超人ハルク (テレビドラマ)

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超人ハルク』(ちょうじんハルク、The Incredible Hulk)は、アメリカン・コミック(アメコミ)の同名のキャラクターを元にした実写版テレビドラマ。アメリカCBS系で、1977年から1982年まで放送された。

概要

ハルクのキャラクターは、スタン・リーとジャック・カービーにより生み出され、1962年マーベル・コミックで初登場した。

1977年、「600万ドルの男」や「地上最強の美女バイオニック・ジェミー」の制作で知られる、テレビ・プロデューサーのケネス・ジョンソンにより実写化され、2時間のパイロット版 "The Incredible Hulk" が制作された(日本では、第1・2話の「ハルク誕生」前・後編として放送)。デビッド・バナー博士役に「ザ・マジシャン」で主役を演じたビル・ビクスビー、変身後のハルク役には、ボディ・ビルダー1974年度ミスター・アメリカおよびミスター・ユニバースのルー・フェリグノが配された。その後、続編の2時間版 "Return of the Incredible Hulk"(再放送などでは2パートの "Death in the Family" に改題、日本でも「一人ぼっちの相続人」前・後編として放送)が制作された後、1時間枠のドラマ・シリーズとなった。

デビッドからハルクへの変身は、まず激怒したデビッドの目(虹彩)が白くなり、皮膚が緑色に変色(ここまではビクスビー)、筋肉が盛り上がって着ていた服が裂け、ハルクへ変貌(フェリグノ)というプロセスで行われた。白い目は、カラー・コンタクトレンズを装着して表現している。また、本当なら服が裂けるのであれば、当然ズボンも裂けて脱げ落ちなければおかしいのだが、そこはテレビの規制上、同色のバミューダ・パンツで丈が短くなったように見せてしのいでいた。

毎回のストーリーは、デビッドが放浪先で、さまざまな人々と関わることで起こる出来事を描くことに主眼が置かれている。しかし、結局はハルクに変身して騒ぎを起こし、マクギー記者の執拗な追跡も受けて長くとどまることができず、また放浪を続けるというエンディングとなる。このパターンは、1960年代のドラマ「逃亡者」の影響を受けている。「逃亡者」は、身に覚えのない妻殺しの罪で死刑を宣告された男が、刑事の追跡を逃れながら真犯人を探し求めて逃亡を続ける物語で、細かな違いはあるものの、構図的には非常に良く似ている。

シリーズ終了後、1988年に続編のスペシャル版 "The Incredible Hulk Returns" 「新 超人ハルク/勇者伝説」が作られ、1989年には "The Trial of the Incredible Hulk" 「超人ハルク'90」、1990年には "The Death of the Incredible Hulk" 「超人ハルク/最後の闘い」が、デビッド・バナー役のビル・ビクスビーの監督で制作された。ビクスビーは、その後1993年に死去している。

2003年には映画「ハルク」が製作されたが、設定やストーリーには違いが見られる。また2008年にはスタッフ、キャストを一新した映画「インクレディブル・ハルク」が製作されており、元祖ハルク役者のルー・フェリグノが、警備員役で顔を見せている[1]

ストーリー

科学者デビッド・バナー博士は、ドライブ中に起きた自動車事故で、妻ローラを失った過去を持つ。人間は非常時に潜在能力(いわゆる火事場の馬鹿力)を発揮することがあるが、デビッドにはそれが起きず、炎上する車から彼女を救出できなかったのだ。それ以来彼は、共同研究者のエレーナ・マークス博士と共に、潜在能力の研究に没頭していた。

やがてデビッドは、潜在能力を引き出すためにガンマ線を使うことを思いつき、自らの身体に照射するが、誤って大量に浴びてしまう。その結果、DNAに変調をきたした彼は、激怒すると緑色の大男に変身する体質となってしまった。しばらくすると元に戻るのだが、その間の記憶は残らないのだ。

一方、ナショナル・レジスター紙(シカゴに本社のある1960年創立の新聞社)の記者ジャック・マクギーは、デビッドの研究に興味を抱いて身辺を嗅ぎ回っていた。マクギーがデビッドの研究所に忍び込んだとき、爆発事故が起きる。エレーナを助けようとしたデビッドは、大男に変身。マクギーは、大男が彼女を抱えて外に出るのを目撃する。

