肥薩おれんじ鉄道線

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肥薩おれんじ鉄道線
主力車両のHSOR100形気動車
概要
起終点 起点:八代駅
終点:川内駅
駅数 28駅
運営
開業 1922年7月1日 (1922-07-01)
全通 1927年10月17日
経営移管 2004年3月13日
所有者 鉄道院→鉄道省
運輸通信省運輸省
日本国有鉄道
九州旅客鉄道 九州旅客鉄道
肥薩おれんじ鉄道
運営者 肥薩おれんじ鉄道(第1種鉄道事業者)
日本貨物鉄道(第2種鉄道事業者)
使用車両 使用車両を参照
路線諸元
路線総延長 116.9 km (72.6 mi)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 交流20,000V・60Hz
貨物列車のみ。旅客列車は気動車で運行。
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
HST
2.8 新八代
KRZu HSTq STRlg
九州新幹線
STR2 STRc3 LSTR
STRc1 STR+4
鹿児島本線
BHF
0.0 八代
STRrg ABZrf
STR TUNNEL1
STRlf KRZu
肥薩線
WBRÜCKE
球磨川
BHF
4.8 肥後高田
BHF
10.1 日奈久温泉
BHF
13.7 肥後二見
BHF
18.0 上田浦
TUNNEL1
BHF
22.1 たのうら御立岬公園
BHF
23.6 肥後田浦
BHF
26.7 海浦
TUNNEL1
BHF
29.8 佐敷
BHF LSTR
33.7 湯浦
STRrg KRZu STRrf
tSTRa eDST
36.8 倉谷信号場 -1968年
tSTRe TUNNEL1
STRlf KRZu STRlg
BHF STR
42.4 津奈木
STRrg KRZu STRrf
BHF BHF
45.8 新水俣
STRlf KRZu STRlg
eABZrg eKRZo
山野線
BHF LSTR
49.6 水俣
BHF
55.4
BHF LSTR
61.3 米ノ津
STRrg KRZu STRrf
STRlf KRZu STRlg
BHF BHF
65.6 出水
BHF LSTR
68.3 西出水
BHF
72.1 高尾野
BHF
75.3 野田郷
BHF
80.7 折口
DST
83.6 赤瀬川信号場
BHF
86.2 阿久根
BHF
92.2 牛ノ浜
BHF
95.7 薩摩大川
BHF
99.6 西方
BHF
102.3 薩摩高城
eBHF
104.7 唐浜 -1955年
BHF
107.3 草道
BHF LSTR
113.7 上川内
eABZrg eKRZo
宮之城線
BHF BHF
116.9 川内
STR
鹿児島本線

肥薩おれんじ鉄道線(ひさつおれんじてつどうせん)は、熊本県八代市八代駅から鹿児島県薩摩川内市川内駅に至る肥薩おれんじ鉄道鉄道路線である。

元は九州旅客鉄道(JR九州)鹿児島本線の一部で、2004年九州新幹線新八代 - 鹿児島中央間の開業に伴い、肥薩おれんじ鉄道へ経営移管された。全線が交流電化されているが、旅客列車は交流専用電車の新造・購入費および維持費削減の観点から電気運転を行わず軽快気動車により運行されている。貨物列車は経営移管後も引き続き第二種鉄道事業者である日本貨物鉄道(JR貨物)の電気機関車牽引により運行されている。

路線データ

  • 管轄:肥薩おれんじ鉄道(第一種鉄道事業者)・日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
  • 路線距離(営業キロ):116.9km
    • キロポストは旧鹿児島本線時代のまま門司港駅起点からの通算表示となっており、八代駅構内に当線用0キロポストは無い。
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:28駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:湯浦 - 津奈木間 (8.7km)
  • 電化区間:全線(交流20,000V・60Hz。ただし旅客列車はすべて気動車による運行)
  • 閉塞方式:自動閉塞

