近鉄1220系電車
共通事項 | |
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基本情報 | |
製造所 | 近畿車輛 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,435 |
電気方式 | 直流1,500V |
最高運転速度 |
奈良・京都線所属車:105 km/h (阪神線106 km/h) 大阪・名古屋線所属車:110 |
設計最高速度 | 120 |
起動加速度 |
設計:3.0km/h/s 阪神非相直車:2.6km/h/s 抵抗制御車との併結:2.5 |
減速度(常用) | 4.0 |
減速度(非常) | 4.5 |
車体長 | 20,720 |
車体幅 | 2,800 |
全高 | 4,150 |
車体 | アルミニウム合金 |
主電動機 | 三菱電機製かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 | 165kW |
駆動方式 | WNドライブ |
編成出力 |
2両編成:660kW 4両編成:1,320kW 6両編成:1,980kW |
制御装置 | 日立製作所製GTO-VVVFインバータ |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ (抑速・発電制動付き) |
保安装置 | 近鉄型ATS |
1220系電車(1220けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道が保有する通勤形電車の一系列。
本稿では、同じく日立製作所製VVVFインバータ機器を搭載した2両編成の系列である1230系(1233系などの派生系列を含む)と、その4,6両編成の系列である1020系(および派生系列である1021系、1026系、1031系)についても記述する。
1220系
近鉄1220系電車 | |
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主要諸元 | |
編成 | 2両編成 |
起動加速度 | 2.6 |
編成定員 | 272名 |
車両定員 | 136名 |
自重 | 38.0t(Mc車) ・31.0t(Tc車) |
編成重量 | 69.0t |
車体高 | 4,050 |
台車 |
Mc車:KD-95 Tc車:KD-95A |
主電動機 | MB-5023A |
歯車比 | 6.31 |
制御装置 | 日立製VF-HR-111 |
備考 | 電算記号:VC |
概要
1420系の量産バージョンとして、1987年(昭和62年)3月に登場した2両編成のVVVFインバータ車両[1][2]。最大車体幅は2800mmで、裾を絞ったアルミ車体を採用[1][2]。インバータ装置のメーカーを除く仕様は、1422系と同一である[1][2]。電算記号は1420系、1422系では大阪・名古屋線系統の青山越え可能な2連車を意味するWを用いてVWとなっていたが、これらが三菱電機製のVVVFインバータ制御装置を採用したのに対して、1220系では日立製作所製のものを採用したため、これと区別する意味合いでVCとなった。この区別はその後も1230系、1240系、1253系、1254系、1259系等で継承されていくことになる。しかし標準軌全線共通仕様の1230系に移行したため、新製は3編成にとどまる[1]。2015年4月現在、全車が大阪線高安検車区に所属する[3]。なお、1998年までは名古屋線や山田線を中心に運用されていた[1][4]。
主要機器・性能
上記のとおり日立製作所製のGTO素子によるVVVFインバータ機器を搭載する[1][2]。主電動機は三菱電機製のMB-5023A型で、モーター出力165kW。歯車比は6.31(16:101)となっており、これらの仕様は1422系や5200系(5201F - 5204F)と同一である。
台車は1422系と同一の近畿車輛製シュリーレン台車で、Mc車はKD-95、Tc車はKD-95Aを装備する。基礎ブレーキ装置は両抱き式踏面ブレーキで、全編成が合成制輪子に交換されているが、踏面清掃装置が追設されていない。
車両性能は起動加速度2.6km/h/s。減速度4.0km/h/s。運用上の最高速度は110km/hで、大阪線西青山駅 - 東青山駅間の新青山トンネル内22.8‰上り勾配においても均衡速度104km/h以上の走行性能が確保され、33‰上り勾配・架線電圧10%減・定員乗車条件でも均衡速度96km/hを確保している。
改造
