数の交通渋滞を抱えることで知られる<ref name=Times_SP>{{Cite news|url= http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1733872,00.html |title=The World's Worst Traffic Jams|work=Time|date=April 21, 2008|accessdate=September 4, 2014|author= Andrew Downie}}</ref>。]]


職場のスプロール(Job sprawl)は、スプロールと{{仮リンク|自動車依存|en|automobile dependency}}が発生しているコミュニティで見られる土地利用状態のひとつであり、低密度で地理的に拡散した雇用パターンと定義される。このような現象の起こる大都市圏では雇用の大部分が主要都市の[[中心業務地区]](CBD)の外部に位置し、ますます郊外の周辺部に移動しつつある。これは都市における負の投資の結果であることが多い。アメリカ郊外部の多くでは、自動車依存の通勤パターンがほとんどであるため、地理的に自由な職場立地が可能になっている。また、多くの企業がより地価が安く、拡張の余地がある低密度地域に拠点を置きたいと考えている。{{仮リンク|空間的ミスマッチ|en|Spatial mismatch}}は職場のスプロールおよび{{仮リンク|環境正義|en|environmental justice}}と関連する概念であり、職場のスプロール化と、{{仮リンク|逆方向通勤|en|reverse commute}}を助ける公共交通機関の不足の結果として、都市部の貧困層―多くはマイノリティである―の求職が困難になる状況を指す。
特に、[[市町村]]に都市計画の権限のあるアメリカ合衆国においては[[保守]]的な州を中心に[[規制]]の緩やかな自治体も多く、これらの地域ではスプロール化は盛んに起きている。規制の緩やかな地域は住宅地が豊富に供給され地価も低いため、[[中産階級]]に人気があり、開発が進む傾向がある。


職場のスプロールは、様々な方法で文書化され、測定されている。アメリカの大都市圏では、職場のスプロールの増加傾向が見られる<ref>{{Cite web |title=Residential Construction Trends in America's Metropolitan Regions |url=https://www.epa.gov/smartgrowth/residential-construction-trends-americas-metropolitan-regions|archiveurl=https://web.archive.org/web/20151017034647/https://www2.epa.gov/smartgrowth/residential-construction-trends-americas-metropolitan-regions|archivedate=2015-10-17|accessdate=2021-03-16|date=2016-07-27 |website=Smart Growth |publisher=U.S. Environmental Protection Agency (EPA) |location=Washington, D.C.}}</ref>。[[ブルッキングス研究所]]はこの主題について複数の論説を上梓している。2005年に{{仮リンク|マイケル・ストール|en|Michael Stoll}}はCBDから半径{{Convert|5|mi|km|adj=on}}以上離れた立地を職場のスプロールと定義し、2000年の[[アメリカ合衆国国勢調査]]をもとに職場のスプロールの進行状況を研究した<ref name=Stoll>{{Cite book |last=Stoll |first=Michael A. |title=Job Sprawl and the Spatial Mismatch between Blacks and Jobs |location=Washington D.C. |publisher=Brookings Institution, Metropolitan Policy Program |date=2005 |url=http://www.brookings.edu/reports/2005/02metropolitanpolicy_stoll.aspx |accessdate=2010-01-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080706103216/http://www.brookings.edu/reports/2005/02metropolitanpolicy_stoll.aspx |archivedate=2008-7-6|url-status=dead |df=mdy-all }}</ref> 。他にも、CBDを中心とした同心円を用いた異なる研究として、{{仮リンク|エドワード・グレイザー|en|Edward Glaeser}}による2001年の論文と{{仮リンク|エリザベス・ニーボーン|en|Elizabeth Kneebone}}による2009年の論文がある。これらの研究では郊外に広がる都市周辺部では雇用が増え、CBDに近い地域では雇用が減っていることが明らかになった<ref name=Glaeser>{{Cite book |last=Glaeser |first=Edward |date=2001|title=Job Sprawl: Employment Location in U.S. Metropolitan Areas |location=Washington D.C. |publisher=Brookings Institution, Metropolitan Policy Program. |url=http://www.brookings.edu/reports/2001/07_employment_glaeser.aspx |archiveurl=http://arquivo.pt/wayback/20160515085220/http://www.brookings.edu/reports/2001/07_employment_glaeser.aspx |url-status=dead |archivedate=2016-05-15 |accessdate=2010-01-22}}</ref><ref name=Kneebone>{{Cite book |last=Kneebone |first=Elizabeth |title=Job Sprawl Revisited: The Changing Geography of Metropolitan Employment |location=Washington D.C. |publisher=Brookings Institution |date=2009 |url=http://www.brookings.edu/reports/2009/0406_job_sprawl_kneebone.aspx |accessdate=January 22, 2010 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20100222104135/http://www.brookings.edu/reports/2009/0406_job_sprawl_kneebone.aspx |archivedate=February 22, 2010 |url-status=dead |df=mdy-all }}</ref>。両人はCBDから半径{{Convert|35|mi|km|adj=on}}以内について、{{Convert|3|mi|km}}以内、3~{{Convert|10|mi|km}}、10~{{Convert|35|mi|km}}の同心円を用いて職場の郊外化を調査した。ニーボーンによる2006年の全国調査ではそれぞれの範囲に21.3パーセント、33.6パーセント、45.1パーセントの職場が分布することが明らかになった。1998年の職場分布はそれぞれ23.3パーセント、34.2パーセント、42.5パーセントであった。この調査によると、CBDにおける職場立地の割合は縮小し、職場の増加は郊外や都市圏外の同心円中に集中する。
[[ヨーロッパ|欧州]]各地に設置された[[ローマ都市一覧|ローマ都市]]では都市[[城壁]]が、都市の拡大そのものを抑制しており、都市計画の[[合理性]]が保たれる結果となっている。これは、[[首都]]の[[ローマ市]]が無計画に拡張した反省からであると考えられている{{要出典|date=2008年9月}}。


===低密度開発===
== 反論 ==
[[ファイル:Bean Station neighborhoods I.jpg|thumb|[[テネシー州]]における都市計画が不十分な[[準郊外]]地域。大規模な農場に低密度な住宅地が立地する。]]
スプロール化した住宅地は、計画性に乏しいが故に、逆に土地区画、住宅の種類や形態、住宅の供給年代の[[多様性]]をもたらしている。このため[[住民]]の[[年齢構成]]や[[所得]][[社会階層|階層]]の多様化という特徴も有し、そのため計画的に形成された[[ニュータウン]]で指摘されるような[[人口減少]]や急速な[[少子化]]、若年層の減少、[[高齢化]]といった諸問題を緩和させているという側面も持っている。


スプロールはしばしば低密度の[[土地開発]]としても特徴づけられる<ref name=UCL/>。「低密度」の厳密な定義には議論の余地があるが、一般的な例として広い区画に建つ{{仮リンク|一世帯住宅|en|Single-family home}}が挙げられる。こうした建築物は通常低階層で隣家との間隔が広く、芝生や庭、道路や駐車場により区切られている。何をもって低密度とするかの具体的な尺度は文化相対的なものであり、たとえばアメリカでは1エーカーあたり2~4軒の住家で低密度とされるが、イギリスでは8~12軒でも低密度とされるだろう<ref name=UCL/>。
市街地整備には、その便益が数十年以上にわたって得られるため[[国債]]や[[地方債]](市債)が一般であるが、人口減少が見込まれる[[先進国]]では、中心部以外の周辺部は便益の将来性が必ずしも長期的ではないと考えられるため、[[公権力]]が介入するべきものではない。


地域全体の密度は{{仮リンク|蛙飛び型開発|en|Leapfrogging (urban development)}}によっても低下する。「蛙飛び型開発」は分譲地間の関係またはその欠如を意味する用語である。このような開発は典型的には大規模な[[グリーンベルト]]、言い換えれば未開発用地により分断されており、その結果として平均密度は、特定地区中の1エーカーあたりの測定値が示す低密度よりもはるかに低くなっている。これは20世紀から21世紀にかけての現象で、開発条件として開発者に分譲地のインフラ整備を要求するという慣習に起因するものである<ref>DeGrove, John and Robyne Turner (1991), "Local Government in Florida: Coping with Massive and Sustained Growth" in Huckshorn, R. (ed.) Government and Politics in Florida. University of Florida Press, Gainesville.</ref>。人間はいかに生きるべきかということについての宗教的な考え方が低密度の開発を促進し、都市のスプロール化の原因になっているのではないかとする研究もある<ref>{{Cite book|title=Theology and urban sustainability|last=Allam, Zaheer.|date=2020|publisher=Springer|isbn=978-3-030-29673-5|location=Cham|oclc=1120695363}}</ref><ref>{{Cite journal|last=Scarrow|first=Ryan|s2cid=202558093|date=September 2019|title=Graves or people|journal=Nature Sustainability|language=en|volume=2|issue=9|pages=787|doi=10.1038/s41893-019-0383-2|issn=2398-9629|doi-access=free}}</ref>。
なお、スプロール化された郊外は、[[人口密度]]が比較的低く押さえられる限りは、住宅周辺に細分化された状態で[[田畑]]や[[山林]]が残る。しかし、これら田畑や山林は未だ宅地化されていないだけであって、計画的に保全されているわけではない。つまり、いずれ[[デベロッパー (開発業者)|開発業者]]によって無秩序に開発され、結果的に地域が[[狭小住宅]]の密集地と化す可能性がある。よって住[[環境]]を保全のため、スプロール化の進行の段階で規制をかける必要がある。また、日本の[[地方都市]]郊外では道路網の充実により、[[渋滞]]などの問題は少ないともいわれるが、実際はスプロール化に加えモータリゼーションの進展の結果、郊外でも渋滞が多発している。そのため、郊外への無秩序な市街地拡大の抑制が求められている。


===農地の都市用途への転用===
[[合理主義]]な見地からいえば、計画された都市が効率的ではあるが、現代の[[行動科学]]・[[社会学]]・[[行動経済学]]・[[情報学]]・家族学を勘案すれば、それらを実証・反証することが難しくなる。
スプロール化の進む地域では都市近郊の肥沃な農地が郊外用地に転用されることが多く、現代のスプロールの広がりは生産性の高い農地<ref>{{Cite journal|last1=Krannich|first1=Jess M.|title=Modern Disaster: Agricultural Land, Urban Growth, and the Need for a Federally Organized Comprehensive Land Use Planning Model|journal=Cornell Journal of Law and Public Policy|date=2006|volume=16|issue=1|pages=57|url=http://scholarship.law.cornell.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1104&context=cjlpp|accessdate=June 8, 2015}}</ref>を森林、砂漠、その他の原生地域と同様に大量に消費している<ref>{{Cite journal|last1=Hasse|first1=John E.|last2=Lathrop|first2=Richard G.|title=Land resource impact indicators of urban sprawl|journal=Applied Geography|date=2003|volume=23|issue=2–3|pages=159–175|doi=10.1016/j.apgeog.2003.08.002}}</ref>。アメリカには{{仮リンク|同種交換|en|like-kind exchange}}を[[譲渡所得]]の課税対象外とする優遇税制措置が存在し、土地の売り手はこの制度を用いて利益に対する課税を回避することができる。土地の売却益を別の場所にある農地の購入に充てることで、取引は交換ないし同種の資産の取引として扱われ、税が発生しない。この税法はアメリカにおけるスプロール現象を促進している<ref name=NYT01613>{{Cite news|title=Major Companies Push the Limits of a Tax Break|url=https://www.nytimes.com/2013/01/07/business/economy/companies-exploit-tax-break-for-asset-exchanges-trial-evidence-shows.html|accessdate=January 7, 2013|newspaper=The New York Times|date=January 6, 2013|author=David Kocieniewski|quote=With hundreds of thousands of transactions a year, it is hard to gauge the true cost of the tax break for so-called like-kind exchanges, like those used by Cendant, General Electric and Wells Fargo.}}</ref>。中国では、土地が需要に先立って農村的用途から都市的用途に転換されており、農村部に将来の開発を意図する空地が発生し、結果的にスプロールとなる<ref>{{Cite journal|last1=Fang|first1=Yiping|last2=Pal|first2=Anirban|date=2016-07-07|title=Drivers of urban sprawl in urbanizing China – a political ecology analysis|journal=Environment and Urbanization|language=en|volume=28|issue=2|pages=599–616|doi=10.1177/0956247816647344|issn=0956-2478|url=https://pdxscholar.library.pdx.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1163&context=usp_fac|doi-access=free}}</ref>。