運行形態

一般定期列車は普通列車と土曜・休日運転の快速列車のみの運行で、全ての列車において運転士のみが乗務するワンマン運転を行っている。八代駅と川内駅でJR線から接続を取るダイヤが設定されているため運行間隔は一定していないが、おおむね1時間あたり1本程度の運転である。八代駅 - 川内駅間全線を通しで運転する列車のほか、始発・最終を中心にして車庫のある出水駅発着の区間列車が八代方面・川内方面に多数設定されている。その場合は、朝晩を除いて出水駅で始発・終着列車同士を接続させている。区間列車はこれ以外にも毎日運転の朝6時の水俣発隈之城行きの列車が1本、8時台に八代駅 - 肥後高田駅間の列車が1往復設定されているほか、平日のみの運用として5時台に出水発隈之城行き、6時台に隈之城発米ノ津行きと折り返しの7時台米ノ津発野田郷行き、夕方の米ノ津発川内行きが1本ずつそれぞれ設定されている。この平日朝の米ノ津駅発着列車は2005年3月1日のダイヤ改正で出水商業高等学校の通学利便のため米ノ津行きの列車が新設され、2011年3月14日からは折り返しの列車が運行されるようになったものである。また普通列車は利用客の利便性を考慮して、一部の列車をのぞいて八代駅 - 新八代駅(九州新幹線発着駅)間および朝夕に一部の列車が川内駅 - 隈之城駅間に乗り入れており、このうち隈之城駅発の普通列車は八代駅まで運転する列車が朝に1本、肥薩おれんじ鉄道を経由して新八代駅まで通しで運転するJR九州駅始発執着の列車が朝と夕方にそれぞれ各1本ずつ設定されている。なお、新八代駅発の普通列車は全て出水駅止まりである。このほか、2013年3月からは金・土・祝日を中心に観光列車「おれんじ食堂」が、2015年3月からは土曜・休日に「ゆうゆうトレイン」がそれぞれ運行されている。

毎年3月中旬に高尾野駅近くで行われる「高尾野 中の市(たかおのちゅうのいち)」や毎年8月に開催される「高尾野夏祭り」開催時には出水駅 - 高尾野駅間や米ノ津駅 - 阿久根駅間に、10月第3週土曜日に開催されるやつしろ全国花火競技大会開催時には出水駅 - 八代駅間に臨時列車が運行される。編成は単行(1両編成)が基本だが朝夕ラッシュ時や沿線イベントなどで多客が見込まれる場合は2両編成に増車して運転され、逆に夏休み期間などは平日朝夕でも一部の列車が2両編成から1両編成に減車される。車両の増結・分割は主に車庫のある出水駅のほか、昼間に車両留置のある八代駅でも行われている。かつては川内駅でも車両分割が行われていたが現在は設定されていない。夜間は基地のある出水駅のほか、八代駅・川内駅にも車両の滞泊が設定されている。

九州新幹線開業までは、当線の区間にも特急列車などの優等列車が設定されていた。この新幹線開業まで運行されていた特急「つばめ」は新幹線連絡の「リレーつばめ」となって新八代駅発着となり、夜行の特急「ドリームつばめ」と寝台特急なは」も熊本駅発着に変更され、土曜・休日の快速をのぞいて通過駅を伴う列車は消滅した。ただしJR貨物による貨物列車の運行は現在も続けられ、日中に2往復(うち1往復は不定期)、夜間に3往復の貨物列車が設定されている。

快速「スーパーおれんじ」・「オーシャンライナーさつま」

2008年3月15日より出水駅からJR熊本駅と鹿児島中央駅の双方に向けて直通列車が設定された[1]。公募により、熊本駅発着の列車には「スーパーおれんじ」、鹿児島中央駅発着の列車には「オーシャンライナーさつま」の愛称が付けられた。当面は土曜・休日のみのそれぞれ2往復が運転され、今後の増減便については利用状況を見て判断される。車両は肥薩おれんじ鉄道の気動車が使用される。

「スーパーおれんじ」はJR線内の八代駅 - 熊本駅間はノンストップで、九州新幹線との併設駅のうち新八代駅と新水俣駅、一部の特急が停車する宇土駅は通過する。また、「オーシャンライナーさつま」はJR線内の川内駅 - 鹿児島中央駅間は串木野駅伊集院駅のみに停車し、2016年3月25日まで川内駅 - 鹿児島中央駅間で運転されていた特急「川内エクスプレス」よりも停車駅が少ない。