エレーナは爆発による負傷のため死亡し、デビッドもまた死亡したとされた。マクギーは、大男が二人を殺したのだと思いこみ、「ハルク」と名づけてその行方を追跡することを決意する。生きたまま墓標を立てられたデビッドは、自分の身体を元に戻すか、変身を抑制する方法を見つけるため、ハルクを探し求めるマクギーから逃れながら、当てのない旅を続けることになる。

キャスト

スタッフ

日本での放送

日本では1979年4月から1980年9月まで、日本テレビの毎週土曜23:45 - 24:40(JST)で放送。本作を最後に、1973年10月開始の『コルディッツ大脱走』以来7年続いた土曜23:45枠の海外ドラマ[2]は終了した。

  • なおこの枠は1972年10月以来、土曜19:30 - 20:55(→20:54)にプロ野球ナイター中継が編成された際、この枠のドラマ(当初は『土曜イレブン』)を休止して、20:00枠の『全日本プロレス中継』を録画放送していたが、本作が始まった1979年4月より『全日本プロレス中継』を土曜17:30 - 18:25で放送する様に変わったので、本作はプロレスで休止になる事は無かった。

その他

  • 「スカイパニック747」 "747" のエピソードで、映画「エアポート'75」のボーイング747飛行・着陸シーンが流用されている。
  • 「激突! 強奪されたタンクローリー」 "Never Give a Trucker an Even Break" のエピソードで、スティーヴン・スピルバーグ監督のテレビ映画「激突!」のカーチェイス・シーンが流用されている。
  • 続編の「新 超人ハルク/勇者伝説」では、北欧神話の神オーディンの息子ソーが登場。これは、ソーを主人公としたテレビシリーズのパイロット版を兼ねていたからだが、シリーズ化は実現しなかった。また、マクギー記者の所属先が、ニューヨーク・グローブ紙に変わっていた。
  • 続編の「超人ハルク'90」では、同じマーベル・コミックのヒーロー、デアデビル(なぜか日本語版ではテアデビルになっている)が登場。これも、デアデビルのテレビシリーズのパイロット版を兼ねていたからだが、やはりシリーズ化はされなかった。
  • ジョージ秋山の漫画に『超人晴子』という作品があり、タイトルは「超人ハルク」のパロディになっているが、内容は全く関係がない。

関連作品

テレビ(続編)

  • "The Incredible Hulk Returns"(1988):邦題「新 超人ハルク/勇者伝説」ポニーキャニオン版VHS)/「超人ハルク リターンズ」(JVD版DVD)
    • 制作総指揮:ニコラス・コリア、ビル・ビクスビー
    • 脚本・監督:ニコラス・コリア

日本語吹替

役名 俳優 VHS版 DVD版
デビッド・ブルース・バナー博士 ビル・ビクスビー 田中信夫 有川博
ジャック・マクギー記者 ジャック・コルビン 青野武
  • "The Trial of the Incredible Hulk"(1989):邦題「超人ハルク'90」日本コロムビア版VHS)/「超人ハルク 敵か?味方か?テアデビル」(JVD版DVD)
    • 制作総指揮:ジェラルド・ディペゴ
    • 制作:ビル・ビクスビー、ロバート・ユーイング、ヒュー・スペンサー・フィリップス
    • 脚本:ジェラルド・ディペゴ
    • 監督:ビル・ビクスビー

日本語吹替

役名 俳優 日本語吹替
デビッド・ブルース・バナー博士 ビル・ビクスビー 有川博
  • 吹替はJVDより発売のDVDに収録されている。
  • "The Death of the Incredible Hulk"(1990):邦題「超人ハルク/最後の闘い」(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント版DVD)
    • 制作:ビル・ビクスビー、ロバート・ユーイング、ヒュー・スペンサー・フィリップス
    • 脚本:ジェラルド・ディペゴ
    • 監督:ビル・ビクスビー

映画

脚注

  1. ^ ちなみにルーは、『インクレディブル・ハルク』以降の『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズのハルクが登場する作品でハルクの声を担当している。
  2. ^ 1976年10月から1977年3月の間は、23:45 - 24:15に『シャボン玉ホリデー』(第2期)が編成されたため、24:15 - 25:10に繰下げて放送。

外部リンク

国内サイト

海外サイト

日本テレビ 土曜23:45 - 24:40枠
【当番組まで海外ドラマ枠
前番組 番組名 次番組
超人ハルク