赤城毅

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赤城 毅
(あかぎ つよし)
ペンネーム 赤城 毅
誕生 大木 毅(おおき たけし)
1961年????
日本の旗 東京都
職業 小説家、軍事史研究家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 立教大学文学部史学科
活動期間 1998年 -
ジャンル 歴史、軍事、ミステリ、冒険
代表作 〈書物狩人〉シリーズ
主な受賞歴 新書大賞
デビュー作 魔大陸の鷹シリーズ
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赤城 毅(あかぎ つよし、1961年昭和36年〉 - )は、日本小説家軍事史研究者翻訳家。本名の大木 毅(おおき たけし)名義でも著作活動を行う(フィクションは「赤城毅」、ノンフィクションと翻訳は「大木毅」)。日本推理作家協会会員。

経歴[編集]

東京都出身。立教大学文学部史学科卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻はドイツ近代史。ドイツ学術交流会奨学生として、ドイツのボン大学留学。その後、日本学術振興会特別研究員千葉大学横浜市立大学などの非常勤講師防衛省防衛研究所講師、陸上自衛隊幹部学校講師などを経て、1998年、『魔大陸の鷹』で単行本デビュー。

現在は作家として活動する傍ら、研究を続けている。研究者としてはナチス・ドイツの政治外交史を研究している。2020年、『独ソ戦』で新書大賞を受賞[1][2]

人物[編集]

  • 大学院生時代には翔企画鈴木銀一郎が発行していたボード・シミュレーション・ゲーム専門誌『シミュレイター』にて『鉄十字の足跡』を執筆していたこともある(大木毅名義。イラストは小林源文)。『鉄十字の足跡』は連載を中断したまま(「大木先生はドイツ留学中」という編集者の説明あり)、『シミュレイター』誌は消滅した。
  • 1990年代半ばには荒巻義雄の架空戦記『旭日の艦隊』で本編前史にあたる時期のヨーロッパ情勢を扱った外伝アンソロジー『旭日の艦隊 後世欧州戦史』シリーズ(全6巻)に「赤城毅」名義で参加、シリーズ後半ではほぼ一冊の執筆を赤城個人が担当している。
  • 代表作に『帝都探偵物語』『ノルマルク戦史』『紳士遊戯』などがある。

作品リスト[編集]

小説[編集]

シリーズ作品[編集]