「スーパーおれんじ」のうち朝の熊本駅発の1号(8211D)は行き先は「出水」だが、出水駅からは普通列車(6321D)として川内駅まで運行される(平日は出水駅始発川内駅行きの6321D普通列車で、土曜・休日は8211D快速列車が熊本駅から出水駅まで延長運転する形になる)。また「オーシャンライナーさつま」も夕方の鹿児島中央駅発の4号(8114D)は阿久根駅から各駅に停車しながら新八代駅まで運行される。こちらは行き先も「新八代」となっている(平日はほぼ同じ時間帯に川内駅始発新八代駅行き6142D普通列車が運行されており、この列車は土曜・休日は運休となる)。

「スーパーおれんじ」・「オーシャンライナーさつま」とも、通常の普通列車同様、1両のワンマン運転が基本。2009年6月から2012年3月までは、午前の1往復の自社線内においてアテンダント(客室乗務員)が乗務し、車内にて各種案内業務を行っていた[2]

停車駅

スーパーおれんじ
出水駅 - 水俣駅 - 佐敷駅 - (たのうら御立岬公園駅) - 日奈久温泉駅 - 八代駅 - 熊本駅
  • たのうら御立岬公園駅は夏休みの海水浴シーズンのみ朝と日中の下り1号出水行きと上り4号熊本行きが臨時停車する。また朝の下り1号は出水駅から普通列車の川内行きになる。
オーシャンライナーさつま
出水駅 - (西出水駅) - 高尾野駅 - 野田郷駅 - 折口駅 - 阿久根駅 - 上川内駅 - 川内駅 - 串木野駅 - 伊集院駅 - 鹿児島中央駅
  • 西出水駅は夜の上り4号新八代行きのみ停車。4号は阿久根駅から新八代駅まで普通停車になる。
オーシャンライナーさつま
(鹿児島中央駅)
スーパーおれんじ(熊本駅)

観光列車「おれんじ食堂」

HSOR-114「おれんじ食堂」

2013年3月24日より新八代駅 - 川内駅間に運行が開始された観光列車。肥薩おれんじ鉄道初の全席指定列車である。沿線の水俣地域の振興事業の一つとして、車窓からの美しい景色を楽しみつつ「ゆったり、のんびりとしたスローライフな旅を楽しむ」ことをコンセプトして設定された。車両はダイニングカーとリビングカーの2両固定編成で、新製ではなく既存車両のHSOR-114とHSOR-116を改造したものが充当されており、デザインは工業デザイナーの水戸岡鋭治が担当している。列車名の通り沿線の特産品で作られた料理やデザートが提供され、美しい景色を見ながら食事を楽しむとともに、ウェルカムドリンクサービス、コーヒーとお菓子の自由配布、主要駅で駅構内や街に出て沿線の特産品の買い物が楽しめるサービス(マルシェ)、乗務員(パーサーやアテンダント)による観光案内や不定期のサプライズイベント、制服を貸し出しての記念写真サービス(子供限定)、景色が綺麗な区間での低速走行や一旦停止サービス、乗車記念パスポートの配付、沿線出身のアーティストによる生演奏サービス(一部列車のみ)などが行われている。そのほか沿線の地酒、ワイン、カクテルなどのアルコール類、ノンアルコールドリンクやソフトドリンク、オリジナルグッズの販売も行われている。メニューについてはグルメ雑誌「食楽」を発行している徳間書店と提携している。車内は全車禁煙。外部からの弁当などの食品の持ち込みは可能だが、列車内で提供された料理やデザートの持ち帰りはできない(ただし、ビュッフェで自由配布されているクッキーなどのお菓子は持ち帰り可能である)また、リビングカーは座席扱いとなるため同社の企画乗車券で乗車ができる(一部乗車不可な企画乗車券もある)が、ダイニングカーは旅行商品としての取り扱いになるため企画乗車券では乗車はできない。