近鉄各路線のGTO-VVVFインバータ制御車両と同様に、以下の改造が順次施工されている。
- 車体連結部の転落防止幌設置
- ク1320形運転室側の車椅子スペースおよび手すりの整備
- 簡易内装更新
- 車内床材および座席モケット更新
- 車体側面のVVVFマーク撤去
- 新型ATS設置・デッドマン装置更新、戸締灯の増設工事
なお、登場から25年以上経過しているものの、2015年4月現在のところ車体更新工事、ドアチャイムや車内案内表示器の設置は行われていない。
1230系
近鉄1230系 | |
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近鉄1233系電車 (2006年7月30日 河内花園駅) | |
主要諸元 | |
編成 | 2両編成 |
最高運転速度 |
奈良・京都線:105 km/h 大阪・名古屋線:110 km/h 阪神線:106 |
起動加速度 |
1270Fまで:2.6km/h/s 1271F以降:3.0 |
車両定員 | 149名 |
車体高 |
1231F・1232F:4,050mm 1233F以降:4,030 |
台車 |
KD-96・KD-96A(1231F・1232F) KD-96B・KD-96C(1233F - 1251F) KD-306A・KD-306B(1252F - 1256F・1258F - 1277F) KD-306H・KD-306I(1257F) |
主電動機 |
MB-5035A(1231F - 1256F・1258F - 1270F・1277F) MB-5035-B(1257F・1271F - 1276F) |
歯車比 | 5.73 |
制御装置 | 日立製VF-HR-123 |
保安装置 |
近鉄型ATS 阪神型ATS(1271F以降) |
備考 |
電算記号:VC(大阪・名古屋線) VE(奈良・京都線) |
概要
1989年(平成元年)7月に登場した、標準軌全線共通仕様のVVVFインバータ、アルミ車体の2両編成の車両である[1][2]。1220系をベースに、標準軌全線共通仕様に変更されている[1]。標準軌全線共通仕様とは車体設計の共通化とともに、大阪・名古屋線と奈良・京都線の間の車両転配がスムーズに行えるように機器類の配置を可能な限り共通化した仕様のことである[2]。奈良線用は8000系2両編成の置き換え目的で、大阪・名古屋線用は1600系・1800系や2400系の置き換え目的で製造されている。
電算記号は、奈良線・京都線系統では同線の2両編成車を意味するEを用いてVE、大阪線・名古屋線系ではVCであるが、これは同線系統の1220系の制御装置メーカーが同一であることに倣ったものである。1276Fで製造を完了し、シリーズ21の9020系が後継系列として製造されている。1277Fも存在するが、これは後述の1020系の1030Fの中間2両を離脱させ、1026Fに組み込んだため、先頭2両のみを1編成とし、運転台寄りにパンタグラフを増設し、1277Fとなって1252系に編入したものである[2]。
車体・走行機器等
1230系では台車は、21000系(アーバンライナー)にならってホイールベース(台車軸距)を、従来車の 2150 mm から 2100 mm に変更した新仕様台車KD-96形 (M)、KD-96A形 (T)を採用している。主電動機は中期型まではMB-5035A型、後期型ではMB-5035B型を、歯車比を1220系の6.31から5.73に変更し、これがシリーズ21登場前まで標準軌VVVF通勤車に採用されている。
1231F、1232Fの2編成は1220系、1224F、1225Fとして製作されている途中での仕様変更に対し[2]、1233F以降は設計当時からの仕様変更のため、1233F以降の車両を1233系と呼ぶことが多い[2]。1233系以外にも1240系、1249系、1252系、1253系、1254系、1259系と細かく分類されることがある。
なお1224F、1225F製作時の当初の計画では、最初の新造車5編成の車両形式は仮称1230系 1231F - 1235Fを予定していたが、1220系、1230系関連の計画変更で1233系 1233F - 1237Fとなっている。
