黒社会

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黒社会(くろしゃかい、黑社會、ヘイシャーホェイ)は、中国語圏において、種々の犯罪組織を総括して指すときの言葉ないし特定の組織を指して用いられるのではなく、犯罪組織や地下経済、およびそれらにより派生する抽象としての社会を表す言葉である。英語で言うところの Underworld(の一義)、日本語で言うところの裏社会闇社会と同義であると言える。黒幇黑幫)、黒道黑道)などとされることもある。「江湖」も黒社会と同じような意味で使用されることがある。

単語としての『黒社会』

中国語上の『黒社会』

例えば中國的黑社會(中国の黒社会)、台灣的黑社會(台湾の黒社会)、美國的黑社會(米国の黒社会)、日本的黑社會(日本の黒社会)、などというように、地域によらない普遍性を持つ言葉として、まさに日本語上の『裏社会』と同じ意をもって用いられている言葉である。

日本語上の『黒社会』

日本語においても用いられる言葉であるが、これは中国語における『黑社會』をそのまま輸入したものであると考えられ、既に同様の意味を持つ『裏社会』という言葉が存在することから、特に文学や娯楽の分野において中国語圏の裏社会を固有に表す言葉として用いられる場合がほとんどである。

各地域の『黒社会』の概況

黒社会についてこれを中国語圏の裏社会と定義したうえで各地域の状況を以下に示す。

中国語圏の裏社会を構成する組織はそのルーツに朝の打倒を目的として結成された反清復明の秘密結社を持つものが存在する。それらは国共内戦などにも深くかかわったが、徐々に犯罪組織へ変質したものもあったと説明されている。これらの組織の多くは、秘密結社の位階儀式暗号(規則)等を取り入れていると言う。

香港

三合会を筆頭として、その構成組織である14K新義安、また和勝和など、幾種の犯罪組織が割拠しており、しばしば(中国語圏における)黒社会の首都とも呼ばれてきた。1997年前後には、香港の中国返還で取締まり強化や中国の刑法の厳格な死刑適用を懸念し、少なからぬ数の構成員が英国やその他の国に移動したと推測されている。

台湾

竹聯幇四海幇天道盟などが有名である。詳しくは台湾黒社会を参照。

日本における『黒社会』

読売新聞[1]によると、東京の新宿-歌舞伎町が最大の拠点とされ、かねてより複数の組織が存在し、縄張りや利権をめぐって抗争事件を引き起こしている。警視庁は集中捜査と取り締まりの強化を進めているが、歌舞伎町から構成員が他の都市へ分散する傾向もあると言う。また、黒社会の関与をうかがわせる事件は以前より大阪のミナミでも発生していると言う。

また、組織は持たない蛇頭にも、黒社会の構成員や日本の暴力団が関与することがあるとされる。

正規の送金でかかる15%の税金を逃れるための不正送金にも黒社会が関与しているとされる。警察庁によると1992年から2001年までに摘発された不正送金(地下銀行)グループによる中国への不正送金は11件、総額1200億円である。また、2008年に不正送金グループが45口座を日本の金融機関に所有し、5年間に24億円を不正送金していた事件が摘発されている。

『黒社会』に関する書籍

  • 田雁(鈴木健一 訳)『BLACK CHINA 中国黒社会 規範なき大陸の暗黒年代記』 バジリコ 2004年
  • 石田収『中国の黒社会』 講談社 2002年
  • 溝口敦『中国「黒社会」の掟 チャイナマフィア』 講談社 2006年
  • 富坂聡『潜入 在日中国人の犯罪シンジケート』 文藝春秋 2003年
  • 何頻、王兆軍(中川友 訳)『黒社会 中国を揺るがす組織犯罪』 草思社 1997年
  • 陳放(椙田雅美、宮崎真紀 訳)『海怒(ハイヌ) 東京黒社会群狼記』(上・下) バジリコ 2004年(フィクション)

『黒社会』の登場するフィクション

脚注

  1. ^ ミナミに「黒社会」の影<3>

関連項目