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「あかつき (探査機)」の版間の差分

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{{宇宙機
{{宇宙機
| 名称 = 金星探査機<br />「あかつき (PLANET-C)」
| 名称 = 金星探査機<br />「あかつき (PLANET-C)」
| 画像 = [[File:H-IIA_F17_launching_AKATSUKI.jpg|180px]]
| 画像 = [[ファイル:H-IIA_F17_launching_AKATSUKI.jpg|180px]]
| 画像の注釈 = H-IIAロケット17号機による「あかつき」の打ち上げ
| 画像の注釈 = H-IIAロケット17号機による「あかつき」の打ち上げ
| 所属 = [[宇宙科学研究所]] (ISAS)<br />現・[[宇宙航空研究開発機構]] (JAXA)
| 所属 = [[宇宙科学研究所]] (ISAS)<br />現・[[宇宙航空研究開発機構]] (JAXA)
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| 観測対象 = 金星
| 観測対象 = 金星
| 計画の期間 =
| 計画の期間 =
| 設計寿命 =
| 設計寿命 = 打ち上げ後4.5年
| 打上げ場所 = [[種子島宇宙センター]]
| 打上げ場所 = [[種子島宇宙センター]]
| 打上げ機 = [[H-IIAロケット]] 17号機
| 打上げ機 = [[H-IIAロケット]] 17号機
| 打上げ日時 = [[2010年]][[5月21日]]<br />6時58分22秒 ([[日本標準時|JST]])
| 打上げ日時 = [[2010年]][[5月21日]]<br />6時58分22秒 ([[日本標準時|JST]])
| 軌道投入日 = 2010年[[12月7日]] 予定
| 軌道投入日 = 2010年[[12月7日]](失敗)
| 最接近日 =
| 最接近日 = 2010年12月7日
| ランデブー日 =
| ランデブー日 =
| 機能停止日 =
| 機能停止日 =
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| 本体寸法 = 1.04 × 1.45 × 1.4 m
| 本体寸法 = 1.04 × 1.45 × 1.4 m
| 最大寸法 =
| 最大寸法 =
| 質量 = 499.5 kg
| 質量 = 518 kg(打ち上げ時)
| 発生電力 =
| 発生電力 = 約500W(ミッション終了時)
| 主な推進器 = 2液式500Nスラスタ<br />ヒドラジンスラスタ (20N x 4 , 3N x 8)
| 主な推進器 = 2液式500Nスラスタ<br />ヒドラジンスラスタ (23N x 8 , 3N x 4)
| 姿勢制御方式 = 3軸姿勢制御方式<br />(4スキュー型バイアスモーメンタム)
| 姿勢制御方式 = 3軸姿勢制御方式<br />(4スキュー型バイアスモーメンタム)
| 軌道要素 = 軌道要素
| 軌道要素 = 軌道要素
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| 回帰精度 =
| 回帰精度 =
| 降交点通過地方時 =
| 降交点通過地方時 =
| 搭載機器 = 観測機器
| 搭載機器 = 搭載機器
| 搭載機器名称1 = IR1
| 搭載機器名称1 = IR1
| 搭載機器説明1 = 近赤外カメラ1
| 搭載機器説明1 = 近赤外カメラ1
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| 搭載機器名称5 = LAC
| 搭載機器名称5 = LAC
| 搭載機器説明5 = 雷/大気光カメラ
| 搭載機器説明5 = 雷/大気光カメラ
| 搭載機器名称6 =
| 搭載機器名称6 = USO
| 搭載機器説明6 =
| 搭載機器説明6 = 超安定発振器
| 搭載機器名称7 =
| 搭載機器説明7 =
| 搭載機器名称8 =
| 搭載機器説明8 =
| 搭載機器名称9 =
| 搭載機器説明9 =
| 搭載機器名称10 =
| 搭載機器説明10 =
| 搭載機器名称11 =
| 搭載機器説明11 =
| 搭載機器名称12 =
| 搭載機器説明12 =
| 搭載機器名称13 =
| 搭載機器説明13 =
| 搭載機器名称14 =
| 搭載機器説明14 =
| 搭載機器名称15 =
| 搭載機器説明15 =
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}}
'''あかつき'''(第24号科学衛星: 計画名「'''PLANET-C'''」又は「'''VCO'''(Venus Climate Orbiter、金星気候衛星)」 )は、[[宇宙航空研究開発機構]][[宇宙科学研究所]](ISAS)の[[金星#金星探査機|金星探査機]]。観測波長の異なる複数のカメラを搭載して[[金星の大気|金星大気]]を立体的に観測する。
'''あかつき'''(第24号科学衛星: 計画名「'''PLANET-C'''」又は「'''VCO'''(Venus Climate Orbiter、金星気候衛星)」 )は、[[宇宙航空研究開発機構]][[宇宙科学研究所]] (ISAS) の[[金星#金星探査機|金星探査機]]。観測波長の異なる複数のカメラを搭載して[[金星の大気]]を立体的に観測する。2010年5月21日に[[種子島宇宙センター]]から打ち上げられた


2010年12月7日に金星の周回軌道に入る予定であったが、軌道投入に失敗し、金星に近い軌道で太陽を周回している。JAXAでは金星周回軌道への再投入の可能性について検討が進められている。
2010年5月21日に[[種子島宇宙センター]]から打ち上げられ、半年後の12月7日に金星に到着予定。


== 概要 ==
== 計画概要 ==
従来の気象学では説明ができない金星の大気現象([[金星#スーパーローテーション|スーパーローテーション]]と呼ばれる惑星規模の高速風などのメカニズム解明を主目的としている。言ってみれば、あかつきは金星版気象衛星である。このミッションの成果は、惑星の気象現象を包括的に理解することにつながると期待される。加えて、赤外線により金星の地表面の物性や火山活動を調べ、また地球出発から金星到着までの間に惑星間の塵の分布([[黄道光]])を観測する。
[[金星#スーパーローテーション|スーパーローテーション]]と呼ばれる惑星規模の高速風など、従来の気象学では説明ができない金星の大気現象のメカニズム解明を主目的としている。言ってみれば、あかつきは金星版気象衛星である。このミッションの成果は、惑星の気象現象を包括的に理解することにつながると期待される。加えて、赤外線により金星の地表面の物性や火山活動を調べ、また地球出発から金星到着までの間に惑星間の塵の分布([[黄道光]])を観測する。