停車駅は新八代駅 - 八代駅 - 日奈久温泉駅 - 佐敷駅 - 津奈木駅 - 新水俣駅 - 水俣駅 - 出水駅 - 阿久根駅 - 牛ノ浜駅(ホーム外) - 薩摩高城駅 - 川内駅で、毎週金、土、日、祝日、ゴールデンウィーク、夏休み・冬休み・春休みの毎日(年間215日)の運行である。

2013年3月24日の運転開始当初は、新八代発川内行きが2本(おれんじ食堂1号、3号)、川内発新八代行きが1本(おれんじ食堂2号)が設定されており、1号車は原則として全区間乗車だが、2号車は区間乗車が可能で、3号は川内行きとなる日と出水止まりになる日があった。

2014年3月15日のダイヤ改正で1号は出水発川内行き、2号は川内発新八代行き、3号は新八代発川内行き(日にちによって出水止まりになる)とダイヤが大幅に変更され、新たにそれまで通過していた薩摩高城駅に停車するようになった。さらに1号は朝食列車としてBREAKFAST(ブレックファスト)、2号は昼食列車としてSPECIAL(スペシャル)、3号はスイーツ・夕食列車として新八代駅 - 出水駅間にSWEETS(スウィーツ)、出水駅 - 川内駅間にSINFONIA(シンフォニア)、新八代駅 - 川内駅間にMEGUMI(メグミ)の愛称が付けられた。平日の指定日に限り、片道29万円からの貸し切り料で貸し切り運転をすることも可能である。

2015年3月14日のダイヤ改正では運転区間と時間を大幅に変更して3便から4便に増発し、下り列車の2号のみ新たに停車駅に牛ノ浜駅が加わった(ただしホーム外停車なので乗降は不可である)。1号は出水駅発新八代駅行き「ブレックファスト」、2号は新八代駅発川内駅行き「スペシャルランチ」、3号は川内駅発新八代駅行きで前半(川内駅 - 出水駅)「ライトミール」、後半(出水駅 - 新八代駅)「サンセットディナー」、全区間「クルージングディナー」、4号は新八代駅発出水駅行き「おれんじバー」となった。3号前半「ライトミール」は軽食(アフタヌーンティー)と昼食(ランチ)が選択できる。また4号「おれんじバー」は原則として金曜日のみ運転で食事は提供されず、アルコール類を含むワンコインドリンクとおつまみのみが提供される。

予約については同社線の有人駅(肥後田浦駅をのぞく)、JR九州の主要駅窓口や旅行センター、契約旅行代理店で行う。

車両検査の実施に伴い2016年1月1日から3月24日までは運休となり、3月25日から運行を再開した。翌3月26日のダイヤ改正では運行区間は変わらないが、徐行区間を増やしたために運行時間が若干変更になった[3]

貸切専用列車「おれんじカフェ」

2013年8月8日[4]より運行を開始した団体貸し切り専用列車。6月27日の株主総会で運行されることが発表された[5]。現在運行されている「おれんじ食堂」のような専用車両を使った快速運転の列車ではなく、昼の通常ダイヤの普通列車に、一般車両の車内にテーブルなどを設けた特別車両を増結し、出水 - 八代・川内間を1往復する(運行区間は日によって違う)。定員は37 - 46人で、貸し切り料はソフトドリンク付きで片道6万円。ソフトドリンクのほかに沿線の食材を使用した弁当やスープ、デザートなども提供される。飲食代も1800円、2800円、3800円の3プランが用意され、現在運行されている「おれんじ食堂」よりも価格を割安に設定し、景色を楽しむだけでなく地域イベント、ライブコンサート、婚活イベント、ブライダルイベントなど、大小各種イベントに対応しやすい列車に仕立てている。完全予約制の臨時列車で、肥薩おれんじ鉄道予約センターで予約を受け付けるほか、旅行会社のツアーにも組まれる[6]

