近鉄奈良線

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近畿日本鉄道 奈良線
A
富雄駅 - 学園前駅間を走行する9020系電車の急行列車
富雄駅 - 学園前駅間を走行する9020系電車の急行列車
基本情報
日本の旗 日本
所在地 大阪府奈良県
起点 布施駅[1][2]
終点 近鉄奈良駅
駅数 19駅
路線記号 A
開業 1914年4月30日
所有者 近畿日本鉄道
運営者 近畿日本鉄道
車両基地 東花園検車区西大寺検車区
使用車両 車両の節を参照
路線諸元
路線距離 26.7 km
軌間 1,435 mm標準軌
線路数 複線
電化方式 直流1,500 V 架空電車線方式
最大勾配 35.7
閉塞方式 自動閉塞式
保安装置 近鉄型ATS
最高速度 105 km/h[3]
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奈良線(ならせん)は、大阪府東大阪市布施駅[1][2]奈良県奈良市近鉄奈良駅とを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線である。

運転系統上は難波線大阪線大阪難波駅 - 布施駅間を含めた大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間が「奈良線」として扱われている。以下、特記のない限りと運転系統としての奈良線(大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間)について記述する。

駅ナンバリング等で使われる路線記号はA[4]。色は赤であり、2015年9月から順次案内などに導入された。

概要

直通運転記念ステッカーを貼付され、阪神尼崎へ向かう9820系(鶴橋駅)

1914年に開業した近鉄の直系母体である大阪電気軌道の創業路線である。

生駒山地新生駒トンネル (3,494m) で貫き、大阪市奈良市を最短ルートで結んでいる。大阪への通勤・通学路線であると同時に、奈良へ向かう観光路線でもある。開業当時の生駒トンネルの建設はトンネル技術が未熟で難工事であった(歴史節を参照)、1964年に新生駒トンネルが完成し車両の大型化などの輸送力増強が図られている。開業以来、大阪上本町駅(旧・上本町駅)を始発駅としてきたが、近鉄難波線が1970年に開業してからは、奈良線の実質的な起点は大阪難波駅(旧・近鉄難波駅)に移った。大阪線の大阪上本町駅 - 布施駅間は方向別複々線となっており、奈良線・大阪線の列車が並走する。

阪神電気鉄道の西大阪線が大阪難波駅まで延伸され、阪神なんば線として開業した2009年3月20日から、大阪難波駅を介して神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間で相互直通運転を行っており、両駅間を最短70分台で結んでいる[5]

また、西日本旅客鉄道(JR西日本)の大和路線関西本線)がJR難波駅天王寺駅 - 奈良駅間を結んでおり一部競合関係にあるが、前述の通り当路線の方は大阪市 - 奈良市間を直線的なルートを結んでいるのに対し大和路線は生駒山地を迂回するルートであること、近鉄奈良駅が奈良市の繁華街や観光地にアクセスしやすいのに対しJRの奈良駅は市の中心部からやや離れていることから、当路線の方がJRに対して優位になっている。

1977年に大阪難波駅から八戸ノ里駅東方の府道大阪中央環状線付近までの立体交差化が完成しているが、2003年から八戸ノ里駅 - 瓢箪山駅間の連続立体交差事業が着手され、2010年5月30日に下り線が完成し[6][7]、2014年9月21日に上り線も完成した[6][8]。これにより新たに若江岩田駅河内花園駅東花園駅が高架駅となった。

全線で、PiTaPaICOCAなどのICカード全国相互利用サービスにより利用可能である。また2018年1月まではスルッとKANSAI対応カードおよびJスルーカードが各駅の自動券売機で乗車券に引き換えることで利用することが可能だった。

路線データ

路線名称上の奈良線

  • 路線距離(営業キロ):布施駅 - 近鉄奈良駅間26.7 km
  • 軌間:1435mm
  • 駅数:19駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 最急勾配:35.7(枚岡駅 - 石切駅、東生駒駅 - 富雄駅)
  • 最高速度:105 km/h[3]
  • 運転指令所:大阪総合指令室・奈良線担当(近鉄奈良指令)

全線が大阪統括部の管轄である。

旅客案内および運転系統上の奈良線は、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間32.8 km、24駅(起終点駅含む)である。

沿線風景

停車場・施設・接続路線
tSTR
阪神: 阪神なんば線
tSTR
JR難波駅 JR西関西本線 大和路線
HUBtl
6.1 A01 大阪難波駅 難波駅
tSTR
難波駅 南海 南海本線 高野線
tSTR
難波線
tBHF
5.3 A02 近鉄日本橋駅 日本橋駅
4.1 A03 大阪上本町駅
STR tSTRe
谷町九丁目駅
STR STR
大阪線
KRZu KRZu
JR西: 大阪環状線
3.0 A04 鶴橋駅
KRWgl+l KRWgr+r
1.3 A05 今里駅
0.0 A06 布施駅
STRr STR
奈良線
KRZo
JR河内永和駅 JR西: おおさか東線
0.8 A07 河内永和駅
BHF
1.6 A08 河内小阪駅
BHF
2.4 A09 八戸ノ里駅
eABZgl exSTR+r
STR exKDSTe
八戸ノ里車庫 -1967
eABZgl exSTR+r
STR exKDSTe
玉川工場 -1982
BHF
4.1 A10 若江岩田駅
BHF
5.0 A11 河内花園駅
BHF
5.8 A12 東花園駅
ABZgl KDSTeq
東花園検車区
BHF
7.0 A13 瓢箪山駅
BHF
8.3 A14 枚岡駅
BHF
9.0 A15 額田駅
tSTR+l KRZt tSTReq
けいはんな線
tSTR BHF
10.1 A16 石切駅
tSTR eABZgl exSTR+r
tSTR tSTRa exBHF
10.6 孔舎衛坂駅 -1964
tSTR
extSTRa
新生駒トンネル 3,494m
tSTRl tKRZt
生駒トンネル
tSTR+GRZq tSTR+GRZq
大阪府奈良県
FUNI tSTRe tSTRe
eABZg+l eABZgr
鳥居前駅 生駒鋼索線
HUBlf
14.2 A17 生駒駅
ABZgr STR
生駒線
BHF BST
15.4 A18 東生駒駅 東生駒信号場
KRWgl
tSTRaq
けいはんな線
STR KBSTe
東花園検車区東生駒車庫
TUNNEL1
新向谷トンネル
BHF
17.7 A19 富雄駅
BHF
19.1 A20 学園前駅
BHF
20.1 A21 菖蒲池駅
ABZg+l STRq
京都線
BHF
22.3 A26 大和西大寺駅
ABZq+l ABZgr
橿原線
KDSTe STR
西大寺検車区
eHST
(臨)キャンプ・カー駅 1947-1951
BHF
25.0 A27 新大宮駅
exSTR+l eABZgr
exSTR tSTRa
exSTR tKRZ
JR西:関西本線( 大和路線)
exKRZo etKRZ
JR西:関西本線旧線
exBHF tSTR
25.9 油阪駅 -1969
exKBHFe tKBHFe
26.7 A28 近鉄奈良駅

難波線・大阪線区間も含めて全長30km少しという近鉄の幹線の中では短い方の路線にあたるが、車窓はバラエティに富んでいる。本節では大阪難波駅から奈良方面に向かって記述する。

大阪難波駅を発車すると千日前通大阪府道702号大阪枚岡奈良線)の地下を東へ走り、近鉄日本橋駅・大阪上本町駅を地下で進み、その後一気に高架に上がり、大阪環状線のガードを潜ると鶴橋駅に着く。鶴橋駅周辺は焼肉店やコリアタウンなどが立ち並ぶ繁華街となっており、昼や夜ともなれば電車の中にまで焼肉の香ばしい香りがたち込める。なお、この駅の焼肉の香りは環境省選定のかおり風景100選[注釈 1]にも選ばれている。

その後は住宅・工場・ビル群が混在する地域を高架で進むと3面4線を有する今里駅国道479号(大阪内環状線)を跨ぎ、高度を上げて進むと奈良線の起点である布施駅で大阪線と別れる。そして次第に辺りは東大阪市の古くからの住宅や工場が多くなってくる。おおさか東線との乗換駅の河内永和駅ハウス食品の本社所在地で準急停車駅の河内小阪駅、2面4線を有する八戸ノ里駅と進み、大阪中央環状線の中央を高架で走る近畿自動車道の下をくぐると左手にニトリモール東大阪が見える。この場所は近鉄の玉川工場の跡地で、近鉄ハーツが2010年3月まで営業していた。