金星到着後は高度300kmから8万km、公転周期約30時間の楕円軌道に投入される。近金点前後を除く約20時間は金星のスーパーローテーションとほぼ同期しており、約2年間にわたって金星大気の挙動を継続的に観測する。


== 設計 ==
== 設計 ==
基本システムは「[[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]]」のものを踏襲し、衛星本体の重量は500kg程度である。[[モーメンタムホイール]]を使用した3軸制御にて姿勢を安定させる。通信主に新設計[[フェーズドアレイレーダー|フェーズドアレイ]]型の高利得アンテナ用いて行われ、[[臼田宇宙空間観測所]]の64m[[パラボラアンテナ]]との間で最大約32kbpsの通信回線が確保される。推力500Nの軌道投入用スラスター (OME) には耐熱性に優れた窒化珪素 (Si<sub>3</sub>N<sub>4</sub>) 系モノリシックセラミックスを使している。
基本システムは「[[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]]」のものを踏襲し、衛星本体の重量は500kg程度である。[[モーメンタムホイール]] (MW) を使用した3軸制御にて姿勢を安定させる。MWはやぶさ3個より1個多い4個搭載する。推力500Nの軌道投入用スラスター (OME, Orbit Maneuvering Engine) には耐熱性に優れた窒化珪素 (Si<sub>3</sub>N<sub>4</sub>) 系モノリシックセラミックスを用いる。


高利得アンテナ(HGA, High-Gain Antenna:ラジアルライン給電スロット[[アレイアンテナ]]<ref>[http://www.nec.co.jp/ad/cosmos/akatsuki/02/ 太陽系大航海時代の幕明け > 届け、あかつきの星へ 第2話 平面アンテナが金星と地球を結ぶ] (NEC)</ref>、32kbps)、中利得アンテナ(MGA, Middle-Gain Antenna:[[ホーンアンテナ]]、512bbs)、低利得アンテナ(LGA, Low-Gain Antenna:超広角レンズアンテナ、8bps)を各2基(ただしHGAはそれぞれ送信専用と受信専用、MGAとLGAはどちらも送受信兼用)搭載し、主にHGAを用いて[[臼田宇宙空間観測所]]の64m[[パラボラアンテナ]]と交信する。臼田の可視時間外に交信する必要が生じた場合、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]の[[ディープスペースネットワーク]]を利用することもある。
観測機器は、地表面からの[[赤外線]]放射や雲による[[太陽]]散乱光を捉える1μmカメラ (IR1)、雲の下の大気からの赤外線放射を捉えて低高度の雲や微量ガスの分布を探る2μmカメラ (IR2)、雲からの赤外線放射を捉えてその構造を探る中間赤外カメラ (LIR)、雲による太陽散乱光を捉えて二酸化硫黄ガスなどの分布を探る紫外イメージャ (UVI) が搭載される。[[雷]]放電が起こっているか否かを把握するための雷・大気光カメラ (LAC) も搭載される。また、通信機器として超高安定発振器 (USO) を搭載し、探査機から地球に向けて送信される電波が[[金星]]大気をかすめる際に[[電波]]の周波数と強度が影響を受けることを利用して[[大気]]の層構造を調べる電波掩蔽観測も行われる。
また、太陽電池パドルは常に太陽面の方向に向けられ、その影と本体の影を利用して、衛星からの放熱を行う。


観測機器は、地表面からの[[赤外線]]放射や雲による[[太陽]]散乱光を捉える1μmカメラ (IR1)、雲の下の大気からの赤外線放射を捉えて低高度の雲や微量ガスの分布を探る2μmカメラ (IR2)、雲からの赤外線放射を捉えてその構造を探る中間赤外カメラ (LIR)、雲による太陽散乱光を捉えて二酸化硫黄ガスなどの分布を探る紫外イメージャ (UVI) が搭載される。[[雷]]放電が起こっているか否かを把握するための雷・大気光カメラ (LAC) も搭載される。また、通信機器として超高安定発振器 (USO) を搭載し、探査機から地球に向けて送信される電波が[[金星]]大気をかすめる際に[[電波]]の周波数と強度が影響を受けることを利用して[[大気]]の層構造を調べる電波[[掩蔽]]観測もする。
<!--あかつきの観測機器開発には、JAXA以外の大学・研究所も参画している。 コメント: 具体的に書いてください。-->

== 状況 ==
太陽電池パドルの取付軸は機体のZ軸(OMEノズルのある面と高利得アンテナのある面を結んだ軸)と直交し、パドルが常に太陽の方向を向くように回転できる。取付軸のある面には日光が当たらないため、探査機からの放熱に用いられる。この面の片方に中利得アンテナ、もう片方に観測装置がある。残りの2面に低利得アンテナがある<ref>{{cite web|accessdate=2010-11-22|publisher=NEC|url=http://www.nec.co.jp/ad/cosmos/akatsuki/01/|title=太陽系大航海時代の幕明け > 届け、あかつきの星へ 第1話「はやぶさ」を継ぎし「あかつき」へ}}</ref>。惑星間航行中は基本的にパドルの軸を黄道面に垂直な方向に向け、姿勢変更の際は観測装置のセンサが太陽方向を向かないようにする。

== 開発 ==
<!--2002年からの概念設計フェーズ、2004年からの基本設計フェーズを経て、2008年8月現在詳細設計フェーズにある。衛星の各サブシステム(推進系、通信系、姿勢系など)や観測機器の開発、試作モデル (PM) の製作が終了し、フライトモデル (FM) の設計・製作が行われている。今後は2009年度から総合試験が行われる予定。-->
<!--2002年からの概念設計フェーズ、2004年からの基本設計フェーズを経て、2008年8月現在詳細設計フェーズにある。衛星の各サブシステム(推進系、通信系、姿勢系など)や観測機器の開発、試作モデル (PM) の製作が終了し、フライトモデル (FM) の設計・製作が行われている。今後は2009年度から総合試験が行われる予定。-->
計画が提案された時点では、2007年2月から4月頃に[[M-Vロケット]]によって打ち上げられ、いったん地球周回軌道に乗ったのち6月に太陽周回軌道へ投入され、1年後の2008年6月に地球[[スイングバイ]]を行って金星へ向かい、2009年9月に金星へ到着することになっていた<ref>[http://www.isas.jaxa.jp/home/rigaku/project/PLANET-C_Proposal.pdf 金星探査計画提案書]</ref>。しかし2010年の打ち上げとなり、更に[[イプシロンロケット|新型固体ロケット]]開発に伴うM-Vロケットの運用中止に伴い、[[H-IIAロケット#衛星打ち上げ実績|H-IIAロケット17号機]]による打ち上げに変更された。探査機本体とロケットとの結合部はM-Vロケットの直径に合わせて作られていたため、H-IIAロケット用のアダプタが新たに製作された。また、H-IIAロケットの打ち上げ能力からすると当機は軽すぎ、打ち上げ時の振動が大きくなることが予想されたため、ISASで研究が進められていた[[太陽帆|ソーラー電力セイル]]の展開実験などを宇宙空間で行う実証機「[[IKAROS]]」を急遽開発し、上記のアダプタ内に収納する形で同時に打ち上げることになった。
当初は[[M-Vロケット]]によって打ち上げられる予定であったが、新型固体ロケット開発に伴うM-Vロケットの運用中止に伴い、[[H-IIAロケット#今後の予定|H-IIAロケット17号機]]による打ち上げに変更された。