1233系(1989年7月に登場)は当初から共通仕様の下に設計した車体(新アルミ材を採用)に[1][2]、新仕様台車をさらに改良したKD-96B形(M)、KD-96C形(T)を装備している[2]。1249系(1992年2月登場)では補助電源装置がSIV(静止型インバータ)のBS-483Q形(70kVA)となり[1][2]、運転台後方に車椅子スペースが設けられた。1252系(1993年3月登場)には1軸1ディスクの[1][2]、1253系(1993年3月登場)には1軸2ディスクのディスクブレーキをTc車に採用したボルスタレス台車のKD-306型が使用された[1](後に1253系のディスクブレーキは1枚に改められている)[2]。1254系(1993年3月登場)では滑走検知装置を取り付け、Tc台車のディスクブレーキ仕様を変更したが[1][2]、この仕様変更は1255F以降の車両には採用されず、1254系は1編成のみの製造にとどまっている(後にディスクブレーキは1枚に改造)。1255F以降の車両は踏面清掃装置非搭載車は元の1252系、踏面清掃装置搭載車は1253系として製造[5]されており、新造当時でも1252F - 1277Fは結果的に3形式が入り乱れていた[2]。
1996年1月に製造された1262F以降は主電動機が低騒音タイプに変更された。1997年に製造された1271F以降では乗務員室仕切り窓の小型化が行われ、同年5月に製造された1274F以降はVVVFインバータ装置のゲート制御部が従来の16ビットから32ビット化され、製造当初から乗降扉付近の床材にノンスリップ加工が施されている。1998年製造の1275F・1276Fは当初から連結側に転落防止幌を装備し、乗降扉付近に雨樋が設置されている。急勾配区間や悪天候時の空転発生を考慮して1253F - 1257F・1259F - 1261F・1267F - 1277Fはアルミナ噴射装置が取り付けられている。
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増備にともない車体が下方に延長され面長の表情となった
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シュリーレン台車KD-96
転属
新製当初から明星検車区に籍をおき大阪線を中心とした運用に入っていた1243F・1247F・1248F・1255F - 1257Fは[4]、一旦2000-2001年にかけて全ての編成が高安検車区に転属したが、1243Fは2600系の置き換え目的で2002年7月に富吉検車区に転属、1247Fは2003年7月、1248Fも2003年9月に1810系の置き換え目的で明星検車区に転属しているが、2012年3月に富吉検車区へ所属変更されている[6]。
新製時は明星検車区に配置され、2001年時点では後述の名古屋線ワンマン対応改造が施工されずに名古屋線系統を中心に運用されていた1242F・1259F - 1261F・1265F - 1269Fの内[4]、1260Fは2006年に高安検車区に転属している。その後、1260Fは2014年9月に富吉検車区に戻された代わりに、1261Fが高安検車区に転属した[7]。
奈良線所属編成は新製当時は全ての編成が西大寺検車区に配置されていたが[4]、後述の1020系・1026系(1035F以外の全ての4両編成)のワンマン改造・西大寺検車区への転属に伴って2004年までに1233F - 1237Fが東花園検車区に転属となっている。1277Fも後述の阪神直通改造に伴って2012年3月に東花園検車区へ所属変更された[6]。
改造・更新
2015年現在のところ車体更新は施工されていないが、近鉄各路線のGTO-VVVFインバータ制御車両と同様に、以下の改造が順次施工されている。
- 連結部の転落防止幌設置 (新製時に装備していなかった1231F - 1274Fのみ)
- バリアフリー対応改造 (2015年4月現在、1259F・1265F - 1269F・1271F - 1277Fに施工[6][7])
- ドアチャイムや車内案内表示器、ク1330形先頭連結部に連結部注意喚起スピーカーの設置
- 新型ATS(ATS-SP)設置・デッドマン装置更新工事
- 車体側面のVVVFマーク撤去[2]
- 簡易内装更新工事
- 車内床面の交換 (2014年1月現在、1231F - 1260Fのみ)
- 座席モケットの交換
名古屋線ワンマン運転対応改造
