開設記念競輪
開設記念競輪(かいせつきねんけいりん)は、競輪のGIII競走の1つ。単に「記念競輪」や「記念」と略されるほか、それぞれの競輪場で独特の呼び名がある。 以降は特記が無い限り、2014年4月以降の制度について記述する。
概要
競輪場の開設を記念して各競輪場で毎年度1回行われるGIII競走であり、年(1〜12月)に約40節開催される。特別競輪が行われない競輪場では、1年の中で1番のメインイベントとなる。 各競輪場ごとに「○○賞」や「××カップ」といった呼び名があり(後述)、それぞれの地元で定着しているものが多い。レースタイトルとしては「開設□□周年記念○○賞」といった形になる。
開催時期
開催時期については明確に定められているわけではなく、毎年同じ時期に開催される競輪場もあれば、時期が流動的な競輪場もある。また開催日取りや改修工事等の都合で時期がずれる場合もある。 代替開催(花月園メモリアルなど)で年間2回開催される場合もある。基本的には土・日・月・火で開催されることが多く、各記念開催間に普通開催 (FI・FII) が集中的に行われる傾向がある。
賞金
優勝賞金は325万円~426万円で、賞金総額は約5700万円~約7700万円。 これは、特別競輪の賞金(優勝賞金2000万円~6000万円、賞金総額約1億4000万~約3億3000万円)に対して極端に低くなっている。 前述の制度もあり、特別競輪の開催を好まず、あえて経費の掛からない記念開催を採る競輪場も一部に見受けられる。
2015年5月の湘南ダービー(平塚)では、破格の優勝賞金1000万円(副賞を含む)が設定された[1]。
出場選手
S級選手のうち108名が斡旋される。競艇の周年記念競走とは異なり、施行者希望選手の制度は無いが、ホームバンクとする選手が多く斡旋される傾向にある。特別競輪の前後の記念はS班選手が不在になる等、メンバーが手薄になる傾向にある。
概定番組表
- 初日
- 第1レース〜第9レース:「一次予選」 合計9レース行われ、各レース1〜4着の36名が「二次予選」進出。
- 第10レース〜第12レース:「初日特選」 合計3レース行われ、各レース1〜3着9名は無条件で、2日目の「優秀」と3日目の「準決勝」進出権利が同時に得られる。4〜9着18名は「二次予選」進出。
※初日特選は、S班の選手全員と1班の選手のうち直近4ヶ月間の平均競走得点上位者の合計27名が選抜される。
- 2日目
- 第1レース〜第5レース:「選抜」 合計5レース行われる。
- 第6レース〜第11レース:「二次予選」 合計6レース行われ、各レース1〜3着の18名が「準決勝」進出。
- 第12レース:「優秀」 失格しない限り9名全員が「準決勝」進出。
- 3日目
- 第1レース〜第3レース:「一般」 合計3レース行われ、各レース7〜9着の9名が最終日を待たずに帰郷となる。
- 第4レース〜第6レース:「選抜」 合計3レース行われる。
- 第7レース〜第9レース:「特選」 合計3レース行われる。
- 第10レース〜第12レース:「準決勝」 合計3レース行われ、各レース1〜3着の9名が「決勝」進出。
- 4日目(最終日)
- 第1レース〜第2レース:「一般」 合計2レース行われる。
- 第3レース〜第5レース:「選抜」 合計3レース行われる。
- 第6レース〜第8レース:「特選」 合計3レース行われる。
- 第9レース〜第10レース:「特別優秀」 合計2レース行われる。
- 第11レース:「決勝」 優勝者には優勝インタビューやウイニングランなどが執り行われる。
※ルーキーチャンピオンレースやレインボーカップ、ガールズケイリンコレクションが同時開催される場合はこの日の第9レースに組まれ、「特別優秀」は第10レース~第11レース、「決勝」は第12レースとなる。 これは、1日に1競輪場で行える競走数が12レースまでと定められているためである。
歴史
競輪創世記の頃は、開催システムそのものが統一されておらず、「前後節3日間ずつ」や「片節3日間のみ」という開催もあれば、「6日間連続」の開催をするところもあった。また、「オールA級」と「オールB級」という形で分かれていたり、片節が女子だけというケースもあり、選手の選抜方式も統一されていなかった。後に、「前後節各3日間開催」でA級6レース、B級4レースの「二本立てトーナメント」という、長らく踏襲されることになるシステムに全場で統一されるのは1968年頃だと考えられる[2]。
- 1983年4月:競輪プログラム改革構想 (KPK) の導入に伴い、新たに設けられたS級とA級の二本立てトーナメントとなる。(S級6レース、A級4レース)
