自殺総合対策会議

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。WCCbot (会話 | 投稿記録) による 2016年3月26日 (土) 01:05個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (WP:BOTREQ#民主党 (日本 1998-2016)の改名に基づくリンク変更依頼 (oldid=59086345)による)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

日本の旗 日本行政機関
自殺総合対策会議
じさつそうごうたいさくかいぎ
自殺総合対策会議が設置される 中央合同庁舎第4号館
自殺総合対策会議が設置される
中央合同庁舎第4号館
役職
会長 内閣官房長官
組織
上部組織 内閣府
概要
所在地 東京都千代田区霞が関3丁目1番1号
年間予算 246億8403万9000円[1]
(自殺対策関係予算合計額)(2007年度)
設置 2006年10月28日
ウェブサイト
自殺総合対策
テンプレートを表示

自殺総合対策会議(じさつそうごうたいさくかいぎ、英語Council for Policy of Suicide Prevention)は、日本官公庁のひとつ。内閣府特別の機関である。

概要

日本国民による自殺とそれにまつわる種々の問題に対して、総合的な対策を立案する行政機関である。具体的には、自殺対策に関する事項の審議や自殺対策実施の推進を担っており、自殺総合対策大綱を策定するとともに、関係する行政機関との調整を図っている[2]

内閣府の下に設置されており、特別の機関のひとつとして位置づけられている[3]。自殺対策を専門に司る機関としては、日本の行政機関のなかで最上位に位置している。組織の長は自殺総合対策会議会長である[4][5]

設置根拠は自殺対策基本法に基づいている。具体的な組織の構成は自殺総合対策会議令にて規定されている。

構成

会長には、内閣官房長官が充てられる[6]。委員には、その他の国務大臣の中から関係する者が、内閣総理大臣の指名により充てられる[7]。なお、自殺総合対策会議の構成を紹介する内閣府政策統括官(共生社会政策担当)のウェブサイトでは、自殺総合対策会議の委員として具体的に「内閣府特命担当大臣(自殺対策)/国家公安委員会委員長内閣府特命担当大臣(金融)総務大臣法務大臣文部科学大臣厚生労働大臣農林水産大臣経済産業大臣国土交通大臣[8]を例示している。辞令上「内閣府特命担当大臣(自殺対策担当)」として正式に任命された国務大臣は存在しないが、特命担当大臣のうちいずれかが委員として選任されている。また、会長に事故があった際に職務を代理する者として、委員の中から1名が事前に指名される[9]

国務大臣以外には、自殺総合対策会議に幹事が置かれており[10]、関係する行政機関の職員の中から内閣総理大臣に任命された者が就任する[11]。庶務などの事務局機能は内閣府の政策統括官が担当することが定められており[12]、具体的には内閣府政策統括官(共生社会政策担当)が担当している。

沿革

2006年議員立法として自殺対策基本法案が第164回国会にて成立した。この自殺対策基本法案には、自殺総合対策会議の設置が盛り込まれていた。同年10月28日、自殺対策基本法の施行とともに、自殺総合対策会議が設置された。

2007年6月には、内閣全体の自殺対策の指針となる『自殺総合対策大綱』を取りまとめた[13]。自殺総合対策大綱では、自殺に関するさまざまな対策を列挙した。さらに、数値目標として、2016年までに自殺死亡率を2005年比で20%減少させることを掲げている[14]。しかし、2007年から2008年にかけて硫化水素を用いた自殺が急増するなどして社会問題化した。さらに、自殺総合対策大綱の取りまとめ作業が進んでいた2007年5月には、自殺総合対策会議の現職委員である松岡利勝首吊り自殺するという事件も発生した[15]

2008年10月、新たに『自殺対策加速化プラン』を策定するとともに、『自殺総合対策大綱』の一部を改正した[16]。改正された自殺総合対策大綱では、人命に危険を及ぼす物質の製造方法を流布したり製造を誘引したりするウェブサイトへの対策が新たに盛り込まれた[17]。なお、2016年までに自殺死亡率を2005年比で20%減少させる数値目標は、改正された自殺総合対策大綱においても堅持されている[18]。しかし、大綱改正に取り組んだ自殺総合対策会議の現職会長である河村建夫が、自殺対策について「お涙ちょうだいの議論をやるゆとりはないのではないか」[19]と発言し、関係団体から抗議され謝罪する騒動が起きた[19]