この辺りからは次第に進行方向に生駒山が迫ってくる。若江岩田駅・河内花園駅を過ぎ、ラグビーの聖地である東大阪市花園ラグビー場の最寄駅で準急停車駅の東花園駅を通り過ぎると高架区間が終了し、恩智川国道170号(大阪外環状線)を渡り、2面4線で中央に通過線を持つ新幹線型の待避駅である瓢箪山駅。瓢箪山を出ると、いよいよ30超の連続急勾配が続く生駒山越えの区間に入る。列車は左に大きくカーブし枚岡駅額田駅を通り過ぎると今度は右にカーブする。両駅間の勾配は35.7‰で、普通鉄道構造規則(2002年廃止)第十七条の2が定める上限35‰を超えていた。

なお、この間にも列車は大きく標高を上げていっており、その間左手には大阪のオフィス街や阪神高速13号東大阪線けいはんな線を見下ろすことができ、遠くにはあべのハルカスなどの大阪市内の高層ビルや淡路島も望める日がある。この区間は全国でも珍しく列車から夜景を見下ろすことができ、その美しさゆえ夜景の専門サイトでも紹介されている程である。この区間は阪奈道路や、日本の道100選である暗越奈良街道(くらがりとうげならかいどう、国道308号)など鉄道・道路問わず急勾配路線が多いことでも知られている。逆にあまり知られていないが、この辺りは昭和初期に開発された当時の新興住宅地であるので、阪神間同様歴史のある高級住宅地となっている。

石切神社への参道が続く石切駅を過ぎるとすぐに新生駒トンネルに入り、3分ほどひた走って抜けると、奈良県生駒市に入り3面6線の生駒駅である。この駅では、けいはんな線や生駒線の電車と顔を合わせる。駅南西側からは生駒鋼索線も発着している。この先の東生駒駅国道168号を渡り、けいはんな線が左手にわかれると新向谷トンネルを抜けて新興住宅街の中を進む。奈良市に入ると富雄川奈良県道7号枚方大和郡山線を渡り、近畿大学(農学部)の最寄り駅である富雄駅を出てから高級邸宅街に差し掛かると学園前駅である。駅前には駅名・地域名の由来となった帝塚山学園があるほか、近鉄が運営している博物館 大和文華館がある。朝や夕方、晩は帝塚山学園を含めた付近の学校に通う通学客や一般の通勤客でホームが溢れかえる。

そして、菖蒲池駅前の近鉄あやめ池遊園地の跡地を左手に眺め、少し行くと左から京都線が合流し、大和西大寺駅に到着する。大和西大寺駅は京都線と橿原線の列車が交錯するジャンクションで、橿原線沿いに西大寺検車区がある。ホームは3面5線の構造で、4番線と5番線はホームに挟まれており、橿原線から大阪難波方面への連絡がホーム上でできるようになっている。近鉄奈良方には引き上げ線がある。駅周辺は近鉄百貨店やショッピングセンターなどの商業施設が立ち並ぶ。

大和西大寺駅を出るとすぐに平城宮跡に入り、右手には朱雀門、左手奥には復原された大極殿があり、正面には若草山東大寺を眺めることができる。国道24号奈良バイパスをくぐると、奈良市役所をはじめとするオフィス街などが立ち並ぶ新大宮駅で、新大宮駅を出るとすぐに、国道369号の地下区間に入り、4面4線の近鉄奈良駅に到着する。近鉄奈良駅はJR奈良駅に並ぶ奈良市の一大ターミナル駅であり、ここから奈良交通バスが多数発着している。奈良県庁にも近く、また駅から東には東大寺大仏殿春日大社がある奈良公園がある。

朱雀門踏切道

奈良県では2010年が平城京に遷都されてから1300年目にあたり、これを記念した平城遷都1300年祭のメイン会場として平城宮跡が選ばれたが、平城宮跡は奈良線が横断しており、利便性向上のために会場中心付近に歩行者専用の踏切が新設された[9]。原則として踏切の新設は認められておらず[10]、例外として踏切が新設された。近鉄の踏切名は「起点側の直近の駅名+踏切の数を示す番号+道」であるが、この踏切は「朱雀門踏切道」の名称が付けられている。

当初、平城宮跡会場でのイベント開催中のみ設置される予定であったが、引き続き存続することが決まり、現在でも設置されている[11]

運行形態

特急快速急行急行準急区間準急普通が運転されている。布施駅を始発・終着駅とする列車はなく、同駅を経由するすべての列車が同駅から大阪線・難波線に直通し大阪難波方面に発着する。特急および急行以外は、さらに大阪難波駅から阪神なんば線に直通し尼崎駅まで、快速急行はさらに阪神本線神戸三宮駅まで乗り入れる列車もある。天理教祭典日には天理線天理駅に直通する臨時急行も運転されている。大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間には京都線の列車のほか、京都線を介して直通運転する京都市営地下鉄烏丸線の車両も乗り入れる。

1980年3月に関西私鉄では初めて10両編成で運転を開始した路線で、朝夕ラッシュ時に8・10両編成が多数運転される。土休日ダイヤにも10両編成列車が設定されている。昼間時間帯も快速急行・急行で8両編成での運用がある。

ただし日中や夜間の上りは6両編成での運転も多く、曜日や時間帯により輸送力の落差が激しい。沿線地域の特性上、平日は奈良県内から大阪へ勤める通勤客、大阪や反対に奈良方面へ通う学生が、土曜・休日は奈良や反対に大阪方面へ向かう行楽客が多い。日中に走る急行は平日よりも土・休日の方が増結運転が行われるため編成が長くなっているのも特徴で、平日は6両編成であるが、休日は8両編成で運転される運用がある。

列車種別

以下に種別ごとの詳細を示す。尼崎・三宮方面と相互直通運転を行う阪神なんば線とダイヤがほぼ一体化しているために阪神線との直通運転に関してもここで記述する。ただし特急については「近鉄特急」の項を、大和西大寺 - 近鉄奈良間に乗り入れる京都線系統の列車については「近鉄京都線」を参照。停車駅は、便宜上、大阪難波駅を起点に難波線・大阪線の区間も含めた近鉄線内について記載する。

快速急行

枚岡駅を通過中の8000系による快速急行

奈良線の主力速達種別で、終日運転されている。大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転が主体だったが、2009年3月の阪神なんば線開業後は尼崎駅または神戸三宮駅までの直通が主体となり、日中は全列車が神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間で1時間に3本運転されている。このほか、朝と夜間には大阪難波発着が、平日朝ラッシュ時には大和西大寺発着が、それぞれ設定されている。2016年3月19日のダイヤ変更より設定された平日朝の下り大和西大寺行き(大和西大寺駅で近鉄奈良行き急行に接続)は、天理教祭典日(毎月26日)には大和西大寺駅 - 天理線天理駅間を臨時急行として延長運転する[12]

途中停車駅は、近鉄日本橋駅・大阪上本町駅・鶴橋駅・生駒駅・学園前駅・大和西大寺駅・新大宮駅である。特急の停車駅に近鉄日本橋駅(ただし前身の奈良線の無料特急は停車していた)と新大宮駅(2000年3月より)が追加されたのみで、大阪上本町駅 - 大和西大寺駅間では特急と同等の停車駅で運転されることになる。朝夕の時間帯には特急と平行するダイヤで運転される列車があり、このうち下りの神戸三宮・尼崎発の一部には大阪難波駅で大阪難波発の特急と接続し特急を先行させる列車や、大和西大寺駅で京都発近鉄奈良行き特急の待ち合わせを行う列車もある。

1972年11月のダイヤ変更で、それまで走っていた奈良線無料特急の停車駅に生駒駅と学園前駅を追加する形で設定され、無料特急は廃止された。ただし、1976年まで朝ラッシュ時の大和西大寺発近鉄難波行きは学園前駅・生駒駅は通過し、特急よりも少ない停車駅であった。