===商業開発===
[[経済学]]的に考えれば、短期には[[資本]]や[[労働]]、[[暗黙知]]の集約化は[[生産性]]を高めるが、長期には制度が[[市場]]を破壊している現象がみられる(設備の一斉更新、ニュータウンの高齢化、[[企業]]撤退による[[職場]]喪失など)。経済学はミクロの将来予測は不可能に近い。{{要出典|date=2013年6月}}
[[ファイル:Breezewood, Pennsylvania.jpg|thumb|[[ペンシルヴァニア州]]{{仮リンク|ブリーズウッド|en|Breezewood, Pennsylvania}}。大都市圏郊外ではこのような商業ストリップが一般的である<ref name="ruralsmartgrowth">{{Cite web |title=Modernizing Rural And Small City Development Codes: Priority Smart Growth Fixes |url=https://www.smartgrowthamerica.org/app/legacy/documents/evening-presentation-green-river.pdf |website={{仮リンク|Smart Growth America|en|Smart Growth America|label=Smart Growth America}} |publisher=[[アメリカ合衆国環境保護庁|Environmental Protection Agency]] |accessdate=October 16, 2020 |format=PDF |date=2014 }}</ref>。]]


スプロール地帯では商業地も他の用途地域とは分離されていることが一般的である。米国やカナダでは、これらは{{仮リンク|ストリップモール|en|strip mall}}の形をとることが多い。ストリップモールは共通の駐車場を共有する建物の集合体を指し、通常、商業機能を持つ交通量の多い道路(ストリップ)に建てられる。イギリスでは同様の商業施設は{{仮リンク|リテールパーク|en|retail park}}と呼ばれる。主に{{仮リンク|ビッグボックスストア|en|big box store}}や[[カテゴリーキラー]]から構成されるストリップモールは[[パワーセンター]]と呼ばれる。これらの開発は低密度になる傾向があり、建物は平屋で、駐車場や配送車の通行のための十分なスペースが確保されている。駐車場と歩道の広々とした設計や小売店の目立ちやすい案内看板も幹線道路沿い商業施設の特色である。プラザやカフェなどの共有空間・施設に投資し、テナントを日用品から娯楽品の店舗に転換することで、{{仮リンク|ライフスタイルセンター|en|Lifestyle center (retail)}}に変わろうとしているストリップモールも存在する。
== 対策の進んだ例 ==
* [[モスクワ]]


[[ファイル:Wal-Mart Supercenter, Luray, Virginia.jpg|thumb|[[バージニア州]]{{仮リンク|ルーレイ|en|Luray, Virginia}}の[[ウォルマート]]]]
== 脚注 ==
<references />


スプロールを特徴づけるもう1つの小売商業地は[[ショッピングモール]]である。ストリップモールと異なり、ショッピングモールは駐車場に囲まれた単独の建築物から構成され、敷地内に複数の店舗が入居している。通常1つかそれ以上の[[百貨店]]が[[アンカーストア]]になっている<ref>Gruen, Victor and Larry Smith (1960) ''Shopping towns USA: the planning of shopping centers'', Van Nostrand Reinhold Company, New York.</ref>。また、機能や規模もストリップモールとは異なる。買回り品ではなく、ほとんどが最寄り品の買い物に集中している。また、ショッピングモールは、より広い地域の人々を対象とする傾向があり、高速道路へのアクセスなど、より高度なインフラを必要とし、床面積が{{convert|1e6|sqft|m2|adj=on}}を超えることもある。ショッピングモールは、中心市街地の代用として機能するため繁華街の百貨店に悪影響を及ぼすことが多い<ref>Crawford, Margaret (1992) "The World in a Shopping Mall" in Sorkin, Michael (ed.), ''Variations on a Theme Park, The new American city and the end of public space'', Hill and Wang, New York, pp.&nbsp;3–30.</ref>。いくつかの中心商業地では、この問題に対応するため独自にショッピングセンターを建設している<ref>Frieden, Bernard J. and Sagalyn, Lynne B. (1989) ''Downtown Inc.: How America Rebuilds Cities'', [[マサチューセッツ工科大学出版局|MIT Press]], Cambridge, MA.</ref>。
== 関連項目 ==

* [[インナーシティ]]
[[ファストフード]]の[[チェーン店]]は、人口が急増し、大規模な交通量が予測される資産価値の低い地域に早くから建設されるため、将来の開発の前駆となることが多い。[[エリック・シュローサー]]は著書『[[ファストフードが世界を食いつくす]]』の中で、ファストフードチェーンは郊外のスプロールを加速させ、広大な駐車場、派手な看板、プラスチック製の建築物などで郊外の景観を確定させることに役立っていると論じている(65)。[[ドゥアニー・プラター=ザイベック・アンド・カンパニー]]はこうした開発は、スプロールから離れようとする果てしない試みが、さらにスプロール現象を生み出すという破壊的な成長パターンを助長するものだと考えている<ref name=duany2001/>。
* [[都心の荒廃]]

* [[モータリゼーション]]
==影響==
* [[世田谷区]]

* [[ジェントリフィケーション]]
=== 環境 ===
* [[都市]]
都市のスプロール化は、環境に多くの悪影響を及ぼす。スプロール化による主要な環境問題のひとつは{{仮リンク|土地損失|en|land loss}}と{{仮リンク|生息地損失|en|habitat loss}}、結果として起こる[[生物多様性]]の減少に関連する。ブライアン・チェック(Brian Czech)らのレビューによれば、都市化は他のどの人間活動よりも多くの種を危険にさらし、米国本土の地理的な均質性を高めている<ref>{{Cite journal|last1=Czech |first1=Brian |last2=Krausman |first2=Paul R .|last3=Devers |first3=Patrick K. |title=Economic Associations among Causes of Species Endangerment in the United States |journal=BioScience |date=2000 |volume=50 |issue=7 |pages=593 |doi=10.1641/0006-3568(2000)050[0593:EAACOS]2.0.CO;2|url=http://bioscience.oxfordjournals.org/content/50/7/593.full?ijkey=5738dd208118508de52ec01cdb0cc4c9e383c477&keytype2=tf_ipsecsha |accessdate=September 3, 2015|doi-access=free }}</ref>。スプロール現象は固有の生物相を混乱させ、環境に[[外来種|外来植物]]を移入する<ref name="mckinney">{{Cite journal|last1=McKinney |first1=Michael L.|title=Urbanization, Biodiversity, and Conservation |journal=BioScience |date=2002 |volume=52 |issue=10 |pages=883 |doi=10.1641/0006-3568(2002)052[0883:UBAC]2.0.CO;2 |url=http://bioscience.oxfordjournals.org/content/52/10/883.full |accessdate=September 3, 2015|doi-access=free }}</ref>。その影響は、固有の植生の注意深い保全、[[遷移 (生物学)|遷移]]のプロセス、公共教育によって緩和することができるとはいえ、スプロールは生物多様性に対する主要な脅威の一つである.<ref name="mckinney" />。[[コルカタ]]のような出生率が高く、移住者も多い地域では、無計画な成長による巨大都市の発生が環境問題の原因となっている<ref>Fenger, J: 1999, "Urban air quality", Atmospheric Environment, vol.33, no.29, pp 4877–4900.</ref>。

[[ファイル:Melbourne2.jpg|thumb|left|[[メルボルン]]のスプロール]]

郊外の土地利用は都市中心部のそれよりも消費する面積が大きく、住民一人あたりではよりたくさんの農地と野生動物の生息地が破壊される。郊外森林が伐採され[[コンクリート]]や[[アスファルト]]といった[[不浸透面]]で覆われると、降雨が[[帯水層]]に効率的に吸収されなくなる<ref name="cdcreport" />。このことは水の供給について質的な意味でも量的な意味でも脅威となりうる。また、道路舗装による不浸透面の増加は洪水の原因ともなる<ref>{{Cite web |url=https://water.usgs.gov/edu/watercyclerunoff.html |title=Surface Runoff – The Water Cycle |author=<!--Not stated--> |date=2016-12-15 |website=Water Science School |publisher=United States Geological Survey |location=Reston, VA|accessdate=2021-03-16}}</ref>。

[[ファイル:Chicagoland air.jpg|thumb|right|[[シカゴ都市圏]]。「シカゴランド」の別称でも知られる。]]

ピーター・ゴードン(Peter Gordon)とハリー・リチャードソン(Harry Richardson)は、農業生産の効率が高まっているため、農地の都市利用への転換は問題ではないと主張している。彼らは、都市の土地利用が拡大しているにもかかわらず、総農業生産量は世界の食糧需要を十分満たす以上にあると考える<ref name="sprawldebate">{{Cite journal |last1=Gordon |first1=Peter |last2=Richardson |first2=Harry |title=The Sprawl Debate: Let Markets Plan |journal=Publius: The Journal of Federalism |date=Summer 2001 |volume=31 |issue=3 |pages=131–149 |url=http://publius.oxfordjournals.org/content/31/3/131.full.pdf |accessdate=June 11, 2015 |doi=10.1093/oxfordjournals.pubjof.a004901}}</ref>。

=== 健康 ===
スプロール現象は自動車の運転を増加させる。その結果、自動車からの排出ガスが[[大気汚染]]の原因となり、それが住民の健康に悪影響を及ぼすことになる。さらに、自動車利用の増加に伴う身体活動の低下は、健康に悪影響を及ぼす。スプロールは、慢性的な健康状態とそれについての[[生活の質]]を有意に予測するが、精神的な健康障害は予測しない<ref>{{Cite journal|last1=Sturm|first1=R.|last2=Cohen|first2=D.A.|title=Suburban sprawl and physical and mental health|journal=Public Health|date=October 2004|volume=118|issue=7|pages=488–496|doi=10.1016/j.puhe.2004.02.007|pmid=15351221}}</ref>。学術誌「American Journal of Public Health」「American Journal of Health Promotion」は、スプロールと[[肥満]]、[[高血圧]]との間には有意な関係があると述べている<ref name="obesity">McKee, Bradford. "[https://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?sec=health&res=9C06EED61338F937A3575AC0A9659C8B63 As Suburbs Grow, So Do Waistlines] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090816081427/http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?sec=health |date=August 16, 2009 }}", ''[[ニューヨーク・タイムズ|The New York Times]]'', September 4, 2003. Retrieved on February 7, 2008.</ref>。