2009年10月に「あかつき」という正式名称が発表された<ref>{{cite web|accessdate=2010-11-22|publisher=JAXA|url=http://www.jaxa.jp/press/2009/10/20091023_akatsuki_j.html|title=金星探査機「PLANET-C」の名称の決定について|date=2009年10月23日}}</ref>。

== 運用 ==
=== 打上げから初期運用 ===
あかつきと[[IKAROS]]を含む5機の小型副衛星<!--JAXAサイトの表現より-->を搭載したH-IIAロケット17号機は、2010年5月18日から6月3日までの間に打ち上げられることとされ、1回目の打ち上げ予定時刻は5月18日6時44分14秒([[日本標準時|JST]])だったが、[[射場]]付近に規定以上の氷結層を含む雲が観測され、5分前に打ち上げ中止となった<ref>{{cite web|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/05/20100518_h2af17_j.html|title= プレスリリース > H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ延期について|publisher=JAXA|accessdate=2010-05-18}}</ref>。3日後の21日6時58分22秒に延期された打ち上げは予定通りの時刻に行われた。

H-IIA17号機は地球周回軌道に乗った時点で第2段エンジンを一時停止して小型副衛星のうち3機([[Negai☆″]]、[[WASEDA-SAT2]]、[[KSAT]])を分離、その後第2段エンジンに再点火して太陽周回軌道に移り、打ち上げから約27分29秒後にあかつき<ref>{{citeweb|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/05/20100521_h2a-f17_j.html|title=H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ結果について|publisher=JAXA|accessdate=2010-05-21}}</ref>、次いで残り2機の小型副衛星(IKAROS、[[UNITEC-1]])を分離した。打ち上げロケットの能力に余裕があったため、月を利用しての[[スイングバイ]]は行わずに、第2段ごと[[ホーマン遷移軌道]]に近い軌道に入り、金星に向かった。

あかつきは6月28日、遠日点(約1.07[[天文単位]])の近くでOME噴射を13秒間行い、セラミックスラスターの世界初の軌道上実証に成功した<ref>{{citeweb|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/07/20100706_akatsuki_j.html|title=金星探査機「あかつき」の軌道制御の実施結果について|publisher=JAXA|accessdate=2010-07-18}}</ref>。軌道制御のためのOME噴射は2回予定されていたが、打ち上げ時の軌道制御が予想以上に高精度だったためもう1回はキャンセルされた。

10月8日、LAC以外の4台のカメラで[[いて座]]の一部を撮影した。ほぼ事前に予測された通りの画像を取得し、各カメラが健全な状態であることを確認した。その後、[[おうし座]]や地球と[[月]]などの撮影も行った。

=== 周回軌道投入マヌーバ ===
12月6日午前7時50分に金星周回軌道投入マヌーバ (VOI-1) のための姿勢変更を実施し、OMEを進行方向正面に向けた<ref name="akatuki1207">{{cite web|url=http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2010/1119.shtml|title=「あかつき」の金星周回軌道投入日、12月7日と決定|accessdate=2010-12-12|publisher=JAXA}}</ref>。その後の予定は以下の表のようになっていた。

{| class="wikitable"
|+「あかつき」の軌道投入計画(引用資料:<ref name="akatuki1207"/>)
! 予定していたイベント !! 時間 (JST) !! 金星最接近時刻<br />(12月7日09:00JST)<br />からの相対時間
|-
| 軌道制御エンジン (OME) 噴射開始 ||12月7日 08時49分00秒 ||11分前
|-
| [[掩蔽|地食]]開始、地上局との通信断 ||12月7日 08時50分43秒 ||約9分前
|-
| OME噴射終了||12月7日 09時01分00秒||1分後
|-
| 地食終了、通信再開 ||12月7日 09時12分03秒 ||約12分後
|-
| 日陰開始 ||12月7日 09時36分37秒 ||約37分後
|-
| 日陰終了 ||12月7日 10時40分44秒 ||約1時間41分後
|-
| Z軸地球指向への姿勢変更 ||12月7日 10時59分00秒 ||約2時間後
|-
| 中利得アンテナ (MGA) から高利得アンテナ (HGA) への切替 ||12月7日 12時09分00秒 ||約3時間後
|-
| 金星周回軌道決定 今後の軌道修正計画作成||12月7日 21時頃 ||約12時間後
|}
OMEを予定通り12分間噴射した場合、あかつきは約4日で金星を周回する長楕円軌道に投入される。4日後の金星再接近時に軌道修正を行って公転周期約2日の軌道に、更に2日後の軌道修正で公転周期約30時間の観測軌道に入る予定だった。また、OMEを少なくとも9分20秒噴射できれば、約50日で金星を周回する超長楕円軌道に入れる可能性があった。