2010年3月19日のダイヤ変更から、近畿大学附属小学校・幼稚園に通う児童のために平日下り1本が菖蒲池駅に臨時停車しており(ただし休校日は通過)、臨時停車する日は主要な駅に掲示されている。なお、2004年6月以前は、菖蒲池駅前にあった近鉄あやめ池遊園地への行楽客への利便を図って、土・休日の一部の快速急行・急行が菖蒲池駅に臨時停車していた。ほかにも、東大阪市花園ラグビー場でのイベント開催日には、最寄駅である東花園駅に一部が臨時停車する。

編成両数は最大10両編成で運転されている。平日の日中は6両編成、ラッシュ時は10両編成(深夜に一部8両あり)である。平日上りの午前9時30分までに大阪難波駅に到着するすべての快速急行は最後尾(前から10両目)が大阪難波駅まで女性専用車両となっている。2020年3月14日のダイヤ改正からは土・休日ダイヤのほぼ全時間帯で8両編成で運転している[13]。基本的には乗り入れ先の阪神車や近鉄の阪神乗り入れ対応車が使われるが、大阪難波駅発着の列車については乗り入れ非対応車が使われることがある。なお、一部の10両編成の列車は大和西大寺駅にて連結・解放を行う。

2000年代中盤以降は夕刻時間帯や夜間を中心に一部の列車が急行へ格下げされており、設定当初と比べると本数は減少している。

2012年3月20日のダイヤ変更で土休日の朝に阪神神戸高速線内の新開地発となる快速急行が設定された[14][15]

なお、快速急行の前身の無料特急は、上本町駅 - 布施駅間複々線化工事完成に伴う1956年12月のダイヤ変更で運転を開始したが、難波線開通前の停車駅は鶴橋・大和西大寺の2駅だけだった(休日の菖蒲池駅の臨時停車は無料特急時代も行われていた)。

急行

布施駅3層化改造工事完成に伴う1978年3月のダイヤ変更で設定。日中以降に設定されており、全列車とも大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間で運転されている。途中停車駅は、近鉄日本橋駅・大阪上本町駅・鶴橋駅・布施駅・石切駅・生駒駅・学園前駅・大和西大寺駅・新大宮駅で、快速急行との違いは鶴橋駅 - 生駒駅間で布施駅と石切駅(1986年3月より)にも停車することである。東大阪市花園ラグビー場でのイベント開催日には、最寄駅である東花園駅に一部が臨時停車する。

日中は快速急行とで交互の運転であり、1時間に3本運転されている。定期列車は原則として快速急行に抜かれることがないため、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間で先着するが、一部の列車は布施駅で特急に追い抜かれる。石切駅では大和西大寺駅発着の各駅停車もしくは準急と緩急接続を行う。2004年3月のダイヤ変更までは日中のみの設定であったが、以後は夕ラッシュ以降にも快速急行の運行本数の半数を置き換え、準急と統合する形で設定が追加された。

奈良線の料金不要種別では唯一、定期列車で阪神なんば線への直通は設定されていない。ただし、阪神車両との走行距離調整のため、平日の一部は阪神車両で運転されている。

編成両数は平日の日中は6両編成、平日の夕方以降は8両編成(上りの一部で6両あり)。土休日は近鉄車8両または6両編成で運行されている。阪神なんば線開通後も8両での運転が継続されていて、運用上の大きな変化はない。急行の10両運転がないのは布施駅の信号機の都合と石切駅のホーム有効長が8両分しかないためである。

なお、現在の急行は2代目であり、初代の急行は1946年3月15日のダイヤ変更で設定され、1976年の白紙ダイヤ変更まで運転されていた。初代急行の停車駅は鶴橋駅 - 石切駅間ノンストップで、これ以外の区間は各駅に停車していた(新生駒トンネルが開通するまであった孔舎衛坂駅は通過していた)。当時東花園駅を通過していた準急とは布施駅(当時は奈良線・大阪線ともに準急・普通しか停車しなかった)と河内小阪駅(一時期設定されていた行楽期の臨時急行は停車していた)を通過するだけの違いで、現在の急行よりもむしろ準急に近い停車駅パターンであった。しかし、1972年のダイヤ変更で前述の学園前・生駒通過の快速急行を補完する形で平日朝の難波行きのみの設定となり、1976年のダイヤ変更で準急と統合された。

準急

大阪難波駅 - 大和西大寺駅間での運転が基本で、一部列車は近鉄奈良駅まで運転している。途中停車駅は、近鉄日本橋駅・大阪上本町駅・鶴橋駅・布施駅・河内小阪駅・東花園駅と石切駅から近鉄奈良駅までの各駅。2006年3月21日実施のダイヤ変更で、従来イベント開催日に限り一部が臨時停車していた東花園駅が新たに追加された。また、それと同時に日中の列車が区間準急に立て替えられた。東花園駅に停車開始後は、準急は東大阪市内における速達種別、石切以東での普通の補完という役割が強くなっているほか、難波方面と瓢箪山駅・枚岡駅・額田駅間、奈良方面と河内花園駅・若江岩田駅・八戸ノ里駅間のアクセスが大きく向上する結果となった。

2006年3月21日のダイヤ変更で日中は区間準急(後述)に置き替えられたため、現状は日中と深夜の近鉄奈良方面行き以外で運転されており、1時間あたり3本を基本に運転されているが、時間帯により前後する。

2009年3月20日の阪神なんば線の延伸開業後も大阪難波駅発着が殆どで、阪神線内に乗り入れて尼崎駅まで直通するのは僅かである。大阪近郊の短距離速達種別という位置づけで、編成両数は6両編成が基本だが、ラッシュ時を中心に大阪難波駅発着の一部で8両編成もある。ほとんどが石切駅・布施駅(一部は東花園駅)で快速急行を、夕方以降の一部列車には石切駅で特急・急行を待避する。早朝・深夜帯や夜間の大阪難波行きを中心に、全区間先着となる列車も存在する。一方、奈良県内・阪神なんば線では各駅に停車し、普通列車の代替としての役割も担う。

かつては大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転が大半で大和西大寺駅発着のものは1日数本程度だったが、2000年3月15日のダイヤ変更で新大宮駅が快速急行停車駅となったことにより、大半が大和西大寺駅発着に変更された。また、1972年までは天理線天理駅まで直通する準急が定期列車として運行されていた。

区間準急

2006年3月21日のダイヤ変更で新たに追加された列車種別で、日中と深夜の近鉄奈良方面行きで運転されており、1時間あたり3本を基本に運転されているが、時間帯により前後する。大阪難波駅 - 大和西大寺駅間での運転が基本で、一部近鉄奈良駅発着も設定されているほか、平日の午前中と土休日の深夜の一部は尼崎行きが設定されている。停車駅は、大阪難波駅 - 東花園駅間は準急と同じだが、東花園駅 - 近鉄奈良駅間では各駅停車となる。

この種別の登場により、日中の東生駒駅折り返しの普通(後述する、1992年まで瓢箪山駅で折り返していた普通)が東花園駅折り返しとなり、瓢箪山駅・枚岡駅・額田駅では普通6本から区間準急3本・普通3本に変更された。また阪神なんば線の開業後は一部列車が尼崎駅まで直通し、6両編成で運転されている。朝ラッシュ時や夕方から夜間にかけてと大阪難波ゆきの深夜は従来どおり準急を運転している。

日中は、下りは基本的に布施駅で近鉄奈良行き快速急行を待避した後に石切駅で近鉄奈良行き急行と連絡し、上りは基本的に瓢箪山駅で快速急行を待避する。ただし、一部の列車は、これらの駅以外で特急などを待避するものもある。また、平日・土休日ともにすべての列車が東花園駅発着の普通と接続を行う。

2012年3月20日のダイヤ変更以前は平日の日中、大阪難波駅折り返しで運行されていたが、前述のように快速急行が平日日中も阪神なんば線内で通過運転を行うことになったことに伴い、千鳥橋・伝法・福・出来島・大物の各駅におけるその代替として大阪難波駅発着の区間準急が尼崎駅発着に変更された[14][15]。なお、2012年3月20日のダイヤ変更では大阪線にも区間準急が新設されている[14]

2016年3月19日のダイヤ変更で、平日日中の上り列車は尼崎駅に乗り入れず、大阪難波駅で折り返すようになり、その時間帯の阪神線に乗り入れる上り列車は普通と快速急行だけになっている[16]

