青い花 (漫画)

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青い花
ジャンル 学園漫画百合レズビアン
漫画
作者 志村貴子
出版社 太田出版
掲載誌 マンガ・エロティクス・エフ
発表号 30号 - 82号
発表期間 2004年11月17日 - 2013年7月6日
巻数 全8巻
話数 全52話
アニメ
原作 志村貴子
監督 カサヰケンイチ
シリーズ構成 高山文彦
キャラクターデザイン 音地正行
音楽 羽毛田丈史
アニメーション制作 J.C.STAFF
製作 青い花製作委員会
放送局 フジテレビ
放送期間 2009年7月1日 - 9月9日
話数 全11話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメラジオ

青い花』(あおいはな)は、志村貴子による日本漫画作品である。『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)30号(2004年11月17日発売)から82号(2013年7月6日発売)(作者インタビューも併せて掲載)まで連載されていた。2009年7月から9月にテレビアニメが放送された。なお、アニメは平成21年度(第13回)文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品アニメーション部門/長編(劇場公開・テレビアニメ・OVA)に選ばれている[1]

概要

江ノ電沿線など、鎌倉とその周辺が舞台。それぞれ別の女子高に通う2人の主人公を軸に、女性同士の恋愛と友情が描かれている。タイトルは、ノヴァーリスの小説『青い花』に由来する[2][3]

本作では、ふたりの主人公を取り巻く女性同士の人間関係や恋模様とともに、男女間の恋愛や恋心も描かれている。これについて作者は「女の子同士の恋愛だけに特化すると、女の子同士の恋愛が単なるファンタジーになってしまいそうなので、男女の恋愛も含めて描いた」という旨を語っている[4]。また作者は前作『どうにかなる日々』でレズビアンの話を描いていてとても楽しかったことが創作のきっかけになったと明かしており、『マリア様がみてる』に負けない百合作品にしたいとも語っている[2]。ただし本作は『マリア様がみてる』とは異なり、女性間の性愛というテーマを正面から扱っている。一部に女性同士の肉体関係を示唆する描写があるが、『どうにかなる日々』にあったような直接的な性描写は避けられている。

志村の作品は作中での出来事を必ずしも明示せずに行間で読ませる部分が大きく、本作をアニメ化する際のシナリオ会議でも台詞の解釈がたびたび問題となった[5]

あらすじ

江ノ電沿線の女子高「松岡女子高等学校」に入学した万城目ふみは、入学式の日に同じく江ノ電沿線のお嬢様学校「藤が谷女学院」に入学した幼なじみの奥平あきらと10年ぶりに再会し、2人は一緒に登校するようになる。その頃のふみは交際していた従姉の花城千津が結婚したために沈んでいたが、文芸部の部室で先輩の杉本恭己と出会い、付き合いはじめる。

登場人物

万城目 ふみ(まんじょうめ ふみ)
- 高部あい
本作の主人公。11月21日生、蠍座、身長171cm、血液型はA型。ニックネームはふみちゃん。
長身の美少女[6]で、眼鏡をかけている。性格はおとなしく、泣き虫で悩みがちである[6]
松岡女子高校入学を機にかつて住んでいた鎌倉に戻ってきたところ、幼馴染のあーちゃんと再会する。肉体関係まで持っていた従姉の千津がふみを裏切るようにして結婚してしまい、落ち込んでいた。高校の先輩である杉本恭己と付き合い始めるも数ヶ月で破局。
その際に自身の初恋の相手が幼馴染のあーちゃんであったことを思い出し、あーちゃんを好きという想いが募るようになる。
もともとは文芸部に所属していたが、のちに部員不足に悩む演劇部に移籍する。ただし人前で芝居などは間違ってもできない性格のため、あくまでも部員数確保のための人員であると自覚している。
奥平 あきら(おくだいら あきら)
声 - 儀武ゆう子
本作のもう1人の主人公。4月16日生、牡羊座、身長154cm、血液型はO型。ニックネームはあーちゃん。
藤が谷高等部に外部から入学。ふみの幼馴染で親友。演劇部所属で、同じく演劇部所属の京子と親しい。幼少時はふみよりも少し背が高かったが、現在は同年代の女の子の中でも飛び抜けて小柄である。抜けているところもあるがわりとしっかり者で、落ち込みやすいふみの相談相手になっている。最初はふみと恭己の恋を応援していたが、二人の破局の後にふみに告白されて付き合うことになる。三年生に進級する前にふみと肉体関係を結ぶに至った。また、三年次に演劇部の部長に選出されている。
「あきら」の名は、「青い花」の担当編集(後の『エロティクス・エフ』編集長)である上村晶からとられた。作中で象徴的なセリフである「ふみちゃんはすぐ泣くんだから」というセリフも、上村自身から着想を得たものだという(構想当初、ふみとあきらの性格が逆であった)[7]