自家用車の所有が一般的になってきた第二次世界大戦以降、公衆衛生当局者は都心のような工業煤煙のない郊外の健康上の利益を喧伝した。しかし、現代の郊外は都心と比べても空気がきれいであるとは言いがたい.<ref name="DeRidder">{{Cite journal |doi=10.1016/j.atmosenv.2008.06.044 |author1=Koen De Ridder |author2=Filip Lefebre |author3=Stefan Adriaensen |author4=Ute Arnold |author5=Wolfgang Beckroege |author6=Christine Bronner |author7=Ole Damsgaard |author8=Ivo Dostal |author9=Jiri Dufek |author10=Jacky Hirsch |author11=Luc Int Panis |author12=Zdenek Kotek |author13=Thierry Ramadier |author14=Annette Thierry |author15=Stijn Vermoote |author16=Annett Wania |author17=Christiane Weber |title=Simulating the impact of urban sprawl on air quality and population exposure in the German Ruhr area. Part II: Development and evaluation of an urban growth scenario |journal=Atmospheric Environment |volume=42 |issue=30 |year=2008 |pages=7070–7077|bibcode=2008AtmEn..42.7070D }}</ref>。実際、空気が最も汚染されているのは、郊外の人々がより多くの時間を過ごす傾向にある、混雑した高速道路上である。平均すると、郊外の住民は、車の運転が増えたり、家が大きくなったりするため、一人当たりの汚染物質や[[温室効果ガス]]の排出量が都市部の住民よりも多くなっている<ref name="cdcreport" /><ref>{{Cite journal|last=Fuller|first=R.|author2=Crawford |s2cid=153390281|title=Impact of past and future residential housing development patterns on energy demand and related emissions|journal=Journal of Housing and the Built Environment|year=2011|volume=26|issue=2|pages=165–83|doi=10.1007/s10901-011-9212-2}}</ref><ref name="Jones2014">{{Cite journal |last1=Jones |first1=Christopher |last2=Kammen |first2=Daniel |title=Spatial Distribution of U.S. Household Carbon Footprints Reveals Suburbanization Undermines Greenhouse Gas Benefits of Urban Population Density |journal=Environ. Sci. Technol. |date=2014 |volume=48 |issue=2 |pages=895-902 |doi=10.1021/es4034364 |url=https://doi.org/10.1021/es4034364 |accessdate=19 January 2021}}</ref><ref name="Goldstein2020">{{Cite journal |last1=Goldstein |first1=Benjamin |last2=Gounaridis |first2=Dimitrios |last3=Newell |first3=Joshua P. |title=The carbon footprint of household energy use in the United States |journal=PNAS |date=2020 |volume=117 |issue=32 |pages=19122-19130 |doi=10.1073/pnas.1922205117 |url=https://doi.org/10.1073/pnas.1922205117|doi-access=free }}</ref>。

=== 安全性 ===
自動車への依存度が高いと、都市全体の交通量が増加し、交通事故や歩行者の負傷、大気汚染も増加する<ref name="De Ridder et al. 2008">{{Cite journal | last = De Ridder | first = K | title = Simulating the impact of urban sprawl on air quality and population exposure in the German Ruhr area. Part_II_Development_and_evaluation_of_an_urban_growth_scenario | journal = Atmospheric Environment | volume = 42 | issue = 30 | pages = 7070–7077 | year = 2008 | url= https://www.researchgate.net/publication/232071499 | doi =10.1016/j.atmosenv.2008.06.044 | bibcode = 2008AtmEn..42.7070D }}</ref>。自動車による[[交通事故]]は、5歳から24歳までのアメリカ人の死因の第1位であり、事故死の原因ではすべての年齢層において第1位である<ref>[http://www.disastercenter.com/cdc/ U.S. Death Statistics]. ''The Disaster Center''. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。スプロール化が進んでいる地域の住民は運転中の乗り物に接触する機会も多いため、自動車事故による死亡リスクも概して高くなる<ref name="cdcreport" />。スプロール化が進んだ地域の歩行者は、都市密度の高い地域の歩行者よりも事故に遭うリスクが高いことがわかっているが、その関係は自動車の運転者や同乗者のそれよりも明確ではない<ref name="cdcreport" />。また、スプロールと救急医療サービスや消防署の対応の遅れとの関連性が指摘されている<ref>{{Cite journal | last1 = Lambert | first1 = Thomas E. | last2 = Meyer | first2 = Peter B. | s2cid = 155248837 | year = 2006| title = Ex-Urban Sprawl as a Factor in Traffic Fatalities and EMS Response Times in the Southeastern United States | url = http://www.cues.fau.edu/cnu/docs/Ex-Urban_Sprawl_as_a_Factor_in_Traffic_Fatalities_and_EMS_Response_Times_in_the_SE_US-Lambert-Meyer.pdf | journal = Journal of Economic Issues | volume = 40 | issue = 4| pages = 941–953 | doi = 10.1080/00213624.2006.11506968 }}</ref><ref>{{Cite journal | jstor = 25469783 | last1 = Lambert | first1 = T. E. | last2 = Meyer | first2 = P. B. | title = Practitioner's Corner: New and Fringe Residential Development and Emergency Medical Services Response Times in the United States | journal = State | volume = 40 | issue = 2 | pages = 115–124 | year = 2008 | doi = 10.1177/0160323x0804000205 | s2cid = 154555457 | url = https://mpra.ub.uni-muenchen.de/38891/1/MPRA_paper_38891.pdf }}</ref><ref>{{Cite journal | last1 = Lambert | first1 = Thomas E. | last2 = Srinivasan | first2 = Arun K. | last3 = Katirai | first3 = Matin | s2cid = 219306354 | year = 2012 | title = Ex-urban Sprawl and Fire Response in the United States | journal = Journal of Economic Issues | volume = 46 | issue = 4| pages = 967–988 | doi = 10.2753/JEI0021-3624460407 }}</ref>。

=== インフラ・公共交通 ===
[[ファイル:NorthAmericanPublicTransport.png|thumb|北アメリカ諸都市の公共交通利用率]]
[[ファイル:Road Space Requirements.png|thumb|30人が自家用車・自転車・バスで移動したときの道路空間の占有量]]

スプロール化の進む地域では電線や上下水管といったインフラ設備の敷設長さが増え、メンテナンス費用がかさむため、上下水道や電気といったインフラの世帯あたりのコストが高くなる<ref>{{Cite book|last1=Snyder|first1=Ken|last2=Bird|first2=Lori|title=Paying the Costs of Sprawl: Using Fair-Share Costing to Control Sprawl|date=1998|publisher=U.S. Department of Energy's Center of Excellence for Sustainable Development|location=Washington|url=http://www.smartcommunities.ncat.org/articles/sprawl.pdf|accessdate=May 20, 2015|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150924102819/http://www.smartcommunities.ncat.org/articles/sprawl.pdf|archivedate=September 24, 2015|df=mdy-all}}</ref>。低密度地域の住民は、高密度地域の住民に比べて、収入に占める交通費の割合が高い<ref>McCann, Barbara. [http://www.transact.org/PDFs/DriventoSpend.pdf Driven to Spend] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20060619175741/http://www.transact.org/PDFs/DriventoSpend.pdf |date=June 19, 2006 }}. ''Surface Transportation Policy Project'' (2000). Retrieved on February 8, 2008.</ref>。都市の無計画な拡張は、一般的に自動車への依存度の増加と関連している。2003年、[[ガーディアン]]は{{仮リンク|RAC plc|en|RAC plc|label=RAC}}のデータに基づいて、イギリスでは都市のスプロール化によって、自動車費用だけで一人当たり年間3905ポンドの経済的損失が生じていると試算した。当時のイギリスでは、自動車を運用するための平均的なコストは年間5000ポンドであるのに対し、列車での移動(市民が1年中毎日通勤すると仮定し、チケット代は3ポンド)は1095ポンドにしかならない<ref>"[https://www.theguardian.com/guardian_jobs_and_money/story/0,3605,895503,00.html Is your car worth it?]", ''[[ガーディアン|The Guardian]]'', [[ガーディアン・メディア・グループ|Guardian Media Group]], February 15, 2003. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。

=== 社会 ===
アメリカ合衆国において、スプロール化は[[ソーシャル・キャピタル]]を減少させる一因となっている可能性がある。人口稠密な地域では近隣間で気軽な交流が育まれることがあるが、スプロール現象はそれを阻害する。スプロールは、公共空間をフェンスで囲まれた裏庭のような私的空間に置き換える傾向がある<ref name="csc06">{{Cite book|url=http://www.sightline.org/publications/books/CS2006/CS06/CS06-nomaps|title=Cascadia Scorecard 2006|author=Van Pelt, Julie (ed.)|format=PDF|series=Cascadia Scorecard|year=2006|publisher=Sightline Institute|location=Seattle, Washington|isbn=978-1-886093-16-4|accessdate=February 7, 2008}}{{リンク切れ|date=January 2018 |bot=InternetArchiveBot |fix-attempted=yes }}</ref>。

スプロール現象の批判者は、スプロールが[[クオリティ・オブ・ライフ]]を侵食していると主張する。アンドリューズ・ドゥアニー(Andres Duany)とエリザベス・プレーター=ジーベック(Elizabeth Plater-Zyberk)は、伝統的な地域において、職場と、消費者にカフェやコンビニエンスストアを提供する、小売店や飲食店の空間があることは、都市生活のバランスをうまくとるために不可欠な要素であると考えている。さらに彼らは、職住近接は人びとに徒歩や自転車で職場や学校に通うという選択肢を与えており、生活の異なる構成要素の間の相互作用なしには、都市のパターンはすぐに崩壊してしまうと述べている<ref name=duany2001>{{Cite book|last1=Duany|first1=Andres|last2=Plater-Zyberk|first2=Elizabeth|last3=Speck|first3=Jeff|title=Suburban Nation: The Rise of Sprawl and the Decline of the American Dream|date=2001|publisher=Farrar Straus & Giroux|location=New York|isbn=9780865476066|url-access=registration|url=https://archive.org/details/suburbannationri00duan}}</ref>。{{仮リンク|ジェームズ・ハワード・クンストラー|en|James Howard Kunstler}}は、郊外環境の美観の悪さが地域を「気にかける価値のない場所」にしており、そうした地域には歴史とアイデンティティの感覚がないと主張している<ref>Kunstler, James Howard. Home from nowhere: remaking our everyday world for the twenty-First century. Touchstone, 1998</ref>。また、都市のスプロールは、世界の多くの地域で階級や人種に影響を与えている。多くのスプロール開発の相対的な均質性は、{{仮リンク|居住隔離|en|residential segregation}}を通じて階級や人種の分断を強化する可能性がある。

多くの研究が人口密度の増加と攻撃性の増加を関連づけている<ref>{{Cite web|last=Conklin|first=George H.|url=http://www.ncsociology.org/crowding.htm|title=Article Review: The Impact of Density: The Importance of Nonlinearlity and Selection on Flight and Fight Responses.|accessdate=2021-03-16}}</ref>。また、人口密度の増加が犯罪や反社会的行動を助長するという考えもある。社会的動物である人間は、かなりの量の社会空間を必要とし、そうでなければ動揺し、攻撃的になると主張されている<ref>{{Cite book|author=Sennett, Richard (ed.)|title=Classic Essays on the Culture of Cities|date=June 1969|location=New York|pages=67–83|publisher=Appleton-Century-Crofts}}</ref>。しかし、都市の高い密度と社会的病理の増加の関係性については大部分が否定されている<ref>{{Cite journal | last1 = Fischer | first1 = Claude S. | last2 = Baldasarre | first2 = Mark | last3 = Ofshe | first3 = R. J. | year = 1975 | title = Crowding Studies and Urban Life – A Critical Review | journal = Journal of the American Institute of Planners | volume = 41 | issue = 6| pages = 406–418 | doi=10.1080/01944367508977691| hdl = 2027/mdp.39015002638529 | hdl-access = free }}</ref>。

