谷村志穂

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谷村 志穂
誕生 (1962-10-29) 1962年10月29日(61歳)
北海道札幌市白石区
職業 小説家
国籍 日本の旗 日本
活動期間 1991年-
ジャンル 恋愛小説
代表作海猫
主な受賞歴 島清恋愛文学賞(2003年)
デビュー作アクアリウムの鯨
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谷村 志穂(たにむら しほ、1962年10月29日 - )は、日本小説家北海道札幌市白石区生まれ、東京都在住。

略歴[編集]

北海道札幌市白石区に生まれる。父親は勇払郡追分町(現安平町)、母親は函館市出身。北海道札幌西高等学校北海道大学農学部卒業。応用動物学を専攻。指導教官は森鷗外の孫、森樊須だった。スカッシュラケット部所属。

出版社勤務を経て、フリーライターとなる。1990年11月、初エッセイ集『結婚しないかもしれない症候群』を刊行。翌年テレビドラマ化

1991年、処女小説『アクアリウムの鯨』(八曜社/角川文庫)を発表し小説家デビュー。

37歳のときに結婚し、38歳で出産をした[1]

2003年、郷里の北海道を舞台に描いた『海猫』(新潮社)で第10回島清恋愛文学賞を受賞。母親の出身地である函館市への思い入れが強く、代表作『海猫』も函館が舞台であり、新聞・雑誌等のエッセイでも同市の話題を多く取り上げている。

函館近郊七飯町大沼を舞台とした小説『大沼ワルツ』(小学館PR誌「本の窓」連載)が縁で、2015年12月より七飯町観光大使を務める[2]

2017年には青森りんごにまつわるエッセイ集『ききりんご紀行』の発刊により青森りんごのファンづくりに貢献したとして「青森りんご勲章」を受賞した[3]

人物[編集]

作品[編集]

小説[編集]

1990年代[編集]

  • アクアリウムの鯨(1991年5月 八曜社 / 1995年9月 角川文庫)
  • フレンズ(1991年7月 芸文社 / 1993年10月 集英社文庫)
  • 十四歳のエンゲージ(1991年11月 東京書籍 / 1995年4月 講談社文庫)
  • 蜜柑と月(1992年7月 角川書店 / 1994年11月 角川文庫)
    • 収録作品:夜のほとり / 蜜柑と月 / ベランダの隣人 / もっと近くに / 夏の夜に彼女と
  • ハウス(1992年8月 集英社 / 1995年8月 集英社文庫)
  • 眠らない瞳(1993年7月 講談社 / 1996年8月 講談社文庫)
  • 少年の憂うつ 少女の微熱(1993年9月 集英社 / 1996年9月 集英社文庫 『シティ』に改題)
    • 収録作品:図書館は遠い / 春の兎 / パール・ホワイトのキャミソール / 神宮で始まる空の高い夏 / 夜汽車 / サボテンの宿 / 女優と犬と赤い鼻 / 今朝のスープ、清潔なテーブル・クロス / 波の音が聞こえたら私は… 青い家のひとり娘
  • エデンの旅人たち(1994年4月 主婦の友社 / 1998年3月 集英社文庫)
  • ナチュラル(1994年4月 幻冬舎)
  • 自殺倶楽部(1994年9月 集英社 / 1997年9月 集英社文庫)
  • 僕らの広大なさびしさ(1995年2月 福武書店 / 1998年6月 幻冬舎文庫)
  • 花のような人(1995年9月 角川書店 / 1998年4月 角川文庫 「君はなぜ泳ぐのをやめるんだ」に改題)
    • 収録作品:いつかジゼルを踊る人 / 花のような人 / 雛祭り / 雪はどんなもの? / 月で飲むビール / アワ・スウィート・ルーム / ジグソー・パズル / 銀河に浮かんだ耳朶 / ブリッジする女 / とても若い妻 / 私にも猫が飼えるかしら / クール・ダウン / ゆっくり歩いて、そこへ行く / 君はなぜ泳ぐのをやめるんだ / 一瞬ひらき、俄かに散ってゆく
  • ジョニーになった父(1995年12月 集英社 / 1998年9月 集英社文庫)
  • 十六歳たちの夜(1996年7月 東京書籍 / 1999年12月 講談社文庫)
  • アリスの旅行短編集(1996年8月 読売新聞社 / 1999年6月 幻冬舎文庫 「アリスの旅行小説集」に改題)
    • 収録作品:ある日、金色のマントが / カンポンの花嫁 / 菊花茶のような十六歳 / 鯨 / ソカロを見下ろすカフェ / ピアスの痛み / 巨大な像の目 / ジェノヴァで生まれた猫 / 女神に抱かれにきた女
  • 助教授ルリ子の恋(1998年2月 集英社)
  • なんて遠い海(1998年9月 新潮社 / 2001年10月 集英社文庫)
    • 収録作品:暗がりのローランサン美術館 / 最終公演、ワーグナー / 夜学教師 / 海に抱かれて / なんて遠い海 / 雪渓 / 戻り雪 / 今日も猫に話しかけてみる / シオールの海
  • 黒猫ロック(1998年12月 角川春樹事務所 / 2006年5月 ハルキ文庫 「今日もブランコと泣く」に改題)
    • 収録作品:雨のガードレール / 今日もブランコと泣く / 黒猫ロックは窓辺に来る / Hero/ヒーロー / 星の並ぶレストラン / ミスドン / ルーキーたち / 放課後の匂い / 僕らの子らに / 沐浴する幼い女。 / Yo-! / 愛を教えて / White love / ホワイトロード
  • シュークリアの海(1999年11月 集英社 / 2002年8月 集英社文庫)
    • 収録作品:シュークリアの海 / 島は沈まない / バットマン / 私はなぜ、あんなに買ってしまったのだろう?

