部隊

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部隊(ぶたい、英語: unit、troops、force、element、command、echelon、corps、brigade)とは軍隊警察消防等の組織において2名以上の人員で組織される作戦行動の基本的な単位である。自衛隊では機関と区別して部隊を編制している。また営業部隊、炊き出し部隊など組織の有無や規模の大小に関係なく共通する目的で、集団で行動する人々を部隊と称することがある。

歴史

歴史的に部隊は軍事組織において基本的な単位として組織され、その機能や構成が研究されてきた。古代ギリシアの軍事組織では約4000名が一つの統一体として機動し、長槍と盾を装備した重歩兵部隊ファランクスが編制されていた。しかし、このような大規模な人員を抱え、かつ単一の職種で編制された部隊では運用する上で柔軟性に乏しかった。古代ローマのレギオンではそのような問題が解決されており、部隊を重歩兵部隊と騎兵部隊の混合として構成し、約120名から200名のマニプルと呼ばれる部隊が集まって編制されていた。いくつかの2個から3個のマニプルはコホートと呼ばれる部隊を組織し、10個のコホートと騎兵部隊が組み合わさって約4500名から5000名程度のレギオンという部隊が編制されていた。中世においては騎兵による戦闘が主流で歩兵を中心とした部隊編制は一時的に廃れていたが、14世紀にスイス歩兵は古代ローマの部隊編制を導入してヨーロッパでの戦闘に革新をもたらした。

次いで火器が開発されたことで軍事組織の部隊の編制は抜本的に見直されることになり、長槍と小銃を装備する歩兵を組み合わせることから始まり、後に銃剣の発明によって全ての歩兵は小銃を装備するに至る。1505年のスペイン軍では近代的な部隊編制を開発し、長槍、刀剣、マスケットを装備した5個の中隊からなる1000名の歩兵大隊を創設した。これはレギオンよりも小規模な部隊でありながら方陣の隊形で独立して戦闘行動が可能な近代的な大隊であった。しかし本格的にマスケットが普及してくるにつれて部隊は2列や3列の横隊に整列して射撃により戦闘することが主流となり、また騎兵部隊や砲兵部隊と連繋するために師団単位で運用されるようになる。フランス革命以後では大隊、連隊、師団という部隊編制が整備されるようになり、ナポレオンによって歩兵部隊は砲兵部隊の戦闘支援の下で運用されるようになる。この頃に軍事組織の基本的な部隊編制として師団、連隊、大隊が形成されたのであり、今日の軍事組織においても広くこの編制が採用されている。

部隊編制

軍事組織において部隊は組織的な作戦行動を遂行する単位であり、複雑な任務を遂行できるような分業的ヒエラルキーで組織されている。それはまず規模によって方面隊師団若しくは混成団連隊・大隊・中隊・小隊又は区隊・班などの単位に分けられ、それぞれの部隊の任務及び職域に応じて上位部隊及び隊長を中心とした階級の順位及び職務分掌に基づく指揮命令系統により、部隊行動・作戦が展開される。部隊の編制は通信技術の発達の程度によって決定される統制可能な範囲により歴史的に変化してきた。現代の軍事組織の部隊編制はナポレオン時代に形成されたものであり、フランス革命が勃発した時期からナポレオン戦争の時期のフランス軍の部隊編制を参考にしている。この部隊編制は基本的に大隊が横隊戦術で戦い、師団は状況に応じて各大隊を柔軟に運用することを可能にしており、さらに異なる機能を持つ大隊を組み合わせることで戦闘、戦闘支援、戦闘業務支援を行わせることができる。

部隊長の階級

部隊長の任用は部隊を編成する組織・機構により異なるが、軍隊一般及び警察部隊・消防部隊では以下のような階級の者が任じられている。

部隊長の階級
序列軍隊警察消防
軍司令官大将------
軍団長中将------
師団長少将------
連隊長大佐警視正---
大隊長中佐警視消防司令長
中隊長少佐大尉警部消防司令
小隊長・区隊長中尉少尉警部補消防司令補
分隊長・班長軍曹巡査部長消防士長

関連項目

参考文献

  • Dupuy, T. N. 1984. The evolution of weapons and warfare. Fairfax, Va.: HERO Books.
  • Foster, H. 1913. Organization: How armies are formed for war. London: Hugh Rees.
  • Phillips, T. R. 1944. Military institutions of the Romans. Harrisburg, Pa.: Stackpole Books.
  • Trompowsky, A. von. Evolution of the infantry devision. Military Review, November-December.
  • 三省堂編修所:編「グランドコンサイス和英辞典」三省堂、2002年。
  • 金森國臣:編「英和/和英対訳 最新軍事用語集」日外アソシエーツ、2007年。
  • 高井三郎「現代軍事用語【解説と使い方】」アリアドネ企画、2006年。