== 議論 ==
{{Multiple image
| align = right
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| image1 = Morrisville, North Carolina (North Side of Morrisville-Carpenter Road) 2006.jpg
| alt1 = Morrisville, North Carolina (north side of Morrisville-Carpenter Road)
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| alt2 = Morrisville, North Carolina (south side of Morrisville-Carpenter Road)
| footer =[[ノースカロライナ州]][[モリスビル (ノースカロライナ州)|モリスビル]]の農村景観は豊かで都会的な分譲地として盛んに開発されている。上掲の写真は同じ場所の道を挟んだ両側を撮影したもの。}}

ナンシー・チン(Nancy Chin)によれば、スプロール現象の影響については、多くの部分が学術的にもある程度詳しく議論されている。しかし、最大の論点は「計画的なアプローチを主張する者と市場の効率性を主張する者との間の、古くさい一連の議論」に還元することが出来る。スプロールの批判者は、スプロールは解決するよりも多くの問題を引き起こすので、もっと厳しく規制すべきだと主張する傾向がある。一方、スプロールの擁護者は、問題が存在するとしても、ほとんどの状況で市場は経済的に最も効率的な居住地を生み出していると主張する<ref name="UCL" />。しかし、市場指向の論者にも、実際には現在のスプロール現象は自由市場のゆがみであると考える者もいる<ref name="UCL" />。チンはスプロール現象に賛成するにしても、反対するにしても、議論を支えうる信頼できる実証的証拠が不足していることについて警鐘を鳴らしている。チンはスプロール現象には一般的定義が存在しないこと、より定量的な指標が必要なことを指摘し、より確かな結論を出し、より実りある議論を行うためには、「時間的にも空間的にもより広い視野で、他の都市形態との比較を行うこと」が必要であると論じた<ref name="UCL" />。

都市のスプロール化に反対する議論には、健康問題や環境問題などの具体的な影響についてのものと、地域のにぎわいなどの抽象的な影響についてのものがある。[[リバタリアン系]][[シンクタンク]]である[[ケイトー研究所]]の公共政策アナリスト、{{仮リンク|ランダル・オトゥール|en|Randal O'Toole}}は、自動車によるスプロール現象は、非白人を含む中流・下流階級の人びとに手頃な価格の郊外地区を生み出したと主張している。オトゥールは、スプロールに対抗するための努力が、より裕福で白人の多い地域の開発を補助する一方で、より貧しいマイノリティの地域を収用し取り壊す結果になることが多いと指摘している<ref name="Gridlock">{{Cite book|last1=O'Toole|first1=Randal|title=Gridlock : why we're stuck in traffic and what to do about it|date=2009|publisher=CATO Institute|location=Washington, D.C.|isbn=978-1935308232|edition=[Online-Ausg.]|url=https://archive.org/details/gridlockwhyweare00otoo}}</ref>。

[[アメリカ建築家協会]]、{{仮リンク|アメリカ都市計画協会|en|American Planning Association}}、 {{仮リンク|スマート・グロース・アメリカ|en|Smart Growth America}}はスプロール現象に反対し、建築物間の距離が近く、自動車を使う必要がなくエネルギーを節約できる、徒歩移動のしやすく健康的な、うまく設計された、{{仮リンク|スマートグロース|en|Smart growth}}にもとづく{{仮リンク|複合用途開発|en|mixed-use development}}を支持している<ref>[http://www.aia.org/SiteObjects/files/smartgrowth05.pdf Issue Brief: Smart-Growth: Building Livable Communities]. American Institute of Architects. Retrieved on February 8, 2008.</ref><ref name="sgastudy">{{Cite web |last1=Lyne |first1=Jack |title=Urban Sprawl: New Smart Growth America Study Moves to Measure Elusive Location Factor |url=https://siteselection.com/ssinsider/snapshot/sf021028.htm#:~:text=Smart%20Growth%20America%20%28SGA%20at%20www.smartgrowthamerica.com%29%2C%20a%20Washington%2C,regions%20contain%20about%20half%20of%20the%20U.S.%20population.%29 |website={{仮リンク|Smart Growth America|en|Smart Growth America|label=Smart Growth America}} |publisher=Site Selection |accessdate=October 16, 2020 |date=October 28, 2002 }}</ref>。[[シエラクラブ]]・{{仮リンク|グリーンベルト・アライアンス|en|Greenbelt Alliance}}・{{仮リンク|サウザンド・フレンズ・オブ・オレゴン|en|1000 Friends of Oregon}}をはじめとする環境保護団体もスプロール現象に反対し、今あるコミュニティに対する投資を支持している<ref>[http://www.sierraclub.org/sprawl/report05/buildingbetter.pdf Building Better]. Sierra Club. Retrieved on February 8, 2008.</ref><ref>[http://www.nrdc.org/cities/smartGrowth/ Smart Growth]. National Resources Defense Council. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。移民に反対する市民団体である{{仮リンク|ナンバーズUSA|en|NumbersUSA}}もスプロール現象に反対しており<ref>[http://www.numbersusa.com/content/issues/urban-sprawl.html Urban Sprawl – NumbersUSA]. Retrieved on February 26, 2009.</ref>、会長の{{仮リンク|ロイ・ベック|en|Roy Beck}}はこの問題を専門に研究している<ref>[http://www.csmonitor.com/2003/1007/p12s02-legn.htm Web smarts]. ''[[クリスチャン・サイエンス・モニター|Christian Science Monitor]]''. October 7, 2003. Retrieved on February 26, 2009.</ref>

=== 消費者選好 ===
郊外スプロールに関する主要な論点のひとつは、スプロールがどの程度消費者の選好の結果生まれたものであるかということである。[[南カリフォルニア大学]]都市計画・開発学部の計画・経済学教授であるピーター・ゴードン(Peter Gordon)のように、ほとんどの世帯が低密度の生活を明確に好んでおり、これは計画者が無視すべきでない事実であると主張する者もいる<ref name="reason">{{Cite news|last1=Moore|first1=Adrian|last2=Henderson|first2=Rick|title=Plan Obsolescence|url=http://reason.com/archives/1998/06/01/plan-obsolescence/|accessdate=May 30, 2015|publisher=Reason|date=June 1998}}</ref>。ゴードンと共同研究することも多いハリー・リチャードソン(Harry Richardson)は「消費者主権の原則は、アメリカの富と市民の福祉の向上に強力な役割を果たしてきた。デベロッパーを含む生産者は消費者の需要にすばやく対応してきた。介入の利益がコストを大きく上回らない限り、この効率的プロセスを妨げることは大きな後退である」と主張している<ref name="prove">{{Cite news|last1=Gordon|first1=Peter|last2=Richardson|first2=Harry|title=Prove It: The costs and benefit of sprawl|url=http://www.brookings.edu/~/media/research/files/articles/1998/9/fall-metropolitanpolicy-gordon/gordon2.pdf|accessdate=June 11, 2015|work=Brookings Review|publisher=The Brookings Institution|date=Fall 1998}}</ref>。彼らはスプロールは消費者に十分な利益をもたらしているから他の形態よりも選ばれ続けているのだと主張し、デベロッパーがスプロール化を進める開発を続けているのはその証左であると論じる<ref name="prove">{{Cite news|last1=Gordon|first1=Peter|last2=Richardson|first2=Harry|title=Prove It: The costs and benefit of sprawl|url=http://www.brookings.edu/~/media/research/files/articles/1998/9/fall-metropolitanpolicy-gordon/gordon2.pdf|accessdate=June 11, 2015|work=Brookings Review|publisher=The Brookings Institution|date=Fall 1998}}</ref>。

しかし、レイド・ユーイング(Reid Ewing)のように、多くの人々が郊外の生活を好んでいるとはいえ、スプロール自体が消費者に好まれているわけではなく、スプロールの最悪の影響を緩和する地域を含め、多種多様な郊外の環境が消費者の需要を満たしていると主張する研究者もいる<ref name="Ewing97" />。ほかに{{仮リンク|ケネス・T・ジャクソン|en|Kenneth T. Jackson}}<ref>{{Cite crabgrass}}</ref>のように、低密度の住宅開発は特にアメリカ合衆国においてしばしば様々な形で補助されているため、消費者のこうした住居に対する選好は実際よりも過大評価されているとする主張もある<ref name="UCL" />。

===自動車依存===
[[ファイル:Los Angeles - Echangeur autoroute 110 105.JPG|thumb|カリフォルニア州の住民の大多数は、{{仮リンク|南カリフォルニアフリーウェイ|en|Southern California freeways}}の広大無辺な道路網の中で生活、通勤、労働をこなしている。]]

スプロール現象が{{仮リンク|自動車依存|en|automobile dependency}}を増大させるかどうか、逆に{{仮リンク|スマートグロース|en|smart growth}}政策がこの問題を軽減するかどうかについては数十年以上激しい論争がかわされ続けている。{{仮リンク|ピーター・ニューマン (環境学者)|en|Peter Newman (environmental scientist)|label=ピーター・ニューマン}}とジェフ・ケンワーシー(Jeff Kenworthy)による1989年の影響力のある研究は、北米、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアの32都市を比較したものである<ref name="N&K89">{{Cite book |last1=Newman |first1=Peter W.G. |last2=Kenworthy |first2=Jeffrey R. |title=Cities and automobile dependence: a sourcebook |date=1989 |publisher=Gower Technical |location=Aldershot, Hants., England |isbn=9780566070402}}</ref>。この研究は方法論から批判されているが<ref>Mindali, O., Raveh, A. and Salomon, I., 2004. Urban density and energy consumption: a new look at old statistics. Transportation Research Part A: Policy and Practice, 38(2), pp. 143-162.</ref>、特にアジアの密度の高い都市は、特に北アメリカのスプロール化した都市よりも自動車使用率が低いという知見はほぼ受け入れられている。<!-- although the relationship is clearer at the extremes across continents than it is within countries where conditions are more similar. 訳し方がわからない -->

都市の中では、多くの国(主に先進国)の研究により、土地利用の混合性が高く、公共交通機関が充実している高密度の都市部は、密度の低い郊外や準郊外の住宅地よりも自動車使用率が低い傾向にあることが示されている。これは通常、世帯構成や所得の違いなどの社会経済的な要因をコントロールした場合にも当てはまる<ref>{{Cite journal | last1 = Frank | first1 = L. | last2 = Pivo | first2 = G. | year = 1994 | title = Impact of Mixed Use and Density on Three Modes of Travel | journal = Transportation Research Record | volume = 1446 | pages = 44–52 }}</ref><ref>Cervero, R. and Gorham, R.. Commuting in Transit Versus Automobile Neighborhoods ''Journal of the American Planning Association'' 61, 2: 210–225, 1995</ref>。しかし、これは必ずしも郊外のスプロールが自動車使用率の高さを引き起こすことを意味するものではない。多くの研究の対象となっている交絡因子の1つは、居住者の自己選択である<ref>{{Cite book|title=Transport Reviews Volume 29 Issue 3 (2009)}}</ref>。車を運転することを好む人々は、密度の低い郊外に移動する傾向があり、一方で、徒歩、自転車、または交通機関を利用することを好む人びとは、公共交通機関が充実している密度の高い都市部に移動する傾向がある。いくつかの研究では、自己選択をコントロールした場合、建築環境は交通行動に大きな影響を与えないことが明らかになっている<ref>{{Cite journal | last1 = Bagley | first1 = M.N. | last2 = Mokhtarian | first2 = P.L. | s2cid = 18326670 | year = 2002 | title = The impact of residential neighborhood type on travel behavior: A structural equations modeling approach | url = http://www.escholarship.org/uc/item/12q634n2| journal = Annals of Regional Science | volume = 36 | issue = 2| page = 279 | doi = 10.1007/s001680200083 }}</ref>。より洗練された方法論を用いた最近の研究では、これらの所見は概して否定されている。密度、土地利用、公共交通機関へのアクセスは交通行動に影響を与えうるが、社会的・経済的要因、特に世帯収入は通常、さらに強い影響を与える<ref>{{Cite journal | last1 = Bagley | first1 = M.N. | last2 = Mokhtarian | first2 = P.L. | s2cid = 18326670 | year = 2002 | title = The impact of residential neighborhood type on travel behavior: A structural equations modeling approach | url = http://www.escholarship.org/uc/item/12q634n2| journal = Annals of Regional Science | volume = 36 | issue = 2| page = 279 | doi = 10.1007/s001680200083 }}</ref>。