12月7日午前8時52分36秒、あかつきが同日午前8時49分に逆噴射によって減速を開始したことが探査機からのドップラーデータより確認された<ref>{{cite web|title=金星探査機「あかつき」の軌道制御エンジン(OME)噴射開始及び金星による掩蔽に伴う通信中断について|url=http://www.jaxa.jp/countdown/f17/img/topics_20101207-1_j.pdf|publisher=JAXA|accessdate=2010-12-07}}</ref>。あかつきまでの通信ラグは約3分半である。同日午前8時50分にあかつきは地球から見て金星の向こう側に隠れ、予定通り地球との通信が途絶えた。同日9時12分に通信再開予定だったが、探査機からの電波を受信したのは10時28分で、予定されていたMGAではなくLGAによるものであった<ref>{{cite web|title=金星探査機「あかつき」の状況について|url=http://www.jaxa.jp/countdown/f17/img/topics_20101207-2_j.pdf|publisher=JAXA|accessdate=2010-12-07}}</ref>。同日午後、太陽電池パドルと片方のLGAを太陽に、もう片方のLGAをその反対方向に向けたまま低速で回転する「セーフホールドモード」になっていることが判明した。これは機体に重大なトラブルが発生した場合、電源確保とそのための姿勢の維持を最優先するモードである。翌12月8日までに3軸制御モードへの復帰とテレメトリの取得を行った。テレメトリによると、あかつきはOME噴射開始から約2分30秒後、横方向に異常な力が加わって姿勢が大きく乱れ、直後に噴射を中止してセーフホールドモードに移行していた。減速が不十分だったことにより、金星周回軌道への投入はできなかった<ref>{{Cite web
|date=2010-12-08
|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101208_akatsuki_j.html
|title=金星探査機「あかつき」の金星周回観測軌道投入(VOI-1)の結果について
|work=プレスリリース
|publisher=宇宙航空研究開発機構
|language=日本語
|accessdate=2010-12-08
}}</ref>。

12月27日に、トラブルの原因は加圧用のヘリウムタンクから燃料タンクへの配管に設置された逆止弁(逆流防止用の弁)が閉塞したためと発表された<ref>{{Cite web|date=2010-12-27|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101227_sac_akatsuki_2.pdf|title=「あかつき」の金星周回軌道投入失敗に係る原因究明と対策について(その2)|publisher=宇宙航空研究開発機構|language=日本語|accessdate=2011-01-02}}</ref><ref>「[http://www.asahi.com/science/update/1227/TKY201012270077.html あかつき投入失敗、燃料逆流防止弁の詰まりが根本原因]」[[asahi.com]]、2010年12月27日。- この説明の中の「燃料を供給するパイプに取り付けられていた」は不適切。</ref><ref>{{cite news|url=http://www.astroarts.co.jp/news/2010/12/27akatsuki/index-j.shtml|title=「あかつき」軌道投入失敗の原因は燃料逆流防止弁の動作不良|date=2010-12-27|accessdate=2010-01-02|publisher=アストロアーツ}}</ref>。通常の燃焼では酸化剤に対して燃料を多めに混合する<ref>もっとも効率的な燃料と酸化剤の比を1:1(完全燃焼)とすると、あかつきでは1:0.8としている。これにより燃焼温度を下げ、セラミックスラスタの耐熱温度を超えない様にしている。</ref>様に調整しているが、逆止弁が閉塞したことから燃料タンクの圧力が低下してスラスタへの燃料供給が滞り、酸化剤と燃料の混合比がより効率的となって想定よりも高温になった。これにより異常燃焼が生じて機体に想定外の回転モーメントがかかると共に想定外の高温でスラスタの一部が破損した<ref>従来の金属製スラスタに対してセラミックスラスタは数百度高い1,500℃まで耐えられるが、完全燃焼時の温度は2,000℃に達する。</ref>可能性がある。

JAXAは2011年7月頃に地上での再現実験を行い、弁が閉塞した原因や異常燃焼後のスラスタの状態などを調べる予定だという。

=== その後 ===
あかつきは結果的に金星で[[スイングバイ|パワードスイングバイ]]を行う形となり、公転周期224.7日の金星よりやや内側を203日で公転する、近日点約9000万km、遠日点約1億1000万kmの軌道に移った<ref>{{cite press release
|title=「あかつき」の金星周回軌道投入失敗の状況について
|publisher=宇宙航空研究開発機構
|date=2010-12-17
|format=PDF
|language=日本語
|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101217_sac_akatsuki_j.html
|accessdate=2010-12-20
}}</ref>。太陽の周りをあかつきが約11周する間に金星は約10周して「周回遅れ」になるため、2016年12月と2017年1月に両者は再び接近する<ref>「[http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E2EAE2E0E18DE2EAE3E0E0E2E3E29C9CEAE2E2E2 「あかつき」逆噴射中に前転、姿勢崩す 6年後の再挑戦、電池寿命がカギ]」[[日本経済新聞]]、2010年12月8日。</ref><ref>「[http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/12/08/planet-c_retry/index.html 金星探査機「あかつき」の周回軌道への投入は失敗、6年後の再投入を目指す]」[[マイコミジャーナル]]、2010年12月8日。</ref>。12月8日の宇宙開発委員会で、JAXAはこの時に金星周回軌道への再投入を行う可能性を追求すると報告した<ref>{{cite press release
|title=金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入結果について
|publisher=宇宙航空研究開発機構
|date=2010-12-08
|format=PDF
|language=日本語
|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101208_sac_akatsuki_j.html
|accessdate=2010-12-08
|quote=6年余り後の金星再会合時での軌道投入の可能性を追求する
}}</ref>。

12月9日、あかつきは3台のカメラ (LIR, UVI, IR1) を起動し、約60万kmの距離から金星を撮影した<ref>[http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2010/1210.shtml 「あかつき」の機能確認作業において金星を撮影!]</ref>。

2011年1月、一部の新聞社により、JAXAがあかつきについて「軌道を微修正して、金星と再会合する前に[[金星横断小惑星|金星付近の小惑星]]を観測する<ref>{{Cite news
|url=http://www.asahi.com/science/update/0103/TKY201101030294.html
|author=東山正宜
|title=あかつき、寄り道を検討 金星再挑戦までに小惑星観測
|publisher=[[朝日新聞]]
|date=2011年1月4日
|accessdate=2011年1月7日
}}</ref>」あるいは「減速し(公転周期がより長くなるように軌道を修正し)、金星が後ろから追いついてくるのを待つことで、再会合までの期間を1年短縮する<ref>{{Cite news
|url=http://mainichi.jp/select/science/news/20110105k0000m040105000c.html
|author=山田大輔
|title=あかつき:軌道再投入1年前倒し 「待ち伏せ作戦」を検討
|publisher=[[毎日新聞]]
|date=2011年1月5日
|accessdate=2011年1月7日
}}</ref>」などを検討しているとの報道がなされたが、これらについてJAXAからの公式発表はない。しかし、現在の軌道のままだと6年後に再接近するとはいってもその距離はVOI-1の時より遥かに大きいため、いずれにせよ軌道修正は必要である。