ゆうゆうトレイン

2015年3月14日のダイヤ改正で運行を開始した、土曜・休日運行の新たな観光列車。通過駅はなく運転区間内の各駅に停車する。普通乗車券や一日乗車券などで乗車可能で、沿線の絶景をゆっくり楽しんでもらうために全区間を平均時速35km/hの低速度で片道約2時間30分をかけてゆっくりと走行する。運行区間は八代駅 - 出水駅間で運行本数は1往復設定されており、土曜・休日のみの運転である。佐敷駅水俣駅でそれぞれ後続の定期普通列車に抜かれるダイヤとなっており、列車どうしの乗り換えは自由である。使用車両は特別車両ではないがラッピング車両限定で、列車前面の行き先表示には「ゆうゆう」と表示される。なお、かつては鹿児島県側を走る出水駅 - 川内駅間の列車も設定されていたが、こちらは2016年3月26日のダイヤ改正で運行休止になった[7]

ドリームトレイン(列車レンタル)

2015年3月14日のダイヤ改正で運行を開始したイベント臨時列車。平日の閑散時(9時から16時まで)に利用者から運転の要望があった時のみ肥後高田駅 - 上川内駅間で運行される。従来から各鉄道会社で行われてきた「決められた列車ダイヤに合わせた列車の貸切運転」ではなく、「使用車両や運行区間、列車運行ダイヤ、停車駅、停車時間まで全て利用者が自由に計画設定してレンタル料金を支払い、肥薩おれんじ鉄道側はその利用者の運行計画に基づいて車両1両、運転士1名、安全確認用の客室乗務員1名を貸し出して列車を走らせる」と言うもの。文字通り「完全レンタル方式」の列車である。イベント列車のため事前予約が必要で、予約締切は運行日の6日前である。

マイトレイン・鉄道教室

2015年7月21日から発売を開始した企画列車で、受講者は当社のダイヤ作成担当者(スジ屋)から約3時間ほどダイヤに関する講習を受け、その講習に基づいて受講者自身が実際にダイヤを作成し、自分だけのオリジナル列車(マイトレイン)を走らせる…というもの。初級編、中級編、上級編に分かれており、2015年度は初級編として出水駅 - 水俣駅間の約16kmの列車ダイヤを作成する。受講者が作成したダイヤはダイヤ作成担当者が確認して本物と同じ形の時刻表を作るため、本格的な列車の運用を楽しむことが出来る。ただし本線上を走行するため、列車の運転は当社の運転士が担当する。開催日は毎週月曜日から金曜日の平日のみで、午前の部と午後の部から選ぶことか出来る。参加人数は5名から最大20名まで。予約締切日は運行日の7日前までである[8]

廃止・休止された列車

観光快速「海風」・「潮彩」

土曜・休日に新八代駅 - 川内駅間で観光列車として運行されていた快速列車。2004年3月27日に運行が開始され、2008年3月15日のダイヤ改正で前述の熊本・鹿児島中央への直通快速列車が新設されることに伴い廃止された。下り列車には「海風」(うみかぜ)、上り列車には「潮彩」(しおさい)という愛称がつけられていた。「海風」は新八代発阿久根行きの、「潮彩」は川内発佐敷行きの運行だった。利用者の声を受け、2005年3月1日のダイヤ改正で運転区間を「海風」「潮彩」とも新八代駅 - 川内駅間に延長した。

また、観光快速とは別に新八代駅 - 出水駅間、出水駅 - 川内駅間に各1往復の快速列車が土曜・休日のみ運行されていたが、2008年3月15日の改正で同時に廃止された。

ゆうゆうトレイン(出水 - 川内・鹿児島系統)

2015年3月14日のダイヤ改正で設定され、八代 - 出水(熊本系統)と共に運行を開始した列車で、全区間を時速35km/hから45km/hの速度で鹿児島県内をゆっくり走行する列車であったが、2016年3月26日のダイヤ改正で運行休止となった。

その他の列車

貨物列車

毎日日中2往復、夜間3往復の計5往復の貨物列車が設定されており、東京・名古屋・大阪(吹田)・福岡・熊本 - 鹿児島貨物ターミナル間を当線経由で運行している(このうち日中の熊本 - 鹿児島貨物ターミナル間の1往復のみ不定期運用)。機関車は門司機関区所属のED76EF81が使用され、貨車はコキ100系コンテナ車のみの10両編成で運転される。乗務員は肥薩おれんじ鉄道の運転士は一切関与せず、門司機関区に所属するJR貨物の機関士が運転を担当する。

