脚 (漢字)

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(あし)とは、漢字部首の対となり、意符が下部に置かれるものの総称。過去にはくつ()と呼ばれたこともあった

定義[編集]

漢和辞典では以下のものを特に脚として定義、紹介しているが対象範囲は各漢和辞典によって異なる。

  1. 下部が意符となり、形の変形を伴うもの(れんが、したごころ)など
  2. 変形はしないが、もっぱら下部が意符となるもの(さら、ひとあしなど)
  3. へんなど他の位置の意符にもなるが、下部が意符になるものが主となるもの(こころ、かいなど)

主な脚[編集]

  • こころ:「恋」「想」「悲」など。心に関する意味を表す。常用漢字数は 37 で、代表的な脚。また、心部はりっしんべんも含んでおり、字数は非常に多い。
    • 常用漢字: 応 忌 志 忍 忘 忠 念 怨 急 思 恣 怠 怒 恩 恐 恵 息 恋 悪 患 悠 悲 惑 意 感 愚 慈 愁 想 態 慰 慮 憩 憲 懇 懲 懸
    • 主な表外字: 忽 忿 怨 恕 悉 惹 惣 愍 愈 慇 懃 慫 慂 慧 慙 慾 憖 憊 憑 懣 など
  • したごころ:「恭」など。精神や思考に関わる意味を表す。「心」の部に属する。
    • 常用漢字: 恭 慕
    • 主な表外字: 忝 など
  • れんが(連火)/れっか(列火):「熱」「焦」「照」など。火という文字を崩したもの。火に関する意味を表すが、下から火をくべる様を図案化したものなので、調理に関する意味の字が多い。常用漢字は12。
    • 常用漢字: 為 点 烈 煮 焦 然 無 照 煎 熟 熊 熱
    • 主な表外字: 烏 焉 烹 熙 燕 など
  • さら:「盤」「盆」など。底の平べったい器に関する意味を表す。常用漢字で7。
    • 常用漢字: 盆 益 盛 盗 盟 監 盤
    • 主な表外字: 盂 盈 盍 盒 盥 盪 など
  • ひとあし(にんにょう):「兄」「元」「免」など。人の歩く姿(下半身)を表している。ただし、人の部には含まれない。常用漢字数8または9(「党」を小部に含む辞書も多く見られるため)。「兆」は脚として含まないことが多い。
    • 常用漢字: 元 兄 光 充 先 克 児 免 党
    • 主な表外字: 兀 允 兇 兌 兎 尭 兜 など
  • かい(こがい・かいあし):「貨」「買」「賃」など。かいへんと同じで、お金に関する意味を表す。常用漢字数で 21 と脚の中ではかなり多い方だが、脚としてあまり認知されておらず、脚として紹介されていない辞書も多く見られる。
    • 常用漢字: 貞 負 貢 貨 貫 責 貪 貧 賀 貴 貸 買 費 貿 資 賃 賛 質 賞 賓 賢
    • 主な表外字: 貰 賽 贄 贅 贋 など
  • いわく(ひらび):「書」「替」など。親字は「曰」。「日」の部とは異なり、また今日の字体では、「日」の部の字との区別が紛らわしくなっている。
    • 常用漢字: 書 曽 曹 替
  • こまぬき(にじゅうあし):「弊」など。両手でもつこと、捧げることを示す。
    • 常用漢字: 弁 弄 弊
  • まいあし:両足に関することを表す。新字体は7画だが、旧字体では6画となる。
    • 常用漢字: 舞
    • 主な表外字: 舜 など
  • したみず:水に関することを表す。「さんずい」と同様、水の部に属する。
    • 常用漢字: 求 泰
  • ころも(したごろも):「装」「袋」「襲」など。衣服や布地に関することを表す。脚として区別していない辞書も見られる。また、脚とは言えないが「亠」と「𧘇」に上下にわかれて他の部位を挟み込む形がある。
    • 常用漢字: 袋 装 裂 製 襲
    • 主な表外字: 袈 裟 裳 襞 など
  • はち:「一」の筆画の下に「八」があるものは「」の変形。
    • 常用漢字: 六 共 兵 具 典
    • 主な表外字: 其 冀 など
  • とり(ことり):「鳥」部の脚の形。鳥部では旁の次に多い。
    • 主な表外字: 鷹 鷲 鷺 鶯 など
  • その他、口部(啓、唇など)、土部(型、塾など)、手部(挙、撃など)、木部(栄、棄など)、糸部(索、緊など)、言部(誉、警など)など脚の形を取る部首は多いが、これらを脚として紹介している例は稀である。

関連項目[編集]