2000年代[編集]

  • 妖精愛(2001年2月 河出書房新社 / 2004年3月 集英社文庫)
    • 収録作品:妖精愛 / 大地がお腹をすかせて / アロエの女王 / のぞき部屋 / チェーン / 美味しいポップコーン / ブルー・ラグーン / ルーキーたちの春 / ガラス魚
  • レッスンズ(2002年1月 講談社 / 2005年1月 講談社文庫)
  • 海猫(2002年9月 新潮社 / 2004年9月 新潮文庫)
  • ベリーショート(2003年5月 集英社文庫)
  • Curtain(2003年10月 実業之日本社 / 2006年5月 集英社文庫 「カーテン」に改題)
    • 収録作品:Curtain / 私からの風船 / 一夜 / 黄鳥 / 左腕とキャッチボール / 結婚招待状 / 十年目のパーソナリティ / Curtain call
  • アイ・アム・ア・ウーマン(2004年3月 幻冬舎 / 2005年4月 幻冬舎文庫)
  • 黒い天使になりたい(2004年3月 河出書房新社 / 2009年4月 河出文庫)
    • 収録作品:クランベリー・ジュース / ナニカサミシイ / トマトと彼のこと / カフェ・テーブル / モンキー / Real heartを探しに / 愛しのガリガリ君 / 最終コーナー / リターン/返信 / ジュリエットは涙する / 秘密 / そのロードをもう一度 / 日曜の夜、ラジオボイス / 白鳥たちは遊ぶ / 風の岬 / 99ri海岸 / 宇宙の中の独りぼっち / 黒い天使になりたい / 三十代の結婚 / ルルの子供たち / 白猫ミントン / コタロウがやって来た冬
  • 雀(2004年10月 河出書房新社 / 2008年3月 新潮文庫)
  • 白の月(2004年11月 集英社 / 2007年1月 集英社文庫)
    • 収録作品:白の月 / 祭り恋 / 卵色の愛 / 冬瓜色 / 一雨ごとに / 鳩の血 / 発火 / 蒼い水
  • Conversation!(2005年3月 集英社文庫)
    • 収録作品:"It's really a girl's time"in Australia / Fall in and out of love / Eyes spoke / Ich bin eine Mowe / You,always welcome / I am a free fish! / Don't hang up / Miss Destiny / You have to treat me nice / Jambo! / Hi!Freshmeat / Let me know about you! / She was too honest / You are weak / It's a very famous story / I was a Tonga baby / 'Cause I am a princess / Replicate me / Manaste! / I'm on the way to… / I don't want to lose control / You know "why"? / I'm going bananas / It was always up to me / Prost! / I'll let you go free