検測列車

肥薩おれんじ鉄道はモーターカー以外の保守専用車両を保有していないため、定期的に西日本旅客鉄道(JR西日本)吹田総合車両所京都支所所属のキヤ141クモヤ443、JR九州熊本車両センター所属のDE10+マヤ34が検測用列車として入線する。これらの列車は肥薩おれんじ鉄道の運転士が運転を担当する。

その他企画列車

2009年3月14日に全廃された九州を走るブルートレインリバイバルトレインが大人気なことから、2010年3月20日 - 3月22日には、鉄道ファンらの利用を見込んで、あらかじめ申し込んだ者のみが乗れる団体専用列車としてではあるが当路線にブルートレインが運行された[9]。車両は14系客車が使われ、大分車両センター所属のED76 66が牽引した。運転区間は門司港駅 - 鹿児島中央駅間で、電気機関車にはかつて当線の区間でも運転されていた「はやぶさ」のヘッドマークがついていた。

2016年4月以降、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」が当路線を経由する予定である。

使用車両

全区間が交流電化されているが、交流対応車両が高価なこともあり、旅客列車は気動車を使用して運行している。鹿児島本線だったころの普通列車は475系717系、晩年は815系などの電車で運転されていた。鹿児島本線からのJRの電車による直通列車がないことから817系や815系などは乗り入れない。

営業用車両以外では検測用として、JR九州DE10形+マヤ34形[10]、JR西日本クモヤ443系[11]、同キヤ141系[12]の入線実績がある。

利用状況

  • 1日の平均利用者は6,682人/日(2004年度)である。

歴史

沿線風景(肥後二見 - 上田浦間)
標準タイプの駅名標(肥後二見駅)

八代 - 湯浦間は肥薩線として、水俣 - 川内 - 鹿児島間は川内線(のちに川内本線)として開業した。当時の鹿児島本線は人吉経由で、湯浦 - 水俣間が1927年に開業すると川内経由の路線が鹿児島本線となった。

