雁 (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

』(がん)は、森鷗外小説である。文芸雑誌『スバル』にて、1911年9月から1913年5月にかけて連載された。1915年5月刊行。

あらすじ[編集]

1880年(明治13年)高利貸し末造の妾・お玉が、医学を学ぶ大学生の岡田に慕情を抱き、末造の来ない日に一人で家にいるようにして、散歩に来る岡田を待つ。ところが、いつも一人で散歩していた岡田は、その日の下宿の夕食が偶然、語り手の「僕」が嫌いなサバの味噌煮だったため、「僕」とともに散歩に出た。途中不忍池で、たまたま投げた石が雁に当たって死んでしまう。かれらは無縁坂の中途にあるお玉の家の前を通ったが、岡田が一人ではなかったので、お玉は結局その想いを伝える事が出来ないまま岡田は洋行する。

不運にも命を落とす雁になぞらえ、女性のはかない心理描写を描いた作品である。ただしそれを、岡田の友人が語り手となって書いており、かれらがその当時は知りえないような、お玉と末造とのなれそめ、末造と妻との諍いなども描かれている。これは、語り手がその後お玉と知る機会を得て、状況を合わせ鏡のように知ったのだと、語り手の「僕」は作中で弁解している。

映像作品[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]

※第31回ギャラクシー賞奨励賞受賞


関連項目[編集]

外部リンク[編集]