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「伊吹山」の版間の差分

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{{Infobox 山
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|画像=[[File:Mount Ibuki and N700 Series Shinkansen.jpg|300px]]
|画像=[[ファイル:Mount Ibuki and N700 Series Shinkansen.jpg|300px|伊吹山と麓を通過する東海道新幹線(2011年2月16日)]]
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|標高=1,377.<small>31</small><ref name="kijyun">{{Cite web|url=http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/ |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2011-03-21}}</ref>
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|座標={{ウィキ座標2段度分秒|35|25|04|N|136|24|23|E|}}<ref name="kokudo">{{Cite web|url=http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/mountain.html |title=日本の主な山岳標高(滋賀県の山) |publisher=国土地理院 |accessdate=2011-02-05}}</ref>
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'''伊吹山'''(いぶきやま、いぶきさん)は、[[滋賀県]][[岐阜県]][[県境]]にる[[伊吹山地]]の主峰で、[[標高]]1,377[[メートル|m]]の[[山]]である。[[日本百名山]]<ref name="fukada">{{Cite book|和書 |author=[[深田久弥]] |year=1982 |month=7 |title=日本百名|publisher=[[朝日新聞社]] |isbn=4-02-260871-4 |pages=pp.328-331}}</ref>[[新・花の百名山]]<ref name="sinhana">{{Cite book|和書 |author=[[田中澄江]] |year=1995 |month=6 |title=新・花百名 |publisher=[[文春文庫]] |isbn=4-16-731304-9 |pages=pp.323-325}}</ref>、および[[関西百名山]]<ref>{{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=2 |title=関西百名山地図帳 |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4-16-731304-9 |pages=pp.6-9}}</ref>に選定されている
'''伊吹山'''(いぶきやま、いぶきさん)は、[[滋賀県]][[米原市]]、[[岐阜県]][[揖斐郡]][[揖斐川町]]、[[不破郡]][[関ケ原町]]にまたがる[[伊吹山地]]の主峰([[最高峰]])[[標高]]1,377 [[メートル|m]]の[[山]]である<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁">[[#新日本山岳誌|日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁]]</ref>[[一等三角点]]が置かれている山頂部は滋賀県米原市に属し<ref name="kijyun" />、[[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]の山である。山域は[[琵琶湖国定公園]]に指定されている<ref name="kokutei">{{Cite web |url=http://www.env.go.jp/park/doc/data/index.html#data3 |title=国定公園について |publisher=[[環境省]] |accessdate=2011-03-21}}</ref>。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[ファイル:Mount Ibuki top 2011-03-06.jpg|サムネイル|右|山頂の[[日本武尊]]の石像]]
[[一等三角点]]が置かれている頂上は滋賀県[[米原市]]に属し<ref name="kijyun" />、[[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]の山である。周辺は[[琵琶湖国定公園]]に指定されている<ref name="kokutei">{{Cite web|url=http://www.env.go.jp/park/doc/data/index.html#data3 |title=国定公園について |publisher=[[環境省]]|accessdate=2011-03-21}}</ref>。
古くから霊峰とされ、[[日本書紀]]においては[[ヤマトタケル]]が東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあったとする神話が残されている<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁">[[#コンサイス日本山名辞典|コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁]]</ref>。[[日本書紀]]では「五十葺山」あるいは「膽吹山」などのように記され<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />、[[古事記]]では「伊服阜能山」と記述される<ref name="日本の山1000 (1992)、529頁">[[#日本の山1000|日本の山1000 (1992)、529頁]]</ref><ref name="日本三百名山 (1997)、261頁">[[#日本三百名山|日本三百名山 (1997)、261頁]]</ref>。かつては[[修験道]]においては「大乗峰」と呼ばれていた<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。[[日本百名山]]<ref name="深田 (1982)、328-331頁">[[#深田久弥|深田 (1982)、328-331頁]]</ref>、[[新・花の百名山]]<ref name="田中 (1995)、323-325頁">[[#新・花の百名山|田中 (1995)、323-325頁]]</ref>、[[一等三角点百名山]]<ref>[[#一等三角点百名山|一等三角点研究会 (1988)]]</ref>、[[関西百名山]]<ref>[[#関西百名山地図帳|関西百名山地図帳 (2010)、6-9頁]]</ref>、近畿百名山、[[ぎふ百山]]<ref>[[#ぎふ百山|岐阜県山岳連盟 (1987)]]</ref>の一つに選定されている。


「伊吹山」の読み方について、国土地理院の登録された山名をはじめ、地図や道路標識などの振り仮名は「いぶきやま」となっており、伊吹山の山麓地域では「いぶきやま」と呼ばれる。一方、「いぶきさん」という呼び方も存在し<ref>徳久球雄・石井光造・武内正編『三省堂 日本山名事典』三省堂、2004年、89頁。</ref>、滋賀県の伊吹町では「いぶきやま」、美濃尾張方面では「いぶきさん」とする名鑑がある<ref>武内正『日本山名総覧 1万8000山の住所録』白山書房、1999年、260頁。</ref>ほか、滋賀県内の伊吹山に近い地域では「いぶきやま」、遠い地域になるほど「いぶきさん」と呼ぶ傾向があるとも言われている<ref>『湖国と文化』136号、滋賀県文化振興事業団、2011年。</ref>。岐阜県でも滋賀県と同様の傾向がある。滋賀県、岐阜県、[[愛知県]]、[[三重県]]の多くの学校の[[校歌]]で「伊吹山」に関する語句が歌われいる<ref name="hashima">{{Cite web |url=http://www.city.hashima.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=3331 |title=ふるさと歴史散歩 03 「正法寺の芭蕉句碑」 |publisher=[[羽島市]] |date=2010-06-01 |accessdate=2011-04-07}}</ref><ref group="注釈">[[第八高等学校 (旧制)|第八高等学校]]の寮歌では「'''伊吹おろし'''の雪消えて、木曽の流れにささやけば、先に満ちてる国原の、春永劫にかおるかな」と歌われていた</ref><ref name="大坪 (1987)、175頁">[[#日本200名山|大坪 (1987)、175頁]]</ref>。
古くから霊峰とされ、[[日本書紀]]においては[[ヤマトタケル]]が東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあったとする神話が残されている<ref name="sanmei">{{Cite book|和書 |author= |year=1990 |month=10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4385154031 |pages=pp.48-49}}</ref>。[[日本書紀]]では「五十葺山」あるいは「膽吹山」などのように記され<ref name="sanmei" />、[[古事記]]では「伊服阜能山」<ref name="y1000">{{Cite book|和書 |author= |year=1992 |month=8 |title=日本の山1000 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635090256 |pages=p.529}}</ref>と記述される。[[藤原実方]]が「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」と和歌に詠み、[[後拾遺和歌集]]および[[小倉百人一首]]に収録された<ref name="sanmei" />。この和歌を元に「伊吹山」は古来より[[歌枕]]として用いられ、「伊吹百草(もぐさ)」が育つ[[薬草]]の山として知られていた<ref name="fukada" />。


== 歴史 ==
[[濃尾平野]]では、冬季に北西の方角から吹く[[季節風]]を「[[伊吹おろし]]」と呼ぶほか<ref>{{Cite web |url=http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002398.html|title=気候 |publisher=[[大垣市]] |date=2009-03-05 |accessdate=2011-04-07}}</ref>、[[校歌]]に「伊吹山」に関する語句が歌詞に使われていることが多い<ref name="hashima">{{Cite web |url=http://www.city.hashima.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=3331 |title=ふるさと歴史散歩 03 「正法寺の芭蕉句碑」 |publisher=[[羽島市]] |date=2010-06-01 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
[[ファイル:Ibukisanji on top of Mount Ibuki s3.JPG|サムネイル|右|山頂の伊吹山寺山頂本堂、その左に伊吹山之神「白猪」の像]]

古くから神が宿る山として信仰の対象であった。[[役小角]]が伊吹山に登り、弥高寺と大平寺を建立したと伝えられている<ref name="草川 (2006)、10頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、10頁]]</ref>。[[白山]]を開山した[[泰澄]]は、この山に分け入り白山信仰を伝えた<ref name="草川 (2006)、10頁" />。三修(さんじゅ)により山上と山麓に山岳寺院が建立され、[[江戸時代]]まで山岳修行の山とされていた<ref name="草川 (2006)、10頁" />。[[円空]]は伊吹山の太平寺に暮らし、平等石(行道岩)で修業を行い、木彫仏を残している<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、166頁]]</ref>。[[室町時代]]後期には[[織田信長]]により、山上に野草園が造られたとされている<ref name="深田 (1982)、328-331頁" />。[[明治]]以降に近代[[登山]]の対象となった<ref name="草川 (2006)、11頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、11頁]]</ref>。[[大正]]には中山再次郎により、関西における[[スキー]]の山として注目されるようになった<ref name="草川 (2006)、11頁" />。[[1964年]]([[昭和39年]])に[[深田久弥]]により「日本百名山」の一座に選定されると、その百名山ブームもあり全国的に登山対象の山として知名度も高まった<ref name="草川 (2006)、11頁" />。[[1965年]](昭和40年)に[[伊吹山ドライブウェイ]]が開通すると、9合目まで容易に上がれるようになり山頂部は観光地化した。
「伊吹山」の読み方について、国土地理院の登録された山名をはじめ、地図や道路標識などの振り仮名は「いぶきやま」となっており、伊吹山の山麓地域では「いぶきやま」と呼ばれる。一方、「いぶきさん」という呼び方も存在し<ref>徳久球雄・石井光造・武内正編『三省堂 日本山名事典』三省堂、2004年、89頁。</ref>、滋賀県の伊吹町では「いぶきやま」、美濃尾張方面では「いぶきさん」とする名鑑がある<ref>武内正『日本山名総覧 1万8000山の住所録』白山書房、1999年、260頁。</ref>ほか、滋賀県内の伊吹山に近い地域では「いぶきやま」、遠い地域になるほど「いぶきさん」と呼ぶ傾向があるとも言われている<ref>『湖国と文化』136号、滋賀県文化振興事業団、2011年。</ref>。{{要出典範囲|date=2013年11月|岐阜県でも滋賀県と同様の傾向がある}}。
=== 伊吹山のヤマトタケル伝説 ===
[[ヤマトタケル]]は[[古事記]]では倭建命とされ、[[日本書紀]]では日本武尊とされている。伊吹山の神は「伊吹大明神」とも呼ばれ、古事記では「牛のような大きな白猪」とされ、日本書紀では「大蛇」とされていた<ref>[[#ヤマトタケルの足跡|竹田 (2012)、80頁]]</ref>。古事記ではヤマトタケルが[[宮簀媛]]がいる[[尾張]]に戻った時に、伊吹山に荒ぶる神がいることを聞いて、[[草薙剣]]を置いたまま伊吹山に[[征伐]]に向かった。伊吹山の神は大きな[[猪]]化けて行く手を遮ったり、[[氷雨]]を降らせて苦しめられ敗れたヤマトタケルは山を下った。居醒の泉(米原市[[醒ヶ井]]の[[平成の名水百選]]の一つに選定されている「居醒の清水」<ref>{{Cite web |url=https://www2.env.go.jp/water-pub/mizu-site/newmeisui/data/index.asp?info=61 |title=平成の名水百選・居醒の清水(いさめのしみず) |publisher=環境省 |accessdate=2014-06-22}}</ref>)で少し回復したものの、[[伊勢]]に入った際に病はさらに悪化して亡くなったとする伝説が伝えられている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、51頁]]</ref><ref>[[#ヤマトタケルの足跡|竹田 (2012)、78頁]]</ref>。山頂部にはその日本武尊の石像と<ref name="与呉 (2011)、98-101頁">[[#ヤマケイアルペンガイドNEXT|与呉 (2011)、98-101頁]]</ref>、伊吹山の神の白猪の像が設置されている。山麓の[[長浜市]]山階町の「伊吹神社」は伊吹神を[[祭神]]としている<ref>[[#ヤマトタケルの足跡|竹田 (2012)、84頁]]</ref>。
=== 山岳宗教と伊吹山寺 ===
[[ファイル:Gyodoiwa (Mount Ibuki).JPG|サムネイル|右|150px|伊吹山8合目西にある伊吹山寺を開いた三修が修行を行った行導岩]]
[[9世紀]]に伝わった[[密教]]と結びついて修験の場として、多くの[[寺院]]が山中に建立されるようになった<ref name="shiga-ed">{{Cite web |url=http://inaviss.shiga-ec.ed.jp/data/bunkazai/menufiles/PDFfiles/No.059.pdf |title=弥高寺 |publisher=滋賀県教育委員会事務局文化財保護課 |format=PDF |pages=1 |date=2004-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>。[[851年|851]]-[[854年]]([[仁寿]]年間)に[[僧]]三修により、伊吹山の南側の中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立されたことが「[[日本三代実録]]」に記録されている<ref name="shiga-ed" />。弥高寺は伊吹山寺と呼ばれる[[定額寺]]の中心となる一つで、伊吹四大寺として他に大平寺、長尾寺、観音寺が建立され<ref name="shiga-ed" />、のちに伊吹護国寺となった<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。[[鎌倉時代]]には修験者による山岳宗教が発達し一時は数百の堂房が山中に建ち隆盛したが、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]に兵火でほとんどが焼失し現存せずその地名が残されている<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。弥高寺は戦国時代に[[京極氏]]や[[浅井氏]]により[[城郭]]の一部として改造され、[[1512年]]([[永正]]9年)に兵火に遭い、その後ふもとに坊舎が移された<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="shiga-ed" />。「弥高寺跡」は[[1986年]](昭和61年)3月28日に、滋賀県により天然記念物(史跡)の指定を受けた<ref name="shiga-ed" />。
=== 年表 ===
* [[673年]] - [[天武天皇]]により麓に三関のひとつである[[不破関]]が置かれる。
* [[平安時代]] - 日本七高山(近畿地方の7つの[[霊山]])の一つに数えられる<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。
* [[712年]]([[和銅]]5年) - 古事記の景行記に、伊吹山にまつわる日本武尊の伝説が記される<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />。
* [[851年|851]]-[[854年]]([[仁寿]]年間) - 伊吹山の南側の中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立された<ref name="shiga-ed" />。
* [[1558年]]([[永禄]]元年)- この年から[[1570年]](永禄13年)の間に、織田信長が[[南蛮人]]から入手した薬草を栽培する菜園を伊吹山に作らせる<ref name="深田 (1982)、328-331頁" />。その菜園には、ポルトガル人が自国で用いていた約3000千種のハーブが移植されたといわれている<ref>日本のハーブ事典 東京堂出版 村上志緒P10</ref>。
* [[明治]]末年 - 川崎義令が千種類に及ぶ薬草を採取する。
* [[1912年]]([[大正]]元年)10月 - 山頂の弥勒堂近くに礎石を築き、現代にも残る日本武尊の石像が供養される。
[[ファイル:Weather station on Mount Ibuki 2010-07-10.JPG|サムネイル|右|2010年まで山頂にあった伊吹山観測所]]
* [[1919年]](大正8年)[[8月1日]] - 山頂に設置された伊吹山観測所が[[気象観測]]を開始する。この観測所の建設時には、周辺で古刀や[[古銭]]が発掘された<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。
* [[1927年]]([[昭和]]2年)[[2月14日]] - 11.82m の[[積雪量]]が観測され、世界山岳気象観測史上1位となる。
* [[1929年]](昭和4年)[[5月1日]] - 山頂の観測所が国営の[[気象庁]]付属伊吹山[[測候所]]となる。
* [[1950年]](昭和25年)[[7月24日]] - 山腹周辺が[[琵琶湖国定公園]]の特別保護地区に指定される<ref name="kokutei" /><ref name="shiga hozen">{{Cite web|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-1.pdf|format=PDF |title=伊吹山自然再生協議会第1回協議会資料2-1伊吹山の自然環境|publisher=滋賀県琵琶湖環境部自然環境保全課 |date=2008-05-29 |accessdate=2013-08-15}}</ref>。
* [[1952年]](昭和27年)6月 - [[大阪セメント]]伊吹工場が[[石灰岩]]の伊吹鉱山の操業を開始する。
* [[1957年]](昭和32年)[[1月11日]] - [[近江鉄道]]が[[伊吹山スキー場]]を設置し開業する<ref name=rejuvenation />。
* [[1965年]](昭和40年)[[7月1日]] - [[伊吹山ドライブウェイ]]が全線の供用を開始し、以降は[[マイカー]]利用による[[観光客]]が増加する<ref name="日本の山1000 (1992)、529頁" />。
* [[1967年]](昭和42年)[[3月17日]] - 岐阜県が、岐阜県側の山域を[[都道府県立自然公園#都道府県立自然公園一覧|県立伊吹自然公園]]に指定する<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/koen-hodo/koen/ |title=自然公園 |publisher=岐阜県 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* [[1998年]](平成10年)3月 - 伊吹山文化資料館が開設された<ref name="joyibuki-culture">{{Cite web |url=http://joyibuki.info/culture2.php |title=伊吹山文化資料館へようこそ |publisher=公益財団法人伊吹山麓スポーツ文化振興事業団 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。
* [[2001年]](平成13年)[[3月31日]] - 伊吹山測候所の観測が終了する(跡地は2010年に撤去されて更地化された)。
* [[2003年]](平成15年)[[7月25日]] - 伊吹山頂草原植物群落が、国の天然記念物に指定される<ref name="bunka-db" /><ref name="tennen">{{Cite web|url=http://www.city.maibara.lg.jp/index.php?oid=45&dtype=1001&pid=312 |title=百名山 伊吹山 |publisher=米原市 |accessdate=2011-04-07}}</ref><ref name="bunka">{{Cite web |url=http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.asp |title=国指定文化財等データベース |publisher=[[文化庁]] |accessdate=2014-06-21}}</ref><ref name="bunka-db">{{Cite web |url=http://bunka.nii.ac.jp/db/SearchDetail.do?heritageId=207193 |title=文化遺産オンライン「伊吹山頂草原植物群落」 |publisher=文化庁 |accessdate=2014-06-21}}</ref>。
* [[2009年]] - 伊吹山スキー場が、積雪量の減少と運営会社の都合を理由に営業を休止する。
* [[2010年]](平成22年)
** [[7月1日]] - [[日本郵政公社]]が、オリジナルフレーム[[切手]]「Mt.IBUKI 2010」および「伊吹山からの花便り」を発売する<ref>{{Cite web|url=http://www.jp-network.japanpost.jp/notification/pressrelease/2010/document/3001_09_04_910062501.pdf |format=PDF |title=オリジナルフレーム切手「Mt.IBUKI 2010」及び「伊吹山からの花便り」の販売開始と贈呈式の開催について |publisher=郵便局株式会社 近畿支社 |date=2010-06-25 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** [[7月24日]] - ピステジャポン伊吹が観光登山用の伊吹山[[ゴンドラ]]の営業を再開する<ref>{{Cite web|url=http://www.ibuki-pj.com/gondola.html |title=伊吹山ゴンドラ |publisher=ビスシャボン伊吹 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** [[10月13日]] - [[皇太子徳仁親王]]が麓の上野登山口から登頂する。
** 伊吹山スキー場のスキー用リフトなどが撤去され、スキー場が閉鎖される<ref>{{Cite web|url=http://www.mbs.jp/voice/special/201011/25_post-1376.shtml |title=閉鎖スキー場に広がる光景 |publisher=[[MBSテレビ]]・[[VOICE (ニュース番組)|VOICE]] |date=2010-11-25 |accessdate=2011-02-08}}{{リンク切れ|date=2011年4月}}</ref>。
* [[2014年]](平成26年)5月1日 - 入山料金制度を試験導入(1人300円)<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG1X3F2JG1XPTJB006.html 伊吹山、入山料5月試験導入へ 山頂の花畑保全など目的] 朝日新聞 2014-1-28</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.city.maibara.lg.jp/0000005029.html |title=伊吹山入山協力金の試験徴収を開始 |publisher=米原市 |date=2014-04-01 |accessdate=2014-06-13}}</ref>。


