西村京太郎

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西村 京太郎
(にしむら きょうたろう)
誕生 矢島 喜八郎
(1930-09-06) 1930年9月6日(93歳)
日本の旗 日本東京府荏原郡荏原町
(現東京都品川区
職業 小説家
推理作家
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 東京都立電機工業学校
活動期間 1961年 -
ジャンル 推理小説
代表作天使の傷痕
寝台特急殺人事件
終着駅殺人事件
主な受賞歴 オール讀物推理小説新人賞(1963年)
江戸川乱歩賞(1965年)
日本推理作家協会賞(1981年)
エランドール賞特別賞(2004年)
日本ミステリー文学大賞(2005年)
デビュー作 「黒の記憶」(1961年)[1]
公式サイト http://www.i-younet.ne.jp/~kyotaro/
ウィキポータル 文学
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西村 京太郎(にしむら きょうたろう、1930年9月6日 - )は、日本小説家推理作家トラベルミステリーの第一人者で、十津川警部の生みの親として知られている。本名は矢島 喜八郎(やじま きはちろう)。

人物

東京陸軍幼年学校在学中に終戦を迎え[3]東京都立電機工業学校(現・東京都立産業技術高等専門学校)卒業後、臨時人事委員会(後の人事院)に就職する[4]。11年勤務後に退職し、トラック運転手、私立探偵などを経て作家生活に入る。

初期は社会派推理小説を書いていたが、じきにスパイ小説、クローズド・サークルパロディ小説、時代小説など多彩な作品群を発表する。中でも海難事故もの(これについては西村本人が海が好きだったため。十津川警部は大学ヨット部出身という設定。)、誘拐もの(あらゆる犯罪の中で最も知能を要するので推理小説にふさわしいと考えたから)が多かった。

日本中にトラベルミステリーというジャンルを示すきっかけとなったヒット作『寝台特急殺人事件』から全面的にトラベルミステリーに移行する。西村が考えた、鉄道などを使ったトリックやアリバイ工作は、そのリアリティが功を奏し根強い人気がある。

シリーズキャラクターである十津川警部左文字進などを生み出し、その作品の多くがテレビドラマ化されている。

オリジナル著作は、2012年3月10日発行の『十津川警部秩父SL・三月二十七日の証言』で500冊、2015年2月25日発行の『東京と金沢の間』で550冊に達し、その後も新刊の刊行は続いており、単行本の累計発行部数は2億部を超える。この数字を記録した作家は、日本では2012年現在、西村と赤川次郎の2人しかいない。

エピソード

西村京太郎というペンネームの由来は、人事院時代の友人の苗字と、京太郎は東京出身の長男からきている[5]。以前は、江戸川乱歩賞などに応募する際、黒川俊介や西崎恭というペンネームも使用していた。また、西崎恭名義で応募した「宇宙艇307」が早川書房のSFコンテスト第3回(1964年)で努力賞として入賞している。

原稿を執筆する際、ワープロ等は使わず全て手書きで、月に平均で400枚ほど執筆している[6]。なお、生原稿が西村京太郎記念館に展示されている。

新刊の多くは新書サイズか文庫サイズで出版され、四六判はほとんど存在しない。ノベルズのレーベルを持たない新潮社文藝春秋から作品が出される際も、新書サイズで出版される。

西村の書く文章は、読点の数が非常に多いことで知られる。その理由については、「西村の作品独自の雰囲気を作るための演出」「原稿の枚数を効率良く増やすための手段」「実は西村の原稿は口述筆記であり、その影響によるもの」など複数の説があるが、西村本人は真の理由を明かしていない。

1975年頃、長編の時代小説「無名剣、走る」を徳島新聞に連載している。長編の時代小説としては、唯一である。鉄道ミステリーのシリーズが大ヒットしたことで、出版社から鉄道ミステリーの依頼ばかりが舞い込むようになり、他のジャンルの作品を書く余裕がなくなってしまったと語っている。本人は江戸時代を扱った時代小説を書きたいと長年希望しているが、どの出版社に話を持ちかけても「いいですね。でも、それは他の社で」と言われ、断られてしまうという[7]

山村美紗とは、家族ぐるみの交流があった。新進の作家だった西村に山村がファンレターを送った事で交流が始まり、西村が京都に住んでいた頃、山村と共同で購入した旅館の別館を西村、本館を山村が住居としていて、生前は両宅が鍵つきの渡り廊下で繋がっていた[8]。山村の急逝後、未完だった『在原業平殺人事件』と『龍野武者行列殺人事件』の2作品は西村が脱稿を引き受けている。また、山村の長女で女優の山村紅葉は、『十津川警部シリーズ』など西村原作のドラマに多く出演している。

1974年頃、肝臓障害で療養生活を送る。1987年腎結石で緊急入院する(2日で退院)[9]1996年1月脳梗塞で倒れ入院する。そのとき集まった編集者にペンを持たされ「何か書いてくれ」といわれ、手が動くかどうか確認させられたという[10]。また、これを機に湯河原へ転居している。現在は、左半身の一部が不自由。

過去7度の転居を経ている。1945年、空襲により被災し調布市に転居。1968年渋谷区幡ヶ谷に転居。1970年渋谷区本町に転居。1980年京都市中京区に転居。1982年京都市伏見区に転居。1986年京都市東山区に転居。1996年、前述の療養を機に神奈川県湯河原町に転居している[11]

京都在住時に1988年式ロールス・ロイス・シルバースピリットを所有していた。ただし、西村自身は運転免許を持っていない。現在、自動車ジャーナリスト福野礼一郎が所有しており、彼による徹底したレストアが施されている。

趣味として将棋を挙げている[12]将棋名人戦将棋電王戦の観戦記を担当したこともある。将棋棋士が登場する推理小説(『十津川警部 千曲川に犯人を追う』)も発表している。

経歴

受賞・候補歴

選考委員歴

著作

メディア・ミックス

テレビドラマ

主なドラマシリーズとしては以下のものがある。詳細は各ページを参照。太字は現在放送中のもの。

映画

ゲーム

モバイル

  • 西村京太郎Vノベル 盗まれた都市(発売元:タイトー
  • DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ「京都・熱海・絶海の孤島 殺意の罠」(発売元:テクモ

出演

関連項目

西村京太郎を演じた俳優

脚注

  1. ^ 宝石』昭和36年2月増刊号に掲載。事実上の処女作。
  2. ^ 『西村京太郎読本』(郷原宏、KSS出版)24頁,204-205頁,222頁より
  3. ^ 【話の肖像画】作家・西村京太郎(83)(2) - 産経ニュース
  4. ^ 【話の肖像画】作家・西村京太郎(83)(3) - 産経ニュース
  5. ^ 『西村京太郎読本』(郷原宏、KSS出版)206頁より
  6. ^ 『西村京太郎読本』(郷原宏、KSS出版)105頁より
  7. ^ 作家の西村京太郎さん 求められた仕事を真剣に 「売れそうなテーマを」編集者の一言で飛躍
  8. ^ 西村京太郎、山村美紗、西村妻――いまも続く「日本ミステリー界の歪な三角関係」|サイゾーウーマン
  9. ^ 『西村京太郎読本』(郷原宏、KSS出版)105頁より
  10. ^ 「西村京太郎 衰えぬ筆力」日本経済新聞夕刊(2013年5月14日)16面より
  11. ^ 『西村京太郎読本』(郷原宏、KSS出版)222頁 - 233頁より
  12. ^ 会員名簿 西村京太郎|日本推理作家協会

外部リンク