高安国世
高安 国世(たかやす くによ、男性、1913年8月11日 - 1984年7月30日)は、日本の歌人、ドイツ文学者。専門はリルケであり、多くの作品を翻訳している。短歌結社「塔」創設者。
大阪府大阪市道修町出身。父高安道成は医師、母やす子はアララギの歌人、叔父に高安月郊[1]。母の影響を受けて短歌を志し、アララギに入会、土屋文明に師事する。リアリズムに基礎を置きながらも、現実には存在しないものを表現の対象に求めるなど、常に新しい表現を求め続けた。
京都大学短歌会の顧問もつとめ、永田和宏や栗木京子を育てた。三男高安醇は画家。
略歴
- 旧制甲南高校では、内田義彦、下村正夫と同期。野間宏とも交流を持つ。
- 1934年 アララギ入会。京都帝国大学文学部独文科入学。
- 1937年 京都帝国大学文学部卒業
- 1946年 関西アララギ地方誌「高槻」創刊に参加
- 京都大学教養部助教授
- 1949年 最初の歌集『真実』(作品発表年次では第二歌集に当たる)刊行
- 1952年 「高槻」を「関西アララギ」と改名。編集者となる。
- 1954年 歌誌「塔」を創刊
- 1957年 ドイツ留学
- 1963年 京都大学教養部教授
- 1970年 「現代歌人集会」を結成、初代理事長に就任
- 1976年 京大定年退官、関西学院大学教授
- 1982年 梅花女子大学教授
- 1983年 京都府文化功労賞受賞
- 1984年 『光の春』で第7回現代短歌大賞受賞
著書
- 若き日のために ドイツ文学断想 七丈書院 1944
- 新しき力としての文学 秋田屋 1946
- 物への信頼と意志 明窗書房 1948 「「魔の山」その他」と改題
- トーマス・マンとリルケ アテナ書院 1949
- 歌集『真実』関西アララギ会高槻発行所 1949年
- 歌集『Vorfrühling』 1951年
- 歌集『年輪』白玉書房 1952年
- リルケ(世界名詩鑑賞)筑摩書房 1954
- 歌集『夜の青葉に』白玉書房 1955年
- 歌論集『抒情と現実 今日の短歌明日の短歌』第二書房 1956年
- 歌集『砂の上の卓』白玉書房 1957年
- ドイツ語訳歌集『Herbstmond』 1959年(西ドイツにて刊行)
- 歌文集『北極飛行』白玉書房 1960年
- 歌集『街上』白玉書房 1962年
- 万葉の歌をたずねて 創元社 1963
- 歌集『虚像の鳩』白玉書房 1968年
- 歌集『朝から朝』白玉書房 1972年
- リルケと日本人 第三文明社 1972 (レグルス文庫)
- 歌集『新樹』白玉書房 1976年
- 歌論集『詩と真実』短歌新聞社 1976年
- エッセー集『カスタニエンの木陰』構造社出版 1977年
- エッセー集『わがリルケ』新潮社 1977年
- 歌集『一瞬の夏』 1978年
- 歌論集『短歌への希求』沖積舎 1980年
- 歌集『湖に架かる橋』 1981年
- エッセー集『詩の近代-ドイツ文学エッセイ』沖積舎 1982年
- 歌集『光の春』 1984年
翻訳
- リルケ書簡集 第4巻 ミュゾットの手紙 甲鳥書林 1943
- 落穂拾ひ ドイツ近代詩抄 臼井書房 1946
- ハイネ抒情詩集 世界文学社 1948
- バヴァリアの森から シュティフタア 養徳社 1948
- 若き詩人への手紙 リルケ 養徳社 1949
- キャラバン ヴィルヘルム・ハウフ 谷友幸共訳 甲文社出版部 1949
- ドイツの宗教と哲学の歴史 ハインリッヒ・ハイネ アテナ書院 1949
- 愛の詩集 ハイネ 弘文堂:アテネ文庫 1950
- マイヤァ抒情詩集 岩波文庫 1951
- ロダン リルケ 岩波文庫 1952 →改版1960
- 若き詩人への手紙・若き女性への手紙 リルケ 新潮文庫 1953 →改版1998ほか
- リルケと共に ルー・アルベール・ラザール 野村修共訳 新潮社 1954
- ハイネ詩集 弥生書房(世界の詩) 1964
- リルケの言葉 弥生書房(人生の知恵) 1969 →新版1997
- リルケ詩集 講談社文庫 1977 →岩波文庫 2010
- マルテの手記 リルケ 講談社文庫 1977 →講談社「世界文学全集 リルケ」
- 変身・判決・断食芸人 カフカ 講談社文庫 1978