== 環境 ==
=== 気候 ===
=== 気候 ===
伊吹山は冬に[[日本海側]]からの[[季節風]]の通り道となり、[[濃尾平野]]では、冬季に北西の方角から吹く[[季節風]]を「[[伊吹おろし]]」と呼ぶ<ref>{{Cite web |url=http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002398.html|title=気候 |publisher=[[大垣市]] |date=2009-03-05 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。

[[亜寒帯湿潤気候]]で雪も非常に多く、1927年2月14日には世界最深積雪記録となる積雪量1182cmを記録しており、現在でもこの記録は破られていない。
[[亜寒帯湿潤気候]]で雪も非常に多く、1927年2月14日には世界最深積雪記録となる積雪量1182cmを記録しており、現在でもこの記録は破られていない。
また、旧平年値(1971-2000)における月別平均気温は[[稚内市|稚内]]とほぼ同じ値となっている<ref>[http://www.ds-j.com/nature/ibuki/Information/old-story/kishou.htm 伊吹山の気象]</ref>。
また、旧平年値(1971-2000)における月別平均気温は[[稚内市|稚内]]とほぼ同じ値となっている<ref>[http://www.ds-j.com/nature/ibuki/Information/old-story/kishou.htm 伊吹山の気象]</ref>。
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<gallery widths="150" heights="105">

ファイル:Mount Ibuki from third station 2002-04-04.jpg|[[春]] (<small>2012年4月4日</small>)<br />登山道3合目から望む伊吹山
== 歴史 ==
ファイル:West hiking course (Mount Ibuki).JPG|[[夏]] (<small>2014年7月15日</small>)<br />お花畑をめぐる西遊歩道からの山頂部
[[File:Mount Ibuki top 2011-03-06.jpg|thumb|right|山頂の[[日本武尊]]像]]
ファイル:Mount Ibuki from third station 2001-10-25.jpg|[[秋]] (<small>2001年10月25日</small>)<br />登山道3合目から望む伊吹山
[[File:Weather station on Mount Ibuki 2010-07-10.JPG|thumb|right|2010年まで山頂にあった伊吹山観測所]]
ファイル:Mount Ibuki from east hiking course (2004-01-12).jpg|[[冬]] (<small>2004年1月12日</small>)<br />東遊歩道から望む山頂部の雪景色
* [[673年]] - [[天武天皇]]により麓に三関のひとつである[[不破関]]が置かれる。
</gallery>
* [[平安時代]] - 日本七高山(近畿地方の7つの[[霊山]])の一つに数えられる<ref name="sangakushi">{{Cite book|和書 |editor=[[日本山岳会]] |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=4779500001 |pages=pp.1232-1234}}</ref>。
=== 地質 ===
* [[712年]]([[和銅]]5年) - 古事記の景行記に、伊吹山にまつわる日本武尊の伝説が記される<ref name="sanmei" />。
[[ファイル:20091228伊吹山.jpg|サムネイル|右|西側の[[琵琶湖]]上空方面から望む伊吹山]]
* [[1558年]]([[永禄]]元年)- この年から[[1570年]](永禄13年)の間に、[[織田信長]]が[[南蛮人]]から入手した薬草を栽培する菜園を伊吹山に作らせる<ref name="fukada" />。その菜園には、ポルトガル人が自国で用いていた約3000千種のハーブが移植されたといわれている<ref>日本のハーブ事典 東京堂出版 村上志緒P10</ref>。
伊吹山は約3億年前に噴火した[[海底火山]]であったとされており<ref name="saswayaka">{{Cite web|url=http://www.nhk.or.jp/sawayaka/ibuki.html |title=さわやか自然百景のバックナンバー(2003年8月31日放日放送) |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-02-05}}</ref>、[[ウミユリ]]や[[フズリナ]]の化石が発見されたことから、地層には約2億5千年前の[[古生代]]に海底に堆積した層が含まれていると考えられている<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />。その時期にサンゴ礁が形成されたことで石灰質の地層が堆積した。中腹より上部は、[[古生代]][[ペルム紀|二畳紀]]に形成された[[石灰岩]]が広く分布している<ref name="bunka-db" />。山頂部では、カレンフェルトや巨大な石灰露岩などの[[カルスト地形]]が見られる<ref name="bunka-db" /><ref name="登山案内 (1998)、182-183頁">[[#登山案内|登山案内 (1998)、182-183頁]]</ref>。石灰岩には塊状の亀裂が多く、水透しが良く表土は乾燥し易い<ref name="bunka-db" />。現在は良質の石灰岩が採掘される山として知られている。
* [[明治]]末年 - 川崎義令が千種類に及ぶ薬草を採取する。
=== 湧水 ===
* [[1912年]]([[大正]]元年)10月 - 山頂の弥勒堂近くに礎石を築き、現代にも残る日本武尊の石像が供養される。
山麓は[[湧水]]の里としても知られている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、152頁]]</ref>。石灰岩層は山肌に降った雨などを浸透させ、伊吹山の山麓には石灰岩層から抽出された[[カルシウム]]分など[[ミネラル]]を多く含む湧水が豊富である。このうち、[[米原市]](旧伊吹町)にある[[泉神社]]の湧水は[[名水百選]]の一つに選ばれている。
* [[1919年]](大正8年)[[8月1日]] - 山頂に設置された伊吹山観測所が[[気象観測]]を開始する。この観測所の建設時には、周辺で古刀や[[古銭]]が発掘された<ref name="sangakushi" />。
{{main|泉神社 (米原市)}}
* [[1927年]]([[昭和]]2年)[[2月14日]] - 11.82m の[[積雪量]]が観測され、世界山岳気象観測史上1位となる。
醒ヶ井宿にある居醒の水が平成の名水百選に選ばれたほか、「春照の泉(臼谷の湧水)」が知られている。南西山麓米原市上野の伊吹山の登山口には「ケカチの水」と呼ばれる湧水がある。山頂の弥勒堂へ向かう山岳行者が身を清めた場所とされていた。
* [[1929年]](昭和4年)[[5月1日]] - 山頂の観測所が国営の[[気象庁]]付属伊吹山[[測候所]]となる。
=== 動物 ===
* [[1950年]](昭和25年)[[7月24日]] - 山腹周辺が[[琵琶湖国定公園]]の特別保護地区に指定される<ref name="kokutei" /><ref name="shiga hozen">{{Cite web|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-1.pdf|format=PDF |title=伊吹山自然再生協議会第1回協議会資料2-1伊吹山の自然環境|publisher=滋賀県琵琶湖環境部自然環境保全課 |date=2008-05-29 |accessdate=2013-08-15}}</ref>。
{{Commonscat|Animals of Mount Ibuki|伊吹山の動物}}
* [[1952年]](昭和27年)6月 - [[大阪セメント]]伊吹工場が[[石灰岩]]の伊吹鉱山の操業を開始する。
石灰岩の山であることから[[カタツムリ]]が多く、花には[[ウスバシロチョウ]]、[[ウラギンヒョウモン]]、[[キアゲハ]]などの[[蝶]]を含む多くの[[昆虫]]が集まる。夏の間[[アキアカネ]]が山上で過ごし、秋に麓へ下りる。ウミユリなどの化石が見られる。
* [[1957年]](昭和32年)[[1月11日]] - [[近江鉄道]]が[[伊吹山スキー場]]を設置し開業する。
* [[1965年]](昭和40年)[[7月1日]] - [[伊吹山ドライブウェイ]]が全線の供用を開始し、以降は[[マイカー]]利用による[[観光客]]が増加する<ref name="y1000" />。
* [[1967年]](昭和42年)[[3月17日]] - 岐阜県が、岐阜県側の山域を[[都道府県立自然公園#都道府県立自然公園一覧|県立伊吹自然公園]]に指定する<ref>{{Cite web|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/koen-hodo/koen/ |title=自然公園 |publisher=岐阜県 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* [[1975年]](昭和50年)頃の[[8月]] - [[田中澄江]]が伊吹山に登頂し、著書『[[新・花の百名山]]』で[[イブキジャコウソウ]]とこの山を紹介する<ref name="sinhana" />。
* [[2001年]](平成13年)[[3月31日]] - 伊吹山測候所の観測が終了する(跡地は2010年に撤去されて更地化された)。
* [[2003年]](平成15年) - 伊吹山頂草原植物群落が、国の天然記念物に指定される<ref name="tennen">{{Cite web|url=http://www.city.maibara.lg.jp/index.php?oid=45&dtype=1001&pid=312 |title=百名山 伊吹山 |publisher=米原市 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* [[2009年]] - 伊吹山スキー場が、積雪量の減少と運営会社の都合を理由に営業を休止する。
* [[2010年]](平成22年)
** [[7月1日]] - [[日本郵政公社]]が、オリジナルフレーム[[切手]]「Mt.IBUKI 2010」および「伊吹山からの花便り」を発売する<ref>{{Cite web|url=http://www.jp-network.japanpost.jp/notification/pressrelease/2010/document/3001_09_04_910062501.pdf |format=PDF |title=オリジナルフレーム切手「Mt.IBUKI 2010」及び「伊吹山からの花便り」の販売開始と贈呈式の開催について |publisher=郵便局株式会社 近畿支社 |date=2010-06-25 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** [[7月24日]] - ピステジャポン伊吹が観光登山用の伊吹山[[ゴンドラ]]の営業を再開する<ref>{{Cite web|url=http://www.ibuki-pj.com/gondola.html |title=伊吹山ゴンドラ |publisher=ビスシャボン伊吹 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** [[10月13日]] - [[皇太子徳仁親王]]が麓の上野登山口から登頂する。
** 伊吹山スキー場のスキー用リフトなどが撤去され、スキー場が閉鎖される<ref>{{Cite web|url=http://www.mbs.jp/voice/special/201011/25_post-1376.shtml |title=閉鎖スキー場に広がる光景 |publisher=[[MBSテレビ]]・[[VOICE (ニュース番組)|VOICE]] |date=2010-11-25 |accessdate=2011-02-08}}{{リンク切れ|date=2011年4月}}</ref>。
* [[2014年]](平成26年)5月 - 入山料金制度を試験導入予定<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG1X3F2JG1XPTJB006.html 伊吹山、入山料5月試験導入へ 山頂の花畑保全など目的] 朝日新聞 2014-1-28</ref>。

== 地質 ==
[[File:20091228伊吹山.jpg|thumb|right|伊吹山空撮]]
伊吹山は約3億年前に噴火した[[海底火山]]であったとされており<ref name="saswayaka">{{Cite web|url=http://www.nhk.or.jp/sawayaka/ibuki.html |title=さわやか自然百景のバックナンバー(2003年8月31日放日放送) |publisher==[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-02-05}}</ref>、[[ウミユリ]]や[[フズリナ]]の化石が発見されたことから、地層には約2億5千年前の[[古生代]]に海底に堆積した層が含まれていると考えられている<ref>{{Cite book|和書 |year=1997 |month=3 |title=[[日本三百名山]] |publisher=[[毎日新聞社]] |isbn=4620605247 |pages=p.261}}</ref>。その時期にサンゴ礁が形成されたことで石灰質の地層が堆積し、現在は良質の[[石灰岩]]が採掘される山として知られ、山頂付近は平らで広い[[カルスト地形#カルスト台地|カルスト台地]]となっている。

伊吹山の石灰岩は、古くは漆塗りの原材料に用いる消石灰として1961年ごろには開発されていたが<ref name=rejuvenation>{{Cite web|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-3.pdf|title=伊吹山再生全体構想|publisher=滋賀県|accessdate=2013-11-13}}</ref>、[[近代]]は[[コンクリート]]・[[セメント]]需要の急増により大量に採掘されてきた。1949年に[[近江鉱業]]が伊吹山に弥高採鉱場を開き<ref>{{Cite web|url=http://www.omi-mining.co.jp/kaishajoho_frame.html|title=近江鉱業株式会社_会社情報|publisher=近江鉱業株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>、1951年に[[住友大阪セメント]]伊吹工場が開発工事に着手する<ref>{{Cite web|url=http://shigakosan.jp/about/ibukims.html|title=伊吹鉱山概要|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>など、大規模に採掘が進められ、南西の稜線は山容が変貌するまでに大きく削り取られた<ref name=rejuvenation/>(写真参照)。1971年からは住友大阪セメント伊吹工場によって南西斜面の緑化活動が始められ、2003年に同社が滋賀鉱産株式会社に事業を引き継いだ現在も続けられている<ref>{{Cite web|url=http://shigakosan.jp/green/index.html|title=緑化の経緯|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>。

== 湧水 ==
石灰岩層は山肌に降った雨などを浸透させ、伊吹山の山麓には石灰岩層から抽出された[[カルシウム]]分など[[ミネラル]]を多く含む湧水が豊富である。このうち、[[米原市]](旧伊吹町)にある[[泉神社]]の湧水は[[名水百選]]に選ばれ、醒ヶ井宿にある居醒の水が平成の名水百選に選ばれたほか、「春照の泉(臼谷の湧水)」が知られている。