近鉄の駅設置の時刻表では、南大阪線の区間急行やかつて大阪線で運行されていた区間快速急行と急行・快速急行を区別するのと同様に、時刻の数字が斜字で表記され、区間準急は区間急行と同様に時刻の上に「(区)」マークをつけて表記されている。ただし、駅配布の紙製の時刻表では区間準急をオリーブ色で表記して区別している。

普通

大阪難波駅 - 東花園駅・東生駒駅・大和西大寺駅間の運転が基本で、一部列車は近鉄奈良駅まで運転している。また阪神なんば線の開業後は一部列車(日中は約半数の列車)が尼崎駅まで直通する。

日中は東花園駅折り返しと大和西大寺駅(一部列車は近鉄奈良駅)折り返しの系統が交互に1時間に3本ずつ、計6本が運転されている。ラッシュ時間帯には東生駒駅または瓢箪山駅を、早朝・深夜には石切駅を、それぞれ始発・終着とする列車があるほか、早朝・深夜を中心に東花園車庫、西大寺車庫からの入出庫を兼ねた東花園駅・大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間の運用もある。また、運用上、大和西大寺行きの準急・普通が大和西大寺駅到着後に天理または橿原神宮前行きの急行に変わったり、またその逆のパターンもあり、その場合は到着前にその旨がアナウンスされている。

現在、日中に運転されている東花園駅折り返し系統は、かつては瓢箪山駅折り返しであった。これは枚岡駅・額田駅のホーム有効長が4両分しかなく、また当時の東生駒駅の折り返し線が短く6両編成が入れなかったためであったが、ホーム延伸工事などの完成により1992年3月19日のダイヤ変更で東生駒駅まで延長された。だが、2006年3月21日のダイヤ変更で区間準急の運転が開始されたことに伴い、現在のように改められた。

編成両数は原則として6両。ただし、早朝の石切発近鉄奈良行きや入出庫を兼ねた大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間のみの列車に8両または10両があるほか、早朝の東花園発近鉄奈良行きと深夜の生駒発大和西大寺行き[注釈 2]は4両である。阪神車両との走行距離調整のため、一部に阪神車両での運用もある。

かつては最終列車の設定で、近鉄奈良方面からの生駒止まりの6両または8両編成での列車運用が数本存在したほか、逆方面では石切発近鉄奈良方面行きの6両編成での列車運用が少ないながらも存在した。また、1992年のダイヤ変更以前では東花園駅にて2両を連結・切り離しを行う列車もあった。

臨時急行

天理教祭典の開催日(原則として毎月26日と、1月上旬と4月中旬の特定日)には、大阪難波駅 - 天理線天理駅間の臨時急行が2往復運転されている(大阪難波発は午前のみ、天理発は午後のみ。なお、平日と土休日では時刻が異なる)。奈良線内の停車駅は、急行と同一。一部に布施駅で快速急行を待避する列車もある。

2011年4月18日には初めて三宮(現・神戸三宮)始発の臨時急行(但し阪神線内は「臨時快速急行」)が運行され、2012年1月26日にも運行された後、同年3月26日以降も平日の祭典日に運行した。なお、この列車は2016年3月19日のダイヤ変更以降、先述した大和西大寺行き快速急行として定期列車化されており、祭典日のみ正面に「天理 月次祭」と書かれた方向板が掲げられ天理駅まで延長運転を行っている[17]

運転本数

2020年3月14日のダイヤ変更時点の阪神なんば線を含めた日中の1時間あたりの運転本数をまとめると、以下のとおりになる。奈良線は線内全駅で日中でも1時間最低6本の乗車チャンスが確保されている。線区内全駅で1時間6本以上の列車が停車するのは近鉄では奈良線系統のみである。

平日
会社 阪神線 近鉄線
駅名

種別
尼崎 大阪難波 東花園 大和西大寺 近鉄奈良
運行本数 特急 ←京都駅(近鉄京都線) 2本
快速急行 神戸三宮駅 3本
急行   3本
←京都駅(近鉄京都線) 1本
国際会館駅地下鉄烏丸線 1本
区間準急 3本→ 0-2本→ 
←3本 ←0-1本 
普通 3本→ 0-1本→ 
  ←3本  
  ←0-1本
3本  
土休日
会社 阪神線 近鉄線
駅名

種別
尼崎 大阪難波 東花園 大和西大寺 近鉄奈良
運行本数 特急   0-1本
←京都駅(近鉄京都線) 2本
快速急行 神戸三宮駅 3本
急行   3本
←京都駅(近鉄京都線) 1本
国際会館駅地下鉄烏丸線 1本
区間準急 3本→ 0-2本→ 
←3本 ←0-1本 
普通 3本→ 0-1本→ 
  ←3本  
  ←0-1本
3本  

なお、2009年3月20日ダイヤ変更時点における阪神なんば線直通列車の本数は以下のとおり。

平日 土休日
阪神線内発 近鉄線内発 阪神線内発 近鉄線内発
快速急行
( ) は尼崎駅発着
31 (8) 28 (7) 41 (5) 41 (5)
快速急行
(西九条駅 - 尼崎駅間各駅停車)
20 21 0 0
準急 5 1 9 3
区間準急 2 3 25 23
普通 79 81[# 1] 74 81
  1. ^ 1本は、尼崎駅まで普通、尼崎駅から神戸三宮行快速急行

※2012年3月20日のダイヤ変更にて、西九条駅 - 尼崎駅間各駅停車の快速急行は廃止され、その代替として大阪難波駅発着の区間準急が尼崎駅発着に変更となったため、上表は現況と異なる[14][15]

備考

この路線においても毎年大晦日 - 元旦終夜運転が行われる。2018年度は大阪難波駅 - 東花園駅・大和西大寺駅・近鉄奈良駅間において約15 - 30分間隔で普通・区間準急が合わせて35本設定された[18]。2020年度は阪神電鉄と共に終夜運転を実施しない。

奈良線沿線には春日大社東大寺を始め枚岡神社石切神社生駒ケーブル乗り換えで宝山寺などの大規模・著名な寺社が多いことなどから終夜運転の本数も多く設定されている。また、例年近鉄の主要路線の終夜運転では特急が数多く設定される中、総距離が短い奈良線系統には全く設定されないのも特徴である。ただし1997年(の大晦日)までは毎時1本の特急が設定されていた。

花園ラグビー場で大きな試合が行われる場合、利便性を考慮し、最寄り駅の東花園駅に一部の快速急行と急行が臨時停車することがある。

2010年以降12月に奈良マラソンの開催による観客の利便性を図るため、早朝に近鉄奈良行き特急および急行が数本設定されるほか、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間に臨時普通列車が運行される。なお近鉄京都線も同様に運行される。

過去には2008年まで若草山山焼きの日に近鉄難波行きの臨時特急が夜間に1本設定されていた、現在はこの特急は定期列車になっている。

優先座席の設定位置は運転区間に関係なく阪神車両が各車両の神戸三宮側、近鉄車両が各車両の奈良側に設定されており現在のところ統一は図られていない。ただし、主要駅を中心に一部の駅では優先座席の案内板が設置されている。

乗務員

乗務員は、東花園列車区と西大寺列車区、新田辺列車区(大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間)が担当しており、おおむね東花園駅ないし大和西大寺駅で乗務員交代が行われる。また、阪神電気鉄道との相互直通列車では、阪神乗務員との交代は境界駅の大阪難波駅ではなく阪神なんば線の桜川駅で行われることになっている。

旅客案内

近鉄1026系の快速急行の側面方向幕。上が阪神線内での表示、下が近鉄線内での表示。

奈良線は4扉の近鉄車と3扉の阪神車が混在して運用されているため、ホームに設置されている発車標のうち、LCD式とLED式のものには乗車位置が表示されている。

停車駅の案内では、鶴橋駅以西は阪神線内の西九条駅まで各駅に停車するが、大阪上本町駅以東での阪神線直通列車の自動放送では、大阪難波駅 - 鶴橋駅間の停車駅は略されることなく放送され、西九条駅(尼崎駅) - 大阪難波駅間の途中駅のみ省略されている。これは布施駅以東における準急、区間準急も同様である。