== 広報 ==
2009年10月に「あかつき」という正式名称が発表され<ref>[http://www.jaxa.jp/press/2009/10/20091023_akatsuki_j.html 金星探査機「PLANET-C」の名称の決定について] JAXA、2009年10月23日</ref>、同時にメッセージを金星へ送るというキャンペーン「お届けします! あなたのメッセージ 暁の金星へ」<ref>[http://www.jaxa.jp/press/2009/10/20091023_akatsuki_campaign_j.html 金星探査機「あかつき」(PLANET-C) メッセージキャンペーンの実施について] JAXA、2009年10月23日</ref>が開始された。応募されたメッセージなどは探査機のバランスウェイト(アルミシート)に縮小印刷されるとあって<ref>{{Cite journal|和書
2009年10月の正式名称発表と同時に、公募した名前やメッセージを金星へ送るというキャンペーン「お届けします! あなたのメッセージ 暁の金星へ」<ref>[http://www.jaxa.jp/press/2009/10/20091023_akatsuki_campaign_j.html 金星探査機「あかつき」(PLANET-C) メッセージキャンペーンの実施について] JAXA、2009年10月23日</ref>が開始された。この種のキャンペーンは日本の宇宙探査機では[[のぞみ (探査機)|のぞみ]]から行われているが、あかつきでは著名人や団体からのメッセージについては直筆の文章やイラストを搭載できるようにするなど、量より質を重視した<ref name="JAXA's031">{{Cite journal|和書
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}}</ref>。中でも[[VOCALOID]]「[[初音ミク]]」のイラストを宇宙に送ろうというファン有志による運動では1万3849人ものメッセージが集まった<ref name="JAXA's031" /><ref name="ITmedia_20100223" />。メッセージは機体重心調節用のバランスウェイトを兼ねている 12cm × 8cm × 0.2mm のアルミプレート約90枚に縮小印刷され、ベーキング処理を施して探査機の3箇所に取り付けられた<ref name="JAXA's031" /><ref name="ITmedia_20100223" /><ref name="ITmedia_20100408">{{Cite news
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あかつきミッションのマスコットキャラクターとして「あかつきくん」と「きんせいちゃん」がおり、公式サイトや関連グッズなどで描かれている<ref>[http://www.jaxa.jp/countdown/f17/mark_j.html あかつき特設サイト > ミッションマーク]</ref><ref>[http://www.jaxa.jp/countdown/f17/photo/work_index_j.html あかつき特設サイト > あかつきくん・きんせいちゃんを作って軌道投入を応援しよう!応募作品集]</ref>。あかつきくんは公式[[Twitter]]にも登場し、ミッションの経過や搭載機器について説明したり、[[はやぶさ (探査機)|はやぶさ兄さん]](2010年6月13日まで)や[[IKAROS|イカロス君]]、[[準天頂衛星システム|みちびきさん]]たちと会話したりしている<ref>「[http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/11/news068.html ねとらぼ:イカロス君「はやぶさ兄さんに僕の広がった姿を見せられてよかった!」]」[[ITmedia News]]、2010年6月11日。</ref><ref>「[http://togetter.com/li/14479 Togetter - 「【宇宙機たちの】「はやぶさ」と「あかつき」と「イカロス」と「みちびき」と【キャッキャウフフ】 p.1」]」2010年4月15日。</ref>。
あかつきと[[IKAROS]]を含む5機の小型副衛星<!--JAXAサイトの表現より-->を搭載したH-IIAロケット17号機は、2010年5月18日から6月3日までの間に打ち上げられることとされ、1回目の打ち上げ予定時刻は5月18日6時44分14秒([[日本標準時|JST]])だったが、[[射場]]付近に規定以上の氷結層を含む雲が観測され、5分前に打ち上げ中止となった<ref>{{cite web|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/05/20100518_h2af17_j.html|title= プレスリリース > H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ延期について|work=JAXA|accessdate=2010-05-18}}</ref>。3日後の21日6時58分22秒に延期された打ち上げは予定通りの時刻に行われた。H-IIA17号機は地球周回軌道に乗った時点で第2段エンジンを一時停止して小型副衛星のうち3機([[Negai☆″]]、[[WASEDA-SAT2]]、[[KSAT]])を分離、その後第2段エンジンに再点火して太陽周回軌道に移り、打ち上げから約27分29秒後にあかつき<ref>{{citeweb|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/05/20100521_h2a-f17_j.html|title=H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ結果について|work=JAXA|accessdate=2010-05-21}}</ref>、次いで残り2機の小型副衛星(IKAROS、[[UNITEC-1]])を分離した。


== 脚注 ==
あかつきは6月28日に1回目のOME噴射を行い、セラミックスラスターの世界初の軌道上実証に成功した<ref>{{citeweb|url=http://www.jaxa.jp/press/2010/07/20100706_akatsuki_j.html|title=金星探査機「あかつき」の軌道制御の実施結果について|work=JAXA|accessdate=2010-07-18}}</ref>。
{{Reflist}}

11月上旬に2回目のOME噴射を行い、12月7日に金星へ到着、高度300kmから8万kmで周回する楕円軌道に投入される。軌道周期約30時間のうち約20時間は金星表面の[[金星の大気|スーパーローテーション]]とほぼ同期しており、約2年間にわたって金星大気の挙動を継続的に観測する予定である。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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** [[のぞみ (探査機)|のぞみ]] (PLANET-B)
** [[のぞみ (探査機)|のぞみ]] (PLANET-B)
** [[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]] (MUSES-C)
** [[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]] (MUSES-C)
** [[IKAROS]]
* [[金星#金星探査機|金星探査機]]
* [[金星#金星探査機|金星探査機]]
** [[ビーナス・エクスプレス]]([[欧州宇宙機関]]の金星探査機)
** [[ビーナス・エクスプレス]]([[欧州宇宙機関]]の金星探査機)

== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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* [http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/planet-c/ ISAS | 金星探査機 PLANET-C / 科学衛星]
* [http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/planet-c/ ISAS | 金星探査機 PLANET-C / 科学衛星]
* [http://www.stp.isas.jaxa.jp/venus/ 金星気象衛星 あかつき]
* [http://www.stp.isas.jaxa.jp/venus/ 金星気象衛星 あかつき]
* {{twitter|Akatsuki_JAXA|「あかつき」チーム}}