== 植生 ==
== 植生 ==
{{Commonscat|Flora of Mount Ibuki|伊吹山の植物}}
山麓から山頂にかけて様々な[[野草]]の群生地があり、伊吹山頂草原植物群落が[[植物天然記念物一覧#天然記念物|植物天然記念物]]に指定されている<ref name="tennen" />。約1,300種類の植物が生育して、[[アザミ属|コイブキアザミ]] ''Cirsium confertissimum'' などの9種の固有種がある<ref name="shiga hozen" /><ref>『伊吹山お花畑植物ガイド』にはイブキタンポポ、コバノミミナグサ、ミヤマコアザミ、ルリトラノオ、イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ、イブキレイジンソウの8種とされており、イブキヒメヤマアザミを加えると9種となる。またイブキフウロを固有種に数えることもあるが東北の一部に分布している。さらにイブキアザミは鈴鹿山系の北部にも分布しており、近年、コバノミミナグサが山口県の一部、ミヤマコアザミが白山・北アルプスで確認されている。</ref>。景観は高山の高茎草原そのものの様相をみせる。おもなものとして[[オオバギボウシ]]、[[カノコソウ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[クガイソウ]]、シシウド、[[シモツケ]]、シモツケソウ、[[ニッコウキスゲ]]、[[ハクサンフウロ]]、[[メタカラコウ]]、ユウスゲ、ルリトラノオなどがある<ref name="hantabi">{{Cite book|和書 |author=金丸勝実 |year=2001 |month=6 |title=鈴鹿・伊吹山 |series=花の山旅 |publisher=山と溪谷社 |pages= |isbn=4635014134}}</ref>。山麓では約280種の薬草が生え、揖斐川町の旧[[春日村 (岐阜県)|春日村]]古谷地区では昔から薬草を生活の糧にして生きてきた<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090710140030072/?n=1&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=こんなステキなにっぽんが 薬草の山 生きる喜び 岐阜県揖斐川町(2007年10月13日放送) |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-04-07}}</ref>。滋賀県米原市の山麓には、薬草を利用した温泉施設がある<ref>{{Cite web|url=http://network.biwako-visitors.jp/spot/spot_bath_520_city602.html |title=米原市伊吹薬草の里文化センター |publisher=米原観光協会 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。また、[[イブキカモジグサ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[イブキノエンドウ]]のように、ヨーロッパを原産とする雑草が生育しているが、これらは、[[織田信長]]が[[ポルトガル人]][[宣教師]]の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えて[[ハーブガーデン]]を作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれた[[ハーブ]]に紛れて入ってきたと推測されている<ref>日本のハーブ事典 東京堂出版 村上志緒P10</ref>。
標高が低い山であるが、石灰岩層の山であることと地理的な環境条件などの要因で[[植物相]]が豊かで植物研究に貴重な山とされ<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />、[[牧野富太郎]]らの多くの植物学者や採薬師により調査がなされている<ref>[[#植物一日一題|牧野 (2008)、294頁]]</ref><ref name="村瀬 (2007)、70頁">[[#伊吹山のお花畑|村瀬 (2007)、70頁]]</ref>。古くから[[薬草]]の宝庫としても知られている<ref name="登山案内 (1998)、182-183頁" /><ref name="余呉 (2005)、244-245頁">[[#日本百名山地図帳|余呉 (2005)、244-245頁]]</ref>。日本では[[高尾山]]に継いで[[藤原岳]]と共に2番目に植物の種類が多い山であるとする調査結果がある<ref>[[#自然を読み解く山歩き|小泉 (2007)、8頁]]</ref>。[[灸|お灸]]で用いられる[[もぐさ]]として、[[セネファ|セネファ株式会社]]の「伊吹もぐさ」が知られている<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />。山頂部では樹木の生育が抑えられ[[高木]]が非常に少なく、日本では数少ない山地草原が発達している<ref group="注釈">伊吹山の多くの地域が共有地であり、かつては広く採草、柴刈り等に利用されていたことも、森林の発達を抑制し草原が維持されてきた要因であると考えられている。</ref><ref name="bunka-db" />。山麓は[[針葉樹]]と[[広葉樹]]地帯で、三合目から上部は[[草地]]となり、1,700[[種 (分類学)|種]]を超える多くの植物が分布している<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" /><ref name="余呉 (2005)、244-245頁" />。山麓から山頂にかけて様々な[[野草]]の群生地があり、[[アザミ属|コイブキアザミ]] ''Cirsium confertissimum'' などの9種の固有種がある<ref name="shiga hozen" /><ref group="注釈">『伊吹山お花畑植物ガイド』にはイブキタンポポ、コバノミミナグサ、ミヤマコアザミ、ルリトラノオ、イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ、イブキレイジンソウの8種とされており、イブキヒメヤマアザミを加えると9種となる。またイブキフウロを固有種に数えることもあるが東北の一部に分布している。さらにイブキアザミは鈴鹿山系の北部にも分布しており、近年、コバノミミナグサが山口県の一部、ミヤマコアザミが白山・北アルプスで確認されている。</ref>。景観は高山の高茎草原そのものの様相をみせる。おもなものとして[[オオバギボウシ]]、[[カノコソウ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[クガイソウ]]、シシウド、[[シモツケ]]、シモツケソウ、[[ニッコウキスゲ]]、[[ハクサンフウロ]]、[[メタカラコウ]]、ユウスゲ、ルリトラノオなどがある<ref name="金丸 (2001)、75-78頁">[[#花の山旅|金丸 (2001)、75-78頁]]</ref>。頂上の残雪表面では雪氷[[藻類]]が確認されている<ref>[[#伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類|竹内 (2011)、271-279頁]]</ref>。山麓では約280種の薬草が生え、揖斐川町の旧[[春日村 (岐阜県)|春日村]]古谷地区では昔から薬草を生活の糧にして生きてきた<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090710140030072/?n=1&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=こんなステキなにっぽんが 薬草の山 生きる喜び 岐阜県揖斐川町(2007年10月13日放送) |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-04-07}}</ref>。滋賀県米原市の山麓には、薬草を利用した温泉施設がある<ref>{{Cite web|url=http://network.biwako-visitors.jp/spot/spot_bath_520_city602.html |title=米原市伊吹薬草の里文化センター |publisher=米原観光協会 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。また、[[イブキカモジグサ]]、キバナノレンリソウ<ref group="注釈">キバナノレンリソウは[[ヨーロッパ]]原産の植物で、伊吹山に定着した[[帰化植物]]。日本では伊吹山の固有種。</ref><ref>[[#伊吹山の花|安原 (2003)、88頁]]</ref>、[[イブキノエンドウ]]のように、ヨーロッパを原産とする雑草が生育しているが、これらは、[[織田信長]]が[[ポルトガル人]][[宣教師]]の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えて[[ハーブガーデン]]を作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれた[[ハーブ]]に紛れて入ってきたと推測されている<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" /><ref>日本のハーブ事典 東京堂出版 村上志緒P10</ref><ref>[[#花の百名山登山ガイド 下|村瀬 (1996)、78頁]]</ref>。上野からの登山道の3合目の草原にはユウスゲの群生地がある。ユウスゲなどの植物の[[ニホンジカ]]などによる[[害獣]]対策として群生地には防護ネットが設置され、観察路などが整備されている<ref name="maibara-tv">{{Cite web |url=http://www.city.maibara.lg.jp/0000004436.html |title=よりぬき伊吹山テレビ2013年8月号【書き起こしテキスト】 |publisher=米原市 |date=2013-12-02 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。2013年(平成25年)から7月下旬に、その群生地で「ユウスゲ祭り」が開催されている<ref name="maibara-tv" />。このユウスゲの群生地付近はオカメガハラと呼ばれ、春から秋にかけて70種ほどの草花が生育している。またその北側の3合目公衆トイレ周辺では100種ほどの草花が生育している。[[2009年]](平成21年)から西山麓の姉川左岸の米原市大久保地区周辺にはセツブンソウ、キバナノアマナなどの群生地があり、春先に「セツブンソウふれあい祭り」が開催されている<ref>[[#伊吹山花散歩|青木 (2014)、30頁]]</ref>。

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! <small>ユウスゲ</small>
! <small>ユウスゲ</small>
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=== 伊吹山の植物分布の特徴 ===

山頂部には高山植物または亜高山性植物の植物が分布し、日本で分布の西南限となっている種が多数ある<ref name="村瀬 (2007)、70頁" />。北方性の高山・亜高山性の植物が多い<ref name="草川 (2006)、18-19頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、18-19頁]]</ref>。日本海要素の植物が多い<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。地層形成年代が古いことと高山的な気象条件になることから、伊吹山の固有種を産出している<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。石灰岩地を好んで生育する植物が多い<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。西日本に分布する南方要素(襲速紀要素)の植物が北上してきている<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。多くの薬草(民間薬草が230種ほど、局方薬草19種)が分布する<ref>国指定天然記念物『伊吹山頂草原植物群落』の山頂部の現地解説板による。</ref>。山頂部には、オオバギボウシとメラカラコウ群落、オウバギボウシとショウジョウスゲ群落、サラシナショウマ群落、フジテンニンソウ群落、シモツケソウ群落、アカソ群落、岩場のイブキジャコウソウ群落、チシマザサ群落などが草本植物群落の季節ごとのお花畑となる<ref name="村瀬 (2007)、70頁" />。周囲の木本植物群落としては、イブキシモツケ群落、[[オオイタヤメイゲツ]]と[[ミヤマカタバミ]]群落、[[ブナ]]と[[オオバクロモジ]]群落などがある<ref name="村瀬 (2007)、70頁" />。
;山頂部の高山植物または亜高山性植物
:[[イブキトラノオ]]、[[メタカラコウ]]、[[マルバダケブキ]]、[[ニッコウキスゲ]]、[[サンカヨウ]]、[[キオン]]、[[コキンバイ]]、[[ノビネチドリ]]など
:分布の西南限となっている種:[[イブキフウロ]]、[[エゾフウロ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-1.data/2071.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「エゾフウロ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[グンナイフウロ]]、[[ハクサンフウロ]]、[[キンバイソウ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-1.data/2048.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「キンバイソウ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イワシモツケ]]、[[ヒメイズイ]]、[[イブキソモソモ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-2.data/2138.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキソモソモ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>など
;日本海側要素の植物
:[[イブキトリカブト]]、[[オオカニコウモリ]]、[[オオヨモギ]]、[[スミレサイシン]]、[[ザゼンソウ]]、[[ハクサンカメバヒキオカコシ]]、[[ミヤマイラクサ]]、[[エゾユズリハ]]、[[ハイイヌガヤ]]、[[タムシバ]]など
;伊吹山の固有種
:[[コイブキアザミ]]、[[イブキアザミ]]、[[ルリトラノオ]]、[[イブキコゴミグサ]]、[[イブキレイジンソウ]]、[[コバノミミナグサ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1039.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「コバノミミナグサ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イブキヒメヤマザミ]]、[[イブキハタザオ]]、[[イブキタンポポ]]
;石灰岩地を好んで生育する植物
:[[イチョウシダ]]、[[クモノスシダ]]、[[ヒメフウロ]]、[[イワツクバネウツギ]]、[[イブキコゴメグサ]]、[[キバナハタザオ]]、[[クサボタン]]など
;南方要素の植物
:[[ギンバイソウ]]、[[ミカエリソウ]]、[[カキノハグサ]]など
;薬草
:[[イブキジャコウソウ]]、[[ウツボグサ]]、[[オオヨモギ]]、[[オトギリソウ]]、[[カキドオシ]]、[[カワミドリ]]、[[ゲンノショウコ]]、[[シシウド]]、[[センブリ]]、[[ドクダミ]]、[[ミヤマトウキ]]、[[リンドウ]]など<ref name="草川 (2006)、32頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、32頁]]</ref>。
=== 国指定天然記念物『伊吹山頂草原植物群落』 ===
[[ファイル:Wild plant garden on Mount Ibuki (Ligularia stenocephala).JPG|サムネイル|右|伊吹山頂草原植物群落(シモツケソウと[[メタカラコウ]]などが開花した夏)]]
2003年(平成15年)7月25日に、山頂部の『伊吹山頂草原植物群落』が、代表的高山植物帯、特殊岩石地植物群落、著しい植物分布の限界地であることなどにより、国の史跡名勝天然記念物([[植物天然記念物一覧#天然記念物|植物天然記念物]])の指定を受けた<ref name="tennen" /><ref name="bunka" /><ref name="bunka-db" />。伊吹山頂部には約300種の温帯性および亜高山性の草木の群生地となっていて、近畿地方以南では他に例がない。山頂部の主な草木植物と木本植物のおおまかな目安となる花暦を以下に示す<ref group="注釈">開花時期が複数の月にまたがる種も多い。</ref><ref>[[#伊吹山のお花畑|村瀬 (2007)、3-69頁]]</ref><ref>[[#伊吹山の植物|大川 (2009)、8-249頁]]</ref><ref>[[#花の山旅|金丸 (2001)、94-100頁]]</ref><ref>[[#伊吹山の花|安原 (2003)、3-198頁]]</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.ibukiyama-driveway.jp/enjoy/alpine_plant/index.html |title=高山植物の紹介 |publisher=日本自動車道株式会社 |accessdate=2014-06-23}}</ref>。
;4月
:[[ヒロハノアマナ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-2.data/1169.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「ヒロハノアマナ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[ミスミソウ]]、[[ミヤマカタバミ]]
;5月
:[[イブキシモツケ]]、[[エンレイソウ]]、[[オオイタヤメイゲツ]]、[[オオカメノキ]]、[[キバナノアマナ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-2.data/2129.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「キバナノアマナ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[コキンバイ]]、[[サンカヨウ]]、[[ツルキンバイ]]、[[ニリンソウ]]、[[ノビネチドリ]]、[[ボタンネコノメソウ]]、[[ヤマブキソウ]]
;6月
:[[イブキノエンドウ]]、[[オドリコソウ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[クサタチバナ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-2.data/1109..pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「クサタチバナ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[グンナイフウロ]]、[[ニッコウキスゲ]]、[[フタバアオイ]]、[[マメグミ]]、[[ヤグルマソウ]]
;7月
:[[イブキトラノオ]]、[[イブキフウロ]]、[[イワアカバナ]]、[[オオバギボウシ]]、[[カノコソウ]]、[[キヌタソウ]]、[[キンバイソウ]]、[[コバノミミナグサ]]、[[シュロソウ]]、[[タマガワホトトギス]]、[[ノリウツギ]]、[[バイケイソウ]]、[[ヒメフウロ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1074.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「ヒメフウロ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[ミヤマコアザミ]]、[[メタカラコウ]]
;8月
:[[アカソ]]、[[イブキジャコウソウ]]、[[イワアカバナ]]、[[ウツボグサ]]、[[エゾフウロ]]、[[カワラナデシコ]]、[[キオン]]、[[キバナノカワラマツバ]]、[[キリンソウ]]、[[キンミズヒキ]]、[[クサボタン]]、[[クルマバナ]]、[[コオニユリ]]、[[クガイソウ]]、[[コオニユリ]]、[[シシウド]]、[[シモツケソウ]]<ref group="注釈">伊吹山の山頂のお花畑では、8月の第1週頃にシモツケソウが最盛期でその中心となり、クガイソウ、シシウドなどの花が咲き乱れる。</ref><ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、3頁]]</ref>、[[タムラソウ]]、[[ツリガネニンジン]]、[[ハクサンフウロ]]、[[マルバダケブキ]]、[[ヨツバヒヨドリ]]、[[ルリトラノオ]]、[[ヤマアジサイ]]、[[ヤマゼリ]]、[[ヤマホタルブクロ]]、[[ワレモコウ]]
;9月
:[[アキノキリンソウ]]、[[アケボノソウ]]、[[イブキコゴメグサ]]、[[イブキトリカブト]]、[[イブキレイジンソウ]]、[[コイブキアザミ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-2.data/2112.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「コイブキアザミ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[サラシナショウマ]]、[[シオガマギク]]、[[シロヨメナ]]、[[ツルニンジン]]、[[ノダケ]]、[[ハクサンカメバヒキオコシ]]、[[フジテンニンソウ]]、[[ミゾソバ]]、[[ミツバベンケイソウ]]、[[ミツモトソウ]]、[[ヤマハッカ]]
;10月
:[[ノコンギク]]、[[リュウノウギク]]、[[リンドウ]]
=== 「イブキ」を冠する和名の種 ===
=== 「イブキ」を冠する和名の種 ===
イブキトラノオのように最初に伊吹山で発見されたことから、[[和名]]に「イブキ」を冠する種が多数ある<ref>[[#伊吹山のお花畑|村瀬 (2007)、12頁]]</ref>。イブキアザミ、コイブキアザミ、[[イブキコゴメグサ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-2.data/1128.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキコゴメグサ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イブキジャコウソウ]]、[[イブキスミレ]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1085.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキスミレ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イブキトラノオ]]、[[イブキフウロ]]、[[イブキトリカブト]]<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1044.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキトリカブト」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、イブキレイジンソウといった20種以上のイブキを冠する種の植物が自生している<ref name="金丸 (2001)、75-78頁" /><ref>[[#日本の高山植物|豊田 (1998)、712頁]]</ref><ref>[[#伊吹山の植物|大川 (2009)、252頁]]</ref>。[[田中澄江]]が著書『[[新・花の百名山]]』で伊吹山を代表する花の一つとして、イブキジャコウソウを紹介した<ref name="田中 (1995)、323-325頁" />。
イブキアザミ、コイブキアザミ、[[イブキジャコウソウ]]、[[イブキトラノオ]]、[[ハクサンフウロ|イブキフウロ]]、イブキトリカブト、イブキレイジンソウといった20種以上のイブキを冠する種の植物が自生している<ref name="hantabi" /><ref>{{Cite book|和書 |author= |year=1998 |month=8 |title=日本の高山植物 |series=山渓カラー名鑑 |publisher=山と溪谷社 |pages=p.712 |isbn=4635090191}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |author= |year=2009 |month=10 |title=伊吹山の植物 |publisher幻冬舎ルネッサンス |pages= |isbn=9784779005299}}</ref>。
<div class="NavFrame" style="border: none; text-align: left; font-size: 100%">
<div class="NavFrame" style="border: none; text-align: left; font-size: 100%">
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<div class="NavHead" style="background: transparent; text-align: left; font-weight: normal">
338行目: 384行目:
</div>
</div>