名古屋線所属の1230系列のうち、2014年4月現在で1231F・1232F・1240F・1259F・1265F - 1269Fの9編成にワンマン対応工事が施工されている。改造内容は乗務員室運転士側窓ガラスの茶色化と車外スピーカー取り付け、運賃表示器と運賃箱の設置である。初期に改造された1231F・1232F・1240Fでは乗務員室仕切り窓の小型化が行われた。2000系や1201系1201F - 1204Fとは異なり、車外スピーカーはクーラーキセに設置されている。なお、1233系の1240Fと1253系の1259F・1265F - 1269Fはワンマン改造によりそれぞれ1240系・1259系に系列変更している[2]。1231F・1232Fは2000年(平成12年)11月に、1240Fは2001年(平成13年)4月に[2]、1259Fは2003年に[2]、1265F - 1269Fは2007年 - 2008年3月にかけて改造されている[2]。初期に改造された1231F・1232Fは方向幕に「ワンマン普通○○」の表示で運行している[8]。
阪神線直通対応改造
奈良線所属の1252系のうち、2012年(平成24年)4月現在で1271F - 1277Fの7本が阪神相直対応となっている[9]。改造内容は5800系の改造内容と同じで、バリアフリー改造がされていない車両は同時に車内案内表示器とドアチャイム、転落防止幌の設置が行われた。また、2008年(平成20年)8月に1253系1273F・1275Fが阪神尼崎車庫に陸送され試運転と乗務訓練が行われた[10]。乗り入れ対応編成は蝶々に類似したマークを前面運転台下窓と側面乗務員室扉横に貼り付けられている。方向幕も「大阪難波」[11]や「三宮」、「尼崎」などの表示が追加され、従来、旧国名を省略した「西大寺」などの行先表示であった車両は「大和西大寺」などの旧国名表示も追加されている。2014年3月に阪神なんば線に駅ナンバリングが導入されたため、それに伴う車内案内表示器の表示にも対応している。2009年3月の相互直通運転開始時点では1271F - 1276Fのみ阪神直通改造がされていたが、2012年3月のダイヤ変更で阪神なんば線直通列車が増発されたことに伴って1277Fも追加で改造されている[6]。
事故
大阪線所属の1257Fは、2009年2月27日早朝に大阪線東青山駅構内で発生した脱線衝突事故の影響で、車体や走行機器などが損傷した。特に電柱に激突したモ1257形の車体や台車、VVVFインバータ装置などが大きく破損[12]したため、修繕のために五位堂検修車庫にて長期休車になっていたが、2010年(平成22年)10月20日に営業復帰した。また、主電動機がMB-5035Bに変更され、事故によるダメージが特に酷かった台車は、Mc車がKD-306からKD-306Hに、Tc車がKD-306AからKD-306Iに、それぞれ振り替えが行われているほか、運転室内部の化粧板やブラインドカーテンなど内装品の一部も新品に交換され、VVVFインバータ装置も主電動機と同時に1252系後期車に準じたものに交換されている。
アートライナー
- 1231F:名泗コンサルタント(2009年(平成21年)4月 - 2014年(平成26年)12月)
- 1243F:海岸漂着物啓発ラッピング(2014年(平成26年)8月 - 2015年(平成27年)3月[13])
- 1248F:着信御礼!ケータイ大喜利 全国ツアーIN四日市(2015年(平成27年)5月20日運用開始 - 8月[14])
配置
2015年4月現在の配置検車区は以下の通り[3]。
- 高安検車区
- 1253F - 1257F・1261F
- 明星検車区
- 1231F・1232F・1240F・1259F・1265F - 1269F
- 富吉検車区
- 1242F・1243F・1247F・1248F・1260F
- 西大寺検車区
- 1238F・1239F・1241F・1244F - 1246F・1249F - 1252F・1258F・1262F - 1264F・1270F
- 東花園検車区
- 1233F - 1237F・1271F - 1277F
2両編成車の運用
- 大阪線所属編成
主に大阪上本町駅 - 青山町駅 - 伊勢中川駅 - 宇治山田駅間にて4両編成の増結編成に使用され、快速急行から普通まで幅広く運用されるほか、一部に2編成増結した6両編成の運用、ラッシュ時の名張以西では8・10両編成での運用もある。一部は急行の増結編成で鳥羽線鳥羽駅や名古屋線に乗り入れ、2両単独で名張駅 - 伊勢中川駅・山田線明星駅間の普通列車でも運用されているが、1220系は単独編成で運用出来ないため独立した運用が組まれ、2410系2412F・2413Fと共通運用とされている。
- 名古屋線所属編成
名古屋線・山田線・鳥羽線、さらにワンマン運転対応車両は志摩線でも運用される。急行・準急の増結車の他、編成単独で準急や普通でも運用されている。[17]一部運用は急行系列車の増結編成で大阪線大阪上本町駅に、早朝・深夜の普通で大阪線東青山駅までそれぞれ乗り入れる。大阪線急行の間合い運用は原則として富吉検車区所属編成が使用されるが、大阪線東青山駅以西の運用は滅多にない[18]。1231F・1232F・1240Fはレール塗油器を装備するため、名古屋線白塚駅以南を中心に運用されている。名古屋線所属編成は全て単独運用が可能であるため、大阪線所属車の車両不足やダイヤが乱れた際は大阪線でも運用される。
