走ることについて語るときに僕の語ること

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走ることについて語るときに僕の語ること
What I Talk About When I Talk About Running
著者 村上春樹
発行日 2007年10月15日
発行元 文藝春秋
ジャンル エッセイ
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 242
コード ISBN 978-4-16-369580-8
ウィキポータル 文学
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走ることについて語るときに僕の語ること』(はしることについてかたるときにぼくのかたること)は、村上春樹エッセイ集(村上は「メモワール」(回顧録)と呼んでいる)。

概要[編集]

2007年10月15日、文藝春秋より刊行された[1]。「走ること」と自身の小説執筆の相関性を語るエッセイ。一部を除き、書き下ろしの作品である[2]。写真は小平尚典、景山正夫、松村映三。装丁は渡辺和雄。本文デザインは野中深雪。2010年6月10日、文春文庫として文庫化された[3]

2015年8月28日、電子書籍版が文藝春秋より配信開始される。国内における村上の初めての電子書籍は同年7月24日配信開始の『村上さんのところ コンプリート版』(新潮社)であるが、既刊の著作物としては初の電子書籍化となる[4]

タイトルはレイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』に由来する。なお本書は1998年頃から出版が予定されていて、その当時村上が考えていたタイトルは『走れ、歩くな』だった[5]

翻訳[編集]

翻訳言語 翻訳者 発行日 発行元
英語 フィリップ・ガブリエル 2008年7月29日 Knopf(米国)
2008年8月7日 Harvill Secker(英国)
フランス語 Hélène Morita 2009年4月2日 Belfond
ドイツ語 Ursula Gräfe 2008年2月21日 DuMont Buchverlag
イタリア語 Antonietta Pastore 2011年9月 Einaudi
スペイン語 Francisco Barberán Pelegrín 2010年4月 Tusquets Editores
カタルーニャ語 Albert Nolla Cabellos 2010年 Edicions Empúries
ガリシア語 Mona Imai
Gabriel Álvarez Martínez
2009年3月 Editorial Galaxia
ポルトガル語 Maria João Lourenço 2009年11月 Casa das Letras(ポルトガル)
Cassio de Arantes Leite 2010年 Objetiva(ブラジル)
オランダ語 Luk van Haute 2009年1月15日 Atlas
デンマーク語 Mette Holm 2009年 Klim
ノルウェー語 Yngve Johan Larsen 2011年1月11日 Pax forlag
スウェーデン語 Eiko Duke, デューク・雪子 2010年 Norstedts
フィンランド語 Jyrki Kiiskinen 2011年3月15日 Tammi
エストニア語 Margis Talijärv 2021年 Varrak
ポーランド語 Jędrzej Polak 2008年 Muza
チェコ語 Tomáš Jurkovič 2010年 Odeon
スロベニア語 Aleksander Mermal 2011年 Mladinska knjiga
ハンガリー語 Nagy Anita 2012年 Geopen Könyvkiadó Kft.
ルーマニア語 Oprina Iuliana 2009年 Polirom
ロシア語 エレナ・バイビコフ[6] 2010年 Eksmo
トルコ語 Hüseyin Can Erkin 2013年12月 Doğan Kitap
ヘブライ語 Einat Cooper 2010年 Keter Publishing House
中国語 (繁体字) 頼明珠 2008年11月6日 時報文化
中国語 (簡体字) 施小煒 2009年1月1日 南海出版公司
韓国語 任洪彬(イム・ホンビン) 2009年1月 文学思想社
ベトナム語 Thiên Nga 2011年 Nhã Nam

内容[編集]

1983年のアテネ-マラトン間での初マラソンの回想、2005年度ニューヨークシティマラソンの準備期間などの想いをつづる。そして自身の小説家としてのキャリアが、いかに「走ること」と連関していたかを述べる。

小説を書くきっかけとなった神宮球場でのデーゲーム、群像新人賞受賞、ジャズ喫茶の経営と小説の執筆を振り返りつつ、小説家の資質に必要なのはまず才能としながらも、集中力を持続させるための体力が不可欠だと考える。そのために、自身の孤独を好む性格にフィットし、特に場所を選ばない長距離走を選んだ。そして村上は「走ること」にさまざまな思いを抱えながらも、それを四半世紀ほど一貫して続けてきた。

作家ランナー[要曖昧さ回避]としての村上春樹の側面が垣間見られる作品である。

脚注[編集]

  1. ^ 『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
  2. ^ ペントハウス日本版』1983年10月号、『Impression Gold』1991年vol.15、『Class X』太陽増刊号、『Monthly M』1998年5月号、『BRUTUS』1999年6月1日号に掲載されたエッセイが本書に収録されている。
  3. ^ 文春文庫『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
  4. ^ “村上春樹氏大人気エッセイを初電子化 『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋) 7月31日Kindleストア、楽天kobo、iBooks、紀伊國屋書店、 Reader Storeで先行予約開始!”. 読売新聞. (2015年7月30日). http://www.yomiuri.co.jp/adv/life/release/detail/00020596.html 2015年7月31日閲覧。 
  5. ^ スメルジャコフ対織田信長家臣団』朝日新聞社、2001年4月、村上ラヂオ30、村上ラヂオ41。
  6. ^ エレナ・バイビコフはペンネームの「アファナーシイ・クニン」(Афанасий Кунин)名義で本書を訳している。