カラーチャージ

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カラーチャージ: Color charge)は、強い相互作用を記述する量子色力学に関連するチャージである。 色荷(しきか)、或いは単にカラーとも呼ばれる。 強い相互作用を受けるクォークと強い相互作用を媒介するグルーオンがカラーを持つ。

概要

クォーク間に働く強い相互作用を記述する量子色力学はゲージ群 SU(3)c に基づくヤン=ミルズ理論である。 このゲージ群の表現がカラーチャージである。

クォークは SU(3)c の3次元の基本表現であり、象徴的に光の三原色と対応付けられている。クォークの反粒子である反クォークはクォークと逆の性質をもち、それぞれの補色(反赤、反青、反緑)と対応付けられる。 もちろんこれを「カラー」と称するのは SU(3) の表現論の特徴と光の三原色の性質との連想による命名であり、現実に存在する色とは全く関係無い[1]

電荷の場合は+と-が引き合って安定となるが、カラーは赤、青、緑の3色の混色、もしくは補色との混色で白色となったときに安定になる。クォークから構成されるハドロンは、色荷がかならず無色になっている。これをカラーの閉じ込めという。 クォーク3つで構成されるバリオンは赤、青、緑の3色の混色に、クォークと反クォークで構成されるメソンは色と補色の混色に対応している。

ハドロンの内部構造として1964年にゲルマンによってクォークモデルが提唱されたが、オメガ粒子は3つのストレンジクォークから構成され、パウリの排他原理からこの状態は存在しない。これを回避する為にクォークの新たな自由度としてカラーが導入された。 パイ中間子の崩壊の実験や、ドレル比を説明する為にはカラーの自由度は3となる。

参考文献

  • 南部陽一郎、他『大学院素粒子物理1』講談社、1997年。ISBN 4-06-153224-3 

脚注

  1. ^ 現実に存在する色は、ヒトという器官で感知できる可視光線の波長に由来する。原色が3であるのは、ヒトの目の網膜錐体細胞が3タイプ存在する事に由来するのであり、純粋な物理学上の法則に由来する訳ではない。

外部リンク