- 1985年12月:1968年の開催を最後に休止を余儀なくされていた甲子園競輪場での開催が再開される。
- 2002年4月:川崎53周年記念より、年度2節・3日制から年度1節・4日制となり、出場資格もS級選手のみとなる。(レース数は変わらず、1日11レース)
- 2010年7月:京王閣61周年記念より、初日の選抜競走の撤廃、二次予選のA・B、準決勝のA・B・Cの区分けを無くし1本化した概定番組の大幅な改定がなされる。
- 2014年4月:西武園64周年記念より、初日~3日目を1レース増やして全12レース、4日目を全11レースとする番組に変更。同時に、途中帰郷のシステムも加えられる。
競輪場ごとの呼称
各競輪場ごとの呼び名は、歴史にちなんだもの、地域の名物にちなんだものなど、様々なものが存在する。 また、2日目のシード戦である優秀競走にも各競輪場ごとに個別のタイトル名が付けられている。優秀競走の勝利者は、決勝戦の優勝者とは別に、ここで表彰されることがある。
各競輪場の記念競輪
付けられた愛称を列挙する(「」内は2日目優秀競走)。なお、特記なきは「開設○○周年記念」である。
- 北日本地区
- 関東地区
- 弥彦競輪場…ふるさとカップ「十宝賞」
- 前橋競輪場…三山王冠争奪戦「疾風雷神賞」
- 取手競輪場…水戸黄門賞「助さん格さん賞」
- 宇都宮競輪場…宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦「みやかめ賞」
- 大宮競輪場…倉茂記念杯「昇竜賞」※「東日本発祥○○周年記念」
- 西武園競輪場…ゴールドウイング賞「ギャンブルレーサー関優勝牌」
- 京王閣競輪場…ゴールドカップレース「東京オーヴァル賞」
- 立川競輪場…鳳凰賞典レース「初夢賞」
- 南関東地区
- 松戸競輪場…燦燦ダイヤモンドカップ争奪戦「戸定邸賞」
- 千葉競輪場…滝澤正光杯「千葉マリーンカップ」
- 川崎競輪場…桜花賞・海老澤清杯「ダイヤモンドレース」
- 平塚競輪場…湘南ダービー「湘南グランプリ」
- 小田原競輪場…北条早雲杯争奪戦「銅門賞」
- 伊東温泉競輪場…椿賞争奪戦「いで湯賞」
- 静岡競輪場…たちあおい賞争奪戦「ちゃっきり賞」
- 中部地区
- 名古屋競輪場…金鯱賞争奪戦「太閤賞」※「開場○○周年記念」
- 岐阜競輪場…長良川鵜飼カップ「かがり火賞」
- 大垣競輪場…水都大垣杯「麋城賞」※「開場○○周年記念」
- 豊橋競輪場…ちぎり賞争奪戦「まくる君カップ」※「開場○○周年記念」
- 富山競輪場…瑞峰立山賞争奪戦「峻峰剱賞」
- 松阪競輪場…蒲生氏郷杯王座競輪「松阪牛賞」
- 四日市競輪場…泗水杯争奪戦「フォーリンカップ」
- 近畿地区
- 福井競輪場…不死鳥杯「福ノ井賞」
- 奈良競輪場…春日賞争覇戦「飛天ちゃん賞」
- 京都向日町競輪場…平安賞「朱雀賞」
- 和歌山競輪場…和歌山グランプリ「熊野古道賞」
- 岸和田競輪場…岸和田キング争覇戦「eスマート賞」
- 中国地区
- 四国地区
- 九州地区
- 小倉競輪場…毎年朝日新聞社杯競輪祭を開催しているため、記念競輪は開催されない
- 久留米競輪場…第××回中野カップレース「キラリ久留米くるっぱ賞」
※なお、別途30万円を協賛金として支払えば、企業・団体または個人でレース名をつけることも可能である[3]。(個人協賛競走を参照) - 武雄競輪場…大楠賞争奪戦「飛龍賞」
- 佐世保競輪場…九十九島賞争奪戦「佐世保バーガー賞」
- 別府競輪場…別府八湯ゆけむりカップ「いで湯賞」
- 熊本競輪場…火の国杯争奪戦「火の鳥賞」
廃止となった競輪場での開催は以下の通りである。
- 花月園競輪場(2010年3月末日廃止)…菊花賞典「あすか賞」(現在は花月園メモリアルに移行、2014年限りで廃止)
- 大津びわこ競輪場(2011年3月末日廃止)…2010年まで毎年高松宮記念杯競輪を開催していたため、記念競輪は開催されなかった
- 観音寺競輪場(2012年3月末日廃止)…ことひき賞争奪戦「ちょうさ賞」
- 一宮競輪場(2014年3月末日廃止)…毛織王冠争奪戦「織姫賞」※「開場○○周年記念」
競輪オフィシャルサイトでは、記念競輪名を『「○○競輪+開設(開場/東日本発祥)○○周年記念+「愛称」』の順で表記する(例:立川競輪開設58周年記念「鳳凰賞典レース」)。 同サイトでは記念競輪名に (GIII) を入れる場合『○○記念 (GIII)』の様に記念の後ろに (GIII) を入れて「愛称」を省略するが、開催情報では 「愛称」のみの表記になる。
脚注
- ^ 【競輪】平塚記念でバイきんぐが爆笑ライブ デイリースポーツ online
- ^ 競輪場別記念優勝者(判明分・名古屋競輪場)
- ^ 久留米競輪 協賛レース募集