<gallery>
{| class="wikitable"
Euphrasia insignis subsp. iinumae flower.JPG|イブキコゴメグサ
|-
Thymus quinquecostatus Ibukiyama.jpg|[[イブキジャコウソウ]]
|[[File:Spiraea dasyantha in Mount Ibuki 2011-06-26.jpg|120px]]
Spiraea dasyantha in Mount Ibuki 2011-06-26.jpg|イブキシモツケ
|[[File:Thymus quinquecostatus Ibukiyama.jpg|120px]]
|[[File:Polygonum bistorta Imukiyama.jpg|120px]]
Polygonum bistorta Imukiyama.jpg|[[イブキトラノオ]]
Vicia sepium (flower).JPG|イブキノエンドウ
|[[File:Geranium yesoense Ibukiyama.jpg|100px]]
Geranium yesoense Ibukiyama.jpg|イブキフウロ
|[[File:Cirsium confertissimum in Mount Ibuki 2008-11-02.jpg|120px]]
Cirsium confertissimum in Mount Ibuki 2008-11-02.jpg|コイブキアザミ
|-
</gallery>
! <small>イブキシモツケ</small>
! <small>[[イブキジャコウソウ]]</small>
! <small>[[イブキトラノオ]]</small>
! <small>イブキフウロ</small>
! <small>コイブキアザミ</small>
|}


このうち、以下の種は[[環境省]]ならびに岐阜県、滋賀県で、[[レッドリスト]]に[[絶滅危惧種|絶滅危惧]]II類(Vulnerable, [[危急種|VU]])あるいは準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定されている<ref>{{Cite web|url=http://jpnrdb.com/search.php?mode=region&t=&cd=&q=25&k=06&subn=+%A5%A4%A5%D6%A5%AD |title=日本のレッドデータ検索システム(滋賀県・イブキ) |publisher=エンビジョン環境保全事務局 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
このうち、以下の種は[[環境省]]ならびに岐阜県、滋賀県で、[[レッドリスト]]に[[絶滅危惧種|絶滅危惧]]II類(Vulnerable, [[危急種|VU]])あるいは準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定されている<ref>{{Cite web|url=http://jpnrdb.com/search.php?mode=region&t=&cd=&q=25&k=06&subn=+%A5%A4%A5%D6%A5%AD |title=日本のレッドデータ検索システム(滋賀県・イブキ) |publisher=エンビジョン環境保全事務局 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
363行目: 404行目:
** 滋賀県 - イブキボウフウ
** 滋賀県 - イブキボウフウ


== 登山・観光 ==
== 産業 ==
=== 鉱業・石灰岩の山 ===
[[File:Ibukiyama flowers 2008-11-2etc.jpg|thumb|right|伊吹山の風景と植物]]
伊吹山の石灰岩は、古くは漆塗りの原材料に用いる消石灰として1961年ごろには開発されていたが<ref name=rejuvenation>{{Cite web|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-3.pdf|title=伊吹山再生全体構想|publisher=滋賀県|format=PDF|accessdate=2013-11-13}}</ref>、[[近代]]は[[コンクリート]]・[[セメント]]需要の急増により大量に採掘されてきた。1949年に[[近江鉱業]]が伊吹山に弥高採鉱場を開き<ref>{{Cite web|url=http://www.omi-mining.co.jp/kaishajoho_frame.html|title=近江鉱業株式会社_会社情報|publisher=近江鉱業株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>、1951年に[[住友大阪セメント]]伊吹工場が開発工事に着手する<ref>{{Cite web|url=http://shigakosan.jp/about/ibukims.html|title=伊吹鉱山概要|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>など、大規模に採掘が進められ、南西の稜線は山容が変貌するまでに大きく削り取られた<ref name=rejuvenation/>。1971年からは住友大阪セメント伊吹工場によって南西斜面の緑化活動が始められ、2003年に同社が滋賀鉱産株式会社に事業を引き継いだ現在も続けられている<ref>{{Cite web|url=http://shigakosan.jp/green/index.html|title=緑化の経緯|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>。鉱山としては現在も近江鉱業および滋賀鉱産が稼行している。
伊吹山の麓は古くから交通の要所であったため交通の便が良く、[[中京圏]]や[[京阪神]]からも日帰り登山が行われている。1965年には伊吹山ドライブウェイが開通してバスや自家用車で9合目まで訪れることができるようになり、山頂を訪れる観光客が増加した。


=== 薬草 ===
山頂周辺には[[高山植物]]を含む野草群落が花畑として保護されており、9合目駐車場からは遊歩道が敷設されている。遊歩道は3本(うち1本は下り専用)が整備されていて、20分ないし40分程度で山頂に到達できる<ref>{{Cite web|url=http://www.ibukiyama-driveway.jp/enjoy/climbing/index.html|title=伊吹山ドライブウェイ|publisher=日本自動車道株式会社|accessdate=2013-11-14}}</ref>。
[[ファイル:Kisokaido60 Kashiwabara.jpg|サムネイル|右|200px|[[歌川広重]]『木曽海道六十九次之内 [[柏原宿|柏原]]』、[[亀屋左京]]の店が描かれている。]]
伊吹山は薬草の宝庫として古くから利用されていた<ref name="草川 (2006)、32頁" />。[[江戸時代]]後期の[[近江商人]]の[[亀屋左京]]が[[艾]]を商い、[[江戸]][[吉原]]の[[遊女]]に「江州柏原、伊吹山の麓の亀屋左京の切り艾」と言う歌を教え込み、歌の流行につれ伊吹艾(いぶきもぐさ)の名が全国に広まるようになった。滋賀県米原市[[柏原宿]]には、最盛期には10軒以上の艾屋があった<ref name="草川 (2006)、32頁" />。現在も[[合名会社]]亀屋佐京商店が営業を続けている<ref name="草川 (2006)、32頁" />。


岐阜県の春日村では薬草仲買人の小寺甚五郎により薬草の買入帳と売上帳が残され、売買された薬草の品目と取引量などが記録されている<ref>[[#小寺甚五郎の記録(第1報)|高木 (1996)、200-203頁]]</ref><ref>[[#小寺甚五郎の記録(第2報)|高木 (1997)、159-164頁]]</ref><ref>[[#小寺甚五郎の記録(第3報)|高木 (1997)、156-158頁]]</ref>。
=== 登山コース ===
[[File:Trail of Mount Ibuki.jpg|thumb|right|五合目から山頂へと続く上野[[登山道]]<br />六合目には避難小屋がある]]
いくつかある[[登山道]]のうち、米原市上野にある登山口から伊吹山スキー場を通過して南斜面を直登するルートが多く利用されている。このルートの一部にもなっている[[滋賀県道268号伊吹山上野線]]は3合目まで自動車が通行できるように整備されているが、一般車両の通行は禁止されている。あるいは3合目まで[[索道|ゴンドラリフト]]を利用して、3合目からこのルートで登ることもできる。3合目付近は野草が群生していて3合目だけを観光に訪れる人もいる。3合目から5合目まではスキー場跡地を登り、夏期は[[キャンプ]]施設や休憩施設、売店小屋が営業している。このルートは全般的に谷間や森を通らないため、展望は開けるが日差しを遮るものがない。冬は積雪量が多く厳しいルートとなる場合がある<ref name="guide">{{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=7 |title=改訂新版 名古屋周辺の山 |publisher=山と溪谷社 |pages=pp.276-277 |isbn=9784635180177}}</ref>。


[[ヨモギ]]、[[トウキ]]、[[センキュウ]]が「伊吹三大薬草」とされている<ref name="草川 (2006)、32頁" />。さらに多くの植物を配合して「伊吹百草」の名で百草茶や入浴剤などが周辺の山麓で生産されていた<ref name="草川 (2006)、32頁" />。
山頂には複数の売店が営業していて、季節によっては一部の店が日中の売店営業だけでなく夜間登山の仮眠所として開いている。山頂から日の出を迎えるために夜間登山も盛んに行われ、週末の深夜などは登山者が携行する電灯が山肌に列をなして見られることがある。


山麓では薬草に関する以下の施設がある。
=== 観光施設 ===
* ジョイ伊吹(伊吹薬草の里文化センター) - 滋賀県米原市春照37
; 伊吹山パラグライダースクール
* 伊吹山文化資料館 - 滋賀県米原市春照77
: 1合目に事務所を構え、[[パラグライダー]]の講習や体験飛行を行っている。[[2009年]][[10月4日]]には{{要出典範囲|[[乱気流]]が原因と考えられる|date=2013年11月}}墜落事故が2件発生し1人が死亡した<ref>[https://web.archive.org/web/20100901184145/http://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/jiko_hodosokuho.html 事故報道速報](安全性委員会 (JHSC) ) - (公財)日本ハング・パラグライディング連盟(2009年10月5日の記事を参照、2013年11月14日閲覧) ※[[インターネット・アーカイブ]]</ref>。
* かすがモリモリ村 - 揖斐川町春日六合3429番地<ref>{{Cite web |url=http://morimorimura.com/ |title=かすがモリモリ村リフレッシュ館 |publisher=かすがモリモリ村リフレッシュ館 |accessdate=2014-06-28}}</ref>
; さざれ石公園
: 東山麓の揖斐川町にあり、本の[[国歌]]「[[君が代]]」にも詠まれる[[さざれ石]]が伊吹山で採掘されると説明している<ref>{{Cite web|url=http://www.town.ibigawa.lg.jp/kankoujyouhou/nature/sazareisi.html |title=さざれ石公園 |publisher=揖斐川町 |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 文化博物館 - 揖斐川町美束1902−183<ref>{{Cite web |url=http://www1.town.ibigawa.lg.jp/cms/contents_detail.php?co=cat&frmId=29&frmCd=2-4-10-0-0 |title=春日森の文化博物館施設 |publisher=揖斐川町 |date=2010-04-01 |accessdate=2014-06-28}}</ref>
; [[伊吹山ドライブウェイ]]
=== 伊吹山薬草サミット ===
[[1998年]](平成2年)に、伊吹山麓周辺の自治体により、「伊吹山薬草サミット」が設立された。薬草のヤクの[[語呂合わせ]]として毎年[[8月9日]]に、サミット会議およびオープンサミットが開催されている<ref name="伊吹山薬草サミット">{{Cite web |url=http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/1_all/jirei/2002_machidukuri/11ibuki/1101.htm |title=伊吹山薬草サミット |publisher=伊吹山薬草サミット実行委員会 |accessdate=2014-06-28}}</ref>。会場周辺において構成市町村の薬草を利用した物産販売を実施するなどの事業が行われている<ref name="伊吹山薬草サミット" />。参加自治体は、岐阜県大垣市、養老町、上石津町、関ヶ原町、揖斐川町、大野町、[[池田町 (岐阜県)|池田町]]および滋賀県米原市、[[長浜市]]で、伊吹山薬草サミット実行委員会の事務局は、大垣市経済部農務課内に置かれている<ref name="伊吹山薬草サミット" />。初回は1998年に、伊吹山の東山麓の薬草の生産地である揖斐川町[[春日村 (岐阜県)|春日]]のさざれ石公園で開催された<ref name="伊吹山薬草サミット" />。
: {{main|伊吹山ドライブウェイ}}[[岐阜県]][[関ケ原町]]から東尾根を登って9合目まで至る有料道路で、9合目には500台以上を収容できる駐車場のほか、展望設備や飲食店、売店を営業している。この道路を利用した自転車[[ヒルクライム]]競技も行われている。