松岡女子高等学校

藤が谷駅のそばにある偏差値の高いハイレベルな進学校[8]

万城目 ふみ
万城目 ふみを参照。
杉本 恭己(すぎもと やすこ)
声 - 石松千恵美
7月5日生、蟹座、身長173cm、血液型はA型。中学時代は藤が谷女学院中等部に在籍。ふみの2学年上の先輩。
高校2年になったとき、藤が谷から松岡に編入した。藤が谷に通っていた3人の姉がおり、恭己とあわせて杉本四姉妹と呼ばれる。
優等生でスポーツもでき、女子に人気がある。
姉の恋人である各務に想いを寄せており、失恋を機に松岡に編入。半ば当て付けのような形でふみと交際していたが破局した。その後、自分の失恋ばかりを正当視する身勝手さをふみ自身に諌められ、気持ちを切り替える。卒業後はロンドンに留学した。
本厚木 洋子(ほんあつぎ ようこ)
声 - 矢作紗友里
身長159cm。ニックネームはポンちゃん。ふみの同級生。演劇部所属。足は速いほうで、体育祭のリレーの選手に選ばれたこともある。
明るく物怖じしない性格[6]。肩で切りそろえたボブヘアが特徴[9]。同じ演劇部の美和、美沙子とは中学時代からの友人であり、三人組のリーダー的存在[8]
茂木 美和(もてぎ みわ)
声 - 豊崎愛生
身長155cm。ニックネームはモギー。ふみの同級生。演劇部所属。ふみの繋がりであきらと知り合い、あきらの兄の忍を好きになって告白し交際を開始した。
おっとりした性格で[6]、ふわふわした髪が特徴[9]
安田 美沙子(やすだ みさこ)
声 - 井口裕香
身長157cm。ニックネームはやっさん。ふみの同級生。演劇部所属。
さばさばした性格[6]で、演劇部の部長を務めている。太い眉毛にくせ毛のショートヘアが特徴[9]
涙もろい一面があり、2年次には同好会に格下げになってしまった演劇部の現状を嘆く事もしばしばだった。
上野 佳織(うえの かおり)
声 - 沖佳苗
恭己の同級生で友人。文芸部部長。

藤が谷女学院高等部

藤が谷女学院の外観のモデルとなった鎌倉文学館[10]
藤が谷女学院のモデルとなった駒場公園旧前田侯爵邸洋館[10]

1879年(明治12年)に設立された[11]、由緒正しいお嬢様学校[8]

奥平 あきら
奥平 あきらを参照。
井汲 京子(いくみ きょうこ)
声 - 堀江由衣
12月22日生、山羊座、身長158cm、血液型はAB型。あきらの同級生。演劇部所属。
高等部1年の時にあきらの隣の席であったことから友人となる。幼なじみの康が許嫁になっているが、中等部の頃から恭己が好きで、報われない恋に思い悩んでいる。
上田 良子(うえだ りょうこ)
あきらと2年で同じクラスになった同級生。もの静かでおっとりしており、登場人物になりきって読書するのが趣味。ふみと同じくらい背が高く、長い髪をおさげにしている。図書部所属。本作では演劇は未経験であると発言しているが、初等部・中等部では演劇部に所属していた。
多少のことでは物怖じしない性分であり、演劇部からのスカウトも割とあっさり承諾。本格的な演劇への出演もそつなくこなす度胸を見せた。仲の良いあきらを「小さくて可愛い」「キーホルダーにしてカバンにつけたい」と形容し、家庭科の自由課題で本当にあきらのディフォルメストラップを作ってしまうなど、お茶目な一面を見せる事も多い。卒業後は留学し、恭己や川崎文子らとルームシェアしている。
なお、作者の別作品「淡島百景」の登場人物竹原絹枝の友人であり二人の中学時代と鹿鳴館公演後のエピソードが描かれている。
大野 春花(おおの はるか)
あきらの1学年下の後輩で、あきらと同じく外部からの入学生。誰とでもすぐに打ち解ける人懐っこい性格で、上級生や他校生とも親交が深い。反面、やや独善的で思った事を良くも悪くもすぐに口にするため、他人の心情に対する配慮に欠ける。あきらや京子たち藤が谷の先輩に憧れ、演劇部に入部。姉の織江と親交が深い山科日向子のことを「ヒナちゃん」と呼んでいる。
同性愛に対する理解は低く、姉と日向子の関係やふみの恋愛観などを知って苦悩する事になる。
川崎 文子(かわさき あやこ)
声 - 小野涼子
身長164cm。あきらの2学年上の先輩。
演劇部員で演劇祭の演目「嵐が丘」でキャサリンを演じる。
三浦 香織(みうら かおり)
声 - 中村知子
身長164cm。あきらの2学年上の先輩。演劇部部長。
各務 正則(かがみ まさのり)
声 - 浜田賢二
30歳、身長176cm。藤が谷女学院高等部の演劇部顧問。恭己を「図書館の君」と呼んだ人。杉本四姉妹の次女の和佐と結婚する。
山科 日向子(やましな ひなこ)
あきらと良子の2年生のときの担任で、理科の先生。藤が谷女学院の出身で、高等部時代の同級生の織江と付き合っている。