2009年11月には、自殺対策を所管する国務大臣、副大臣大臣政務官有識者を加え構成される「自殺対策緊急戦略チーム」が新設された[20]。さらに、自殺件数が例年増加する3月に備え、年度末の対策に主眼を置いた『自殺対策100日プラン』が策定された[21]

2011年3月の自殺対策強化月間を前に、自殺対策の実働部署である内閣府自殺対策推進室は、キャッチフレーズとして「あなたもGKB47宣言!」を制定した[22]2012年2月6日参議院予算委員会松浦大悟がこのキャッチフレーズについて「遺族が聞いたらどう思うか。信頼を失う」[23]と質問し、石井一参議院予算委員長は閣僚に対し再考を促した[22][23]岡田克也副総理は「国会で質問する以前に内で問題を指摘をすべきだった」と答弁したが野田佳彦総理大臣は違和感があるキャッチフレーズだと答弁した。全国72の民間団体の撤回要求もあり、翌日に岡田副総理は「あなたもゲートキーパー宣言!」に改めるとした[24]

歴代会長

自殺総合対策会議会長
氏名 内閣 就任日 退任日
1 塩崎恭久
安倍内閣 2006年10月28日 2007年8月27日
2 与謝野馨
第1次安倍改造内閣 2007年8月27日 2007年9月26日
3 町村信孝
福田康夫内閣 2007年9月26日 2008年9月24日
福田康夫改造内閣
4 河村建夫
麻生内閣 2008年9月24日 2009年9月16日
5 平野博文
鳩山由紀夫内閣 2009年9月16日 2010年6月8日
6 仙谷由人
菅内閣 2010年6月8日 2011年1月14日
菅第1次改造内閣
7 枝野幸男
菅第2次改造内閣 2011年1月14日 2011年9月2日
8 藤村修
野田内閣 2011年9月2日 2012年12月26日
野田改造内閣
9 菅義偉
第2次安倍内閣 2012年12月26日 (現職)

脚注

  1. ^ 平成20年度自殺対策関係予算案』。
  2. ^ 自殺対策基本法第20条第2項。
  3. ^ 自殺対策基本法第20条第1項。
  4. ^ 自殺対策基本法第21条第1項。
  5. ^ 自殺総合対策会議令第1条第1項。
  6. ^ 自殺対策基本法第21条第2項。
  7. ^ 自殺対策基本法第21条第3項。
  8. ^ 「自殺総合対策会議構成員」『自殺総合対策会議構成員内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
  9. ^ 自殺総合対策会議令第1条第2項。
  10. ^ 自殺対策基本法第21条第4項。
  11. ^ 自殺対策基本法第21条第5項。
  12. ^ 自殺総合対策会議令第2条。
  13. ^ 「自殺総合対策大綱の策定」『自殺総合対策大綱内閣府政策統括官(共生社会政策担当)2007年6月8日
  14. ^ 自殺総合対策大綱』19頁。
  15. ^ 「松岡農水相が自殺――議員宿舎で首つる」『asahi.com:松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる - 松岡農水相自殺朝日新聞社2007年5月28日
  16. ^ 「自殺対策加速化プランの決定、自殺総合対策大綱の一部改正」『自殺総合対策大綱内閣府政策統括官(共生社会政策担当)2008年10月31日
  17. ^ 自殺総合対策大綱2008年10月31日、16頁。
  18. ^ 自殺総合対策大綱2008年10月31日、20頁。
  19. ^ a b 大久保陽一「河村官房長官:自殺対策の『お涙ちょうだい』発言で陳謝」『河村官房長官:自殺対策の「お涙ちょうだい」発言で陳謝 - 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞社2009年7月11日
  20. ^ 自殺対策緊急戦略チーム構成員名簿2009年11月27日
  21. ^ 自殺対策緊急戦略チーム自殺対策100日プラン――年末・年度末に向けた『生きる支援』の緊急的拡充へ2009年11月27日、3頁。
  22. ^ a b 「政府“GKB47”見直しへ調整」『政府 “GKB47”見直しへ調整 NHKニュース日本放送協会2012年2月7日
  23. ^ a b 坂口裕彦「GKB47:自殺対策キャッチフレーズ見直しに言及」『GKB47:自殺対策キャッチフレーズ見直しに言及 - 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞社2012年2月6日
  24. ^ 読売新聞2012年2月8日13S版2面「GKB47」撤回、ポスター25万枚廃棄「GKB47」撤回 自殺対策広報ポスター25万枚回収・廃棄産経新聞2012年2月7日

関連項目

外部リンク