車内自動放送

2016年3月27日から車掌のタブレット端末(パナソニック製TOUGHPAD FZ-B2[19])の操作による車内自動放送が開始された[4]

車両

現用車両

奈良・京都線系統の通勤車両は東花園・西大寺の各車庫に所属している。阪神乗り入れ対応車両には、先頭車両の車体前面および車体側面に直通対応車両であることを示すステッカーが貼りつけられている。なお、阪神乗り入れに対応していない車両も折り返しの関係で回送列車として阪神なんば線の桜川駅まで乗り入れる。

一部車両を除いて、新旧関係なく2両編成・4両編成・6両編成を組合わせて運用されているが、阪神乗入対応車両は2両編成と6両編成の組合せのみである。地下鉄烏丸線乗入対応車両は6両編成固定となっている。3両編成は2本を連結して6両編成として運用する場合もある。なお、2両編成を5本連結した10両編成も運転されることがある。

瓢箪山駅 - 生駒駅間などの連続急勾配区間に備え、奈良・京都線系統の通勤車両各形式(および後述の阪神1000系・阪神9000系)にも勾配抑速ブレーキが装備されている。抑速ブレーキの設定は72km/h、60 km/h、53 km/hの3段階あり、車両数や乗客数、天候を考慮して切り替えて、速度を一定に保っている[20]

事業用車両

  • 電動貨車モト75形(モト77・78):集電方式が異なるけいはんな線の車両(7000系・7020系)を要部検査・全般検査で五位堂検修車庫へ回送する際の牽引車両として使用

過去の車両

  • 200系(初代、旧デボ1形):開業時の車両
  • 400系
  • 600系(初代):戦後の奈良線区用小型車両
  • 800系:座席指定料金不要特急車
  • 820系:田原本線などで運行後、狭軌化され伊賀鉄道伊賀線(2007年9月30日までは近鉄伊賀線)にて860系として2012年まで運行
  • 900系:奈良線区初の20m級・広幅大型車両
  • 920系:600系(初代)の機器流用車で、近鉄奈良駅 - 大和西大寺駅で使用された。現在は改造の上1010系として名古屋線所属
  • 1000系(初代):大阪線所属だが昭和20年代まで上本町駅 - 小阪駅での運用があった
  • 1600系:モ1650形・近鉄奈良駅 - 大和西大寺駅で使用された
  • 3000系:ステンレス車。大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅のみで使用。大和西大寺駅以西には滅多に乗り入れなかった
  • 9000系:現在はすべて名古屋線所属
  • 電動貨車モワ10形(モワ11・12):大阪線特急車2250系を改造。東大阪線(現在のけいはんな線)車両を要部検査・全般検査で五位堂検修車庫へ回送する際の牽引車両として使用していたが、1998年に廃車。西大寺車庫に常駐していたが、書類上は大阪線の所属となっていた。

乗り入れ車両

京都市営地下鉄

  • 10系:奈良線内においては、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間の地下鉄烏丸線直通の急行運用のみ。

阪神電気鉄道

近鉄線以外にも梅田駅山陽姫路駅方面にも運用しているため、3扉19m車を用いている。車両走行距離調整のため阪神なんば線へ直通しない近鉄線内完結列車にも使用されることがある[21]。阪神車両の夜間滞泊は西大寺車庫と近鉄奈良駅構内で行われている。

歴史

前述したように、近畿日本鉄道の直系母体会社である大阪電気軌道(大軌)初の路線として建設された。

本線の開通前には生駒山系の北側を迂回するルートで片町線が、南側を迂回するルートで関西本線が既に開通していた。いずれも生駒山系を避け長大トンネルの建設から逃れる形であり、所要時間の点で不利であった。これらルート沿いの集落は当時まだ発展しておらず、競合路線を敷設しても十分な収益が上がる目処も立たなかった。そこで、大軌は生駒山を一直線に貫き、大阪と奈良を最短で直結するルートに賭けることとなった。当初はトンネル掘削の技術的困難さからケーブルカーの使用まで検討されたとされるが、同社の設立に尽力した岩下清周の主張と大林組の技術によって、長さ3,338mの生駒トンネルを開削し、生駒山の登坂区間にできる急勾配を高出力の電車(デボ1形)で越えるという案が採択された。

生駒トンネル開削には多額の資金を使い、最後は社長の岩下が私財を投げ打って建設を続行させたという逸話も残っている。大阪奈良の間をできるだけ直線ルートで結ぶことにしたため、開業当初は沿線人口が少なく、生駒山の宝山寺や奈良へ向かう観光客が主要な乗客であった。よって収入は天候に左右され、同社の社員は常に天気に気を使っていたといわれる。そのため、「大阪電気軌道」でなく「大阪天気軌道」だと揶揄されたこともあった。

輸送力増強の方策

旅客は1961年(昭和36年)当時、年間1億人を突破し、1日約30万人を輸送していた。沿線の開発や将来の難波延長によりますます旅客が増加することは明らかであった。当時奈良線では、朝夕のラッシュ時において、毎時特急、急行、準急列車各4本のほか、普通列車を合わせ計30本を運転していたが、各列車とも超満員で、最多客区間の乗車率は定員の230%に達していた。

輸送力増強の方策としては、15m級小型車両や18m級中型車両の編成長増強と、21m級大型車両の運行の2つの方法が検討された。1968年(昭和43年)度における輸送量を前提として、あらゆる経費を計算した結果、総建設費が大型車両案の方が増加するが、金利および償却費を含めた経費は大型車両案の方が有利であり、また生駒トンネルの補修費を考慮すると大型車両の方がはるかに有利であることが判明した。また、小・中型車両では輸送量の限度が1970年(昭和45年)ごろと早く到来すると予測されたのに対して、大型車両では1976 - 1977年(昭和51 - 52年)ごろと予測され、大阪近郊における複々線(現けいはんな線)の建設時期を将来に繰り延べできる利点も有することが明らかとなった。そのほか、難波延長線(現難波線)の建設時までに既設路線を改良しておけば、延長線の停車場の有効長を短縮でき余剰建設費の支出を避け得ること、将来電車線の電圧を600Vから1,500Vに昇圧すれば、大阪線名古屋線の車両との流用が可能となり、車両検修設備の統合ができることなど、合理化の面においても有利であった。

このため、開業時から使用していた小・中型車から車体規格を大きくすることにした。それに際して建築限界を拡大する必要から、新生駒トンネル(長さ3,494m)を新たに開削している。