  • 余命(2006年5月 新潮社 / 2008年12月 新潮文庫)
  • 静寂の子(2006年7月 祥伝社 / 2009年10月 新潮文庫 「冷えた月」に改題)
  • 黒髪(2007年11月 講談社 / 2010年9月 講談社文庫)
  • 蒼い乳房(2007年11月 新潮文庫)
    • 収録作品:夜のほとり / 雪はどんなもの? / White love / キャメルのコートを私に / サボタージュ / キャンプ / 赤い靴のソウル / 娘の誕生日 / ヒトリシズカ / 蒼い乳房
    • 表題作は「海猫」の主人公・薫の少女時代の物語。
  • 雪になる(2008年1月 新潮社 / 2011年1月 新潮文庫)
    • 収録作品:雪になる / 上等な玩具 / ねじれた親指 / かさかさと切手 / ここにいる / 三つ葉
  • みにくいあひる(2008年3月 文藝春秋 / 2011年4月 文春文庫)
    • 収録作品:カントリー・ガール / 泡立つ海 / フタコブラクダ / きれいな体 / ネイル / みにくいあひる
  • ムーヴド(2008年5月 実業之日本社 / 2010年12月 実業之日本社文庫)
  • フラワーズ(2008年7月 角川春樹事務所)
  • 恋のいろ(2008年7月 集英社文庫)
    • 収録作品:透明:水たまり / 泣かないで / あげてもいい / ガラス瓶の中、白:白いマフラー / 葬送 / そのときの色 / 喪失の花、銀:白鳥の浮かぶ銀の湖 / 銀河系 / 蝶々 / 銀の目、空色:その、カーディガン / 海の色、空の色 / サクランボ / 青い風、緑:苔むす / 鶯色の時間 / 柔らかな草 / 花泥棒、灰色:シベリアで育った / グレイッシュ / ロマンスグレー / 翳る海
  • 愛のいろ(2008年8月 集英社文庫)
    • 収録作品:橙色:三日間 / 夏の名残り / オレンジの叔母 / 大地の布、黄色:21 / レモンソーダ / ひよこ / ワイシャツの嘘、茶色:柿渋 / 風に乗る落ち葉 / 秋の雨 / 滲んだセピアのインク、赤:ナナカマド / 母のまぼろし / 赤い煉瓦に降る雪は / クリスマスの灯、ピンク:別の世界 / 撫子さん / 雪のファンタジィ / もっと、紫:靴はいらない / 空っぽの部屋 / 嫉妬の毛布 / 好きになる前に
  • 冷たい水と、砂の記憶(2008年9月 河出書房新社 / 2011年11月 集英社文庫 改題『3センチヒールの靴』)
    • 収録作品:冷たい水と、砂の記憶 / 夏の終わり / よく冷えたもの / 赤と白のワインの空き瓶 / 冬休みを前に / 欅通りのカフェ・テラス / 雨宿の白い花 / Do you still love me? / 三年の後 / 微熱 / 世界にたった一つの香り / 風になびく青い風船 / 春宵の旅人 / 蛍結び / 白く贅沢な夜 / 水音 / 青いアーチを越えて、コルトレーンを聴く
  • スノーホワイト(2008年12月 光文社 / 2011年12月 光文社文庫)
  • おぼろ月(2009年12月 祥伝社 / 2012年10月 祥伝社文庫)
    • 収録作品:キャメルのコートを私に / 青い空のダイブ / タヒチアン・ダンスで会おう / おぼろ月 / 夜の虹 / 二人と犬の子 / 夜の街には、お砂糖がある