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[[Category:金星探査機]]
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2011年2月6日 (日) 11:35時点における版


金星探査機
「あかつき (PLANET-C)」
H-IIAロケット17号機による「あかつき」の打ち上げ
所属 宇宙科学研究所 (ISAS)
現・宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
主製造業者 NEC東芝スペースシステム
公式ページ 金星探査機 あかつき
国際標識番号 2010-020D
カタログ番号 36576
状態 運用中
目的 金星気象の探査
観測対象 金星
設計寿命 打ち上げ後4.5年
打上げ場所 種子島宇宙センター
打上げ機 H-IIAロケット 17号機
打上げ日時 2010年5月21日
6時58分22秒 (JST)
軌道投入日 2010年12月7日(失敗)
最接近日 2010年12月7日
物理的特長
本体寸法 1.04 × 1.45 × 1.4 m
質量 518 kg(打ち上げ時)
発生電力 約500W(ミッション終了時)
主な推進器 2液式500Nスラスタ
ヒドラジンスラスタ (23N x 8 , 3N x 4)
姿勢制御方式 3軸姿勢制御方式
(4スキュー型バイアスモーメンタム)
軌道要素
周回対象 金星
軌道 長楕円軌道
近点高度 (hp) 300 km 予定
遠点高度 (ha) 80,000 km 予定
軌道傾斜角 (i) 172度 予定
軌道周期 (P) 30時間 予定
搭載機器
IR1 近赤外カメラ1
IR2 近赤外カメラ2
LIR 中間赤外カメラ
UVI 紫外イメージャー
LAC 雷/大気光カメラ
USO 超安定発振器
テンプレートを表示

あかつき(第24号科学衛星: 計画名「PLANET-C」又は「VCO(Venus Climate Orbiter、金星気候衛星)」 )は、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (ISAS) の金星探査機。観測波長の異なる複数のカメラを搭載して金星の大気を立体的に観測する。2010年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられた。

2010年12月7日に金星の周回軌道に入る予定であったが、軌道投入に失敗し、金星に近い軌道で太陽を周回している。JAXAでは金星周回軌道への再投入の可能性について検討が進められている。

計画概要

スーパーローテーションと呼ばれる惑星規模の高速風など、従来の気象学では説明ができない金星の大気現象のメカニズムの解明を主目的としている。言ってみれば、あかつきは金星版気象衛星である。このミッションの成果は、惑星の気象現象を包括的に理解することにつながると期待される。加えて、赤外線により金星の地表面の物性や火山活動を調べ、また地球出発から金星到着までの間に惑星間の塵の分布(黄道光)を観測する。

金星到着後は高度300kmから8万km、公転周期約30時間の楕円軌道に投入される。近金点前後を除く約20時間は金星のスーパーローテーションとほぼ同期しており、約2年間にわたって金星大気の挙動を継続的に観測する。

設計

基本システムは「はやぶさ」のものを踏襲し、衛星本体の重量は500kg程度である。モーメンタムホイール (MW) を使用した3軸制御にて姿勢を安定させる。MWははやぶさの3個より1個多い4個を搭載する。推力500Nの軌道投入用スラスター (OME, Orbit Maneuvering Engine) には耐熱性に優れた窒化珪素 (Si3N4) 系モノリシックセラミックスを用いる。

高利得アンテナ(HGA, High-Gain Antenna:ラジアルライン給電スロットアレイアンテナ[1]、32kbps)、中利得アンテナ(MGA, Middle-Gain Antenna:ホーンアンテナ、512bbs)、低利得アンテナ(LGA, Low-Gain Antenna:超広角レンズアンテナ、8bps)を各2基(ただしHGAはそれぞれ送信専用と受信専用、MGAとLGAはどちらも送受信兼用)搭載し、主にHGAを用いて臼田宇宙空間観測所の64mパラボラアンテナと交信する。臼田の可視時間外に交信する必要が生じた場合、NASAディープスペースネットワークを利用することもある。

観測機器は、地表面からの赤外線放射や雲による太陽散乱光を捉える1μmカメラ (IR1)、雲の下の大気からの赤外線放射を捉えて低高度の雲や微量ガスの分布を探る2μmカメラ (IR2)、雲からの赤外線放射を捉えてその構造を探る中間赤外カメラ (LIR)、雲による太陽散乱光を捉えて二酸化硫黄ガスなどの分布を探る紫外イメージャ (UVI) が搭載される。放電が起こっているか否かを把握するための雷・大気光カメラ (LAC) も搭載される。また、通信機器として超高安定発振器 (USO) を搭載し、探査機から地球に向けて送信される電波が金星大気をかすめる際に電波の周波数と強度が影響を受けることを利用して大気の層構造を調べる電波掩蔽観測もする。

太陽電池パドルの取付軸は機体のZ軸(OMEノズルのある面と高利得アンテナのある面を結んだ軸)と直交し、パドルが常に太陽の方向を向くように回転できる。取付軸のある面には日光が当たらないため、探査機からの放熱に用いられる。この面の片方に中利得アンテナ、もう片方に観測装置がある。残りの2面に低利得アンテナがある[2]。惑星間航行中は基本的にパドルの軸を黄道面に垂直な方向に向け、姿勢変更の際は観測装置のセンサが太陽方向を向かないようにする。

開発

計画が提案された時点では、2007年2月から4月頃にM-Vロケットによって打ち上げられ、いったん地球周回軌道に乗ったのち6月に太陽周回軌道へ投入され、1年後の2008年6月に地球スイングバイを行って金星へ向かい、2009年9月に金星へ到着することになっていた[3]。しかし2010年の打ち上げとなり、更に新型固体ロケット開発に伴うM-Vロケットの運用中止に伴い、H-IIAロケット17号機による打ち上げに変更された。探査機本体とロケットとの結合部はM-Vロケットの直径に合わせて作られていたため、H-IIAロケット用のアダプタが新たに製作された。また、H-IIAロケットの打ち上げ能力からすると当機は軽すぎ、打ち上げ時の振動が大きくなることが予想されたため、ISASで研究が進められていたソーラー電力セイルの展開実験などを宇宙空間で行う実証機「IKAROS」を急遽開発し、上記のアダプタ内に収納する形で同時に打ち上げることになった。