低密度の開発に反対しない人びとは、こうした郊外地域では交通密度・速度が小さく、大気汚染も少ないことを指摘する<ref>See [http://www.demographia.com/dbx-intlair.htm demographia's] report.</ref>。[[ミズーリ州]][[カンザスシティ (ミズーリ州)|カンザスシティ]]はしばしば低密度開発の成功例として紹介される。この都市は渋滞は平均値以下、住宅価格は中西部の同規模の都市を下回っている。{{仮リンク|ウェンデル・コックス|en|Wendell Cox}}と{{仮リンク|ランダル・オトゥール|en|Randal O'Toole}}はこうした低密度開発を支持する代表的な人物である。

米国の主要都市圏における通勤時間の長期スケールでの研究によれば、1969年から1995年の間、都市の地理的規模が拡大したにもかかわらず、通勤時間が短縮されたことが示されている<ref>[http://www.publicpurpose.com/ut-6995commute.htm US Commuting Travel Times Down Over Quarter Century]. PublicPurpose.com. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。しかし、別の研究では通勤時間の短縮という利益は、通勤距離の増大<ref>Cervero, R. and Wu, K, (1997) K. Polycentrism, Commuting, and Residential Location in the San Francisco Bay. Environment and Planning A 29: 865–886</ref>、労働者ひとり当たりの運転距離の増大<ref>Ewing, R. and Cervero, R. (2001) Travel and the Built Environment: A Synthesis. Transportation Research Record 1780, pp. 87–113</ref>、道路距離の増加とそれにかかわらずの交通渋滞の悪化という形で、環境コストを犠牲にしていることが示唆されている<ref>Cervero, R. (1986, 2013)Suburban Gridlock. New Brunswick, New Jersey: Rutgers University Press, CUPR, Transaction Press (2013 edition)</ref>。

Melia et al. (2011)は都市集約・スマートグロースが交通行動に与える効果をレビューし、その効果がスマートグロースの支持者・反対者両方の意見を支持することを明らかにした<ref>[http://eprints.uwe.ac.uk/10555/2/melia-barton-parkhurst_The_Paradox_of_Intensification.pdf Melia, S., Barton, H. and Parkhurst, G. (In Press) The Paradox of Intensification. Transport Policy 18 (1)]</ref>。すなわち都市内部の人口密度を増加させる計画方針には自動車の使用を減らす傾向があるが、その効果は弱く、特定の地域の人口密度を2倍にしても自動車の使用頻度や距離が半分になるわけではないという。その結果、都市内の自動車交通の集中度は高まり、集約化が行われた場所の地域環境を悪化させる。この知見からメリアらは「集約化のパラドックス(paradox of intensification)」を提唱した。

=== 住宅価格上昇のリスク ===
スプロール防止政策は住宅価格を上昇させると懸念されている。ある研究では[[オレゴン州]]の住宅のアフォーダビリティは国内で最悪であることが示唆されているが<ref>[http://www.demographia.com/db-usafford1970.htm Housing Affordability Trends: USA States]. ''Demographia''. Retrieved on February 8, 2008.</ref>、別の研究では[[ポートランド (オレゴン州)|ポートランド]]の住宅価格上昇は他の西洋の都市と同程度である<ref>Lewyn, Michael (October 4, 2005). [https://ssrn.com/abstract=816885 Sprawl, Growth Boundaries and the Rehnquist Court]. ''Social Science Research Network''. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。[[オーストラリア]]では、州政府が実施した{{仮リンク|都市統合|en|Urban consolidation}}政策により、住宅購入のしやすさが「危機的レベル」に達したという主張もある<ref>"[http://www.unisa.edu.au/news/2005/241005.asp Seeking solutions to the housing affordability crisis] {{Webarchive |url=https://web.archive.org/web/20070830033549/http://unisa.edu.au/news/2005/241005.asp |date=August 30, 2007 }}", ''[[南オーストラリア大学|University of South Australia]]'', October 24, 2005. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。[[シドニー]]では、住宅価格と収入の比率が9:1になっている<ref>Saunders, Peter (2005). "[http://www.cis.org.au/Policy/autumn05/polaut05-1.htm After the House Price Boom: Is this the end of the Australian dream?] {{Webarchive |url=https://web.archive.org/web/20071102113756/http://www.cis.org.au/Policy/autumn05/polaut05-1.htm |date=November 2, 2007}}", ''Policy''. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。この問題は、主要政党間で議論されたこともある<ref>Archer, Lincoln. "[http://www.news.com.au/story/0,23599,22704050-5012863,00.html?from=public_rss Kevin Rudd says John Howard is ignoring housing]", ''{{仮リンク|News Limited|en|News Limited|label=News Limited}}'', November 5, 2007. Retrieved on February 8, 2008.</ref>。

=== 提案された打開策 ===
多くの評論家は、スプロール現象が[[負の外部性]]を生み出すことを認めているが、これらの負の影響を減らすための最も効果的な方法については、いくつかの論争がある。例えば、ゴードンとリチャードソンは、新しい公共交通機関を建設するためのコストは、実際の環境的または経済的な利益とは不釣り合いであること、土地利用の制限は、住宅コストを増加させ、経済的機会を制限すること、{{仮リンク|インフィル開発|en|Infill}}はアメリカの都市構造に大きな変化をもたらすにはあまりにも限定的効果しかないこと、そして、政府がスプロールの影響を実質的に変えるためには、ほとんどの人々が望まない方法で生活することを強制する必要があると論じている<ref name="sprawldebate" />。 彼らは、不動産市場を規制緩和してそれぞれの人が自分の好きな居住場所を選べるようにする一方で、[[排出取引]]・{{仮リンク|渋滞税|en|congestion charging}}・[[ロードプライシング]]に代表されるような{{仮リンク|市場ベースの環境政策手段|en|market-based environmental policy instruments}}の枠組みを提供することで、渋滞や汚染の増加など、スプロール化に伴う多くの問題を軽減することができると考えている<ref name="prove" />。

==対処==
{{Main|{{仮リンク|スマートグロース|en|Smart growth}}|コンパクトシティ|公共交通指向型開発|新アーバニズム}}

===初期の対処===
[[ファイル:The Metropolitan Green Belt among the green belts of England.svg|thumb|upright=0.8|{{仮リンク|メトロポリタン・グリーンベルト|en|Metropolitan Green Belt}}は1935年、{{仮リンク|ロンドン郡議会|en|London County Council}}によりはじめて提唱された。]]

20世紀初頭から、都市のスプロール化に反対する環境保護主義者は、{{仮リンク|イングランド農村保護運動|en|Campaign to Protect Rural England}}をはじめとする運動団体の圧力はあったことはもちろん、[[田園都市]]運動という共通の基盤があったため、連合をはじめた。{{仮リンク|ハーバート・モリソン|en|Herbert Morrison}}がロンドン郡議会議長を務めた1934年、グレーター・ロンドン地域計画委員会(Greater London Regional Planning Committee)は、「余剰な公共の空地とレクリエーション空間のを提供し、[[グリーンベルト|緑地]]または空地による帯を整備する」という最初の正式な提案を行った。これは1944年に[[パトリック・アバークロンビー]]が作成した[[大ロンドン計画]]にも受け継がれた<ref>{{Cite web|url=http://www.communities.gov.uk/documents/planningandbuilding/pdf/155499.pdf|title=Planning Policy Guidance 2: Green belts|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120609171722/http://www.communities.gov.uk/documents/planningandbuilding/pdf/155499.pdf|archivedate=June 9, 2012|url-status=dead|df=mdy-all|accessdate=2021-03-16}}</ref>。1947年の{{仮リンク|都市農村計画法 (1947年)|en|Town and Country Planning Act 1947|label=都市農村計画法}}では、今後の国内の都市開発すべてにグリーンベルトが明示的に組み込まれた。

1947年の都市農村計画法に設けられた、補償に関する新たな規定により、全国の地方自治体が最初の開発計画にグリーンベルトの提案を組み込むことができるようになった。グリーンベルト政策が成文化され、ロンドン以外の地域にも拡大されたのは、地方計画当局にグリーンベルトの設置を検討するよう求める「Circular 42/55」によるものであった。アメリカで最初の{{仮リンク|都市成長境界線|en|urban growth boundary}}は、1958年に[[ケンタッキー州]][[ファイエット郡 (ケンタッキー州)|ファイエット郡]]で設置された<ref>Kolakowski, K., P. L. Machemer, J. Thomas, and R. Hamlin. 2000. Urban growth boundaries: a policy brief for the Michigan Legislature. Urban and Regional Planning Program, Department of Geography, Michigan State University, Lansing, Michigan, USA. Available online at: http://www.ippsr.msu.edu/Publications/ARUrbanGrowthBound.pdf {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090206150600/http://www.ippsr.msu.edu/Publications/ARUrbanGrowthBound.pdf|date=February 6, 2009}}</ref>。

=== 現代の対処 ===
[[ファイル:Burnaby BC Aerial view 2015.jpg|thumb|カナダの多くの都市は、遠く離れた郊外にも高密度の小都市が数多く存在することで特徴づけられる。カナダの郊外地域には、アメリカの大都市に匹敵するようなスカイラインを持つ都市もある。写真は[[バンクーバー]]郊外、[[ブリティッシュコロンビア州]][[バーナビー]]。]]

スマートグロース(Smart growth)という言葉は北アメリカ、コンパクトシティ(Compact city)ないし都市集約(Urban intensification)という言葉はイギリスをはじめとするヨーロッパで使われる。これらの用語はおおむね同様のコンセプトを持っており、近年の政府の政策や計画の実践に影響を与えている。

[[オレゴン州]]では、1973年に都市成長境界線によって都市部が占有できる面積を制限する法律が制定された。その結果、州最大の都市圏である[[ポートランド (オレゴン州)|ポートランド]]は、都市部をよりコンパクトにするスマートグロース政策のリーダー的存在となった。境界線の設定後、[[都市的地域]]の人口密度はやや増加した(1970年の1,135人<ref>{{Cite web|url=http://www.demographia.com/dm-uad.htm |title=US Urbanized Areas: 1950–1990: Data |work=demographia.com|accessdate=2021-03-16}}</ref>から2000年には1,290人/km²<ref>{{Cite web |url=http://www.demographia.com/db-ua2000pop.htm |title=USA Urbanized Areas: 2000 Ranked by Population(465 Areas) |work=demographia.com|accessdate=2021-03-16}}</ref>)。成長境界線は密度を大幅に増加させるほど厳しくはないが、成長境界線により都市圏周辺の原生地や農地が大量に保護されているという点では合意が形成されている。[[サンフランシスコ・ベイエリア]]の多くの地域も都市成長境界を採用しており、25の市と5の[[郡 (アメリカ合衆国)|郡]]に都市成長境界がある。これらの多くは、非営利の土地保護・都市計画団体である{{仮リンク|グリーンベルト・アライアンス|en|Greenbelt Alliance}}の支援と主張によって採用されている。