杉本家

鎌倉で代々続く名家で運転手の荻野さん(声 - 金光宣明)、お手伝いのふみさん[12](声 - 小林美奈)などの使用人がいる。

声 - 斧アツシ
大学教授。
杉本 千恵[13](すぎもと ちえ)
声 - 津田匠子
杉本四姉妹の母。

杉本四姉妹

杉本家の4人の娘は「杉本四姉妹」と呼ばれており、恭己が末っ子の四女。

杉本 姿子(すぎもと しなこ)
声 - 能登麻美子
32歳、身長172.5cm。杉本四姉妹の長女。冗談好きで恭己をよくからかう。
杉本 和佐(すぎもと かずさ)
声 - 福井裕佳梨
28歳、身長173cm。杉本四姉妹の次女。元藤が谷の美術の先生で、正則の婚約者。細かいことにはこだわらないざっくりした性格。
杉本 公理(すぎもと くり)
声 - 中原麻衣
23歳、身長170cm。杉本四姉妹の三女。恭己と同じように藤が谷時代は学院の女の子たちにモテていた。

万城目家

万城目 芳江(まんじょうめ よしえ)
声 - 藤村歩
身長160cm。ふみの母。奥平家とは家族ぐるみの付き合いで、鎌倉に戻った際にふみを連れて奥平家に挨拶に訪れた。
万城目 章夫(まんじょうめ あきお)
声 - 小形満
ふみの父。鎌倉に住居を移すと同時期に、勤める会社(銀行)の本店に異動となった。
ふみの祖母
声 - 宮沢きよこ
万城目家が鎌倉に戻る2年前に亡くなっている。

奥平家

奥平 忍(おくだいら しのぶ)
声 - 川田紳司
身長175cm。あきらの兄で大学2年生。何かと妹の世話を焼きたがり、朝の通学時に車であきらを送ろうとするが疎まれている。モギーに告白されて彼女と交際するようになった。
奥平 咲子(おくだいら さきこ)
声 - 北西純子
身長158cm。あきらと忍の母。妹の世話ばかりで自身の将来を全く考えていない忍を心配している。
奥平 義道(おくだいら よしみち)
声 - 伝坂勉
身長168cm。あきらと忍の父。IT企業に勤めるサラリーマン。

その他の登場人物

花城 千津(はなしろ ちづ)
声 - 大浦冬華
ふみの従姉(母親の姉の娘)。ふみと肉体関係まで持っていたが、ふみの転居をきっかけに疎遠になり、裏切るような形で結婚。後に女の子を出産した。決して遊びでふみを誘ったわけではなかったのだが、女同士の恋を添い遂げる覚悟がなかった。
澤乃井 康(さわのい こう)
声 - 浅沼晋太郎田中晶子(幼少期)
身長178cm。ニックネームは康ちゃん。大学1年生で、京子の許嫁。面倒見がよく穏やかな性格。
花絵(はなえ)
声 - 小島幸子
康の叔母。
恵子おばさん(けいこおばさん)
横浜在住のあきらの叔母で藤が谷のOG。
井汲 加代子(いくみ かよこ)
京子の母。