2009年10月に「あかつき」という正式名称が発表された[4]

運用

打上げから初期運用

あかつきとIKAROSを含む5機の小型副衛星を搭載したH-IIAロケット17号機は、2010年5月18日から6月3日までの間に打ち上げられることとされ、1回目の打ち上げ予定時刻は5月18日6時44分14秒(JST)だったが、射場付近に規定以上の氷結層を含む雲が観測され、5分前に打ち上げ中止となった[5]。3日後の21日6時58分22秒に延期された打ち上げは予定通りの時刻に行われた。

H-IIA17号機は地球周回軌道に乗った時点で第2段エンジンを一時停止して小型副衛星のうち3機(Negai☆″WASEDA-SAT2KSAT)を分離、その後第2段エンジンに再点火して太陽周回軌道に移り、打ち上げから約27分29秒後にあかつき[6]、次いで残り2機の小型副衛星(IKAROS、UNITEC-1)を分離した。打ち上げロケットの能力に余裕があったため、月を利用してのスイングバイは行わずに、第2段ごとホーマン遷移軌道に近い軌道に入り、金星に向かった。

あかつきは6月28日、遠日点(約1.07天文単位)の近くでOME噴射を13秒間行い、セラミックスラスターの世界初の軌道上実証に成功した[7]。軌道制御のためのOME噴射は2回予定されていたが、打ち上げ時の軌道制御が予想以上に高精度だったためもう1回はキャンセルされた。

10月8日、LAC以外の4台のカメラでいて座の一部を撮影した。ほぼ事前に予測された通りの画像を取得し、各カメラが健全な状態であることを確認した。その後、おうし座や地球となどの撮影も行った。

周回軌道投入マヌーバ

12月6日午前7時50分に金星周回軌道投入マヌーバ (VOI-1) のための姿勢変更を実施し、OMEを進行方向正面に向けた[8]。その後の予定は以下の表のようになっていた。

「あかつき」の軌道投入計画(引用資料:[8]
予定していたイベント 時間 (JST) 金星最接近時刻
(12月7日09:00JST)
からの相対時間
軌道制御エンジン (OME) 噴射開始 12月7日 08時49分00秒 11分前
地食開始、地上局との通信断 12月7日 08時50分43秒 約9分前
OME噴射終了 12月7日 09時01分00秒 1分後
地食終了、通信再開 12月7日 09時12分03秒 約12分後
日陰開始 12月7日 09時36分37秒 約37分後
日陰終了 12月7日 10時40分44秒 約1時間41分後
Z軸地球指向への姿勢変更 12月7日 10時59分00秒 約2時間後
中利得アンテナ (MGA) から高利得アンテナ (HGA) への切替 12月7日 12時09分00秒 約3時間後
金星周回軌道決定 今後の軌道修正計画作成 12月7日 21時頃 約12時間後

OMEを予定通り12分間噴射した場合、あかつきは約4日で金星を周回する長楕円軌道に投入される。4日後の金星再接近時に軌道修正を行って公転周期約2日の軌道に、更に2日後の軌道修正で公転周期約30時間の観測軌道に入る予定だった。また、OMEを少なくとも9分20秒噴射できれば、約50日で金星を周回する超長楕円軌道に入れる可能性があった。

12月7日午前8時52分36秒、あかつきが同日午前8時49分に逆噴射によって減速を開始したことが探査機からのドップラーデータより確認された[9]。あかつきまでの通信ラグは約3分半である。同日午前8時50分にあかつきは地球から見て金星の向こう側に隠れ、予定通り地球との通信が途絶えた。同日9時12分に通信再開予定だったが、探査機からの電波を受信したのは10時28分で、予定されていたMGAではなくLGAによるものであった[10]。同日午後、太陽電池パドルと片方のLGAを太陽に、もう片方のLGAをその反対方向に向けたまま低速で回転する「セーフホールドモード」になっていることが判明した。これは機体に重大なトラブルが発生した場合、電源確保とそのための姿勢の維持を最優先するモードである。翌12月8日までに3軸制御モードへの復帰とテレメトリの取得を行った。テレメトリによると、あかつきはOME噴射開始から約2分30秒後、横方向に異常な力が加わって姿勢が大きく乱れ、直後に噴射を中止してセーフホールドモードに移行していた。減速が不十分だったことにより、金星周回軌道への投入はできなかった[11]

12月27日に、トラブルの原因は加圧用のヘリウムタンクから燃料タンクへの配管に設置された逆止弁(逆流防止用の弁)が閉塞したためと発表された[12][13][14]。通常の燃焼では酸化剤に対して燃料を多めに混合する[15]様に調整しているが、逆止弁が閉塞したことから燃料タンクの圧力が低下してスラスタへの燃料供給が滞り、酸化剤と燃料の混合比がより効率的となって想定よりも高温になった。これにより異常燃焼が生じて機体に想定外の回転モーメントがかかると共に想定外の高温でスラスタの一部が破損した[16]可能性がある。

JAXAは2011年7月頃に地上での再現実験を行い、弁が閉塞した原因や異常燃焼後のスラスタの状態などを調べる予定だという。

その後

あかつきは結果的に金星でパワードスイングバイを行う形となり、公転周期224.7日の金星よりやや内側を203日で公転する、近日点約9000万km、遠日点約1億1000万kmの軌道に移った[17]。太陽の周りをあかつきが約11周する間に金星は約10周して「周回遅れ」になるため、2016年12月と2017年1月に両者は再び接近する[18][19]。12月8日の宇宙開発委員会で、JAXAはこの時に金星周回軌道への再投入を行う可能性を追求すると報告した[20]

12月9日、あかつきは3台のカメラ (LIR, UVI, IR1) を起動し、約60万kmの距離から金星を撮影した[21]

2011年1月、一部の新聞社により、JAXAがあかつきについて「軌道を微修正して、金星と再会合する前に金星付近の小惑星を観測する[22]」あるいは「減速し(公転周期がより長くなるように軌道を修正し)、金星が後ろから追いついてくるのを待つことで、再会合までの期間を1年短縮する[23]」などを検討しているとの報道がなされたが、これらについてJAXAからの公式発表はない。しかし、現在の軌道のままだと6年後に再接近するとはいってもその距離はVOI-1の時より遥かに大きいため、いずれにせよ軌道修正は必要である。