== 交通 ==
== 登山 ==
[[ファイル:Ibukiyama flowers 2008-11-2etc.jpg|サムネイル|右|伊吹山の風景と植物]]
; 公共交通機関
明治以降に近代登山の対象となった<ref name="草川 (2006)、11頁" />。伊吹山の麓は古くから交通の要所であったため交通の便が良く、[[中京圏]]や[[京阪神]]からも日帰り登山が行われている。1965年には伊吹山ドライブウェイが開通してバスや自家用車で9合目まで訪れることができるようになり、山頂を訪れる観光客が増加した。7-8月には山頂で[[ご来光]]を迎える夜間登山者もある<ref name="与呉 (2011)、98-101頁" /><ref name="余呉 (2010)、328-329頁">[[#名古屋周辺の山|余呉 (2010)、328-329頁]]</ref><ref>[[#滋賀県の山|片岡 (2000)、8-9頁]]</ref>。[[1915年]](大正4年)3月に、中山再次郎が積雪期に登頂した<ref name="草川 (2006)、102頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、102頁]]</ref>。登山適期は4月から11月中旬頃までで、冬は積雪量が多くラッセルが必要となり、強風で厳しいルートとなる場合がある<ref name="余呉 (2010)、328-329頁" /><ref name="与呉 (2010)、276-277頁">[[#名古屋周辺の山|与呉 (2010)、276-277頁]]</ref>。
: 上野登山口へは、[[東海旅客鉄道|JR東海]]の[[東海道本線]][[近江長岡駅]]が最寄りの鉄道駅で、5km弱の道のりである。登山口近くには「伊吹登山口」[[バス停留所|バス停]]があり、近江長岡駅または[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の[[北陸本線]][[長浜駅]]から[[湖国バス]]が路線バスを運行している<ref>{{Cite web|url=http://www.ohmitetudo.co.jp/bus/index.htm |title=近江鉄道バス・湖国バス |publisher=近江鉄道グループ |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
=== 登山ルート ===
: 伊吹山ドライブウェイの9合目駐車場へは、JR西日本の東海道本線[[大阪駅]]桜橋口またはJR東海の東海道本線[[名古屋駅]]から[[名神ハイウェイバス]]を運行しているほか、夏期にはJR東海の東海道本線[[大垣駅]]と[[関ヶ原駅]]から[[名阪近鉄バス]]が路線バスを季節運行している。
[[ファイル:Trailhead of Mount Ibuki.JPG|サムネイル|右|200px|上野登山口、2014年に設置された入山協力金徴収所]]
; 自動車
[[ファイル:Trail of Mount Ibuki.jpg|サムネイル|右|200px|五合目から山頂へと続く上野[[登山道]]<br />六合目には避難小屋がある]]
: 上野登山口へは、[[北陸自動車道]]の[[長浜インターチェンジ]]または[[名神高速道路]]の[[関ヶ原インターチェンジ]]から[[国道365号]]や[[滋賀県道551号山東伊吹線]]を経由して10km程度の道のりで、登山口近くでは民間駐車場が営業している。
伊吹山に登頂する[[登山道]]は、滋賀県側の南西山麓の米原市上野からのルートのみである<ref name="草川 (2006)、34頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、34頁]]</ref>。このルートへは弥高尾根(やたかおね)と上平寺尾根(じょうへいじおね)が合流していて、熟達者によりバリエーションルートとして利用されることがある<ref name="草川 (2006)、34頁" />。この尾根は上部で合流して山頂まで延びる中尾根と呼ばれ、かつては山頂に至る道があったとされている<ref name="草川 (2006)、40頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、40頁]]</ref>。中尾根の途中から川戸谷を横切って南東尾根から笹又に至る横がけ道があったことが『[[伊吹町]]史』に記録されている<ref name="草川 (2006)、40頁" />。9合目から山頂部にかけてはロープが張られたお花畑の遊歩道が整備されている<ref>[[#花の百名山地図帳|与呉 (2007)、206-207頁]]</ref>。
: 伊吹山ドライブウェイ入口へは、関ヶ原インターチェンジから[[国道365号]]を経由して3km程度の道のりである。
==== 上野登山道 ====
* 登山経路:米原市上野(バス停、伊吹山観光案内所) - 1合目(伊吹高原荘) - 1合目トイレ - 3合目トイレ(伊吹山ゴンドラ終点) - 5合目(売店・休憩所) - 6合目避難小屋 - 9合目(山頂遊歩道) - 伊吹山
大部分の登山者が正面登山道を利用していて、年間利用者は約30,000人<ref name=rejuvenation />。登山口には、三之宮神社、バス停、公衆トイレ、伊吹山観光案内所、売店などがある<ref name="草川 (2006)、45頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、45頁]]</ref>。[[登山計画書|登山届]]記入提出場所がある。2014年には、伊吹山入山協力金徴収施設が設置された。登山口付近には、「ケカチの水」と呼ばれる[[湧水]]がある<ref name="吉川 (2005)、63頁">[[#岐阜の山旅|吉川 (2005)、63頁]]</ref><ref group="注釈">ケカチの水の湧水は、現地の案内板では生水は飲めませんとの表示がなされている。</ref>。1合目付近には伊吹山高原荘の民宿やパラグライダースクールがあり、1合目上部の旧伊吹山スキー場の草地のゲレンデ跡地はパラグライダーの練習場と離陸・着陸場所となっている<ref name="草川 (2006)、45頁" />。登山口、1合目、3合目、山頂にはトイレが整備されている。[[タクシー]]を利用して、林道を通り3合目から入山することもできる。伊吹山ゴンドラを利用して3合目まで上がることもできる(2014年は営業が行われていない<ref>{{Cite web |url=http://www.biwako-visitors.jp/search/spot.php?id=3775 |title=伊吹山 |publisher=[[公益社団法人]]びわこビジターズビューロー |date=2014-01-10 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。)。このルートの一部にもなっている[[滋賀県道268号伊吹山上野線]]は3合目まで自動車が通行できるように整備されているが、一般車両の通行は禁止されている。3合目付近は野草が群生していて3合目だけを観光に訪れる人もいる。3合目から5合目まではスキー場跡地を登り、夏期は[[キャンプ]]施設や休憩施設、売店小屋が営業している。5合目から9合目にかけては次第に急勾配となり、[[つづら折れ]]の登山道が続く<ref name="御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図">[[#山と高原地図|御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図]]</ref>。このルートは下部の植林地の樹林帯を除き全般的に谷間や森を通らないため、展望は開けるが日差しを遮るものがないため日差しを受けるため帽子などの暑さ対策が必要となる<ref name="余呉 (2010)、328-329頁" />。山域によっては[[ヤマビル]]の被害にあることがある<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、91頁]]</ref>。
==== 弥高尾根 ====
[[ファイル:Suzuka Mountains from Mount Ibuki s4.JPG|サムネイル|右|200px|9合目から望む弥高尾根と上平寺尾根(左)、上野登山道(右)、遠景は[[鈴鹿山脈]]]]
* 登山経路:米原市弥高 - 悉地院 - カミ山地蔵堂 - 弥高百坊跡 - 大掘切 - 四等三角点「城跡」(標高838.7 m)<ref name="kijyun" /> - 標高点890 m - 5合目(上野登山道に合流)<ref name="青木 (2014)、71頁">[[#伊吹山花散歩|青木 (2014)、71頁]]</ref>
三角点「城跡」(標高838.7 m)で上平寺尾根と合流した先からは、手入れされていないヤブ漕ぎのはっきりしない道となる<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、42頁]]</ref>。尾根からトラーバースする経路で上野登山道の5合目に合流する<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、43頁]]</ref>。上級者向けルート。コース上では色々なスミレが見られる<ref name="青木 (2014)、71頁" />。
==== 上平寺尾根 ====
* 登山経路:米原市上平寺 - 伊吹神社 - 上平寺尾根 - 上平寺[[城跡]] - 四等三角点「城跡」(標高838.7 m)- 標高点890 m - 5合目(上野登山道に合流))<ref name="青木 (2014)、71頁" />
登道上には上平寺城[[本丸]]跡の草地の広場がある<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、38頁]]</ref>。三角点「城跡」(標高838.7 m)<ref name="kijyun" />で弥高尾根のルートに合流する<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、39頁]]</ref>。上級者向けルート。コース上では色々なスミレが見られる<ref name="青木 (2014)、71頁" />。
==== 笹又道 ====
[[ファイル:Hiking trail for Shizumagahara.JPG|サムネイル|右|200px|笹又から静馬ヶ原へ向かう登山道]]
* さざれ石公園 - 段々畑 - 駐車場 - 静馬ヶ原 - (伊吹北尾根)<ref>[[#伊吹山花散歩|青木 (2014)、121頁]]</ref>
岐阜県側の揖斐川町春日川合のさざれ石公園から静馬ヶ腹に至る登山道がある。さざれ石公園の駐車場には管理棟があり、薬草などが販売されていた<ref>[[#岐阜の山旅|吉川 (2005)、67頁]]</ref>。下部は針葉樹の植林地で林道の上部には農地への舗装された林道がある。薬草などが栽培されている農地の周囲には鹿などによる害獣対策として防護柵が設置され、登山者用の出入り口の扉がある。斜面の上部で尾根道に合流し、伊吹山ドライブウェイと並行するようにその少し下側のトラバース道となり、伊吹山から分かれた北尾根の付け根となるコルに至るがある<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、54頁]]</ref>。このコルは笹原が広がり静馬ヶ原と呼ばれ、伊吹北尾根縦走路の起点となるがある<ref name="草川 (2006)、55頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、55頁]]</ref>。伊吹山ドライブウェイは歩行禁止のため、伊吹山の山頂部へ行くことはできない<ref name="草川 (2006)、55頁" /><ref name="御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図" />。このルートは早春から花の多い静かなルートである<ref name="草川 (2006)、55頁" />。
==== 伊吹北尾根縦走路 ====
[[ファイル:Mount Ibuki from Mount Goza.JPG|サムネイル|右|200px|御座峰から望む伊吹北尾根の登山道、右奥に伊吹山]]
伊吹山から北東に派生した尾根のピーク(四等三角点「元地」、標高1206.3 m)から、静馬ヶ原のコル、御座峰(ござみね、三等三角点「板波」、標高1,070.04 m<ref name="kijyun" />)、大禿山(おおはげやま、標高1,083 m)、国見岳(標高1,126 m)を経て国見峠に至る岐阜県と滋賀県境の尾根は、'''伊吹北尾根'''と呼ばれている<ref name="余呉 (2010)、276-277頁">[[#名古屋周辺の山|余呉 (2010)、276-277頁]]</ref>。静馬ヶ原から国見峠までの尾根は笹藪と雑木に覆われていて歩行困難であったが、大垣山岳協会の延べ1,000人程の会員により、1960年(昭和35年)から3年がかりで藪などが切り開いて伊吹北尾根縦走路が開設された<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、56頁]]</ref>。大垣新道と呼ばれることもあり毎年麓の揖斐川町春日の人々による整備が行われている<ref name="吉川 (2005)、65頁">[[#岐阜の山旅|吉川 (2005)、65頁]]</ref>。御座峰の山頂にはこの縦走路開削を記念して、1999年(平成11年)10月に大垣山岳協会により記念の案内板が設置された<ref name="吉川 (2005)、65頁" />。国見岳へは国見峠からの尾根道の他に、国見峠の林道北東側下部の金石の清水を登山口とするルートもある<ref name="余呉 (2010)、276-277頁" />。大禿山の山頂は見晴らしがよく、360度の展望が広がる<ref name="余呉 (2010)、276-277頁" />。登山適期は4月中旬から11月中旬頃までで<ref name="余呉 (2010)、276-277頁" />、登山道では春に[[ザゼンソウ]]、[[フタバアオイ]]、[[ヤマブキソウ]]など多くの花が見られる<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、57頁]]</ref>。伊吹山のメインの上野からの登山道と比べて知名度が低いため利用者が少ないが、静かな豊富な植物相を楽しむ山歩きができる<ref>[[#隠れた名山64|松井 (1995)、118-121頁]]</ref>。
=== 山小屋と施設 ===
[[ファイル:Mountain huts and shops on Mount Ibuki s1.JPG|サムネイル|右|200px|山頂の売店を兼ねた山小屋]]
山頂には5軒の売店が営業していて、季節によっては一部の店が日中の売店営業だけでなく夜間登山の仮眠所(収容人数350人)として開いている<ref name="余呉 (2005)、244-245頁" /><ref name="山の便利手帳 (2010)、178頁">[[#山の便利手帳|山の便利手帳 (2010)、178頁]]</ref>。営業期間外は閉鎖される<ref name="山の便利手帳 (2010)、178頁" />。山頂から日の出を迎えるために夜間登山も盛んに行われ、週末の深夜などは登山者が携行する電灯が山肌に列をなして見られることがある。上野からの登山道の3合目には自生する山野草の観察路が設置され、5合目には売店、自動販売機、休憩所があり<ref group="注釈">5合目に設置されていた古いトイレは撤去された。</ref><ref name="吉川 (2005)、63頁" />、6合目には米原市により[[避難小屋]]が設置されている。3合目の伊吹山ゴンドラ終点駅の高台には、伊吹高原ホテルの建物があるが営業されていない。山頂部にある伊吹山寺の[[お堂]]は、冬期に緊急避難場所として一部が開放されることがある。山頂一帯は[[テント]]泊などの[[キャンプ]]が禁止されている<ref name="御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図" />。山頂の一等三角点の近くには伊吹山測候所があったが、2001年に観測業務を終了し、2010年に撤去された。
== 観光 ==
麓から山頂直下に至る伊吹山ドライブウェイが、[[ドライブ]]の自家用車や[[観光バス]]、[[路線バス]]などにより利用されている。終点の駐車場からは、山頂部の自然庭園のお花畑をめぐる遊歩道が整備され、山頂部には売店群がある。
=== 伊吹山ドライブウェイ ===
[[ファイル:Ibukiyama Drive Way (Joheijigoe parking s2).JPG|サムネイル|右|200px|山頂部から望む[[伊吹山ドライブウェイ]]とその上平寺越駐車場]]
[[岐阜県]][[関ケ原町]]から東尾根を登って9合目まで至る有料道路で、9合目には500台以上を収容できる駐車場のほか、展望設備や飲食店、売店を営業している。この道路を利用した自転車[[ヒルクライム]]競技も行われている。山上で[[猛禽類]]などの[[野鳥観察]]のために利用されることもある。2013年に終点駐車場の観光施設が建て替えられて、スカイテラス伊吹の展望台が設置された。積雪期には営業を休止し閉鎖される。{{main|伊吹山ドライブウェイ}}
=== 山頂遊歩道 ===
山頂周辺には[[高山植物]]を含む野草群落が花畑として保護されており、夏季には色とりどりの百花繚乱のお花畑となる<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />。伊吹山ドライブウェイ終点の駐車場からは遊歩道が整備されている。遊歩道は3本が整備されていて、20分ないし40分程度で山頂に到達できる<ref>{{Cite web|url=http://www.ibukiyama-driveway.jp/enjoy/climbing/index.html|title=伊吹山ドライブウェイ|publisher=日本自動車道株式会社|accessdate=2013-11-14}}</ref>。年間約30万人の利用者がある<ref name=rejuvenation />。
* 西遊歩道
* 中央遊歩道
* 東遊歩道(下り専用)
=== 伊吹山文化資料館 ===
南西山麓の滋賀県米原市春照77に、1998年(平成10年)3月に、「伊吹山地とその山麓の自然と文化」を主なテーマとした「'''伊吹山文化資料館'''」が開設された<ref name="joyibuki-culture" />。
=== 伊吹薬草の里文化センター ===
南西山麓の滋賀県米原市春照37に、「'''伊吹薬草の里文化センター'''」(ジョイ伊吹)の複合施設が開設されている<ref>{{Cite web |url=http://joyibuki.info/culture.php |title=伊吹薬草の里文化センターへようこそ |publisher=公益財団法人伊吹山麓スポーツ文化振興事業団 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。薬草の古い歴史をもつ旧伊吹町により、前庭に野草園が開設されている。生涯学習センター、 図書室 、ジョイホール、グロウブステージ、薬草湯などの施設がある。薬草湯の[[入浴施設]]には[[露天風呂]]があり、北東に伊吹山を望むことができる。
=== 夢高原かっとび伊吹 ===
[[ファイル:Kattobi ibuki 5s.jpg|サムネイル|右|200px|毎年開催されている山岳マラソンの夢高原かっとび伊吹(5合目登山道の様子)]]
毎年8月下旬の日曜日に、山岳[[マラソン大会]]の「夢高原かっとび伊吹」が開催されている<ref>{{Cite web |url=http://kattobi.chekipon.jp/ |title=夢高原かっとび伊吹 |publisher=夢高原かっとび伊吹 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。滋賀県米原市にある伊吹薬草の里文化センターを起点として、伊吹山の頂上をゴールとする約10kmのコース。前半のスタート地点から一合目までは舗装路(約4.5 km)で、後半の一合目から山頂までは登山道(約5.5 km)、高低差(1,197 m)。約1,000人ほどが参加している。
=== 伊吹山パラグライダースクール ===
上野からの伊吹山登山道の1合目上部の旧伊吹山スキー場のゲレンデが、[[パラグライダー]]発着場として利用されている<ref name=rejuvenation />。1合目に事務所を構え、パラグライダーの講習や体験飛行を行っている。[[2009年]][[10月4日]]には{{要出典範囲|[[乱気流]]が原因と考えられる|date=2013年11月}}墜落事故が2件発生し1人が死亡した<ref>[https://web.archive.org/web/20100901184145/http://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/jiko_hodosokuho.html 事故報道速報](安全性委員会 (JHSC) ) - (公財)日本ハング・パラグライディング連盟(2009年10月5日の記事を参照、2013年11月14日閲覧) ※[[インターネット・アーカイブ]]</ref>。
=== さざれ石公園 ===
[[ファイル:Limestone Conglomerate park 2011-03-06.jpg|サムネイル|右|岐阜県揖斐川町のさざれ石公園にある岐阜県の天然記念物「笹又の石灰質角礫巨岩」]]
東山麓の揖斐川町にあり、日本の[[国歌]]「[[君が代]]」にも詠まれる[[さざれ石]]が伊吹山で採掘されると説明している<ref>{{Cite web|url=http://www.town.ibigawa.lg.jp/kankoujyouhou/nature/sazareisi.html |title=さざれ石公園 |publisher=揖斐川町 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。[[1977年]](昭和52年)11月18日に、西山腹の岐阜県揖斐郡揖斐川町の「笹又の石灰質[[角礫岩|角礫]]巨岩」(重さ約50 [[トン|t]])が、岐阜県の天然記念物の指定を受けた<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kyoiku-bunka-sports/bunka-geijutsu/bunkazai-zuroku/bunkazai-zuroku/tenki/ibigawachou/kyogan.html |title=笹又の石灰質角礫巨岩 |publisher=岐阜県 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。[[伊吹北尾根の登山口となっている。
=== 伊吹山スキー場 ===
伊吹山は[[関西地方]]での[[スキー]]発祥の地として知られている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、100頁]]</ref>。[[1916年]](大正5年)春に中山再次郎が関西地方で初めてとなるスキー大会を伊吹山で開催し、3合目には関西地方のスキー普及尽力した中山再次郎<ref>{{Cite web |url=http://www.city.kyotango.kyoto.jp/museum/kodainosato/kikaku.pdf |title=郷土史の黎明~明治時代の丹後地域~ |publisher=[[京丹後市]] |format=PDF |pages=3 |accessdate=2014-06-22}}</ref>の胸像が建てられている<ref name="草川 (2006)、102頁" />。古くから[[近江鉄道]]が南斜面で[[伊吹山スキー場]]を運営していた。年間約30,000人の利用者があった<ref name=rejuvenation />。2005年に撤退し譲渡され「ピステジャポン伊吹」として再開したものの、2008年から休業し、その後リフトは撤去されスキー場は閉鎖された。{{main|伊吹山スキー場}}