  • 当節の参考文献:『新生駒トンネル建設工事記録 付 奈良線改良工事概要』近畿日本鉄道、1966年9月。 

年表

  • 1914年(大正3年)
    • 4月30日:大阪電気軌道により上本町駅 - 奈良駅(高天町の仮駅)間が開業[22]。途中に鶴橋駅・片江駅・深江駅・小阪駅・若江駅・瓢簞山駅・枚岡駅・石切駅・生駒駅・富雄駅・西大寺駅が開業。
    • 7月8日:終点を高天町から東向中町の奈良駅まで延伸。奈良駅前駅開業[22]
    • 7月17日:日下駅開業。
  • 1915年(大正4年)6月15日:花園駅開業。
  • 1920年(大正9年)7月13日:額田駅開業。
  • 1921年(大正10年)10月 - 1922年3月ごろ:日下駅を鷲尾駅に改称。
  • 1922年(大正11年)
  • 1923年(大正12年)9月9日:菖蒲池駅開業。
  • 1925年(大正14年)
    • 若江駅を若江岩田駅に改称。
    • 9月:足代駅を布施駅に改称。
  • 1928年(昭和3年)8月:小阪駅を大軌小阪駅、生駒駅を大軌生駒駅、奈良駅を大軌奈良駅に改称[23]
  • 1929年(昭和4年)
    • 今里片江駅を今里駅に改称。
    • 11月22日:(臨)ラグビー運動場前駅開業。
  • 1932年(昭和7年)12月:花園駅を大軌花園駅に、西大寺駅を大軌西大寺駅に改称[23]
  • 1936年(昭和11年)
  • 1937年(昭和12年)4月22日:(臨)人ノ道駅休止。
  • 1938年(昭和13年)2月1日:人ノ道駅を大軌永和駅として営業再開。通年営業化。
  • 1940年(昭和15年)6月1日:鷲尾駅を孔舎衛坂駅に改称。
  • 1941年(昭和16年)
    • 3月15日:大軌永和駅を河内永和駅に、大軌小阪駅を河内小阪駅に、大軌花園駅を河内花園駅に、大軌生駒駅を関急生駒駅に、大軌西大寺駅を大和西大寺駅に、大軌奈良駅を関急奈良駅に改称。
    • 9月:富雄駅を鵄邑駅に改称。
  • 1942年(昭和17年)
  • 1944年(昭和19年)
    • (臨)ラグビー運動場前駅休止。
    • 6月1日:関急生駒駅を近畿日本生駒駅に、関急奈良駅を近畿日本奈良駅に改称。
  • 1947年(昭和22年)3月27日:大和西大寺駅 - 油阪駅間に(臨)キャンプ・カー駅開業。
  • 1948年(昭和23年)3月31日:生駒トンネル内下り坂でブレーキ故障のため列車が暴走。河内花園駅で先行列車に追突。死者49人の大惨事となる(近鉄奈良線列車暴走追突事故を参照)。
  • 1950年(昭和25年)12月10日:(臨)ラグビー運動場前駅をラグビー場前駅として営業再開。
  • 1951年(昭和26年)7月1日:(臨)キャンプ・カー駅廃止。
  • 1953年(昭和28年)4月1日:鵄邑駅を富雄駅に改称。
  • 1956年(昭和31年)
    • 12月8日:上本町駅 - 布施駅間が複々線化され、大阪線と分離される。
    • 12月21日:特急(料金無料)運転開始、所要時間30分。停車駅:上本町・鶴橋・大和西大寺・近畿日本奈良
  • 1961年(昭和36年)9月21日:上本町駅 - 瓢箪山駅間で大型車両運転開始。
  • 1964年(昭和39年)
    • 7月23日:生駒トンネルが新トンネルに切り替えられ、上本町駅 - 近畿日本生駒駅間で大型車両運転開始。石切駅 - 近畿日本生駒駅間の孔舎衛坂駅廃止。
    • 10月1日:新向谷トンネル完成により全線で大型車両運転開始。信貴生駒電鉄の近畿日本鉄道への合併により、近畿日本生駒駅を生駒駅に改称。
  • 1967年(昭和42年)
  • 1968年(昭和43年)3月20日:東生駒駅開業。
  • 1969年(昭和44年)
    • 9月21日:架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
    • 9月26日:八戸ノ里駅東方 - 若江岩田駅西方間の高架化完成[24]
    • 12月9日併用軌道であった油阪駅 - 近畿日本奈良駅間が地下化。新大宮駅開業。油阪駅廃止。
  • 1970年(昭和45年)
    • 3月1日: 近畿日本奈良駅を近鉄奈良駅に改称。
    • 3月15日:難波線開通により近鉄難波駅乗り入れ開始。
  • 1972年(昭和47年)
  • 1973年(昭和48年)9月21日:近鉄難波駅 - 近鉄奈良駅間に有料特急運転開始。
  • 1977年(昭和52年)6月26日:布施駅西方 - 八戸ノ里駅東方間の高架化完成。これにより、近鉄難波駅から八戸ノ里駅東方(大阪中央環状線)まで完全立体交差となる。
  • 1980年(昭和55年)3月17日:大和西大寺駅 - 近鉄難波駅間で快速急行の一部と特急1本で関西私鉄初の10両編成運転を開始。
  • 1982年(昭和57年)3月18日:近鉄奈良駅発の快速急行で10両運転を開始。ただし同駅ではホーム延長未実施のため、2両分ドアカットしていた。
  • 1986年(昭和61年)3月18日:急行の停車駅に石切駅を追加。
  • 1988年(昭和63年)3月18日:近鉄奈良駅のホーム延長工事完成により、10両編成運転を本格実施。
  • 1992年(平成4年)12月20日列車運行管理システム (KOSMOS) 稼動開始。
  • 1997年(平成9年)
    • 3月18日:同日のダイヤ変更にて、平日深夜に近鉄難波発近鉄奈良行き特急2本(近鉄難波発22:20・23:20)を増発。その増発列車には阪奈特急としては初めて21000系(アーバンライナー)を充当(名阪甲特急の折り返しを充当)。阪奈特急に限りデラックスシートはレギュラーシートと同じ取り扱い(特別車両料金は不要)とする。
    • 8月1日:L/Cカー(5800系)の営業運転開始。
  • 1998年(平成10年)4月1日:ご乗降確認システム「フェアシステムK」稼働開始。
  • 1999年(平成11年)3月16日:同日のダイヤ変更にて、平日日中の阪奈特急(上下12本)を廃止。
  • 2000年(平成12年)3月15日:シリーズ21(3220系)営業運転開始。新大宮駅のホーム延伸工事(8両分→10両分)が完成し快速急行の停車駅に新大宮駅を追加。同時に準急の大半を大和西大寺駅発着に変更。
  • 2001年(平成13年)
  • 2002年(平成14年)3月20日:同日のダイヤ変更にて、平日夕方に近鉄難波発近鉄奈良行き特急2本(近鉄難波発17:35・18:35)を増発。
  • 2003年(平成15年)
    • 2月23日:八戸ノ里駅 - 瓢箪山駅間連続立体交差化事業起工。
    • 3月6日:ダイヤ変更により、23000系(伊勢志摩ライナー)を阪奈特急にも運用開始。
    • 3月19日:平日朝方の近鉄難波駅行き快速急行に「女性専用車」を設定。
  • 2004年(平成16年)
    • 3月18日:夕方以降の運行体系の見直し(快速急行の約半数を急行に格下げ、準急の一部を削減、近鉄難波駅 - 東生駒駅間普通の一部を大和西大寺駅・近鉄奈良駅へ延長)。
    • 6月6日あやめ池遊園地が同日限りで営業終了。これに伴って土曜・休日ダイヤ施行日(冬季を除く)の日中に行われていた快速急行・急行の菖蒲池駅臨時停車も同日限りで(一旦)終了。
  • 2006年(平成18年)3月21日:ダイヤ変更で、準急の停車駅に東花園駅を追加。また、日中に区間準急を新設。
  • 2007年(平成19年)4月1日:各駅でPiTaPaICOCAの取り扱い開始。
  • 2008年(平成20年)
    • 3月17日:ダイヤ変更で、阪奈特急を夜間に増発(平日:下り1本・上り3本、土休日:上り2本)。平日下りの増発列車は近鉄難波発23:35→近鉄奈良着0:10で、大晦日終夜運転を除いての「日またぎ運転の特急列車」が登場する。
    • 5月20日:阪神なんば線開業を前に阪神電鉄の電車(1000系)が東花園駅 - 大和西大寺駅間を試験走行。
    • 6月14日:近鉄難波駅 - 布施駅間で車上速度パターン照査式ATS(ATS-SP)の運用開始。
    • 10月30・31日:天皇皇后の奈良視察に伴い、近鉄としては2002年5月以来となるお召し列車を京都駅 - 近鉄奈良駅間に運転(往路は30日、復路は31日)。往復ともに21020系(アーバンライナーnext)が2003年3月の営業運転開始以来、お召し列車として初めて充当される。
  • 2009年(平成21年)
    • 3月1日:Jスルーカードの自動改札機・のりこし精算機での取り扱いを終了[26]
    • 3月20日:阪神なんば線が開業し同線と直通運転開始。近鉄難波駅を大阪難波駅、上本町駅を大阪上本町駅に改称。ダイヤ改正を実施し、平日夜間に近鉄奈良発大阪難波行特急1本を増発[27][28]。23000系(伊勢志摩ライナー)の阪奈特急運用を取りやめ一般特急車両に変更。
  • 2010年(平成22年)
    • 4月6日:あやめ池遊園地跡地に移設した近畿大学の付属幼稚園・小学校への通園・通学を目的として、平日朝時間帯の下り快速急行1本が菖蒲池駅への臨時停車を開始(再開)する(ただし休校日は通過となる)。
    • 5月30日:八戸ノ里駅 - 瓢箪山駅間下り線が高架化[7]
  • 2011年(平成23年)3月16日:ダイヤ変更で、平日夜間に大阪難波発近鉄奈良行特急1本を増発。その増発列車には阪奈特急としては初めて21020系(アーバンライナーnext)を充当(名阪甲特急の折り返しを充当)。また、この日よりデラックスシート料金(200円)の徴収を開始。
  • 2012年(平成24年)3月21日:ダイヤ変更で、平日朝に大和西大寺発大阪難波行特急1本を増発。
  • 2013年(平成25年)3月17日:ダイヤ変更で、23000系(伊勢志摩ライナー)の阪奈特急運用を再開。
  • 2014年(平成26年)
    • 4月30日:前身の大阪電気軌道の上本町 - 奈良間から開業100周年を迎える。これを記念して前日4月29日より5800系によるデボ1型復刻電車の運行など各種記念行事を実施[29]
    • 9月21日:八戸ノ里駅 - 瓢箪山駅間上り線の高架化が完成[8]。これに伴い東花園駅の営業キロが瓢箪山方に0.2km移動[30]。また、これにより大阪難波駅 - 瓢箪山駅間が完全立体交差化された。
    • 11月17日:天皇・皇后の奈良訪問(全国豊かな海づくり大会臨席など)に伴うお召し列車を、近鉄奈良駅から京都駅へ運転(片道のみ。11月15日には京都駅から橿原神宮前駅へも運転)[31]
  • 2016年(平成28年)3月19日:ダイヤ変更で、平日夜間帯に上り快速急行を1本増発。下り最終区間準急列車を大阪難波23:55発に繰り下げて行き先を近鉄奈良行きに変更し、大阪難波駅 - 鶴橋駅間から枚岡駅以東の終電を6分延長。
  • 2020年(令和2年)3月14日:阪奈特急で80000系(ひのとり)が営業運転を開始[32]
  • 2029年(令和11年):大阪モノレール本線の延伸に合わせ、八戸ノ里駅 - 若江岩田駅間に瓜生堂駅(仮称)を設置予定[33]