  • 魔大陸の鷹中央公論社C★NOVELS〉、イラスト:ひろき真冬
    1. 吼える海流(1998年3月)
    2. 凍れる密林(1998年4月)
    3. 帝都最終決戦(1998年5月)
  • 帝都探偵物語(中央公論社[注 1]〈C★NOVELS〉[注 2] / 光文社文庫、イラスト:鈴木雅久
    1. 人造生命の秘密(1998年11月 / 2003年2月)
    2. 闇を呼ぶ人狼(1999年1月 / 2003年5月)
    3. 深紅の挑戦(1999年3月 / 2003年8月)
    4. さらば美しき魔女(1999年5月 / 2003年11月)
    5. 霧笛に哭くロロ(1999年7月 / 2004年2月)
    6. 夏薔薇が静かに散るとき(2000年3月 / 2004年5月)
    7. 帝都少年探偵団 帝都探偵物語外伝(2000年7月 / 2004年8月)
    8. 水妖の青き唄を聴け(2000年9月 / 2005年2月)
    9. パノラマ座の惨劇(2001年11月 / 2005年7月)
    10. 私が愛した木乃伊(2003年9月 / 2006年11月))
    11. 青鱗館の恐怖(2006年11月)
    12. 虎落笛(もがりぶえ)鳴りやまず(2007年9月)
    13. 黄泉に舞う蝶(2008年6月)
  • 有翼騎士団(中央公論新社〈C★NOVELS〉、イラスト:小林立
    1. 風に立つ緑の姫君(1999年12月)
    2. 夜を紡ぐ銀の侯爵(2000年1月)
    3. 光呼べ青嵐の騎士(2000年5月)
    • 有翼騎士団 完全版(2007年9月 祥伝社〈ノン・ノベル〉、上記3作の合本完全版)
  • ノルマルク戦史(中央公論新社〈C★NOVELS〉、イラスト:とりそかべ馨
    1. 滅びの星の皇子(2001年3月)
    2. 異端者達の軍旗(2001年5月)
    3. 罪と罰の迷宮(2001年8月)
    4. 寂寞たる栄光(2002年1月 / 2006年4月)
    5. 愛と哀しみの戦野(2002年5月)
  • 猫子爵冒険譚祥伝社ノン・ノベル〉、イラスト:有賀ヒトシ
    • 血文字GJ(2005年2月)
    • 復讐する化石(2005年9月)
  • 魔大陸の鷹(祥伝社〈ノン・ノベル〉、イラスト:星野之宣
    • 魔大陸の鷹 完全版[注 3](2005年10月)
    • 熱沙奇巌城(2006年2月)
    • 氷海の狼火(2006年9月)
    • 燃える地平線(2007年2月)
  • ノルマルク戦記[注 4]集英社スーパーダッシュ文庫〉、イラスト:小河原亮
    1. 滅びの星の皇子(2006年2月)
    2. 異端者達の軍旗(2006年2月)
    3. 罪と罰の迷宮(2006年3月)
    4. 寂寞たる栄光(2006年4月)
    5. 愛と哀しみの戦野(2006年5月)
    6. 挽歌の彼方へ(2006年8月)
    7. 滅びの星輝くとき(2006年8月)
  • オフィス・ファントム(祥伝社〈ノン・ノベル〉、イラスト:鷹氏隆之
    1. 史上最大の誘拐(2007年6月)
    2. 史上最悪の奪還(2007年11月)
    3. 史上最強の要塞(2008年2月)
  • 書物狩人シリーズ講談社講談社ノベルス / 講談社文庫〉、本文イラスト:ウスダヒロ
    1. 書物狩人(ル・シャスール)(2007年4月 / 2010年4月)
    2. 書物迷宮(ル・ラビラント)(2008年10月 / 2011年10月)
    3. 書物法廷(ル・トリビュナル)(2010年4月 / 2013年5月)
    4. 書物輪舞(ラ・ロンド)(2011年11月)
    5. 書物幻戯(リイリュジオン)(2011年6月)
    6. 書物審問(ランキジシォン)(2012年11月)
    7. 書物奏鳴(ラ・ソナト)(2013年6月)
    8. 書物紗幕(ル・リドー・ド・ガズ)(2014年1月)
  • 冒険王角川春樹事務所ハルキ文庫〉)
    1. ビスマルクの陰謀(2015年3月)
    2. 北京潜入(2015年6月)
    3. 旅順の謎(2015年9月)
    4. 日露スパイ決戦(2015年12月)

単巻作品[編集]

  • 旭日の艦隊 後世欧州戦史 5(1996年6月 中央公論社〈C★NOVELS〉、荒巻義雄案)
  • 虹のつばさ(2003年6月 講談社ノベルスのち講談社文庫、イラスト:宮尾岳
  • 麝香姫の恋文(2004年10月 講談社ノベルス / 2008年1月 講談社文庫、イラスト:波津彬子
  • 時の剣 隻眼の狼王(2004年11月 光文社〈カッパ・ノベルス〉、イラスト:丹野忍
    • 【改題】時の剣 隻眼の狼(2008年9月 光文社文庫)
  • 薔薇とサーベル ナポレオン戦争秘史(2010年2月 朝日新聞出版朝日ノベルズ〉、イラスト:滝沢聖峰
  • 氷海のウラヌス(2010年6月 祥伝社 / 2013年7月 祥伝社文庫)
  • 天皇の代理人(エージェント)(2012年10月 角川春樹事務所 / 2014年5月 ハルキ文庫)
  • 八月の残光(2013年7月 祥伝社)
  • 桜守兄弟封印ノート あやかし筋の双子(2015年10月 集英社〈オレンジ文庫

ノンフィクション[編集]

  • 亡国の本質 日本はなぜ敗戦必至の戦争に突入したのか(2010年10月 PHP研究所

対談[編集]

  • 中欧怪奇紀行【共著:田中芳樹】(2000年11月 中央公論新社 / 2003年12月 講談社文庫)

大木毅名義[編集]