他の地域では、都市のスプロール化に対処するために、{{仮リンク|ディストリクトアーバーニズム|en|District Regionalism}}やニューアーバニズムの設計原理が採用されている。ヨーロッパでは{{仮リンク|循環土地利用マネジメント|en|circular flow land use management}}のコンセプトに基づく開発が行われている。これは、[[インナーシティ]]や[[ブラウンフィールド]]の再開発により、スプロール現象による新たな土地の消費を減少させるものである。[[ロサンゼルス]]のような都市はスプロールした郊外でよく知られるが、世論や政策には変化が見られる。公共交通指向型開発、すなわち公共交通の停留所近くでの高密度かつ混合的な土地利用を推進する開発は、特に[[ライトレール]]や鉄道といった交通機関がある特定の地域で、よりコンパクトな開発を促進している。

{{仮リンク|ウォーカビリティ|en|Walkability}}は、ある地域がどれだけ歩きやすいかを示す指標である。ウォーカビリティの高さは健康、環境、経済面で多くの利益をもたらす。しかし、ウォーカビリティの評価は、多くの主観的な要因を考慮する必要があるため、難易度の高い試みである<ref>[http://www.atypon-link.com/TELF/doi/abs/10.1680/ensu.2008.161.2.105 S. Reid, "Fit for purpose: evaluating walkability", ''Engineering Sustainability'', Vol. 161, No. 2, June 2008, pp.105–112.]{{リンク切れ|date=July 2018 |bot=InternetArchiveBot |fix-attempted=yes}}</ref>。歩きやすさに影響を与える要因としては、遊歩道・歩道、その他の歩行者に対する優先通行権の有無や質、土地利用パターン、建物へのアクセス性、安全性などが挙げられる。ウォーカビリティは、[[持続可能性]]のある[[都市設計]]において重要な概念である<ref>{{Cite web |url=http://md1.csa.com/partners/viewrecord.php?requester=gs&collection=ENV&recid=8642022&q=walkability+sustainability&uid=1015422&setcookie=yes |title=S. Grignaffini, S. Cappellanti, A. Cefalo, "Visualizing sustainability in urban conditions", ''WIT Transactions on Ecology and the Environment'', Vol. 1, pp. 253–262, 10 Jun 2008. |accessdate=February 26, 2009 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120223143140/http://md1.csa.com/partners/viewrecord.php?requester=gs&collection=ENV&recid=8642022&q=walkability+sustainability&uid=1015422&setcookie=yes |archivedate=February 23, 2012 |url-status=dead |df=mdy-all }}</ref>。

== 脚注 ==
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=== 対語 ===
== 外部リンク ==
* {{Kotobank}}
* [[都市計画]]
* [[郊外]]
* [[郊外化]]
* [[ドーナツ化現象]]


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[[Category:都市問題]]
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2021年3月25日 (木) 05:50時点における版

欧州におけるスプロール現象の指標。左上は市街地の分散(DIS)、右上は加重都市拡散英語版(WUP)を表す。
フェニックス大都市圏の郊外住宅地。

スプロール現象(スプロールげんしょう、: urban sprawl)とは、都市計画がほとんど実行されなかった結果として、住宅、商業開発、道路などが、都市周縁の広範な地帯に無秩序に拡大すること[1]、加えてそうした現象が社会環境にもたらす影響のことである[2]

産業革命以後の都市においてスプロール現象は、郊外の市街地が城壁による保護を失うというような、直接的な不利益をもたらしているわけではない。しかし、スプロールには移動時間や交通費の増加、汚染、田園地帯の破壊といった諸問題があることが知られている[3]。また、郊外インフラの新規整備コストが固定資産税で回収されることはほとんどなく、多くの場合は公金、すなわち既存市街地住民から徴収された税金から、開発者や新規居住者への巨額の補助金が捻出されている[4]。スプロールを定義する構成要素が何か、スプロールをいかに定量化すべきかについては様々な主張がある。スプロールの進行状況を測定する基準としては、面積あたりの住居数の平均、脱中心化(中心市街外部への人口分散)の度合い、不連続性(後述するような「蛙飛び型開発」)、土地利用の分離といった要素が注目される。

「スプロール現象」という言葉は強い政治的意味合いを孕んでおり、往々にして否定的なニュアンスを含む。スプロールは環境破壊セグリゲーションの激化、市街地の活力の損害などをもたらすとされ、景観上の問題からも批判される。この用語には否定的文脈が多分に含まれるため、公然と支持する人は少ない。「スプロール現象」という用語は、都市成長を管理の必要性を強調するスローガンとして用いられることも多い[5]

定義

米国北東部・ボスウォッシュの夜間光写真。郊外準郊外が広範な地域に広がり、スプロールを示している。

スプロール現象(urban sprawl)という語句は、1955年タイムズ紙の記事上において、ロンドン郊外の現状を否定的に表現する用語として初出した。スプロールの定義は曖昧であり、この分野の研究者も学術用語としての「スプロール」が正確さを欠いていることを認めている[6]マイケル・バティらはスプロールを「無秩序な成長。成り行きを気にせずにコミュニティを拡大していくこと。しばしば持続不可能とみなされる無計画かつ漸増的な都市成長」と定義する[7]。また、バスデブ・バッタ(Basudeb Bhatta)らはスプロールの明確な定義には議論があるものの、「複数のプロセスにより推進され、非効率的な資源利用につながる、無計画かつ不均等な成長パターンによって特徴づけられることには一定の合意形成がある」としている[8]

レイド・ユーイング(Reid Ewing)はスプロール現象を、「低密度ないし単一用途の開発」「線形の商業地開発」「断片化した開発」「蛙飛び型開発」という4つの構成要素のいずれか1つ以上に特徴づけられる都市開発であると定義した。ユーイングはスプロールを識別するためには、形態的な特徴よりも指標を用いるほうが、柔軟かつ恣意的でないため、有用であると主張した[9]。ユーイングはスプロールを識別するための指標として「アクセシビリティ」と「機能しているオープンスペース」を提唱した[9]。このアプローチは、スプロールがネガティブな特徴により定義されることを前提としているとして批判されている[10]。どの要素がスプロールを形作るかは程度問題とも考えられるし、数多くある定義の下ではいくらかの主観性は廃し得ない[9]。ユーイングは、郊外の開発それ自体がすなわちスプロール現象となるわけではないと主張しているが[9]、ピーター・ゴードン(Peter Gordon)とハリー・リチャードソン(Harry Richardson)は「スプロール」という言葉が時として郊外化現象の単なる軽蔑的な言い回しとして用いられることを指摘している[11]

特徴

単一用途の開発

商業地域、住宅地域、施設地域、工業地域がそれぞれ分離されている状態を指す。その結果、広大な土地区画が単一用途で利用され、それぞれが空地、インフラ、その他の障害物により分断されている。その結果、人々の居住、労働、買い物、憩いの場となる場所は互いに離れており、通常、徒歩、交通機関の利用、自転車での移動が不可能なほどであるため、これらの活動には通常、自動車が必要となる[12]。この主題についての研究では、異なる土地利用がどの程度混在しているかの程度が、スプロールの指標としてしばしば用いられる[8]

この基準のもとでは、中国の都市化は「高密度スプロール」と分類することが出来る。この一見自己矛盾的な言葉は、ニューアーバニズムの理論家であるピーター・カルソープの造語である。カルソープは、中国のスーパーブロック(巨大な住宅街)は、高層建築物にもかかわらず、大部分が単一用途であり、巨大な幹線道路に囲まれているため、都市のさまざまな機能が切り離され、歩行者には不親切な環境になっていると説明している[13][14]

職場のスプロールと空間的ミスマッチ

ブラジルサンパウロは世界有数の交通渋滞を抱えることで知られる[15]

職場のスプロール(Job sprawl)は、スプロールと自動車依存英語版が発生しているコミュニティで見られる土地利用状態のひとつであり、低密度で地理的に拡散した雇用パターンと定義される。このような現象の起こる大都市圏では雇用の大部分が主要都市の中心業務地区(CBD)の外部に位置し、ますます郊外の周辺部に移動しつつある。これは都市における負の投資の結果であることが多い。アメリカ郊外部の多くでは、自動車依存の通勤パターンがほとんどであるため、地理的に自由な職場立地が可能になっている。また、多くの企業がより地価が安く、拡張の余地がある低密度地域に拠点を置きたいと考えている。空間的ミスマッチ英語版は職場のスプロールおよび環境正義と関連する概念であり、職場のスプロール化と、逆方向通勤英語版を助ける公共交通機関の不足の結果として、都市部の貧困層―多くはマイノリティである―の求職が困難になる状況を指す。

職場のスプロールは、様々な方法で文書化され、測定されている。アメリカの大都市圏では、職場のスプロールの増加傾向が見られる[16]ブルッキングス研究所はこの主題について複数の論説を上梓している。2005年にマイケル・ストール英語版はCBDから半径5-マイル (8.0 km)以上離れた立地を職場のスプロールと定義し、2000年のアメリカ合衆国国勢調査をもとに職場のスプロールの進行状況を研究した[17] 。他にも、CBDを中心とした同心円を用いた異なる研究として、エドワード・グレイザー英語版による2001年の論文とエリザベス・ニーボーン英語版による2009年の論文がある。これらの研究では郊外に広がる都市周辺部では雇用が増え、CBDに近い地域では雇用が減っていることが明らかになった[18][19]。両人はCBDから半径35-マイル (56 km)以内について、3マイル (4.8 km)以内、3~10マイル (16 km)、10~35マイル (56 km)の同心円を用いて職場の郊外化を調査した。ニーボーンによる2006年の全国調査ではそれぞれの範囲に21.3パーセント、33.6パーセント、45.1パーセントの職場が分布することが明らかになった。1998年の職場分布はそれぞれ23.3パーセント、34.2パーセント、42.5パーセントであった。この調査によると、CBDにおける職場立地の割合は縮小し、職場の増加は郊外や都市圏外の同心円中に集中する。

低密度開発

テネシー州における都市計画が不十分な準郊外地域。大規模な農場に低密度な住宅地が立地する。

スプロールはしばしば低密度の土地開発としても特徴づけられる[10]。「低密度」の厳密な定義には議論の余地があるが、一般的な例として広い区画に建つ一世帯住宅英語版が挙げられる。こうした建築物は通常低階層で隣家との間隔が広く、芝生や庭、道路や駐車場により区切られている。何をもって低密度とするかの具体的な尺度は文化相対的なものであり、たとえばアメリカでは1エーカーあたり2~4軒の住家で低密度とされるが、イギリスでは8~12軒でも低密度とされるだろう[10]

地域全体の密度は蛙飛び型開発英語版によっても低下する。「蛙飛び型開発」は分譲地間の関係またはその欠如を意味する用語である。このような開発は典型的には大規模なグリーンベルト、言い換えれば未開発用地により分断されており、その結果として平均密度は、特定地区中の1エーカーあたりの測定値が示す低密度よりもはるかに低くなっている。これは20世紀から21世紀にかけての現象で、開発条件として開発者に分譲地のインフラ整備を要求するという慣習に起因するものである[20]。人間はいかに生きるべきかということについての宗教的な考え方が低密度の開発を促進し、都市のスプロール化の原因になっているのではないかとする研究もある[21][22]