広報

2009年10月の正式名称発表と同時に、公募した名前やメッセージを金星へ送るというキャンペーン「お届けします! あなたのメッセージ 暁の金星へ」[24]が開始された。この種のキャンペーンは日本の宇宙探査機ではのぞみから行われているが、あかつきでは著名人や団体からのメッセージについては直筆の文章やイラストを搭載できるようにするなど、量より質を重視した[25][26]。2010年1月の締め切りまでに日本国内外から26万214人の応募があり、そのうち14万8204人は学校やプラネタリウムなど団体単位での応募だった[27]。中でもVOCALOID初音ミク」のイラストを宇宙に送ろうというファン有志による運動では1万3849人ものメッセージが集まった[25][27]。メッセージは機体重心調節用のバランスウェイトを兼ねている 12cm × 8cm × 0.2mm のアルミプレート約90枚に縮小印刷され、ベーキング処理を施して探査機の3箇所に取り付けられた[25][27][28]

あかつきミッションのマスコットキャラクターとして「あかつきくん」と「きんせいちゃん」がおり、公式サイトや関連グッズなどで描かれている[29][30]。あかつきくんは公式Twitterにも登場し、ミッションの経過や搭載機器について説明したり、はやぶさ兄さん(2010年6月13日まで)やイカロス君みちびきさんたちと会話したりしている[31][32]

脚注

  1. ^ 太陽系大航海時代の幕明け > 届け、あかつきの星へ 第2話 平面アンテナが金星と地球を結ぶ (NEC)
  2. ^ 太陽系大航海時代の幕明け > 届け、あかつきの星へ 第1話「はやぶさ」を継ぎし「あかつき」へ”. NEC. 2010年11月22日閲覧。
  3. ^ 金星探査計画提案書
  4. ^ 金星探査機「PLANET-C」の名称の決定について”. JAXA (2009年10月23日). 2010年11月22日閲覧。
  5. ^ プレスリリース > H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ延期について”. JAXA. 2010年5月18日閲覧。
  6. ^ H-IIAロケット17号機による金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の打上げ結果について”. JAXA. 2010年5月21日閲覧。
  7. ^ 金星探査機「あかつき」の軌道制御の実施結果について”. JAXA. 2010年7月18日閲覧。
  8. ^ a b 「あかつき」の金星周回軌道投入日、12月7日と決定”. JAXA. 2010年12月12日閲覧。
  9. ^ 金星探査機「あかつき」の軌道制御エンジン(OME)噴射開始及び金星による掩蔽に伴う通信中断について”. JAXA. 2010年12月7日閲覧。
  10. ^ 金星探査機「あかつき」の状況について”. JAXA. 2010年12月7日閲覧。
  11. ^ 金星探査機「あかつき」の金星周回観測軌道投入(VOI-1)の結果について”. プレスリリース. 宇宙航空研究開発機構 (2010年12月8日). 2010年12月8日閲覧。
  12. ^ 「あかつき」の金星周回軌道投入失敗に係る原因究明と対策について(その2)”. 宇宙航空研究開発機構 (2010年12月27日). 2011年1月2日閲覧。
  13. ^ あかつき投入失敗、燃料逆流防止弁の詰まりが根本原因asahi.com、2010年12月27日。- この説明の中の「燃料を供給するパイプに取り付けられていた」は不適切。
  14. ^ “「あかつき」軌道投入失敗の原因は燃料逆流防止弁の動作不良”. アストロアーツ. (2010年12月27日). http://www.astroarts.co.jp/news/2010/12/27akatsuki/index-j.shtml 2010年1月2日閲覧。 
  15. ^ もっとも効率的な燃料と酸化剤の比を1:1(完全燃焼)とすると、あかつきでは1:0.8としている。これにより燃焼温度を下げ、セラミックスラスタの耐熱温度を超えない様にしている。
  16. ^ 従来の金属製スラスタに対してセラミックスラスタは数百度高い1,500℃まで耐えられるが、完全燃焼時の温度は2,000℃に達する。
  17. ^ "「あかつき」の金星周回軌道投入失敗の状況について" (PDF) (Press release). 宇宙航空研究開発機構. 17 December 2010. 2010年12月20日閲覧
  18. ^ 「あかつき」逆噴射中に前転、姿勢崩す 6年後の再挑戦、電池寿命がカギ日本経済新聞、2010年12月8日。
  19. ^ 金星探査機「あかつき」の周回軌道への投入は失敗、6年後の再投入を目指すマイコミジャーナル、2010年12月8日。
  20. ^ "金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入結果について" (PDF) (Press release). 宇宙航空研究開発機構. 8 December 2010. 2010年12月8日閲覧6年余り後の金星再会合時での軌道投入の可能性を追求する
  21. ^ 「あかつき」の機能確認作業において金星を撮影!
  22. ^ 東山正宜 (2011年1月4日). “あかつき、寄り道を検討 金星再挑戦までに小惑星観測”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/science/update/0103/TKY201101030294.html 2011年1月7日閲覧。 
  23. ^ 山田大輔 (2011年1月5日). “あかつき:軌道再投入1年前倒し 「待ち伏せ作戦」を検討”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/select/science/news/20110105k0000m040105000c.html 2011年1月7日閲覧。 
  24. ^ 金星探査機「あかつき」(PLANET-C) メッセージキャンペーンの実施について JAXA、2009年10月23日
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  27. ^ a b c 森岡澄夫 (2010年2月23日). “金星へ飛び立つ「あかつき」と初音ミクパネルを見てきた”. ITmedia news (アイティメディア). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/23/news024.html 2010年5月30日閲覧。 
  28. ^ 森岡澄夫 (2010年4月8日). “初音ミク「あかつき」に搭乗! 種子島で実機を見てきた”. ITmedia news (アイティメディア). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/08/news044.html 2010年5月30日閲覧。 
  29. ^ あかつき特設サイト > ミッションマーク
  30. ^ あかつき特設サイト > あかつきくん・きんせいちゃんを作って軌道投入を応援しよう!応募作品集
  31. ^ ねとらぼ:イカロス君「はやぶさ兄さんに僕の広がった姿を見せられてよかった!」ITmedia News、2010年6月11日。
  32. ^ Togetter - 「【宇宙機たちの】「はやぶさ」と「あかつき」と「イカロス」と「みちびき」と【キャッキャウフフ】 p.1」」2010年4月15日。

関連項目

外部リンク