- 奈良・京都線所属編成
京都・橿原・天理線では8600系など4両編成車の増結編成で急行のほか、他の1233系や9020系などを2両編成連結した4両編成で普通列車でも運用されている。
奈良線では原則として他車併結の6両 - 10両編成で運用されており、稀に5編成連結の10両編成となる運用も存在する。阪神直通対応の車両は神戸三宮駅まで乗り入れており、阪神本線神戸三宮駅 - 尼崎駅間は山陽電気鉄道との相互直通運転区間にもなっているため、他の阪神相直対応の車両と同様、同区間では山陽電鉄の車両(5000系・5030系)と並ぶ光景も見られる。
系列別分類
← 大阪上本町
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系列 | 編成名 | 電算名 | ク1320 (Tc) | モ1220 (Mc) | |
1220系 | 1221F・1222F・1223F | VC21・VC22・VC23 | 1321・1322・1323 | 1221・1222・1223 | |
1253系 | 1253F ・1255F - 1257F 1261F |
VC53 ・VC55 - VC57 VC61 |
1353 ・1355 - 1357 1361 |
1253 ・1255 - 1257 1261 | |
1254系 | 1254F | VC54 | 1354 | 1254 |
← 近鉄名古屋
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系列 | 編成名 | 電算名 | ク1320 (Tc) | モ1220 (Mc) | |
1230系 | 1231F - 1232F | VC31 - VC32 | 1331 - 1332 | 1231 - 1232 | |
1233系 | 1242F - 1243F 1247F - 1248F |
VC42 - VC43 VC47 - VC48 |
1342 - 1343 1347 - 1348 |
1242 - 1243 1247 - 1248 | |
1240系 | 1240F | VC40 | 1340 | 1240 | |
1253系 | 1260F | VC60 | 1360 | 1260 | |
1259系 | 1259F ・1265F - 1269F | VC59 ・VC65 - VC69 | 1359 ・1365 - 1369 | 1259 ・1265 - 1269 |
← 神戸三宮・大阪難波・京都
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系列 | 編成名 | 電算名 | モ1230 (Mc) | ク1230 (Tc) | |
1233系 | 1233F - 1239F ・1241F 1244F - 1246F |
VE33 - VE39 ・VE41 VE44 - VE46 |
1233 - 1239 ・1241 1244 - 1246 |
1333 - 1339 ・1341 1344 - 1346 | |
1249系 | 1249F - 1251F | VE49 - VE51 | 1249 - 1251 | 1349 - 1351 | |
1252系 | 1252F・1258F 1262F - 1264F 1270F - 1277F |
VE52・VE58 VE62 - VE64 VE70 - VE77 |
1252・1258 1262 - 1264 1270 - 1277 |
1352・1358 1362 - 1364 1370 - 1377 |
1020系
近鉄1020系 | |
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主要諸元 | |
編成 | 4・6両編成 |
最高運転速度 |
奈良・京都線:105 km/h 阪神線:106 |
起動加速度 |
4両編成:2.6km/h/s 6両編成:3.0 |
車体高 | 4,032 |
台車 |
KD-96B・KD-96C(1025Fまで) KD-306・KD-306A(1026F以降) |
主電動機 |
MB-5035A(1027Fまで) MB-5035B(1028F以降) |
歯車比 | 5.73 |