単行本

太田出版から刊行されている。全8巻。

テレビアニメ

青い花 Sweet Blue Flowers』のタイトルで、2009年7月から9月までフジテレビNOISE』にて放送された。全11話。

2013年9月6日にBD-BOXが発売された。

平成21年度(第13回)文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品アニメーション部門/長編(劇場公開・テレビアニメ・OVA)に選出され[1]、2010年2月には国立新美術館で展示・上映された。

スタッフ

主題歌

オープニングテーマ「青い花」
作詞・作曲 - 山崎ゆかり / 編曲・歌 - 空気公団
エンディングテーマ「センティフォリア」
作詞・歌 - Ceui / 作曲 - 小高光太郎、Ceui / 編曲 - 小高光太郎

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 花物語 高山文彦 カサヰケンイチ 木本茂樹
2 春の嵐 長井龍雪 矢向宏志
3 朝目覚めては カサヰケンイチ
高田耕一
橋本敏一 岩倉和憲
冨岡寛
4 青春は美わし 桜美かつし 植田和幸
5 嵐が丘(前編) 高山文彦
綾奈ゆにこ
渦薪かい 鈴木健太郎 野村芙沙子
萩原弘光
6 嵐が丘(後編) 河村智之 木本茂樹
7 若葉のころ 水上清資 青井小夜 松尾亜希子
熊田明子
矢向宏志
8 恋は盲目 鈴木洋平 岩倉和憲
冨岡寛
9 夏の夜の夢 よこた和 斉藤美香
小美戸幸代
10 幸福の王子 綾奈ゆにこ 高田耕一 橋本敏一 野村芙沙子
植田和幸
11 冬の花火 高山文彦 渦薪かい
カサヰケンイチ
河村智之 木本茂樹
冨岡寛

放送局

放送地域 放送局 放送期間 放送日時 系列 備考
関東広域圏 フジテレビ 2009年7月1日 - 9月9日 水曜 26:08 - 26:38 フジテレビ系列 制作局
日本全域 BSフジ 2009年7月20日 - 10月5日 月曜 24:30 - 24:55 BSデジタル放送
フジテレビTWO 2010年5月30日 - 6月27日 日曜 25:30 - 26:20 CSチャンネル 2話連続放送
キッズステーション 2013年10月28日 - 2014年1月20日 月曜 24:30 - 25:00 リピート放送あり

地上波放送では、NOISE枠で初めての関東ローカルであった。なお、この作品をもってNOISE枠は休止になり、フジテレビではつなぎ番組の『恋時雨〜吉高由里子と6つの恋〜[16]』を2回放送した後にアニメ枠が廃止。BSフジでは『空中ブランコ』からノイタミナに鞍替えすることとなった。

Webラジオ

テレビアニメに関連してWEBラジオ『青い花 〜Sweet Blue Radio〜』が配信された。全19回。

配信

パーソナリティ

脚注

  1. ^ a b 第13回 2009年 アニメーション部門 審査委員会推薦作品”. 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品. 文化庁. 2015年10月31日閲覧。
  2. ^ a b NO COMIC NO LIFE 第56回:志村貴子先生インタビュー”. とらのあな web site. 虎の穴. 2006年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月31日閲覧。
  3. ^ 『とらだよ。』Vol.62
  4. ^ 『ロッキング・オン・ジャパン』2009年6月号
  5. ^ アニメ公式サイト2010年3月2日閲覧
  6. ^ a b c d e 志村貴子『青い花5』太田出版、2010年3月2日発行(2-3頁)
  7. ^ 『マンガ・エロティクス・エフ』Vol.82 P46
  8. ^ a b c 志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(137-148頁)
  9. ^ a b c 志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(34-35頁)
  10. ^ a b 志村貴子『青い花2』太田出版、2006年12月26日発行(182頁)
  11. ^ 志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(34-35頁)
  12. ^ 志村貴子『青い花2』大田出版、年日発行(106頁)、アニメ版では「お手伝いさん」と表記されている
  13. ^ 志村貴子『青い花5』太田出版、2010年3月2日発行(163-170頁)、アニメ版では「母」と表記されている
  14. ^ a b c d e f g h i j k 志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(176頁)
  15. ^ 志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(56-57頁)
  16. ^ 恋時雨〜吉高由里子と6つの恋〜”. フジテレビ. 2009年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月31日閲覧。

関連項目

外部リンク

フジテレビ NOISE
前番組 番組名 次番組
青い花
(ここまでNOISE枠)