非対称ジメチルヒドラジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。78 (会話 | 投稿記録) による 2015年8月10日 (月) 18:58個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎関連項目)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

非対称ジメチルヒドラジン
{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 57-14-7 チェック
PubChem 5976
ChemSpider 5756 ×
EC番号 200-316-0
国連/北米番号 1163
KEGG C19233 チェック
MeSH dimazine
ChEBI
RTECS番号 MV2450000
バイルシュタイン 605261
特性
化学式 C2H8N2
モル質量 60.1 g mol−1
外観 無色透明の液体
匂い アンモニア臭
密度 790 mg mL−1 (at 20 °C)
融点

-57 °C, 216 K, -71 °F

沸点

64 °C, 337.1 K, 147 °F

蒸気圧 13.7 kPa (at 20 °C)
屈折率 (nD) 1.4075
熱化学
標準生成熱 ΔfHo 48.3 kJ mol−1
標準燃焼熱 ΔcHo −1982.3–−1975.1 kJ mol−1
標準モルエントロピー So 200.25 J K−1 mol−1
標準定圧モル比熱, Cpo 164.05 J K−1 mol−1
危険性
GHSピクトグラム 可燃性 腐食性物質 急性毒性(高毒性) 経口・吸飲による有害性 水生環境への有害性
GHSシグナルワード DANGER
Hフレーズ H225, H301, H314, H331, H350, H411
Pフレーズ P210, P261, P273, P280, P301+310
EU分類 強い可燃性 F 有毒 T 環境への危険性 N
EU Index 007-012-00-5
NFPA 704
3
4
1
Rフレーズ R45, R11, R23/25, R34, R51/53
引火点 −10 °C
発火点 248 °C
爆発限界 2–95%
半数致死量 LD50
  • 122 mg kg−1 (oral, rat)
  • 1.06 g kg−1 (dermal, rabbit)
関連する物質
関連物質
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

非対称ジメチルヒドラジン(Unsymmetrical dimethylhydrazine、UDMH、または1,1-ジメチルヒドラジン)はヒドラジンの誘導体の有機化合物である。示性式は (CH3)2-N-NH2である。異性体には1,2-ジメチルヒドラジン(CH3-NH-NH-CH3)があり、こちらは「対称型ジメチルヒドラジン」と呼ばれる。

アンモニア様の臭気を持つ無色透明の液体で、吸湿性を持ち、水に非常に溶けやすい。空気に触れると黄色に変色する。常温で気化しやすく、引火点が-10度のため引火しやすい。

用途

ロケットエンジンの推進剤として用いられ、酸化剤には四酸化二窒素赤煙硝酸液体酸素などが使用される。ヒドラジンに比べ高温でも安定しており、ヒドラジンと置き換えまたは混合が可能である。

常温で保存可能であるので即応性を要求されるミサイル等の用途に用いられ、また、酸化剤と混ぜるだけで燃焼する自己着火性推進剤であるため、高い信頼性を求められる人工衛星スペースシャトル等の姿勢制御に使用される。 ロケットエンジンの始動時にも使用され、この場合は運転が始まったらケロシンなどに切り替える。ただし、モノメチルヒドラジンの方が比推力が高い。

ロケットエンジンの燃料以外の用途として有機金属気相成長法による蒸着における窒素源としても使用される。

毒性など

強い発火性物質である。皮膚や粘膜に対して腐食性を持つ。また発がん性を持ち、国際がん研究機関の発がん性評価ではグループ2Bの発がん性の可能性がある物質に分類されている。また日本では消防法により危険物第5類(自己反応性物質)に、毒物及び劇物取締法では毒物に指定されている。

UDMHを使用したロケットエンジンの例

出典

  1. ^ dimazine - Compound Summary”. PubChem Compound. USA: National Center for Biotechnology Information (2005年3月26日). 2012年2月21日閲覧。

関連項目