制御装置 | 日立製VF-HR-123 |
保安装置 |
近鉄型ATS 阪神型ATS(6両編成のみ) |
備考 |
電算記号:VL(4両) VH(6両) |
概要
1991年(平成3年)11月に登場した、奈良線・京都線用に製作されたVVVFインバータ制御、アルミ車体の4・6両編成を組成する系列[2]。日立製作所製GTO素子によるインバータ装置を採用。1230系(1233系、1249系、1252系)の4・6両編成仕様である[1]。
現在のところ奈良線系統のみの在籍であるため、電算記号は同線の4両編成車を意味するLを用いて4両編成ではVL、6両編成ではVHである。同系から初めて、6両編成車固有の電算記号としてHを採用し、以降の5800系及び5820系(DH)、9820系(EH)に続くことになる。1035Fで生産を終了しており、後継系列は「シリーズ21」の9820系である。
1029F・1031F - 1035Fは製造当初から全線共通仕様の渡り板を装備している。
さらに、1998年に製造された1034F・1035Fは当初から連結側に転落防止幌を装備し、乗降扉付近の雨樋設置・ノンスリップ加工が施されている。
走行機器・性能
基本設計は1230系1233F以降の車両に準じているが、モ1096形は2基搭載されているのに対し[4]、モ1020形、モ1026形、モ1070形、モ1076形のパンタは1基として編成内に母線を引き通した[4][2]。これはパンタグラフの間隔を30メートルに抑えるためである。1230系が1233系、1249系、1252系と細かく分類されるのと同様、1020系においても1026F以降の編成を1026系と分類されている。1026系は1993年(平成5年)9月に登場している[1][2]。また近鉄公式サイトなどでの記述では1020系1021Fから1025F、1026系1031Fから1034Fは、後述のようにワンマン運転対応改造されていることから1021系・1031系とされている(この改造により1020系は形式としては消滅)[2]。
1026F以降の車両の変更点は、台車をボルスタレス台車に変更し、Tc・T車はディスクブレーキ(1軸1ディスク)を装備。補助電源装置もSIV(静止型インバータ)を東芝製のGTO素子のBS-484Q形(70kVA)とし、編成内での補助電源引き通しを行うことにより故障の際のバックアップ機能を持たせてある点である[2]。また、サ1196形とモ1096形の間には簡易運転台が設けられている[4][2]。
1996年に製造された1028F・1030Fからは主電動機が低騒音タイプに変更され、同年8月から1997年にかけて製造の1029F・1031F - 1033Fでは乗務員室仕切り窓が小型化された。1998年に登場した1034F・1035FはVVVFインバータ装置のゲート制御部が32ビット化されている。
組成変更
2002年(平成14年)、1030Fの中間車サ1180・モ1080をそれぞれサ1196、モ1096に改番して1026Fに組み込まれた[2]。この2両には他のサ1196形とモ1096形と異なり簡易運転台は付けられていない[2]。
残りの先頭の2両モ1030・ク1130はモ1277・ク1377に改番され、2両編成の1277Fとなり、1252系に編入された[2]。なおモ1096・モ1277には南大阪線6620系6621F母線引き通し工事で余剰となったパンタグラフを流用し、それぞれ1基ずつ追加してパンタグラフを2基とした。
← 大阪難波・京都 近鉄奈良・橿原神宮前 →
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系列 | 編成名 | 電算記号 | モ1026 (Mc) | サ1176 (T) | モ1076 (M) | サ1196 (T) | モ1096 (M) | ク1126 (Tc) |
1026系 | 1026F 1030F - 1035F |
VL26 VL30 - VL35 |
1026 1030 - 1035 |
1176 1180 - 1185 |
1076 1080 - 1085 |
1126 1130 - 1135 | ||
1027F - 1029F | VH27 - VH29 | 1027 - 1029 | 1177 - 1179 | 1077 - 1079 | 1197 - 1199 | 1097 - 1099 | 1127 - 1129 |
← 神戸三宮・大阪難波・京都 近鉄奈良・橿原神宮前 →