2010年代[編集]

  • リラを揺らす風(2011年3月 実業之日本社)
    • 【改題】暗闇のリラ(2014年3月 実業之日本社文庫)
  • 尋ね人(2012年5月 新潮社 / 2015年1月 新潮文庫)
  • 千年鈴虫(2012年10月 祥伝社 / 2016年7月 祥伝社文庫)
  • 空しか、見えない(2013年4月 スターツ出版 / 2015年7月 集英社文庫)
  • いそぶえ(2014年8月 PHP研究所)
  • ボルケイノ・ホテル(2014年11月 光文社)
  • シーソーメイル(2015年9月 PHP文芸文庫) - 大崎善生共著、ラジオドラマの書籍化
  • 大沼ワルツ(2016年8月 小学館)
  • 移植医たち(2017年8月 新潮社)

エッセイ[編集]

  • 結婚しないかもしれない症候群(1990年11月 主婦の友社 / 1992年9月 角川文庫)
  • 愛って何? '92(1991年12月 主婦の友社 / 1993年10月 角川文庫 『愛って何? ∞』に改題)
  • 少女よ、大志を抱け(1993年3月 講談社 / 1996年4月 講談社文庫)
  • 夏の猫と贈りもの(1993年11月 東京書籍 / 1997年11月 ハルキ文庫)
  • サッド・カフェで朝食を(1994年10月 メディアパル / 2000年2月 幻冬舎文庫)
  • ヒールを履いたかぐや姫(1995年11月 マガジンハウス / 1999年1月 集英社文庫 「恋して進化論」に改題)
  • アリス広場で(1995年3月 みき書房)
  • 時のない島 オーストラリア、ノーザン・テリトリーの旅(1995年4月 Tokyo FM出版)
  • 結婚しないかもしれない症候群 男性版(1996年4月 主婦の友社 / 1999年9月 角川文庫)
  • いつものお茶、いつもと違う猫(1997年3月 東京書籍 / 2000年3月 中公文庫)
  • 野球に逢った日(対談集、1998年8月 ベースボール・マガジン社)
  • ひとはなぜ愛するのか(河合雅雄対談、1998年11月 東京書籍)
  • おやすみなさい、と彼が言う(1999年5月 世界文化社)
  • モルディブ(1999年11月 スターツ出版)
  • パワーウーマン 愛と自立のスケジュール(2000年11月 日本文芸社 / 2009年3月 PHP文庫 「透明な海の泳ぎかた」に改題)
  • 10年後の「結婚しないかもしれない症候群」(2003年7月 草思社)
  • 空色 水曜日(2004年6月 角川書店)
  • イギリス、湖水地方を歩く(2004年8月 岩波書店)
  • 宇宙の片隅で恋を語る(2009年5月 河出書房新社)
  • チャイとミーミー(2012年4月 河出書房新社)
  • ききりんご紀行(2016年11月 集英社)

共著[編集]

飛田和緒との共著

  • 1DKクッキン(1993年6月 学習研究社 / 1997年5月 集英社文庫)
  • お買物日記(1994年11月 集英社 / 1999年5月 集英社文庫)
  • お買物日記 pt.2(1997年11月 主婦の友社 / 2000年6月 集英社文庫)
  • 2DKクッキン おなかがすいたらつくってあげよう(1997年8月 集英社文庫)
  • ごちそう山(2003年1月 集英社文庫)

アンソロジー[編集]

「」内が谷村の作品

  • 誘惑の芳香(「綿菓子と空」、1992年6月 講談社 / 1999年2月 講談社文庫)
  • ホワイト・ラブ(「White love」、2000年2月 幻冬舎 / 2001年2月 幻冬舎文庫)
  • Lovers(「キャメルのコートを私に」、2001年6月 祥伝社 / 2003年9月 祥伝社文庫)
  • Friends(「青い空のダイブ」、2003年7月 祥伝社 / 2005年9月 祥伝社文庫)
  • ナナイロノコイ(「これっきり」、2003年9月 角川春樹事務所 / 2006年5月 ハルキ文庫)
  • 熟れた果実(「大地がお腹をすかせて」、2003年12月 徳間文庫)
  • Love stories(「私にも猫が飼えるかしら」、2004年2月 水曜社)
  • 靴に恋して(「赤い靴のソウル」、2004年9月 ソニー・マガジンズ)
  • 夜の翼(「ウサギのビーズ」、2004年9月 全日出版)
  • あなたと、どこかへ。(「娘の誕生日」、2005年5月 文藝春秋 / 2008年5月 文春文庫)
  • めぐり逢い(「一夜」、2005年7月 ハルキ文庫)
  • 最後の恋(「ヒトリシズカ」、2005年12月 新潮社 / 2008年12月 新潮文庫)
  • 私らしくあの場所へ(「風になびく青い風船」、2006年3月 講談社 / 2009年5月 講談社文庫)
  • 空を飛ぶ恋(「恩返し」、2006年6月 新潮文庫)
  • 本当のうそ(「ジェリー・フィッシュの夜」、2007年12月 講談社)
  • 眠れなくなる夢十夜(「こっちへおいで」、2009年6月 新潮文庫)

脚本[編集]

翻訳[編集]

  • クレイジー・コック(ヘンリー・ミラー著 1997年6月 幻冬舎)
  • 猫がクラウン猫になるための秘密のルール(ブラッドフォード・テルフォード、マイケル・カーダー著 1999年5月 河出書房新社)
  • シートンさんのどうぶつ記 1-3(2009年3月 創美社)
    • シートンの動物記 野性の「いのち」、6つの物語(2013年7月 集英社みらい文庫)

映像化作品[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]

出演[編集]

  • ラジオ「真夏の夜の偉人たち - ジョニ・ミッチェルの光と影」(2018年8月23日、NHK-FM): ジョニ・ミッチェルの楽曲を特集した番組。選曲・進行を担当。[7][8]
  • テレビ「日本の旧家 広島県・上田家 - 武家茶道上田宗箇流第十六代宗家」(1996年 NHK):インタビュアーとして当主家族を訪問。

脚注[編集]

外部リンク[編集]