食品偽装問題
食品偽装問題(しょくひんぎそうもんだい)とは、食品に対して何らかの偽装を行う行為(食品偽装)によって起こる問題のことである。事件化された件については、食品偽装事件とも言う。
食料品の小売り・卸売りや飲食店での商品提供において、生産地、原材料、消費期限・賞味期限、食用の適否などについて、本来とは異なった表示を行なった状態で、流通・市販がなされることがある。販売以外の目的で偽装を行う場合もある(牛肉偽装事件など)。
偽装の種類
- 産地偽装 - 生産地を偽って表示する。
- 原材料偽装 - 原材料を偽って表示する。
- 消費期限・賞味期限偽装 - 消費期限および賞味期限を本来より後の日付に偽って表示する。
- 食用の適否の偽装 - 食用でないとされたものを食用と偽って販売する。
飲食店のメニューに産地や原材料を偽って掲載することはメニュー偽装と呼ばれる。
主な偽装事件
発覚した時期の順に示す。
- C&Bカレー粉事件(1931年) - 英国C&B社の純正カレー粉に国産カレー粉が混入あるいは完全に擦り替えられていた事件。社会的に正の効果をもたらした唯一の食品偽装事件でもあり、この事件の後、国産カレー粉の優秀さが確認され、日本のカレー普及の一助となった。
- 牛肉偽装事件(2001年) - BSE対策事業の国産牛肉買い取り事業を悪用し、複数の食肉卸売業者が輸入牛肉を国産牛肉と偽って国に買い取りを要請し、補助金を詐取した事件。
- 飛騨牛偽装事件(2003年) - 岐阜県養老町の丸明が肉質などの偽装表示を行っていた事件。
- ミートホープによる豚肉・鶏肉等の混入挽肉販売(2007年)
- 石屋製菓による「白い恋人」の賞味期限偽装(2007年8月)
- 赤福餅の消費期限偽装(2007年10月)
- 船場吉兆(2007年) - 産地偽装や賞味期限偽装に加え、食べ残しの再提供など他の問題も発覚した。
- 事故米不正転売事件(2008年9月) - 三笠フーズ(大阪市)・浅井(名古屋市)・太田産業(愛知県小坂井町)による事故米食用偽装転売
- 浪花酒造による大吟醸酒原材料偽装(2013年2月)
- 馬肉混入問題(2013年) - イギリスやアイルランドで牛肉を使用していると謳った食品に馬肉が混入していることが発覚した。
- 食材偽装問題(2013年) - 2013年に大手ホテル・百貨店レストラン等のメニュー表示における、産地や食材の種類に関する虚偽表示・偽装表示が相次いで発覚した。
- 木曽路による松阪牛メニュー偽装(2014年)
- 産業廃棄物処理業者による不正転売事件(2016年) - 産業廃棄物処理業者から賞味期限切れ食品を購入した食品卸売業による転売も行われていた[1]。
関連する法令
- 刑法(詐欺罪)
- 食品安全基本法
- 食品衛生法
- 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
- 不正競争防止法
- 不当景品類及び不当表示防止法(景表法)
- 消費者基本法
脚注
- ^ “壱番屋製以外の賞味期限切れ品も転売 みのりフーズ”. 中日新聞 (2016年1月18日). 2016年1月20日閲覧。
参考文献
- 『危ない食卓 十九世紀イギリス文学に見る食と毒』横山茂雄編 新人物往来社 2008年
- 『食品偽装の歴史』ビー・ウィルソン/高儀進訳、白水社、2009年7月