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系列 | 編成名 | 電算記号 | モ1026 (Mc) | サ1176 (T) | モ1076 (M) | サ1196 (T) | モ1096 (M) | ク1126 (Tc) |
1026系 | 1026F - 1029F 1035F |
VH26 - VH29 VL35 |
1026 - 1029 | 1176 - 1179 | 1076 - 1079 | 1196 - 1199 | 1096 - 1099 | 1126 - 1129 |
1035 | 1185 | 1085 | 1135 | |||||
1031系 | 1031F - 1034F | VL31 - VL34 | モ1031 (Mc) | サ1181 (T) | モ1081 (M) | ク1131 (Tc) | ||
1031 - 1034 | 1181 - 1184 | 1081 - 1084 | 1131 - 1134 |
配置・運用
2015年4月現在、在籍する全編成 (4両編成10本40両と6両編成4本24両) が西大寺検車区に配置されている[3]。
- 4両編成
奈良線、京都線、橿原線、天理線においては8600系や8810系などと共通運用で、京都線系統では単独4両及び2両編成連結の6両編成で運用され、奈良線では同系や他車併結の6両 - 10両編成で運用されている。後述のワンマン対応編成は生駒線の全列車にも使用されている[2]。
- 6両編成
6両編成車は阪神直通対応改造(後述)が施工されている関係上、5800系および5820系、9820系と共通運用で、奈良線および阪神線直通列車を中心に運用されている。京都線・橿原線系統での運用もあるが、阪神との相互直通運転開始後は、相直改造が行われた編成は優先的に阪神線直通運用へ使われるため、京都線系統の運用は激減した。それでも京都線・橿原線系統での運用があるのは、基本的に京都線・橿原線・天理線も含めた運用をしているからである[19]。併結車両も相直改造の行われた1252系1271F - 1277Fか9020系にほぼ限定されており、検査代走もこれら3編成連結の6両編成で代走を行う。
改造・更新
2015年4月現在、車体更新工事は施工されていないが、近鉄各路線のGTO-VVVFインバータ制御車両と同様に、以下の改造が順次施工されている。
- 車体連結部の転落防止幌設置 (新製時に装備していなかった1021F - 1029F・1031F - 1033Fのみ)
- 先頭連結部渡り板を全線共通タイプに交換 (1021F - 1028F・1030Fのみ)
- バリアフリー対応改造[6]
- ドアチャイムおよび車内案内表示器の整備、ク1120形に連結部注意喚起スピーカーの設置[2]
- 車体側面のVVVFマーク撤去[2]
- 新型ATS設置・デッドマン装置装備工事および戸締灯増設工事の施工
- 簡易内装更新
- 座席モケットの交換
- 車内床面の交換 (2015年4月現在、1021F - 1025Fに施工)
1998年(平成10年)から1999年(平成11年)にかけて、1033Fにシングルアーム式パンタグラフを搭載した走行試験が行なわれたが[2]、現在は元の下枠交差形のパンタグラフに戻っている。その後、「シリーズ21」各系列や21020系以降の特急車両で採用された[2]。
生駒線ワンマン運転対応改造
2004年3月の生駒線ワンマン運転化に伴い、4両編成車は当時東花園検車区所属であった1035Fを除き、生駒線のワンマン運転に対応した改造を施して1020系からの改造車は1021系に[2]、1026系からの改造車は1031系に改番された(1035F以外は改造後順次、西大寺検車区所属に変更)[2]。改造内容はクーラーキセに車外スピーカーの取り付けと、1021F - 1025Fでは乗務員室仕切り窓の小型化が行われた。
阪神線直通対応改造
2012年2月現在、1026系6連車の全編成が阪神相直対応となっている。改造内容は5800系などの改造内容と同じである。同時に1021系・1031系同様のバリアフリー改造工事や新型ATS・デッドマン装置設置工事も受けている。方向幕も「大阪難波」[11]「尼崎」「三宮」表示が追加された。乗り入れ対応編成は蝶々に類似したマークを前面運転台下窓と側面乗務員室扉横に貼り付けられている。2014年3月に阪神なんば線に駅ナンバリングが導入されたため、それに伴う車内案内表示器の表示にも対応している。2009年3月の相互直通運転開始時点では1027F - 1029Fのみであったが[2]、2012年3月のダイヤ変更で阪神なんば線直通列車が増発されたことに伴って1026Fが追加で改造されている[6]。