  • 『ドイツ軍事史 その虚像と実像』(作品社、2016年)
  • 『第二次大戦の〈分岐点〉』(作品社、2016年)
  • 『灰緑色の戦史 ドイツ国防軍の興亡』(作品社、2017年)
  • 『「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨』(角川新書、2019年)
  • 『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書、2019年)
  • 『戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男』(角川新書、2020年)
  • 『ドイツ軍攻防史 マルヌ会戦から第三帝国の崩壊まで』(作品社、2020年)
  • 『「太平洋の巨鷲」山本五十六 用兵思想からみた真価』(角川新書、2021年)
  • 『日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに』(角川新書、2021年)- 旧著・赤城毅『亡国の本質』を大幅改訂。
  • 『指揮官たちの第二次大戦 素顔の将帥列伝』(新潮選書、2022年)
  • 『歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して』(角川新書、2023年)
  • 『戦史の余白 三十年戦争から第二次大戦まで』(作品社、2023年)
  • 『勝敗の構造 第二次大戦を決した用兵思想の激突』(祥伝社、2024年)
  • 『決断の太平洋戦史 「指揮統帥文化」からみた軍人たち』(新潮選書、2024年)
共著
  • 『コンピューターシミュレーション・ゲーム入門』 (上田暁共と、原書房、1983年)
  • 『鉄十字の軌跡』(鹿内靖と、国際通信社、2010年)
  • 『帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる』(戸高一成と、角川新書、2020年)

論文[編集]

  • 「ドイツの対米開戦――その研究史」『史苑』49巻1号(1989年)
  • 「ドイツの対米開戦(1941年)――その政治過程を中心に」『国際政治』91号(1989年)
  • 「ドイツと『関特演』」『軍事史学』25巻3・4合併号(1990年)
  • 「独ソ戦の性格をめぐって――もうひとつの歴史家論争」『西洋史学』169号(1993年)
  • 「フリードリヒ・ハックと日本海軍」『国際政治』第109号(1995年)
  • 「『藤村工作』の起源に関する若干の考察」『軍事史学』31巻1・2合併号(1995年)
  • 「独ソ和平工作をめぐる群像」近代日本研究会編『年報・近代日本研究17 政府と民間』(山川出版社、 1995年)
  • 「独ソ和平問題と日本」細谷千博後藤乾一入江昭波多野澄雄編『太平洋戦争の終結――アジア・太平洋の戦後形成』(柏書房、 1997年)

訳書[編集]

  • ジョン・キーガン編『タイムズ・アトラス 第2次世界大戦歴史地図』(原書房、1994年)
  • カール・ハインツ・フリーザー『電撃戦という幻(上・下)』(中央公論新社、2003年)
  • ジョン・キーガン、ジョン・ガウ、リチャード・ホームズ『戦いの世界史: 一万年の軍人たち』(原書房、2014年)
  • イエルク・ムート『コマンド・カルチャー 米独将校教育の比較文化史』(中央公論新社、2015年)
  • ヴァルター・ネーリング『ドイツ装甲部隊史 1916-1945』(作品社、2018年)
  • ローマン・テッペル『クルスクの戦い1943 第二次世界大戦最大の会戦』(中央公論新社、 2020年)

監修[編集]

  • ケネス・マクセイ『ドイツ装甲師団』(加登川幸太郎訳、並木書房、2000年)
  • ドイツ国防軍陸軍統帥部陸軍総司令部編纂『軍隊指揮 ドイツ国防軍戦闘教範』(監修・解説、旧日本陸軍陸軍大学校訳、作品社、2018年)
  • リチャード・J・エヴァンズ『第三帝国の到来(上・下)』(山本孝二訳、白水社、2018年)- シリーズ:第三帝国の歴史(全六巻予定)
  • ハインツ・ヴェルナー・シュミット『ロンメル将軍 副官が見た「砂漠の狐」』(監訳・解説、清水政二訳、角川新書、2020年)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 3以降は中央公論新社。
  2. ^ 10以降は光文社〈カッパ・ノベルス〉。
  3. ^ 1998年3月から5月に刊行された『吼える海流』『凍れる密林』『帝都最終決戦』の合本完全版。
  4. ^ 『ノルマルク戦史』を加筆修正し、6巻・7巻を書き下ろしたもの。

出典[編集]

  1. ^ 新書大賞 特設ページ”. 中央公論新社. 2020年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月25日閲覧。
  2. ^ 岩波新書『独ソ戦』が「新書大賞2020」第1位に』(プレスリリース)株式会社 岩波書店、2020年2月10日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000053841.html2021年9月25日閲覧 

外部リンク[編集]