農地の都市用途への転用

スプロール化の進む地域では都市近郊の肥沃な農地が郊外用地に転用されることが多く、現代のスプロールの広がりは生産性の高い農地[23]を森林、砂漠、その他の原生地域と同様に大量に消費している[24]。アメリカには同種交換英語版譲渡所得の課税対象外とする優遇税制措置が存在し、土地の売り手はこの制度を用いて利益に対する課税を回避することができる。土地の売却益を別の場所にある農地の購入に充てることで、取引は交換ないし同種の資産の取引として扱われ、税が発生しない。この税法はアメリカにおけるスプロール現象を促進している[25]。中国では、土地が需要に先立って農村的用途から都市的用途に転換されており、農村部に将来の開発を意図する空地が発生し、結果的にスプロールとなる[26]

商業開発

ペンシルヴァニア州ブリーズウッド英語版。大都市圏郊外ではこのような商業ストリップが一般的である[27]

スプロール地帯では商業地も他の用途地域とは分離されていることが一般的である。米国やカナダでは、これらはストリップモール英語版の形をとることが多い。ストリップモールは共通の駐車場を共有する建物の集合体を指し、通常、商業機能を持つ交通量の多い道路(ストリップ)に建てられる。イギリスでは同様の商業施設はリテールパーク英語版と呼ばれる。主にビッグボックスストア英語版カテゴリーキラーから構成されるストリップモールはパワーセンターと呼ばれる。これらの開発は低密度になる傾向があり、建物は平屋で、駐車場や配送車の通行のための十分なスペースが確保されている。駐車場と歩道の広々とした設計や小売店の目立ちやすい案内看板も幹線道路沿い商業施設の特色である。プラザやカフェなどの共有空間・施設に投資し、テナントを日用品から娯楽品の店舗に転換することで、ライフスタイルセンター英語版に変わろうとしているストリップモールも存在する。

バージニア州ルーレイ英語版ウォルマート

スプロールを特徴づけるもう1つの小売商業地はショッピングモールである。ストリップモールと異なり、ショッピングモールは駐車場に囲まれた単独の建築物から構成され、敷地内に複数の店舗が入居している。通常1つかそれ以上の百貨店アンカーストアになっている[28]。また、機能や規模もストリップモールとは異なる。買回り品ではなく、ほとんどが最寄り品の買い物に集中している。また、ショッピングモールは、より広い地域の人々を対象とする傾向があり、高速道路へのアクセスなど、より高度なインフラを必要とし、床面積が1×106-平方フート (9.3×104 m2)を超えることもある。ショッピングモールは、中心市街地の代用として機能するため繁華街の百貨店に悪影響を及ぼすことが多い[29]。いくつかの中心商業地では、この問題に対応するため独自にショッピングセンターを建設している[30]

ファストフードチェーン店は、人口が急増し、大規模な交通量が予測される資産価値の低い地域に早くから建設されるため、将来の開発の前駆となることが多い。エリック・シュローサーは著書『ファストフードが世界を食いつくす』の中で、ファストフードチェーンは郊外のスプロールを加速させ、広大な駐車場、派手な看板、プラスチック製の建築物などで郊外の景観を確定させることに役立っていると論じている(65)。ドゥアニー・プラター=ザイベック・アンド・カンパニーはこうした開発は、スプロールから離れようとする果てしない試みが、さらにスプロール現象を生み出すという破壊的な成長パターンを助長するものだと考えている[31]

影響

環境

都市のスプロール化は、環境に多くの悪影響を及ぼす。スプロール化による主要な環境問題のひとつは土地損失英語版生息地損失英語版、結果として起こる生物多様性の減少に関連する。ブライアン・チェック(Brian Czech)らのレビューによれば、都市化は他のどの人間活動よりも多くの種を危険にさらし、米国本土の地理的な均質性を高めている[32]。スプロール現象は固有の生物相を混乱させ、環境に外来植物を移入する[33]。その影響は、固有の植生の注意深い保全、遷移のプロセス、公共教育によって緩和することができるとはいえ、スプロールは生物多様性に対する主要な脅威の一つである.[33]コルカタのような出生率が高く、移住者も多い地域では、無計画な成長による巨大都市の発生が環境問題の原因となっている[34]

メルボルンのスプロール

郊外の土地利用は都市中心部のそれよりも消費する面積が大きく、住民一人あたりではよりたくさんの農地と野生動物の生息地が破壊される。郊外森林が伐採されコンクリートアスファルトといった不浸透面で覆われると、降雨が帯水層に効率的に吸収されなくなる[12]。このことは水の供給について質的な意味でも量的な意味でも脅威となりうる。また、道路舗装による不浸透面の増加は洪水の原因ともなる[35]

シカゴ都市圏。「シカゴランド」の別称でも知られる。

ピーター・ゴードン(Peter Gordon)とハリー・リチャードソン(Harry Richardson)は、農業生産の効率が高まっているため、農地の都市利用への転換は問題ではないと主張している。彼らは、都市の土地利用が拡大しているにもかかわらず、総農業生産量は世界の食糧需要を十分満たす以上にあると考える[36]

健康

スプロール現象は自動車の運転を増加させる。その結果、自動車からの排出ガスが大気汚染の原因となり、それが住民の健康に悪影響を及ぼすことになる。さらに、自動車利用の増加に伴う身体活動の低下は、健康に悪影響を及ぼす。スプロールは、慢性的な健康状態とそれについての生活の質を有意に予測するが、精神的な健康障害は予測しない[37]。学術誌「American Journal of Public Health」「American Journal of Health Promotion」は、スプロールと肥満高血圧との間には有意な関係があると述べている[38]

自家用車の所有が一般的になってきた第二次世界大戦以降、公衆衛生当局者は都心のような工業煤煙のない郊外の健康上の利益を喧伝した。しかし、現代の郊外は都心と比べても空気がきれいであるとは言いがたい.[39]。実際、空気が最も汚染されているのは、郊外の人々がより多くの時間を過ごす傾向にある、混雑した高速道路上である。平均すると、郊外の住民は、車の運転が増えたり、家が大きくなったりするため、一人当たりの汚染物質や温室効果ガスの排出量が都市部の住民よりも多くなっている[12][40][41][42]

安全性

自動車への依存度が高いと、都市全体の交通量が増加し、交通事故や歩行者の負傷、大気汚染も増加する[43]。自動車による交通事故は、5歳から24歳までのアメリカ人の死因の第1位であり、事故死の原因ではすべての年齢層において第1位である[44]。スプロール化が進んでいる地域の住民は運転中の乗り物に接触する機会も多いため、自動車事故による死亡リスクも概して高くなる[12]。スプロール化が進んだ地域の歩行者は、都市密度の高い地域の歩行者よりも事故に遭うリスクが高いことがわかっているが、その関係は自動車の運転者や同乗者のそれよりも明確ではない[12]。また、スプロールと救急医療サービスや消防署の対応の遅れとの関連性が指摘されている[45][46][47]

インフラ・公共交通

北アメリカ諸都市の公共交通利用率
30人が自家用車・自転車・バスで移動したときの道路空間の占有量

スプロール化の進む地域では電線や上下水管といったインフラ設備の敷設長さが増え、メンテナンス費用がかさむため、上下水道や電気といったインフラの世帯あたりのコストが高くなる[48]。低密度地域の住民は、高密度地域の住民に比べて、収入に占める交通費の割合が高い[49]。都市の無計画な拡張は、一般的に自動車への依存度の増加と関連している。2003年、ガーディアンRAC英語版のデータに基づいて、イギリスでは都市のスプロール化によって、自動車費用だけで一人当たり年間3905ポンドの経済的損失が生じていると試算した。当時のイギリスでは、自動車を運用するための平均的なコストは年間5000ポンドであるのに対し、列車での移動(市民が1年中毎日通勤すると仮定し、チケット代は3ポンド)は1095ポンドにしかならない[50]

社会

アメリカ合衆国において、スプロール化はソーシャル・キャピタルを減少させる一因となっている可能性がある。人口稠密な地域では近隣間で気軽な交流が育まれることがあるが、スプロール現象はそれを阻害する。スプロールは、公共空間をフェンスで囲まれた裏庭のような私的空間に置き換える傾向がある[51]

スプロール現象の批判者は、スプロールがクオリティ・オブ・ライフを侵食していると主張する。アンドリューズ・ドゥアニー(Andres Duany)とエリザベス・プレーター=ジーベック(Elizabeth Plater-Zyberk)は、伝統的な地域において、職場と、消費者にカフェやコンビニエンスストアを提供する、小売店や飲食店の空間があることは、都市生活のバランスをうまくとるために不可欠な要素であると考えている。さらに彼らは、職住近接は人びとに徒歩や自転車で職場や学校に通うという選択肢を与えており、生活の異なる構成要素の間の相互作用なしには、都市のパターンはすぐに崩壊してしまうと述べている[31]ジェームズ・ハワード・クンストラー英語版は、郊外環境の美観の悪さが地域を「気にかける価値のない場所」にしており、そうした地域には歴史とアイデンティティの感覚がないと主張している[52]。また、都市のスプロールは、世界の多くの地域で階級や人種に影響を与えている。多くのスプロール開発の相対的な均質性は、居住隔離英語版を通じて階級や人種の分断を強化する可能性がある。

多くの研究が人口密度の増加と攻撃性の増加を関連づけている[53]。また、人口密度の増加が犯罪や反社会的行動を助長するという考えもある。社会的動物である人間は、かなりの量の社会空間を必要とし、そうでなければ動揺し、攻撃的になると主張されている[54]。しかし、都市の高い密度と社会的病理の増加の関係性については大部分が否定されている[55]

議論

Morrisville, North Carolina (north side of Morrisville-Carpenter Road)
Morrisville, North Carolina (south side of Morrisville-Carpenter Road)
ノースカロライナ州モリスビルの農村景観は豊かで都会的な分譲地として盛んに開発されている。上掲の写真は同じ場所の道を挟んだ両側を撮影したもの。

ナンシー・チン(Nancy Chin)によれば、スプロール現象の影響については、多くの部分が学術的にもある程度詳しく議論されている。しかし、最大の論点は「計画的なアプローチを主張する者と市場の効率性を主張する者との間の、古くさい一連の議論」に還元することが出来る。スプロールの批判者は、スプロールは解決するよりも多くの問題を引き起こすので、もっと厳しく規制すべきだと主張する傾向がある。一方、スプロールの擁護者は、問題が存在するとしても、ほとんどの状況で市場は経済的に最も効率的な居住地を生み出していると主張する[10]。しかし、市場指向の論者にも、実際には現在のスプロール現象は自由市場のゆがみであると考える者もいる[10]。チンはスプロール現象に賛成するにしても、反対するにしても、議論を支えうる信頼できる実証的証拠が不足していることについて警鐘を鳴らしている。チンはスプロール現象には一般的定義が存在しないこと、より定量的な指標が必要なことを指摘し、より確かな結論を出し、より実りある議論を行うためには、「時間的にも空間的にもより広い視野で、他の都市形態との比較を行うこと」が必要であると論じた[10]