== 地理 ==
== 地理 ==
[[ファイル:Yoro Mountains and Suzuka Mountains from Mount Ibuki.JPG|サムネイル|右|伊吹山から望む[[養老山地]]と[[鈴鹿山脈]]、これらに囲まれた[[関ケ原町]]中心部などは狭小地となり、歴史的にも交通の要所となっている。]]
山頂からは360度にわたって遠方を見渡すことができ、[[琵琶湖]]、[[白山]]、[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]、[[濃尾平野]]などが展望できる。
伊吹山は[[本州]]のほぼ中央にあり、[[若狭湾]]と[[伊勢湾]]に挟まれた、狭ばった地理に位置する<ref name="草川 (2006)、9頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、9頁]]</ref>。伊吹山と南の[[養老山地]]と[[鈴鹿山脈]]に挟まれた南山麓の[[関ケ原町|関ケ原]]は、歴史的にも[[東国]]と[[西国]]との[[関所|関門]]として交通の要所となっている<ref name="草川 (2006)、10頁" />。

=== 周辺の主な山 ===
=== 伊吹 ===
[[両白山地]](越美山地)の南端の三国岳([[福井県]]、岐阜県、滋賀県との県境)から伸びる尾根を中心とした[[伊吹山地]]の最高峰<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" /><ref name="草川 (2006)、9頁" />。半[[独立峰]]で、伊吹山地の最南端に位置する<ref name="bunka-db" />。山頂からは360度にわたって遠方を見渡すことができ、[[琵琶湖]]、[[白山]]、[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]、[[濃尾平野]]などが展望できる。南東の濃尾平野からは伊吹山を望むことができ、多くの学校の校歌で歌われている。
伊吹山は伊吹山地の最南端に位置し、北側の国見峠へ延びる稜線上の御座峰、大禿山、[[国見岳]]は、「'''伊吹北尾根'''」と呼ばれている<ref name="guide" />。
{{main|伊吹山地}}
[[File:Mount_Ibuki_from_Yoro_Mountains_2010-2-21.JPG|thumb|righ|[[養老山地]]から望む伊吹山と[[池田山]]]]
=== 伊吹北尾根 ===
[[File:Mount Haku from Mount Ibuki.jpg|thumb|right|伊吹山から望む伊吹北尾根<br />奥に[[能郷白山]]と[[白山]]]]
{{commonscat|North ridge of Mount Ibuki|伊吹北尾根}}
北側の国見峠へ延びる稜線上の御座峰、大禿山、[[国見岳]]をつなぐ尾根は、「'''伊吹北尾根'''」と呼ばれている<ref name="与呉 (2010)、276-277頁" />。
[[ファイル:North ridge of Mount Ibuki (2012-07-10).JPG|サムネイル|右|南側の静馬ヶ原方面から望む伊吹北尾根(左から国見峠、国見岳、大禿山、御座峰)]]
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
|-
|-
407行目: 495行目:
!備考
!備考
|-
|-
|[[ファイル:Kanakusodake from odugongensan 2010 3 22.jpg|80px]]
|[[ファイル:Mount Kunimi from Mount Ohage (2014-05-27).JPG|80px|南側の大禿山から望む国見岳(2014年5月27日)]]
| 国見岳
| 1,126
|
|{{direction2|NNE}} 5.0
|[[国見岳|国見岳(同名の山)]]
|-
|[[ファイル:Mount Ohage from Mount Goza.JPG|80px|南側の御座峰方面から望む大禿山(2014年5月27日)]]
| 大禿山
| 1,083
|
|{{direction2|NNE}} 4.3
|(おおはげやま)
|-
|[[ファイル:Mount Goza (North ridge of Mount Ibuki).JPG|80px|南側の静馬ヶ原方面から望む御座峰(2013年6月16日)]]
| 御座峰
| 1,070.<small>04</small>
| 三等<br />「板波」
|{{direction2|NNE}} 3.8
| (ござみね)
|}
=== 周辺の主な山 ===
南側の[[天野川 (滋賀県)|天野川]]と[[牧田川]]を挟んで、[[鈴鹿山脈]]と[[養老山地]]が対峙している。
[[ファイル:Mount_Ibuki_from_Yoro_Mountains_2010-2-21.JPG|サムネイル|右|[[養老山地]]から望む伊吹山と[[池田山]]]]
{| class="wikitable"
|-
!山容
!名称
!標高<br />(m)
!三角点等級<br />基準点名<ref name="kijyun" />
!伊吹山からの<br />方角と距離(km)
!備考
|-
|[[ファイル:Kanakusodake from odugongensan 2010 3 22.jpg|80px|小津権現山から望む金糞岳(2010年3月22日)]]
| [[金糞岳]]
| [[金糞岳]]
| 1,317
| 1,317
|
|
|{{direction|NNW}}北北西 16.0
|{{direction2|NNW}} 16.0
| 滋賀県の第2高峰
| 滋賀県の第2高峰
|-
|-
|[[ファイル:Odaniyama from Takatsuki 2009-2-8.jpg|80px]]
|[[ファイル:Odaniyama from Takatsuki 2009-2-8.jpg|80px|西方の麓から望む小谷山(2009年2月8日)]]
| 小谷山
| 小谷山
| 494.<small>52</small>
| 494.<small>52</small>
| 三等<br />「大岳」
| 三等<br />「大岳」
|{{direction|WNW}}西北西 13.2
|{{direction2|WNW}} 13.2
| <small>新・花の百名山</small>
| <small>新・花の百名山</small>
|-
|-
|[[ファイル:Mount_Ikeda_from_east_2010-5-1.JPG|80px]]
|[[ファイル:Mount Ikeda from Mount Ibuki.jpg|80px|伊吹山から望む池田山(2012年10月12日)]]
| [[池田山 (岐阜県)|池田山]]
| [[池田山 (岐阜県)|池田山]]
| 923.<small>85</small>
| 923.<small>85</small>
| 二等<br />「池田山」
| 二等<br />「池田山」
|{{direction|ENE}}東北東 10.4
|{{direction2|ENE}} 10.4
| 池田の森
| 池田の森
|- style="background-color:#ccc"
|- style="background-color:#ccc"
|[[ファイル:Ibukiyama from third point 2008-1-6.JPG|80px]]
|[[ファイル:Ibukiyama from third point 2008-1-6.JPG|80px|登山道3合目(伊吹山ゴンドラ終点駅付近)から望む伊吹山(2008年1月6日)]]
| '''伊吹山'''
| '''伊吹山'''
| 1,377.<small>31</small>
| 1,377.<small>31</small>
| 一等<br />「伊吹山」
| 一等<br />「伊吹山」
|{{direction|O}} 0
|{{direction2|O}} 0
| [[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]<br /><small>[[日本百名山]]、[[新・花の百名山]]</small>
| [[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]<br /><small>[[日本百名山]]、[[新・花の百名山]]</small>
|-
|-
|[[ファイル:Ryozensan 2008-12-8.jpg|80px]]
|[[ファイル:Ryozensan 2008-12-8.jpg|80px|西南尾根上部から望む霊仙山(2008年12月8日)]]
|[[霊仙山]]
|[[霊仙山]]
|1,094
|1,094
|(二等 1,083.<small>45</small>)<br />「霊仙山」
|(二等 1,083.<small>45</small>)<br />「霊仙山」
|{{direction|S}}南 15.5
|{{direction2|S}} 15.5
| <small>[[花の百名山]]</small>
| <small>[[花の百名山]]</small>
|-
|-
|[[ファイル:Yorosan from the foot in mountain 2008 04 20.jpg|80px]]
|[[ファイル:Yorosan from the foot in mountain 2008 04 20.jpg|80px|東方の麓の養老町から望む養老山(2008年4月20日)]]
| [[養老山 (岐阜県)|養老山]]
| [[養老山 (岐阜県)|養老山]]
| 895.<small>31</small>
| 895.<small>31</small>
| 二等<br />「養老山」
| 二等<br />「養老山」
|{{direction|SSE}}南南東 20.2
|{{direction2|SSE}} 20.2
| [[養老山地]]
| [[養老山地]]
|-
|-
|[[ファイル:Mount Oike from Zudagahira 2011-02-19.jpg|80px]]
|[[ファイル:Mount Oike from Zudagahira 2011-02-19.jpg|80px|東方の頭蛇ヶ平から望む厳冬期の御池岳(2011年2月19日)]]
| [[御池岳]]
| [[御池岳]]
| 1,247
| 1,247
|
|
|{{direction|S}}南 26.6
|{{direction2|S}} 26.6
| [[鈴鹿山脈]]最高峰<br /><small> 花の百名山</small>
| [[鈴鹿山脈]]最高峰<br /><small> 花の百名山</small>
|-
|-
|[[ファイル:Hujiwaradake from ninose 2 2010 5 15.jpg|80px]]
|[[ファイル:Hujiwaradake from ninose 2 2010 5 15.jpg|80px|東方のいなべ市北勢町二之瀬から望む藤原岳(2010年5月15日)]]
|[[藤原岳]]
|[[藤原岳]]
|1,144
|1,144
|<small>(標高未確定)</small>
|<small>(標高未確定)</small>
|{{direction|S}}南 29.1
|{{direction2|S}} 29.1
| <small>[[日本三百名山]]、花の百名山<br />新・花の百名山</small>
| <small>[[日本三百名山]]、花の百名山<br />新・花の百名山</small>
|}
|}
=== 周辺の峠 ===

* 静馬ヶ原 - 山頂の北東1.6 kmの伊吹山と御座峰との[[峠|鞍部]]、標高約1,100 m、笹又からの登山道と伊吹北尾根との合流点。
* 国見峠 - 山頂の北5.5 kmの国見岳と虎子山との鞍部、標高約840 m、[[岐阜県道32号春日揖斐川線]]と[[滋賀県道・岐阜県道40号山東本巣線]]を結ぶ林道が通る。伊吹北尾根の登山道の登山口。
=== 源流の河川 ===
=== 源流の河川 ===
[[ファイル:Lake Biwa (from Mount Ibuki s5).jpg|サムネイル|右|伊吹山の北西面を巻き琵琶湖へと注ぐ[[姉川]]]]
伊吹山を源とする[[河川]]には、[[琵琶湖]]へ流れる淀川水系と、濃尾平野の河川へ流れる木曽川水系がある。
伊吹山を[[水源|源]]とする[[河川]]には、[[琵琶湖]]へ流れる淀川水系と、濃尾平野の河川へ流れる木曽川水系がある。伊吹山と伊吹北尾根はその西側の淀川水系と東側の木曽川水系との[[分水界]]となっている<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。
* [[姉川]](淀川水系)
* [[姉川]](淀川水系)
* 長谷川(木曽川水系、[[粕川 (岐阜県) |粕川]]の[[支流]])
* 長谷川(木曽川水系、[[粕川 (岐阜県) |粕川]]の[[支流]])
* [[藤古川]](木曽川水系、[[牧田川]]の支流)
* [[藤古川]](木曽川水系、[[牧田川]]の支流)
* [[相川 (岐阜県)|相川]](木曽川水系、牧田川の支流)
* [[相川 (岐阜県)|相川]](木曽川水系、牧田川の支流)
=== 交通・アクセス ===
; 公共交通機関
: 上野登山口へは、[[東海旅客鉄道|JR東海]]の[[東海道本線]][[近江長岡駅]]が最寄りの鉄道駅で<ref group="注釈">伊吹山は近江長岡駅の北北東7.1 kmに位置する。</ref><ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />、5km弱の道のりである。登山口近くには「伊吹登山口」[[バス停留所|バス停]]があり、近江長岡駅または[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の[[北陸本線]][[長浜駅]]から[[湖国バス]]が路線バスを運行している<ref>{{Cite web|url=http://www.ohmitetudo.co.jp/bus/index.htm |title=近江鉄道バス・湖国バス |publisher=近江鉄道グループ |accessdate=2011-04-07}}</ref>。登山口の3合目まで[[タクシー]]を利用することもできる<ref name="与呉 (2011)、98-101頁" />。
: 伊吹山ドライブウェイの9合目駐車場へは、JR西日本の東海道本線[[大阪駅]]桜橋口またはJR東海の東海道本線[[名古屋駅]]から[[名神ハイウェイバス]]を運行しているほか、夏期にはJR東海の東海道本線[[大垣駅]]と[[関ヶ原駅]]から[[名阪近鉄バス]]が路線バスを季節運行している。
[[ファイル:Mount Ibuki from Ibukinosato.JPG|サムネイル|右|[[道の駅伊吹の里]]の2階展望デッキから望む伊吹山]]
; 自動車
: 上野登山口へは、[[北陸自動車道]]の[[長浜インターチェンジ]]または[[名神高速道路]]の[[関ヶ原インターチェンジ]]から[[国道365号]]や[[滋賀県道551号山東伊吹線]]を経由して10km程度の道のりで、登山口近くでは民家や民間の有料[[駐車場]]がある。
: 伊吹山ドライブウェイ入口へは、関ヶ原インターチェンジから[[国道365号]]を経由して3km程度の道のりである。
: 南西山麓を通る[[坂浅東部広域農道]]沿いの[[滋賀県道・岐阜県道40号山東本巣線|滋賀県道40号山東本巣線]]との交差点南西部に[[道の駅伊吹の里]]があり、2階には伊吹山展望デッキがある。

== 伊吹山の風景 ==
=== 各方面からの山容 ===
麓の[[近江盆地]]、[[濃尾平野]]、東海道本線や[[東海道新幹線]]の車窓などからもそのどっしりとした山容を望むことができる<ref name="余呉 (2010)、328-329頁" />。西斜面では石灰岩採掘のために削り取られた山肌が目立っている<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="余呉 (2005)、244-245頁" /><ref name="大坪 (1987)、175頁" />。西山麓の米原市の[[三島池]]からもその山容を望むことができ<ref name="日本の山1000 (1992)、529頁" />、名景とされている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、2頁]]</ref>。南側にある清滝山(標高439 m)の山頂は、伊吹山を間近に望むことができる展望台となっている<ref>[[#滋賀県の山|片岡 (2000)、10-11頁]]</ref>。東の池田山からは山容を望むことができるが、南東にある南宮山の登山道からは、ほとんど山容を望むことができない<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、104頁]]</ref>。南南東の養老山地の[[笙ヶ岳]]からは山容を望むことができるが、[[養老山 (岐阜県)|養老山]]からは望むことができない。南の鈴鹿山脈の霊仙山からは、どっしりとした山容を望むことができる<ref>[[#鈴鹿を歩く|吉住 (1995)、35頁]]</ref>。
<gallery widths="150" heights="100">
Mount Ibuki from Mount Ikeda.jpg|東の[[池田山 (岐阜県)|池田山]]より、山腹に伊吹山ドライブウェイが通る<br />(2011年11月27日)
Mount Ibuki from Ibi River 1998-02-16.jpg|南東の[[濃尾平野]][[揖斐川]]左岸より<br />(1998年2月16日)
Mount Ibuki (from Maibara Kashiwabara).JPG|南山麓の米原市柏原より<br />(2012年9月25日)
Mount Ibuki from Mount Ryozen (2013-05-17 s2).JPG|南の[[鈴鹿山脈]][[霊仙山]]より<br />(2013年5月27日)
Pond Mishima and Mount Ibuki.jpg|南西山麓の[[三島池]]より<br />(2011年2月16日)
Mount Ibuki (from Kohoku mizudori station).JPG|西の[[道の駅湖北みずどりステーション]]より<br />(2014年2月18日)
Mount Ibuki from Shizumagahara.jpg|北の伊吹北尾根より<br />(2011年3月6日)
</gallery>
=== 伊吹山からの展望 ===
{{Commonscat|Views from Mount Ibuki|伊吹山からの展望}}
山上部からは伊勢湾、南宮山、[[養老山地]]、霊仙山から南に連なる[[鈴鹿山脈]]、[[近江盆地]]、[[琵琶湖]]と対岸の[[比良山地]]などの山並み、金糞岳などの奥美濃の山々、[[能郷白山]]、[[白山]]などの両白山地、[[乗鞍岳]]などの[[北アルプス]]、[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]、[[中央アルプス]]とその稜線越しに[[南アルプス]]の山並みなどを望むことができる<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" /><ref name="余呉 (2010)、328-329頁" />。
<gallery widths="150" heights="100">
Sunrise from Mount Ibuki (2013-09-21).JPG|東側の展望、[[中央アルプス]][[恵那山]]からのご来光
Ogaki from Mount Ibuki.JPG|南東の展望、[[濃尾平野]](中央は[[大垣市]])
Suzuka Mountains from Mount Ibuki.jpg|南側の展望、[[鈴鹿山脈]]
Lake Biwa (from Mount Ibuki s3).JPG|西の展望、[[近江盆地]]と[[琵琶湖]]
Lake Biwa and Nagahama from Mount Ibuki s2.JPG|北西の展望、近江盆地の[[長浜市]]と琵琶湖に浮かぶ[[竹生島]]
Mount Kanakuso from Mount Ibuki winter.jpg|北側の展望、[[能郷白山]]や[[白山]]
Mount Haku and Odu three Mountains from Mount Ibuki.jpg|北北東側の展望、[[金糞岳]]など
</gallery>