今後の予定

夢洲直通特急構想

2025年に予定されている国際博覧会にあわせて、架空電車線方式第三軌条方式の両方の集電方式に対応した車両を開発し、近鉄奈良駅から当線、生駒駅手前よりけいはんな線に入り、Osaka Metro中央線経由で夢洲までの直通特急を走らせることを検討している[34][35]

平城宮跡付近の連続立体交差化

国土交通省による平城宮跡の整備事業計画に、宮内を横断している奈良県道104号谷田奈良線および近鉄奈良線の移設が盛り込まれている。これについて、近鉄と奈良県・奈良市は2020年7月16日、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間4.4kmについて、開かずの踏切除却と平城宮跡の迂回を主たる目的とした連続立体交差事業に向けた協議に入ることで合意した[36]

具体的には、大和西大寺駅付近を高架化した上で、そこから近鉄奈良線を平城宮を避けるようにして大宮通り地下に移設するというものである。県は近鉄側に、既存の新大宮駅の移設とは別に、大和西大寺駅 - 新大宮駅間に「朱雀大路駅(仮称)」、新大宮駅 - 近鉄奈良駅間に「油阪駅(仮称)」の新設を提案しているが、近鉄側は駅の新設も含めて現時点で決まったことはないとした上で、「連続立体交差事業にかかる費用は全て行政側で負担する」「運行時間など現在のサービス水準を維持する」ことを条件としている[36]

駅一覧

凡例
●:停車、|:通過、▲:高校ラグビー開催時臨時停車、※:近畿大学附属小学校・幼稚園平日の開校日に下りのみ臨時停車
普通列車は各駅に停車するため省略。
特急列車については特急列車記事を参照のこと。
#印の駅は列車待避可能駅
路線名 駅番号 駅名 駅間
キロ
布施
からの
営業
キロ
区間準急 準急 急行 快速急行 接続路線 所在地
難波線 A01 大阪難波駅 - 6.1 阪神電気鉄道HS 阪神なんば線(HS41・近鉄車はHS 阪神本線神戸三宮駅まで、阪神車は神戸高速線新開地駅から直通運転)
大阪市高速電気軌道M 御堂筋線 (M20)・Y 四つ橋線 (Y15)・S 千日前線 (S16)…難波駅
南海電気鉄道■ 南海本線■ 高野線 (NK01)…難波駅
西日本旅客鉄道Q 関西本線大和路線)(JR-Q17)…JR難波駅
大阪府 大阪市 中央区
A02 近鉄日本橋駅 0.8 5.3 大阪市高速電気軌道:K 堺筋線 (K17)・S 千日前線 (S17)…日本橋駅
A03 大阪上本町駅
(近鉄百貨店前)
1.2 4.1 大阪市高速電気軌道:T 谷町線 (T25)・S 千日前線 (S18)…谷町九丁目駅 天王寺区
大阪線
A04 鶴橋駅 1.1 3.0 西日本旅客鉄道:O 大阪環状線(JR-O04)
大阪市高速電気軌道:S 千日前線 (S19)
生野区
A05 今里駅 1.7 1.3  
A06 布施駅# 1.3 0.0 近畿日本鉄道D 大阪線 (D06) 東大阪市
奈良線
A07 河内永和駅 0.8 0.8 西日本旅客鉄道:F おおさか東線(JR-F10)…JR河内永和駅
A08 河内小阪駅
(大阪商業大学・
大阪樟蔭女子大学前)
0.8 1.6  
A09 八戸ノ里駅# 0.8 2.4  
A10 若江岩田駅 1.7 4.1  
A11 河内花園駅 0.9 5.0  
A12 東花園駅#
(花園ラグビー場前)
0.8 5.8  
A13 瓢箪山駅# 1.4 7.0  
A14 枚岡駅 1.3 8.3  
A15 額田駅 0.7 9.0  
A16 石切駅# 1.1 10.1  
A17 生駒駅 4.1 14.2 近畿日本鉄道:C けいはんな線 (C27)・G 生駒線 (G17)・Y 生駒鋼索線 (Y17)…鳥居前駅 奈良県 生駒市
A18 東生駒駅#
(帝塚山大学前)
1.2 15.4  
A19 富雄駅 2.3 17.7   奈良市
A20 学園前駅
(帝塚山学園前)
1.4 19.1  
A21 菖蒲池駅
(近畿大学付属小学校・幼稚園前)
1.0 20.1  
A26 大和西大寺駅# 2.2 22.3 近畿日本鉄道:B 京都線(近鉄奈良方面から京都駅及び K 京都市営地下鉄烏丸線国際会館駅まで直通運転)・B 橿原線 (B26)(天理教祭事時に大阪難波方面から臨時急行がH 天理線天理駅まで直通運転)
A27 新大宮駅 2.7 25.0  
A28 近鉄奈良駅 1.7 26.7  

新駅設置計画

2029年に予定されている大阪モノレール本線門真市駅以南から近鉄奈良線交差地点までの延伸に合わせ、近鉄奈良線にも「瓜生堂駅(仮称)」が設置される予定である[33]

2010年に平城宮跡で開催される平城遷都1300年記念事業のイベント期間中に大和西大寺駅 - 新大宮駅間に臨時駅を設置することが検討されていたが、イベント規模縮小化への方針などにより臨時駅設置は行なわれなかった。

経路変更区間

生駒トンネル前後区間
石切駅 - 孔舎衛坂駅 - 近畿日本生駒駅(1964年7月23日に新生駒トンネル開削で廃線)
近鉄奈良線の車両大型化工事の一環として実施されたもの。孔舎衛坂駅は(旧)生駒トンネルの大阪側坑口に隣接して存在し、現在もホームが残されている。また、同線の石切駅はもともと200m大阪よりにあったが、新トンネル開削に伴い孔舎衛坂駅の代替も兼ね、現在地へ移転した。
向谷トンネル前後区間
近畿日本生駒駅 - 富雄駅(1964年10月1日、新向谷トンネル開削で廃線)
同上。なお現在同区間に存在する東生駒駅は、車両大型化に伴い生駒駅での区間列車折り返しが容量不足で不可能になってきたため、代わりの駅として1968年に開設されたものである。
奈良市内併用軌道区間
大和西大寺駅 - キャンプ・カー駅(終戦直後の一時期に設置された臨時駅) - (新大宮駅) - 油阪駅 - 近畿日本奈良駅(1969年12月9日に地下化)
新大宮駅は近畿日本奈良駅地下化時に新設。大和西大寺駅 - 新大宮駅間は現存。