都市のスプロール化に反対する議論には、健康問題や環境問題などの具体的な影響についてのものと、地域のにぎわいなどの抽象的な影響についてのものがある。リバタリアン系シンクタンクであるケイトー研究所の公共政策アナリスト、ランダル・オトゥール英語版は、自動車によるスプロール現象は、非白人を含む中流・下流階級の人びとに手頃な価格の郊外地区を生み出したと主張している。オトゥールは、スプロールに対抗するための努力が、より裕福で白人の多い地域の開発を補助する一方で、より貧しいマイノリティの地域を収用し取り壊す結果になることが多いと指摘している[56]

アメリカ建築家協会アメリカ都市計画協会英語版スマート・グロース・アメリカ英語版はスプロール現象に反対し、建築物間の距離が近く、自動車を使う必要がなくエネルギーを節約できる、徒歩移動のしやすく健康的な、うまく設計された、スマートグロース英語版にもとづく複合用途開発英語版を支持している[57][58]シエラクラブグリーンベルト・アライアンス英語版サウザンド・フレンズ・オブ・オレゴン英語版をはじめとする環境保護団体もスプロール現象に反対し、今あるコミュニティに対する投資を支持している[59][60]。移民に反対する市民団体であるナンバーズUSA英語版もスプロール現象に反対しており[61]、会長のロイ・ベック英語版はこの問題を専門に研究している[62]

消費者選好

郊外スプロールに関する主要な論点のひとつは、スプロールがどの程度消費者の選好の結果生まれたものであるかということである。南カリフォルニア大学都市計画・開発学部の計画・経済学教授であるピーター・ゴードン(Peter Gordon)のように、ほとんどの世帯が低密度の生活を明確に好んでおり、これは計画者が無視すべきでない事実であると主張する者もいる[63]。ゴードンと共同研究することも多いハリー・リチャードソン(Harry Richardson)は「消費者主権の原則は、アメリカの富と市民の福祉の向上に強力な役割を果たしてきた。デベロッパーを含む生産者は消費者の需要にすばやく対応してきた。介入の利益がコストを大きく上回らない限り、この効率的プロセスを妨げることは大きな後退である」と主張している[64]。彼らはスプロールは消費者に十分な利益をもたらしているから他の形態よりも選ばれ続けているのだと主張し、デベロッパーがスプロール化を進める開発を続けているのはその証左であると論じる[64]

しかし、レイド・ユーイング(Reid Ewing)のように、多くの人々が郊外の生活を好んでいるとはいえ、スプロール自体が消費者に好まれているわけではなく、スプロールの最悪の影響を緩和する地域を含め、多種多様な郊外の環境が消費者の需要を満たしていると主張する研究者もいる[9]。ほかにケネス・T・ジャクソン英語版[65]のように、低密度の住宅開発は特にアメリカ合衆国においてしばしば様々な形で補助されているため、消費者のこうした住居に対する選好は実際よりも過大評価されているとする主張もある[10]

自動車依存

カリフォルニア州の住民の大多数は、南カリフォルニアフリーウェイ英語版の広大無辺な道路網の中で生活、通勤、労働をこなしている。

スプロール現象が自動車依存英語版を増大させるかどうか、逆にスマートグロース英語版政策がこの問題を軽減するかどうかについては数十年以上激しい論争がかわされ続けている。ピーター・ニューマン英語版とジェフ・ケンワーシー(Jeff Kenworthy)による1989年の影響力のある研究は、北米、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアの32都市を比較したものである[66]。この研究は方法論から批判されているが[67]、特にアジアの密度の高い都市は、特に北アメリカのスプロール化した都市よりも自動車使用率が低いという知見はほぼ受け入れられている。

都市の中では、多くの国(主に先進国)の研究により、土地利用の混合性が高く、公共交通機関が充実している高密度の都市部は、密度の低い郊外や準郊外の住宅地よりも自動車使用率が低い傾向にあることが示されている。これは通常、世帯構成や所得の違いなどの社会経済的な要因をコントロールした場合にも当てはまる[68][69]。しかし、これは必ずしも郊外のスプロールが自動車使用率の高さを引き起こすことを意味するものではない。多くの研究の対象となっている交絡因子の1つは、居住者の自己選択である[70]。車を運転することを好む人々は、密度の低い郊外に移動する傾向があり、一方で、徒歩、自転車、または交通機関を利用することを好む人びとは、公共交通機関が充実している密度の高い都市部に移動する傾向がある。いくつかの研究では、自己選択をコントロールした場合、建築環境は交通行動に大きな影響を与えないことが明らかになっている[71]。より洗練された方法論を用いた最近の研究では、これらの所見は概して否定されている。密度、土地利用、公共交通機関へのアクセスは交通行動に影響を与えうるが、社会的・経済的要因、特に世帯収入は通常、さらに強い影響を与える[72]

低密度の開発に反対しない人びとは、こうした郊外地域では交通密度・速度が小さく、大気汚染も少ないことを指摘する[73]ミズーリ州カンザスシティはしばしば低密度開発の成功例として紹介される。この都市は渋滞は平均値以下、住宅価格は中西部の同規模の都市を下回っている。ウェンデル・コックス英語版ランダル・オトゥール英語版はこうした低密度開発を支持する代表的な人物である。

米国の主要都市圏における通勤時間の長期スケールでの研究によれば、1969年から1995年の間、都市の地理的規模が拡大したにもかかわらず、通勤時間が短縮されたことが示されている[74]。しかし、別の研究では通勤時間の短縮という利益は、通勤距離の増大[75]、労働者ひとり当たりの運転距離の増大[76]、道路距離の増加とそれにかかわらずの交通渋滞の悪化という形で、環境コストを犠牲にしていることが示唆されている[77]

Melia et al. (2011)は都市集約・スマートグロースが交通行動に与える効果をレビューし、その効果がスマートグロースの支持者・反対者両方の意見を支持することを明らかにした[78]。すなわち都市内部の人口密度を増加させる計画方針には自動車の使用を減らす傾向があるが、その効果は弱く、特定の地域の人口密度を2倍にしても自動車の使用頻度や距離が半分になるわけではないという。その結果、都市内の自動車交通の集中度は高まり、集約化が行われた場所の地域環境を悪化させる。この知見からメリアらは「集約化のパラドックス(paradox of intensification)」を提唱した。

住宅価格上昇のリスク

スプロール防止政策は住宅価格を上昇させると懸念されている。ある研究ではオレゴン州の住宅のアフォーダビリティは国内で最悪であることが示唆されているが[79]、別の研究ではポートランドの住宅価格上昇は他の西洋の都市と同程度である[80]オーストラリアでは、州政府が実施した都市統合英語版政策により、住宅購入のしやすさが「危機的レベル」に達したという主張もある[81]シドニーでは、住宅価格と収入の比率が9:1になっている[82]。この問題は、主要政党間で議論されたこともある[83]

提案された打開策

多くの評論家は、スプロール現象が負の外部性を生み出すことを認めているが、これらの負の影響を減らすための最も効果的な方法については、いくつかの論争がある。例えば、ゴードンとリチャードソンは、新しい公共交通機関を建設するためのコストは、実際の環境的または経済的な利益とは不釣り合いであること、土地利用の制限は、住宅コストを増加させ、経済的機会を制限すること、インフィル開発英語版はアメリカの都市構造に大きな変化をもたらすにはあまりにも限定的効果しかないこと、そして、政府がスプロールの影響を実質的に変えるためには、ほとんどの人々が望まない方法で生活することを強制する必要があると論じている[36]。 彼らは、不動産市場を規制緩和してそれぞれの人が自分の好きな居住場所を選べるようにする一方で、排出取引渋滞税ロードプライシングに代表されるような市場ベースの環境政策手段英語版の枠組みを提供することで、渋滞や汚染の増加など、スプロール化に伴う多くの問題を軽減することができると考えている[64]

対処

初期の対処

メトロポリタン・グリーンベルト英語版は1935年、ロンドン郡議会英語版によりはじめて提唱された。

20世紀初頭から、都市のスプロール化に反対する環境保護主義者は、イングランド農村保護運動英語版をはじめとする運動団体の圧力はあったことはもちろん、田園都市運動という共通の基盤があったため、連合をはじめた。ハーバート・モリソンがロンドン郡議会議長を務めた1934年、グレーター・ロンドン地域計画委員会(Greater London Regional Planning Committee)は、「余剰な公共の空地とレクリエーション空間のを提供し、緑地または空地による帯を整備する」という最初の正式な提案を行った。これは1944年にパトリック・アバークロンビーが作成した大ロンドン計画にも受け継がれた[84]。1947年の都市農村計画法英語版では、今後の国内の都市開発すべてにグリーンベルトが明示的に組み込まれた。

1947年の都市農村計画法に設けられた、補償に関する新たな規定により、全国の地方自治体が最初の開発計画にグリーンベルトの提案を組み込むことができるようになった。グリーンベルト政策が成文化され、ロンドン以外の地域にも拡大されたのは、地方計画当局にグリーンベルトの設置を検討するよう求める「Circular 42/55」によるものであった。アメリカで最初の都市成長境界線英語版は、1958年にケンタッキー州ファイエット郡で設置された[85]

現代の対処

カナダの多くの都市は、遠く離れた郊外にも高密度の小都市が数多く存在することで特徴づけられる。カナダの郊外地域には、アメリカの大都市に匹敵するようなスカイラインを持つ都市もある。写真はバンクーバー郊外、ブリティッシュコロンビア州バーナビー

スマートグロース(Smart growth)という言葉は北アメリカ、コンパクトシティ(Compact city)ないし都市集約(Urban intensification)という言葉はイギリスをはじめとするヨーロッパで使われる。これらの用語はおおむね同様のコンセプトを持っており、近年の政府の政策や計画の実践に影響を与えている。

オレゴン州では、1973年に都市成長境界線によって都市部が占有できる面積を制限する法律が制定された。その結果、州最大の都市圏であるポートランドは、都市部をよりコンパクトにするスマートグロース政策のリーダー的存在となった。境界線の設定後、都市的地域の人口密度はやや増加した(1970年の1,135人[86]から2000年には1,290人/km²[87])。成長境界線は密度を大幅に増加させるほど厳しくはないが、成長境界線により都市圏周辺の原生地や農地が大量に保護されているという点では合意が形成されている。サンフランシスコ・ベイエリアの多くの地域も都市成長境界を採用しており、25の市と5のに都市成長境界がある。これらの多くは、非営利の土地保護・都市計画団体であるグリーンベルト・アライアンス英語版の支援と主張によって採用されている。

他の地域では、都市のスプロール化に対処するために、ディストリクトアーバーニズム英語版やニューアーバニズムの設計原理が採用されている。ヨーロッパでは循環土地利用マネジメント英語版のコンセプトに基づく開発が行われている。これは、インナーシティブラウンフィールドの再開発により、スプロール現象による新たな土地の消費を減少させるものである。ロサンゼルスのような都市はスプロールした郊外でよく知られるが、世論や政策には変化が見られる。公共交通指向型開発、すなわち公共交通の停留所近くでの高密度かつ混合的な土地利用を推進する開発は、特にライトレールや鉄道といった交通機関がある特定の地域で、よりコンパクトな開発を促進している。

ウォーカビリティは、ある地域がどれだけ歩きやすいかを示す指標である。ウォーカビリティの高さは健康、環境、経済面で多くの利益をもたらす。しかし、ウォーカビリティの評価は、多くの主観的な要因を考慮する必要があるため、難易度の高い試みである[88]。歩きやすさに影響を与える要因としては、遊歩道・歩道、その他の歩行者に対する優先通行権の有無や質、土地利用パターン、建物へのアクセス性、安全性などが挙げられる。ウォーカビリティは、持続可能性のある都市設計において重要な概念である[89]

脚注

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外部リンク