== テレビ番組 ==
== メディア ==
=== 文学 ===
* [[藤原定家]]が[[小倉百人一首]]で「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」の[[短歌]]を詠んでいる<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />。
* [[1689年]]([[元禄]]2年)秋に[[松尾芭蕉]]により「そのままよ 月もたのまし 伊吹山」の[[俳句]]が詠まれている。
* 伊吹弥三郎の[[民話]] - 伊吹山に住む力持ちの男の弥三郎の「[[琵琶湖]]の土を運んで伊吹山と[[霊仙山]]をつくった。」などの多数の怪力話が伝えられている<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.shiga.lg.jp/minwa/49/49-butai.html |title=民話でたどる滋賀の風景・伊吹弥三郎 |publisher=滋賀県 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。伊吹山中では「弥三郎岩屋」などの弥三郎伝説に因んだ地名が残されている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、112頁]]</ref>。
=== 関連書籍 ===
* {{Cite journal |和書 |author=|title=伊吹山薬用植物目録 |date=1937 |publisher=滋賀県経済部林務課 |url=http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN13751023}}
* {{Cite book|和書 |author=大川勝德 |date=2012-06-01 |title=伊吹山の花図鑑―350種 |publisher=[[岐阜新聞社]] |isbn=978-4877971793}}
* {{Cite book|和書 |author=福永円澄 |date=2005-06-25 |title=伊吹百草 |publisher=[[サンライズ出版]] |isbn=4883251489}}
* {{Cite book|和書 |author=村瀬忠義、草川啓三、須藤一成 |year=2007 |month=5 |title=伊吹山自然観察ガイド |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=9784635420372}}
=== テレビ番組 ===
伊吹山を主題とするテレビ番組が多数放送されている。
* 『日本百名山 伊吹山』 [[NHK衛星第2テレビジョン]]、1994年4月8日放送<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999404080130168/?n=14&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=20&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 日本百名山 伊吹山(1994年4月8日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『日本百名山 伊吹山』 [[NHK衛星第2テレビジョン]]、1994年4月8日放送<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999404080130168/?n=14&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=20&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 日本百名山 伊吹山(1994年4月8日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ』 NHK衛星第2テレビジョン、1995年12月18日放送<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999512180130200/?n=7&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ(1995年12月18日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ』 NHK衛星第2テレビジョン、1995年12月18日放送<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999512180130200/?n=7&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ(1995年12月18日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『さわやか自然百景 滋賀・伊吹山』 NHK総合テレビジョン、[[さわやか自然百景]]、2003年8月31日放送<ref name="saswayaka" />
* 『さわやか自然百景 滋賀・伊吹山』 NHK総合テレビジョン、[[さわやか自然百景]]、2003年8月31日放送<ref name="saswayaka" />
* 『萌ゆるッ 山ガール!!』 [[関西テレビ放送|関西テレビ]]、2010年8月5日放送、[[谷澤恵里香]]出演<ref>{{Cite web|url=http://www.ktv.jp/sp/yamagirl/index.html |title=萌ゆるッ 山ガール!! |publisher=関西テレビ |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『萌ゆるッ 山ガール!!』 [[関西テレビ放送|関西テレビ]]、2010年8月5日放送、[[谷澤恵里香]]出演<ref>{{Cite web|url=http://www.ktv.jp/sp/yamagirl/index.html |title=萌ゆるッ 山ガール!! |publisher=関西テレビ |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『さわやか自然百景 伊吹山 春』 NHK総合テレビジョン、さわやか自然百景、2014年6月8日放送<ref>{{Cite web|url=https://www.nhk.or.jp/sawayaka/contents/program/2014/06/2014_0608_ibuki.html |title=さわやか自然百景 伊吹山 春 |publisher=NHK |accessdate=2014-06-13}}</ref>


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
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=== 注釈 ===
{{reflist}}
<div class="references-small">{{Reflist|group=注釈}}</div>
=== 出典 ===
<div class="references-small">{{Reflist|2}}</div>


== 関連書籍 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |author= |year=2003 |month=8 |title=伊吹山花 |publisher=ほおずき書籍 |isbn=4434033212}}
* {{Cite book|和書 |author=青木繁(監修)、橋本猛 |date=2014-04-02 |title=伊吹山花散歩 |publisher=[[サンライズ出版]] |isbn=978-4883255306 |ref=伊吹山花散歩}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2005 |month=7 |title=伊吹百草 |publisher=[[サンライズ出版]] |isbn=4883251489}}
* {{Cite book|和書 |author=あらたひでひろ(写真)、村瀬忠義(解説) |date=2007-07-19 |title=伊吹山のお花畑 |publisher=[[東方出版]] |isbn=9784862490735 |ref=伊吹山のお花畑}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2007 |month=5 |title=伊吹自然観察ガイド |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=9784635420372}}
* {{Cite book|和書 |author=一等三角点研究会 |year=1988 |month=11 |title=[[一等三角点百名]] |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=9784635330008 |ref=一等三角点百名山}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2009 |month=6 |title=伊吹山案内 |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=9784779503580}}
* {{Cite book|和書 |author=大川勝德 |date=2009-10-20 |title=伊吹山の植物 |publisher=幻冬舎ルネッサンス |isbn=9784779005299 |ref=伊吹山の植物}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=4 |title=改訂版 滋賀県の山 |series=新・分県登山ガイド・改訂版 |publisher=山と溪谷社 |pages=pp.50-51 |isbn=9784635023740}}
* {{Cite book|和書 |author=片岡浜子、沢原道則、山本武人、米田実 |year=2000 |month=06 |edition=改訂第2|title=滋賀県の山 |series=分県登山ガイド |publisher=山と溪谷社 |isbn=463502184X |ref=滋賀県の山}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2011 |month=2 |title=御在所・霊仙・伊吹 |series=山と高原地図2011年版 |publisher=[[昭文]] |isbn=9784398757845 |pages=}}
* {{Cite book|和書 |author=金丸勝実 |date=2001-06-10 |title=鈴鹿・伊吹 |series=花の |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635014134 |ref=花の山旅}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2011 |month=6 |title=日本百名山登山ガイド・下 |series=ヤマケイアルペンガイドNEXT |publisher=山と溪谷社 |pages= |isbn=9784635013505}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=2 |title=関西百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635530576 |ref=関西百名山地図帳}}
* {{Cite book|和書 |author=岐阜県山岳連盟 |year=1987 |month=7 |title=ぎふ百山 |publisher=[[岐阜新聞社]] |isbn=4905958474 |ref=ぎふ百山}}
* {{Cite book|和書 |author=草川啓三 |date=2009-06-19 |title=伊吹山案内―登山と山麓ウオーキング |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=9784779503580 |ref=伊吹山案内}}
* {{Cite book|和書 |year=2007 |month=03 |title=自然を読み解く山歩き |author=小泉武栄 |publisher=[[JTBパブリッシング]] |isbn=9784533066498 |ref=自然を読み解く山歩き}}
* {{Cite book|和書 |author= |date=2014-03-18 |title=御在所・霊仙・伊吹 |series=[[山と高原地図]]2014年版 |publisher=[[昭文社]] |isbn=978-4398759726 |ref=山と高原地図}}
* {{Cite book|和書 |editor=徳久球雄(編集) |date=1992-10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4-385-15403-1 |edition=修訂版 |ref=日本山名辞典}}
* {{Cite journal |和書 |author=高木朋美、田中俊弘 |title=春日村における薬草仲買人・小寺甚五郎の記録(第1報)「買入帳」と「売上帳」 |journal=薬史学雑誌 |volume=31 |number=2 |naid=10011395132 |date=1996-12-30 |publisher=日本薬史学会 |ref=小寺甚五郎の記録(第1報)}}
* {{Cite journal |和書 |author=高木朋美、田中俊弘 |title=春日村における薬草仲買人・小寺甚五郎の記録(第2報)「売上帳」に記載された地名の考察 |journal=薬史学雑誌 |volume=32 |number=2 |naid=10011395502 |date=1997-12-30 |publisher=日本薬史学会 |ref=小寺甚五郎の記録(第2報)}}
* {{Cite journal |和書 |author=高木朋美、田中俊弘 |title=春日村における薬草仲買人・小寺甚五郎の記録(第3報)「売上帳」に見られる薬草取引量と売上高および品目 |journal=薬史学雑誌 |volume=32 |number=2 |naid=10011395510 |date=1997-12-30 |publisher=日本薬史学会 |ref=小寺甚五郎の記録(第3報)}}
* {{Cite journal |和書 |author=竹内望、角川咲江、武藤恭子 |title=伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類 |journal=日本雪氷協會雜誌 |volume=73 |number=5 |naid=10029738135 |date=2011-09-15 |publisher=[[日本雪氷学会]] |ref=伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類}}
* {{Cite book|和書 |author=竹田繁良 |date=2012-03-08 |title=伝承地でたどるヤマトタケルの足跡 尾張・美濃・近江・伊勢 |publisher=[[人間社]] |isbn=978-4931388659 |ref=ヤマトタケルの足跡}}
* {{Cite book|和書 |author=[[田中澄江]] |year=1995 |month=6 |title=[[新・花の百名山]] |publisher=[[文藝春秋]] |isbn=4-16-731304-9 |ref=新・花の百名山}}
* {{Cite book|和書 |author=豊国秀夫 |year=1988 |month=9 |title=日本の高山植物 |series=山溪カラー名鑑 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-09019-1 |ref=日本の高山植物}}
* {{Cite book|和書 |author=[[日本山岳会]] |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=ナカニシヤ出版 |isbn=4-779-50000-1 |ref=新日本山岳誌}}
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* {{Cite book|和書 |author= |year=1992 |month=8 |title=日本の山1000 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635090256 |ref=日本の山1000}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2005 |month=7 |title=日本百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-92203-0 |ref=日本百名山地図帳}}
* {{Cite book |和書 |year=1998 |month=12 |title=日本百名山登山案内 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635530175 |ref=登山案内}}
* {{Cite book |和書 |editor=山と溪谷社(編集)|date=2011-06-24 |title=日本百名山登山ガイド・下 |series=ヤマケイアルペンガイドNEXT |publisher=山と溪谷社 |isbn= 978-4635013505 |ref=ヤマケイアルペンガイドNEXT}}
* {{Cite book|和書 |editor=山と溪谷社(編集) |date=2007-06-20 |title=花の百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635922463 |ref=花の百名山地図帳}}
* {{Cite book|和書 |editor=山と溪谷社(編集) |date=1996-03 |title=花の百名山登山ガイド 下 |edition=改訂第5版 |series=目的別AGビッグフット |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635004899 |ref=花の百名山登山ガイド 下}}
* {{Cite book|和書 |author=[[深田久弥]] |year=1982 |month=7 |title=[[日本百名山]] |publisher=[[朝日新聞社]] |isbn=4-02-260871-4 |ref=深田久弥}}
* {{Cite book|和書 |author=深田クラブ |year=1987 |title=[[日本二百名山|日本200名山]] |publisher=昭文社 |isbn=4398220011 |ref=日本200名山}}
* {{Cite book|和書 |author=[[牧野富太郎]] |date=2008-02-06 |title=植物一日一題 |publisher=[[筑摩書房]] |isbn=978-4480091390 |ref=植物一日一題}}
* {{Cite book|和書 |author=松井志津子 |date=1995-06-16 |title=名古屋から行く 隠れた名山64 |publisher=七賢出版 |isbn=4883042499 |ref=隠れた名山64}}
* {{Cite book|和書 |author=安原修次 |date=2003-08-20 |title=伊吹山の花 |publisher=ほおずき書籍 |isbn=4434033212 |ref=伊吹山の花}}
* {{Cite book|和書 |year=2010 |month=12 |title=山と溪谷2011年1月号付録 |series=山の便利手帳2011 |publisher=山と溪谷社 |pages=[[ASIN]] B004DPEH6G |ref=山の便利手帳}}
* {{Cite book|和書 |author=与呉日出夫 |year=2010 |month=7 |title=改訂新版 名古屋周辺の山 |series=週末登山コースの百科事典 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635180177 |ref=名古屋周辺の山}}
* {{Cite book|和書 |author=吉川幸一 |year=2005 |month=3 |title=こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃〈上〉 |publisher=風媒社 |isbn=4833101149 |ref=岐阜の山旅}}
* {{Cite book|和書 |author=吉住友一、田中均、笠井道男、岩田好晃、山中保一 |year=1995 |month=11 |title=鈴鹿を歩く |series=フルカラー特選ガイド |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635170845 |ref=鈴鹿を歩く}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://portal.cyberjapan.jp/site/mapuse4/?crs=1&b=352504&l=1362424&z=16#crs=1&b=352504&l=1362424&z=16&zoom=15&lat=35.41851&lon=136.40458&layers=BTTT 地理院地図(電子国土Web)・地名検索「伊吹山」] [[国土地理院]]
* [http://tenki.jp/mountain/famous100/point-189.html 登山天気・伊吹山] ([[日本気象協会]])
* [http://tenki.jp/mountain/famous100/point-189.html 山の天気・伊吹山] ([[日本気象協会]])
* [http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=352504&l=1362424 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:関ヶ原] (国土地理院)
* [http://www.ibukiyama-driveway.jp/ 伊吹山ドライブウェイ]
* [http://www.ibukiyama-driveway.jp/ 伊吹山ドライブウェイ]
* {{Cite web |url=http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=key&q=%A5%A4%A5%D6%A5%AD |title=日本のレッドデータ検索システム・イブキ |publisher=エンビジョン環境保全事務局 |accessdate=2014-06-23}}
* [http://gakuen.gifu-net.ed.jp/~contents/kou_seibutu/flora/ibuki/index.htm 伊吹山(高校地学コンテンツ)] 岐阜県
* [http://www.mkb.co.jp/ 名阪近鉄バス] 山頂行きバスの時刻も掲載
* [http://www.mkb.co.jp/ 名阪近鉄バス] 山頂行きバスの時刻も掲載
* [http://heartland.geocities.jp/taizankan/ 伊吹山頂対山館]
* [http://heartland.geocities.jp/taizankan/ 伊吹山頂対山館]
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[[Category:滋賀県の自然景勝地]]
[[Category:滋賀県の自然景勝地]]
[[Category:米原市]]
[[Category:米原市]]
[[Category:揖斐川町の地理]]
[[Category:関ケ原町]]
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2014年7月30日 (水) 11:03時点における版

伊吹山
伊吹山と麓を通過する東海道新幹線(2011年2月16日)
伊吹山と麓を通過する東海道新幹線
標高 1,377.31[1] m
所在地 日本の旗 日本
滋賀県米原市
岐阜県揖斐郡揖斐川町不破郡関ケ原町
位置 北緯35度25分04秒 東経136度24分23秒 / 北緯35.41778度 東経136.40639度 / 35.41778; 136.40639座標: 北緯35度25分04秒 東経136度24分23秒 / 北緯35.41778度 東経136.40639度 / 35.41778; 136.40639[2]
山系 伊吹山地[2]
種類 堆積岩(石灰岩
伊吹山の位置(日本内)
伊吹山
伊吹山の位置
プロジェクト 山
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伊吹山(いぶきやま、いぶきさん)は、滋賀県米原市岐阜県揖斐郡揖斐川町不破郡関ケ原町にまたがる伊吹山地の主峰(最高峰標高1,377 mである[3]一等三角点が置かれている山頂部は滋賀県米原市に属し[1]滋賀県最高峰の山である。山域は琵琶湖国定公園に指定されている[4]