アートライナー
- 1026F:「第27回全国都市緑化ならフェアPR列車」 2010年9月 - 2010年11月
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o カラーブックス「日本の私鉄 近鉄2」p.18 - p.24・p.29・p.128(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4586509058
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al 『近畿日本鉄道完全データ』 p.53 - p.56・p.59・p.67・p.70 (発行 メディアックス 2012年) ISBN 9784862013934
- ^ a b c 『鉄道ファン』2015年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2015 車両配置表」
- ^ a b c d e f g カラーブックス「日本の私鉄 近鉄2」p.142 - p.145・p.148・p.149(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4586509058
- ^ 2連単独で本線を走行可能な車両は、この装置を搭載した車種のみに限定される。
- ^ a b c d e f 『鉄道ファン』2012年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2012 車両データバンク」
- ^ a b 『鉄道ファン』2015年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2015 車両データバンク」
- ^ 1240Fや1259Fもワンマン改造当初は装備していたが、後に9000系や1265F - 1269Fに合わせて電光式ワンマン表示器に変更された。
- ^ 1271 - 1277F以外の奈良線所属編成には、単独回送時に必要となる踏面清掃装置が搭載されていないため。
- ^ [近鉄1252系,阪神線内で試運転] 鉄道ニュース|2008年9月2日掲載|鉄道ファン・railf.jp
- ^ a b 南大阪線での「大阪阿部野橋」幕と同じ、「大阪」の部分が小さめに表示されている
- ^ http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2010-1-2.pdf 鉄道事故調査報告書
- ^ 近鉄名古屋線で「海岸漂着物啓発ラッピング電車」運転|鉄道ニュース|2014年8月29日掲載|鉄道ファン・railf.jp
- ^ 近鉄名古屋線に「ケータイ大喜利」ラッピング車登場 鉄道ニュース|2015年5月21日掲載|鉄道ファン・railf.jp
- ^ NHK 着信御礼!ケータイ大喜利 全国ツアーIN四日市 番組公式サイト、2015年6月7日閲覧
- ^ 近鉄大阪線に「ケータイ大喜利」ラッピング車が入線 |鉄道ニュース|2015年6月6日掲載|鉄道ファン・railf.jp
- ^ 車掌乗務列車にワンマン運転対応車が運用される場合は、運賃箱を収納した状態で運用される。
- ^ 名古屋線ワンマン編成が大阪線東青山駅以西に乗り入れないのは、ワンマン対応編成は車内に運賃箱を設置している関係で、ワンマン対応でない通常の編成よりも運転席付近の立席スペースが若干狭くなり、ラッシュ時の混雑の激しい名張駅以西での運用には車両定員が減少する欠点が生じるのが主な要因である。
- ^ 奈良線の半数以上の列車が阪神線直通となったことで、京都線・橿原線・天理線における3200系・3220系を含めた6両固定編成の急行運用が増加し、京都線に乗り入れる際はこれらの6両固定編成と共通運用とされている関係上、本系列の6両固定編成が京都線に乗り入れる機会は少なくなった。
参考文献
- 「鉄道ダイヤ情報」2009年4月号(交通新聞社)
- 「鉄道ピクトリアル」2003年1月臨時増刊号(電気車研究会)
- カラーブックス「日本の私鉄 近鉄2」p.18 - p.24・p.29・p.128・p.142 - p.145・p.148・p.149(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4586509058
- 『近畿日本鉄道完全データ』 p.53 - p.56・p.59・p.67・p.70 (発行 メディアックス 2012年) ISBN 9784862013934
関連項目
外部リンク