乗降客数

路線名 駅名 乗降客数(人) 備考
2012年
11月13日
2010年
11月9日
2008年
11月18日
難波線 大阪難波駅 133,858 140,328 152,937  
近鉄日本橋駅 45,920 48,843 50,900  
大阪上本町駅 76,230 80,613 78,267 大阪線含む
大阪線
鶴橋駅 153,580 155,242 173,523 大阪線含む
今里駅 10,047 10,405   大阪線含む
布施駅 38,072 39,448 41,876 大阪線含む
奈良線
河内永和駅 10,667 10,468    
河内小阪駅 27,357 28,693 30,584  
八戸ノ里駅 24,708 23,837    
若江岩田駅 15,084 15,089    
河内花園駅 11,553 12,088    
東花園駅 16,588 16,057 16,084  
瓢箪山駅 22,725 24,137    
枚岡駅 5,071 5,029    
額田駅 3,612 3,701    
石切駅 9,066 9,385 10,942  
生駒駅 47,700 48,220 49,856 生駒線けいはんな線含む
東生駒駅 18,135 18,948    
富雄駅 28,456 29,120    
学園前駅 56,257 57,064 58,424  
菖蒲池駅 12,150 11,860    
大和西大寺駅 46,345 48,660 49,450 京都線・橿原線含む
新大宮駅 28,670 29,322 28,866  
近鉄奈良駅 51,147 67,761 57,549  

脚注

注釈

  1. ^ 「鶴橋駅周辺のにぎわい」
  2. ^ 元々は生駒線での運用終了後に西大寺車庫へ回送させていた列車を2008年3月17日のダイヤ変更で営業列車化したもので、生駒線用ワンマン運転対応の1021系または1031系による限定運用。生駒駅では近鉄奈良行きの最終特急から接続を受けている。なお、奈良線で生駒始発の列車が設けられたのは十数年ぶりであった。

出典

  1. ^ a b 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成28年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.148
  2. ^ a b 路線の履歴書・奈良線 - 近鉄資料館(近畿日本鉄道ウェブサイト)
  3. ^ a b 寺田裕一『改訂新版 データブック日本の私鉄』 - ネコ・パブリッシング
  4. ^ a b 駅ナンバリングを全線で実施します (PDF) - 近畿日本鉄道、2015年8月19日
  5. ^ 阪神なんば線の運賃認可と実施運賃について (PDF) - 阪神電気鉄道プレスリリース 2008年8月29日
  6. ^ a b 近鉄奈良線連続立体交差事業 - 東大阪市、2014年5月17日閲覧
  7. ^ a b 近鉄奈良線連続立体交差事業(八戸ノ里〜瓢箪山間)奈良行き(下り線)が、いよいよ5月30日初列車より高架に切り替え (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2010年4月22日
  8. ^ a b 近鉄奈良線連続立体交差事業(八戸ノ里〜瓢箪山間)9月21日(日)、大阪難波方面(上り線)を高架化します。 (PDF) - 近畿日本鉄道、2014年5月16日
  9. ^ 平城宮跡の近鉄線、踏切新設決定 遷都1300年祭に向け - 産経新聞 2008年8月18日[リンク切れ]
  10. ^ 踏切すいすい大作戦|踏切の基礎知識 - 全国連続立体交差事業促進協議会
  11. ^ 平城遷都1300年祭平城宮跡会場 会期終了後の諸施設について - 平城遷都1300年記念事業協会事務局 2010年11月4日
  12. ^ 天理教祭典日の延長運転について” (2017年10月1日). 2018年1月22日閲覧。
  13. ^ 3月14日にダイヤ改正を行います。~快速急行がますます便利になります~ (PDF) - 阪神電気鉄道プレスリリース 2019年12月20日
  14. ^ a b c d 平成24年のダイヤ変更について (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2012年1月20日
  15. ^ a b c 3月20日(火・祝)全線のダイヤ改正を実施! (PDF) - 阪神電気鉄道プレスリリース 2012年1月20日
  16. ^ 2014年9月21日変更時の生駒駅時刻表 (PDF)2016年3月19日変更時の生駒駅時刻表 (PDF)
  17. ^ 神戸三宮-近鉄天理間の臨時直通列車の運転について - 9 月 26 日(木)から運転のおしらせ -” (PDF). 天理教輸送部 (2019年9月9日). 2020年1月8日閲覧。
  18. ^ 年末から年始にかけて、臨時列車および運転区間延長列車を運転します (PDF) - 近畿日本鉄道、2018年11月8日
  19. ^ 近畿日本鉄道株式会社様 | 導入事例 | パソコン(法人向け) - パナソニック、2016年12月19日閲覧
  20. ^ その道 千金の輝き 近鉄奈良線”. 朝日新聞 (2009年9月5日). 2012年6月19日閲覧。
  21. ^ 岡田久雄『阪神電車』 JTBパブリッシング、2013年、p.190
  22. ^ a b 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』近畿日本鉄道、2010年、pp.60-61
  23. ^ a b 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』近畿日本鉄道、2010年、pp.680-681
  24. ^ a b 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』近畿日本鉄道、2010年、p.307
  25. ^ 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』近畿日本鉄道、2010年、p.308, p.681
  26. ^ Jスルーカードの利用終了について (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2008年12月2日
  27. ^ ダイヤ改正についてのお知らせ (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2009年1月16日
  28. ^ 3月20日(金・祝)、阪神なんば線の開通に伴い、阪神線と近鉄線との間で、相互直通運転を開始します (PDF) - 近畿日本鉄道・阪神電気鉄道プレスリリース 2009年1月16日
  29. ^ 平成26年4月30日、近鉄奈良線は開業100周年を迎えます (PDF) - 近畿日本鉄道、2014年3月17日
  30. ^ 近鉄奈良線連続立体交差事業(八戸ノ里〜瓢箪山間)の高架化に伴い9月21日(日)から一部区間で旅客運賃を変更します。 (PDF) - 近畿日本鉄道、2014年5月16日
  31. ^ 行幸啓について (PDF) - 奈良県ホームページ(2014年11月22日閲覧)。
  32. ^ 近鉄80000系「ひのとり」が営業運転を開始 - 鉄道ファン(交友社)「railf.jp」鉄道ニュース、2020年3月14日
  33. ^ a b 大阪モノレールの延伸について (PDF) - 大阪府ホームページ、2016年1月、2016年10月3日閲覧
  34. ^ “近鉄が「奈良-夢洲」 直通特急で 万博・IR見据え”. 産経ニュース (産経新聞社). (2019年1月19日). https://www.sankei.com/west/news/190119/wst1901190017-n1.html 2019年1月21日閲覧。 
  35. ^ “大阪・夢洲―奈良の直通特急検討 近鉄、万博やカジノ見据え”. This Kiji. 共同通信 (ノアドット). (2019年1月19日). https://this.kiji.is/459181193936815201 2019年1月21日閲覧。 
  36. ^ a b “平城宮跡横断の近鉄奈良線、県・市と移設協議へ”. 日本経済新聞. (2020年7月16日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61604630W0A710C2LKA000/ 2020年7月17日閲覧。 
  37. ^ 駅別乗降人員 難波線 大阪線 - 近畿日本鉄道
  38. ^ 駅別乗降人員 奈良線 - 近畿日本鉄道
  39. ^ 近畿日本鉄道|駅別乗降人員”. 2013年11月17日閲覧。

参考文献

  • 徳田耕一(編著)『まるごと近鉄ぶらり沿線の旅』河出書房新社、2005年。ISBN 4-309-22439-3 
  • 諸河久・杉谷広規(編著)『日本の私鉄 近鉄1』保育社カラーブックス〉、1998年。ISBN 4-586-50904-X 
  • 諸河久・山辺誠(編著)『日本の私鉄 近鉄2』保育社〈カラーブックス〉、1998年。ISBN 4-586-50905-8 
  • 近畿日本鉄道(編著)『近鉄時刻表』各号、近畿日本鉄道。 
  • 電気車研究会(編)「特集:近畿日本鉄道」『鉄道ピクトリアル』増刊、2003年1月。 
  • 鉄道ダイヤ情報』2009年4月。 
  • 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』 8 関西1、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790026-5 

関連項目