概要

山頂の日本武尊の石像

古くから霊峰とされ、日本書紀においてはヤマトタケルが東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあったとする神話が残されている[5]日本書紀では「五十葺山」あるいは「膽吹山」などのように記され[5]古事記では「伊服阜能山」と記述される[6][7]。かつては修験道においては「大乗峰」と呼ばれていた[3]日本百名山[8]新・花の百名山[9]一等三角点百名山[10]関西百名山[11]、近畿百名山、ぎふ百山[12]の一つに選定されている。

「伊吹山」の読み方について、国土地理院の登録された山名をはじめ、地図や道路標識などの振り仮名は「いぶきやま」となっており、伊吹山の山麓地域では「いぶきやま」と呼ばれる。一方、「いぶきさん」という呼び方も存在し[13]、滋賀県の伊吹町では「いぶきやま」、美濃尾張方面では「いぶきさん」とする名鑑がある[14]ほか、滋賀県内の伊吹山に近い地域では「いぶきやま」、遠い地域になるほど「いぶきさん」と呼ぶ傾向があるとも言われている[15]。岐阜県でも滋賀県と同様の傾向がある。滋賀県、岐阜県、愛知県三重県の多くの学校の校歌で「伊吹山」に関する語句が歌われいる[16][注釈 1][17]

歴史

山頂の伊吹山寺山頂本堂、その左に伊吹山之神「白猪」の像

古くから神が宿る山として信仰の対象であった。役小角が伊吹山に登り、弥高寺と大平寺を建立したと伝えられている[18]白山を開山した泰澄は、この山に分け入り白山信仰を伝えた[18]。三修(さんじゅ)により山上と山麓に山岳寺院が建立され、江戸時代まで山岳修行の山とされていた[18]円空は伊吹山の太平寺に暮らし、平等石(行道岩)で修業を行い、木彫仏を残している[19]室町時代後期には織田信長により、山上に野草園が造られたとされている[8]明治以降に近代登山の対象となった[20]大正には中山再次郎により、関西におけるスキーの山として注目されるようになった[20]1964年昭和39年)に深田久弥により「日本百名山」の一座に選定されると、その百名山ブームもあり全国的に登山対象の山として知名度も高まった[20]1965年(昭和40年)に伊吹山ドライブウェイが開通すると、9合目まで容易に上がれるようになり山頂部は観光地化した。

伊吹山のヤマトタケル伝説

ヤマトタケル古事記では倭建命とされ、日本書紀では日本武尊とされている。伊吹山の神は「伊吹大明神」とも呼ばれ、古事記では「牛のような大きな白猪」とされ、日本書紀では「大蛇」とされていた[21]。古事記ではヤマトタケルが宮簀媛がいる尾張に戻った時に、伊吹山に荒ぶる神がいることを聞いて、草薙剣を置いたまま伊吹山に征伐に向かった。伊吹山の神は大きな化けて行く手を遮ったり、氷雨を降らせて苦しめられ敗れたヤマトタケルは山を下った。居醒の泉(米原市醒ヶ井平成の名水百選の一つに選定されている「居醒の清水」[22])で少し回復したものの、伊勢に入った際に病はさらに悪化して亡くなったとする伝説が伝えられている[23][24]。山頂部にはその日本武尊の石像と[25]、伊吹山の神の白猪の像が設置されている。山麓の長浜市山階町の「伊吹神社」は伊吹神を祭神としている[26]

山岳宗教と伊吹山寺

伊吹山8合目西にある伊吹山寺を開いた三修が修行を行った行導岩

9世紀に伝わった密教と結びついて修験の場として、多くの寺院が山中に建立されるようになった[27]851-854年仁寿年間)に三修により、伊吹山の南側の中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立されたことが「日本三代実録」に記録されている[27]。弥高寺は伊吹山寺と呼ばれる定額寺の中心となる一つで、伊吹四大寺として他に大平寺、長尾寺、観音寺が建立され[27]、のちに伊吹護国寺となった[3]鎌倉時代には修験者による山岳宗教が発達し一時は数百の堂房が山中に建ち隆盛したが、戦国時代に兵火でほとんどが焼失し現存せずその地名が残されている[3]。弥高寺は戦国時代に京極氏浅井氏により城郭の一部として改造され、1512年永正9年)に兵火に遭い、その後ふもとに坊舎が移された[3][27]。「弥高寺跡」は1986年(昭和61年)3月28日に、滋賀県により天然記念物(史跡)の指定を受けた[27]

年表

  • 673年 - 天武天皇により麓に三関のひとつである不破関が置かれる。
  • 平安時代 - 日本七高山(近畿地方の7つの霊山)の一つに数えられる[3]
  • 712年和銅5年) - 古事記の景行記に、伊吹山にまつわる日本武尊の伝説が記される[5]
  • 851-854年仁寿年間) - 伊吹山の南側の中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立された[27]
  • 1558年永禄元年)- この年から1570年(永禄13年)の間に、織田信長が南蛮人から入手した薬草を栽培する菜園を伊吹山に作らせる[8]。その菜園には、ポルトガル人が自国で用いていた約3000千種のハーブが移植されたといわれている[28]
  • 明治末年 - 川崎義令が千種類に及ぶ薬草を採取する。
  • 1912年大正元年)10月 - 山頂の弥勒堂近くに礎石を築き、現代にも残る日本武尊の石像が供養される。
2010年まで山頂にあった伊吹山観測所

環境

気候

伊吹山は冬に日本海側からの季節風の通り道となり、濃尾平野では、冬季に北西の方角から吹く季節風を「伊吹おろし」と呼ぶ[41]

亜寒帯湿潤気候で雪も非常に多く、1927年2月14日には世界最深積雪記録となる積雪量1182cmを記録しており、現在でもこの記録は破られていない。 また、旧平年値(1971-2000)における月別平均気温は稚内とほぼ同じ値となっている[42]。 以下、データは2001年3月31日に観測を終了した伊吹山測候所の記録である。

伊吹山(標高1375.8m、平年値1971-2000)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 9.9
(49.8)
10.8
(51.4)
14.6
(58.3)
22.1
(71.8)
23.5
(74.3)
25.4
(77.7)
27.6
(81.7)
29.2
(84.6)
28.8
(83.8)
21.4
(70.5)
18.3
(64.9)
13.8
(56.8)
29.2
(84.6)
平均最高気温 °C°F −2.8
(27)
−2.6
(27.3)
1.2
(34.2)
8.6
(47.5)
13.3
(55.9)
16.3
(61.3)
20.0
(68)
21.1
(70)
17.5
(63.5)
12.2
(54)
6.5
(43.7)
0.2
(32.4)
9.3
(48.7)
平均最低気温 °C°F −7.4
(18.7)
−7.8
(18)
−4.7
(23.5)
1.3
(34.3)
6.2
(43.2)
11.1
(52)
15.1
(59.2)
15.9
(60.6)
12.2
(54)
6.1
(43)
0.7
(33.3)
−4.6
(23.7)
3.7
(38.7)
最低気温記録 °C°F −16.3
(2.7)
−16.5
(2.3)
−15.9
(3.4)
−10.0
(14)
−5.6
(21.9)
0.3
(32.5)
6.5
(43.7)
7.6
(45.7)
3.2
(37.8)
−3.6
(25.5)
−9.9
(14.2)
−14.7
(5.5)
−16.5
(2.3)
降水量 mm (inch) - - - 134.6
(5.299)
166.2
(6.543)
279.7
(11.012)
315.2
(12.409)
217.1
(8.547)
253.7
(9.988)
142.3
(5.602)
90.4
(3.559)
- -
出典1:伊吹山気温[43]
出典2:気象庁[44]

地質

西側の琵琶湖上空方面から望む伊吹山

伊吹山は約3億年前に噴火した海底火山であったとされており[45]ウミユリフズリナの化石が発見されたことから、地層には約2億5千年前の古生代に海底に堆積した層が含まれていると考えられている[7]。その時期にサンゴ礁が形成されたことで石灰質の地層が堆積した。中腹より上部は、古生代二畳紀に形成された石灰岩が広く分布している[33]。山頂部では、カレンフェルトや巨大な石灰露岩などのカルスト地形が見られる[33][46]。石灰岩には塊状の亀裂が多く、水透しが良く表土は乾燥し易い[33]。現在は良質の石灰岩が採掘される山として知られている。

湧水

山麓は湧水の里としても知られている[47]。石灰岩層は山肌に降った雨などを浸透させ、伊吹山の山麓には石灰岩層から抽出されたカルシウム分などミネラルを多く含む湧水が豊富である。このうち、米原市(旧伊吹町)にある泉神社の湧水は名水百選の一つに選ばれている。

醒ヶ井宿にある居醒の水が平成の名水百選に選ばれたほか、「春照の泉(臼谷の湧水)」が知られている。南西山麓米原市上野の伊吹山の登山口には「ケカチの水」と呼ばれる湧水がある。山頂の弥勒堂へ向かう山岳行者が身を清めた場所とされていた。

動物

石灰岩の山であることからカタツムリが多く、花にはウスバシロチョウウラギンヒョウモンキアゲハなどのを含む多くの昆虫が集まる。夏の間アキアカネが山上で過ごし、秋に麓へ下りる。ウミユリなどの化石が見られる。

植生

標高が低い山であるが、石灰岩層の山であることと地理的な環境条件などの要因で植物相が豊かで植物研究に貴重な山とされ[7]牧野富太郎らの多くの植物学者や採薬師により調査がなされている[48][49]。古くから薬草の宝庫としても知られている[46][50]。日本では高尾山に継いで藤原岳と共に2番目に植物の種類が多い山であるとする調査結果がある[51]お灸で用いられるもぐさとして、セネファ株式会社の「伊吹もぐさ」が知られている[7]。山頂部では樹木の生育が抑えられ高木が非常に少なく、日本では数少ない山地草原が発達している[注釈 2][33]。山麓は針葉樹広葉樹地帯で、三合目から上部は草地となり、1,700を超える多くの植物が分布している[5][50]。山麓から山頂にかけて様々な野草の群生地があり、コイブキアザミ Cirsium confertissimum などの9種の固有種がある[29][注釈 3]。景観は高山の高茎草原そのものの様相をみせる。おもなものとしてオオバギボウシカノコソウキバナノレンリソウクガイソウ、シシウド、シモツケ、シモツケソウ、ニッコウキスゲハクサンフウロメタカラコウ、ユウスゲ、ルリトラノオなどがある[52]。頂上の残雪表面では雪氷藻類が確認されている[53]。山麓では約280種の薬草が生え、揖斐川町の旧春日村古谷地区では昔から薬草を生活の糧にして生きてきた[54]。滋賀県米原市の山麓には、薬草を利用した温泉施設がある[55]。また、イブキカモジグサ、キバナノレンリソウ[注釈 4][56]イブキノエンドウのように、ヨーロッパを原産とする雑草が生育しているが、これらは、織田信長ポルトガル人宣教師の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えてハーブガーデンを作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれたハーブに紛れて入ってきたと推測されている[7][57][58]。上野からの登山道の3合目の草原にはユウスゲの群生地がある。ユウスゲなどの植物のニホンジカなどによる害獣対策として群生地には防護ネットが設置され、観察路などが整備されている[59]。2013年(平成25年)から7月下旬に、その群生地で「ユウスゲ祭り」が開催されている[59]。このユウスゲの群生地付近はオカメガハラと呼ばれ、春から秋にかけて70種ほどの草花が生育している。またその北側の3合目公衆トイレ周辺では100種ほどの草花が生育している。2009年(平成21年)から西山麓の姉川左岸の米原市大久保地区周辺にはセツブンソウ、キバナノアマナなどの群生地があり、春先に「セツブンソウふれあい祭り」が開催されている[60]

オオバギボウシ カノコソウ キバナノレンリソウ シモツケ ユウスゲ

伊吹山の植物分布の特徴

山頂部には高山植物または亜高山性植物の植物が分布し、日本で分布の西南限となっている種が多数ある[49]。北方性の高山・亜高山性の植物が多い[61]。日本海要素の植物が多い[49][61]。地層形成年代が古いことと高山的な気象条件になることから、伊吹山の固有種を産出している[49][61]。石灰岩地を好んで生育する植物が多い[49][61]。西日本に分布する南方要素(襲速紀要素)の植物が北上してきている[49][61]。多くの薬草(民間薬草が230種ほど、局方薬草19種)が分布する[62]。山頂部には、オオバギボウシとメラカラコウ群落、オウバギボウシとショウジョウスゲ群落、サラシナショウマ群落、フジテンニンソウ群落、シモツケソウ群落、アカソ群落、岩場のイブキジャコウソウ群落、チシマザサ群落などが草本植物群落の季節ごとのお花畑となる[49]。周囲の木本植物群落としては、イブキシモツケ群落、オオイタヤメイゲツミヤマカタバミ群落、ブナオオバクロモジ群落などがある[49]

山頂部の高山植物または亜高山性植物
イブキトラノオメタカラコウマルバダケブキニッコウキスゲサンカヨウキオンコキンバイノビネチドリなど
分布の西南限となっている種:イブキフウロエゾフウロ[63]グンナイフウロハクサンフウロキンバイソウ[64]イワシモツケヒメイズイイブキソモソモ[65]など
日本海側要素の植物
イブキトリカブトオオカニコウモリオオヨモギスミレサイシンザゼンソウハクサンカメバヒキオカコシミヤマイラクサエゾユズリハハイイヌガヤタムシバなど
伊吹山の固有種
コイブキアザミイブキアザミルリトラノオイブキコゴミグサイブキレイジンソウコバノミミナグサ[66]イブキヒメヤマザミイブキハタザオイブキタンポポ
石灰岩地を好んで生育する植物
イチョウシダクモノスシダヒメフウロイワツクバネウツギイブキコゴメグサキバナハタザオクサボタンなど
南方要素の植物
ギンバイソウミカエリソウカキノハグサなど
薬草
イブキジャコウソウウツボグサオオヨモギオトギリソウカキドオシカワミドリゲンノショウコシシウドセンブリドクダミミヤマトウキリンドウなど[67]

国指定天然記念物『伊吹山頂草原植物群落』

伊吹山頂草原植物群落(シモツケソウとメタカラコウなどが開花した夏)

2003年(平成15年)7月25日に、山頂部の『伊吹山頂草原植物群落』が、代表的高山植物帯、特殊岩石地植物群落、著しい植物分布の限界地であることなどにより、国の史跡名勝天然記念物(植物天然記念物)の指定を受けた[34][35][33]。伊吹山頂部には約300種の温帯性および亜高山性の草木の群生地となっていて、近畿地方以南では他に例がない。山頂部の主な草木植物と木本植物のおおまかな目安となる花暦を以下に示す[注釈 5][68][69][70][71][72]

4月
ヒロハノアマナ[73]ミスミソウミヤマカタバミ
5月
イブキシモツケエンレイソウオオイタヤメイゲツオオカメノキキバナノアマナ[74]コキンバイサンカヨウツルキンバイニリンソウノビネチドリボタンネコノメソウヤマブキソウ
6月
イブキノエンドウオドリコソウキバナノレンリソウクサタチバナ[75]グンナイフウロニッコウキスゲフタバアオイマメグミヤグルマソウ
7月
イブキトラノオイブキフウロイワアカバナオオバギボウシカノコソウキヌタソウキンバイソウコバノミミナグサシュロソウタマガワホトトギスノリウツギバイケイソウヒメフウロ[76]ミヤマコアザミメタカラコウ
8月
アカソイブキジャコウソウイワアカバナウツボグサエゾフウロカワラナデシコキオンキバナノカワラマツバキリンソウキンミズヒキクサボタンクルマバナコオニユリクガイソウコオニユリシシウドシモツケソウ[注釈 6][77]タムラソウツリガネニンジンハクサンフウロマルバダケブキヨツバヒヨドリルリトラノオヤマアジサイヤマゼリヤマホタルブクロワレモコウ
9月
アキノキリンソウアケボノソウイブキコゴメグサイブキトリカブトイブキレイジンソウコイブキアザミ[78]サラシナショウマシオガマギクシロヨメナツルニンジンノダケハクサンカメバヒキオコシフジテンニンソウミゾソバミツバベンケイソウミツモトソウヤマハッカ
10月
ノコンギクリュウノウギクリンドウ

「イブキ」を冠する和名の種

イブキトラノオのように最初に伊吹山で発見されたことから、和名に「イブキ」を冠する種が多数ある[79]。イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ[80]イブキジャコウソウイブキスミレ[81]イブキトラノオイブキフウロイブキトリカブト[82]、イブキレイジンソウといった20種以上のイブキを冠する種の植物が自生している[52][83][84]田中澄江が著書『新・花の百名山』で伊吹山を代表する花の一つとして、イブキジャコウソウを紹介した[9]