国鉄・JR時代

  • 1922年(大正11年)
    • 7月1日 川内線として西方 - 川内町(現在の川内)間が開業
    • 10月15日 川内線 阿久根 - 西方間が開業
  • 1923年(大正12年)
    • 3月25日 川内線 野田郷 - 阿久根間が開業
    • 7月15日 肥薩線として八代 - 日奈久間が開業
    • 10月15日 川内線 米ノ津 - 野田郷間が開業
  • 1924年(大正13年)10月20日 宮之城線の開業により、川内線を川内本線に改称
  • 1925年(大正14年)4月15日 肥薩線 日奈久 - 佐敷間が開業
  • 1926年(大正15年)
    • 7月21日 川内本線 水俣 - 米ノ津間が開業
    • 9月12日 肥薩線 佐敷 - 湯浦間が開業
  • 1927年(昭和2年)10月17日 湯浦 - 水俣間が開業。八代 - 川内町 - 鹿児島間を鹿児島本線に編入。これまでの鹿児島本線八代 - 人吉 - 鹿児島間は肥薩線となる
  • 1928年(昭和3年)7月11日 武本駅を西出水駅に改称
  • 1933年(昭和8年)7月17日 肥後高田駅開業
  • 1936年(昭和11年)12月15日 薩摩大川駅開業
  • 1940年(昭和15年)10月1日 川内町駅を川内駅に改称
  • 1951年(昭和26年)7月23日 西方 - 草道間に唐浜仮乗降場開業
  • 1952年(昭和27年)
  • 1955年(昭和30年)3月8日 薩摩高城 - 草道間の唐浜仮乗降場廃止
  • 1959年(昭和34年)6月1日 海浦駅開業
  • 1963年(昭和38年)5月1日 薩摩高城駅が無人化
  • 1966年(昭和41年)9月27日 湯浦 - 津奈木間に倉谷信号場を開設。湯浦 - 倉谷信号場間が複線化
  • 1968年(昭和43年)
    • 5月23日 倉谷信号場 - 津奈木間が複線化。倉谷信号場廃止
    • 9月19日 津奈木 - 水俣間に初野信号場開設
  • 1969年(昭和44年)4月10日 八代 - 米ノ津間にCTC導入
  • 1970年(昭和45年)
    • 4月1日 米ノ津 - 東市来間にCTC導入
    • 9月1日 川尻 - 八代 - 川内 - 鹿児島間の電化完成。蒸気機関車牽引列車の運転が終了し全列車無煙化。八代 - 川内間は主要駅など一部の駅を除いたほとんどの駅がこの日から業務委託化または無人化
  • 1975年(昭和50年)2月26日 折口 - 阿久根間に赤瀬川信号場開設
  • 1983年(昭和58年)3月14日 西方駅が無人化
  • 1984年(昭和59年)2月1日 米ノ津駅、高尾野駅が無人化。貨物輸送体系の見直しにより、肥後田浦、佐敷、米ノ津、出水、阿久根の各駅の貨物取扱い廃止
  • 1985年(昭和60年)3月14日 客車普通列車の運行を廃止。普通列車はこの日からすべて電車または気動車に転換。肥後田浦駅が無人化。この頃、水俣駅の貨物取扱い廃止
  • 1986年(昭和61年)
    • 3月3日 野田郷駅が無人化
    • 10月1日 主要駅での荷物(チッキ)・郵便取扱いと荷物・郵便列車の運行を廃止
  • 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により九州旅客鉄道に承継。肥後田浦駅、野田郷駅が有人化
  • 1993年(平成5年)3月18日 客車夜行急行かいもん号が特急ドリームつばめ号に格上げ。これを以て鹿児島本線を走る定期客車急行列車は全廃
  • 1999年(平成11年)10月1日 熊本 - 日奈久(現:日奈久温泉)・八代 - 水俣・出水間などで運行されていた気動車列車が電車化。普通列車はこの日から全て電車に転換

肥薩おれんじ鉄道時代

  • 2004年(平成16年)3月13日 九州新幹線の開業に伴い、八代 - 川内間が九州旅客鉄道から肥薩おれんじ鉄道に移管され肥薩おれんじ鉄道線となる。初野信号場を駅に変更し新水俣駅開業。日奈久駅を日奈久温泉駅に改称。上川内駅が無人化。JR時代の優等列車が全て廃止され、旅客列車は快速列車・普通列車で気動車のみでの運転となる
  • 2005年(平成17年)3月1日 たのうら御立岬公園駅開業。沿線の高等学校の利便性を考慮して平日のみ米ノ津 - 隈之城(下り)・川内(上り)間の列車を1往復新設
  • 2008年(平成20年)3月15日 熊本 - 出水間直通快速「スーパーおれんじ」、鹿児島中央 - 出水間直通快速「オーシャンライナーさつま」運行開始。観光快速「海風」、「潮彩」と線内快速列車が運行廃止
  • 2013年(平成25年)
    • 3月16日 平日朝ラッシュ時に1往復運行されていた出水 - 川内間の車掌乗務列車が廃止され、この日を以て全列車ワンマン化される
    • 3月24日 新八代 - 川内間で観光列車「おれんじ食堂」運行開始
    • 7月1日 出水 - 八代・川内間で貸切専用列車「おれんじカフェ」運行開始
  • 2015年(平成27年)3月14日 八代 - 出水、出水 - 川内間で観光列車「ゆうゆうトレイン」、イベント向け列車「ドリームトレイン(列車レンタル)」運行開始
  • 2016年(平成28年)3月26日 観光列車「ゆうゆうトレイン」(出水 - 川内間)の運行を休止

駅一覧

  • 門司港駅からの累計営業キロは、八代駅 - 川内駅間の経営分離前に使われていたもの
凡例
●:停車、○:一部列車のみ停車、△:海水浴シーズンのみ一部列車が臨時停車、|:通過
快速列車は土曜・休日のみ運転。鹿児島本線内の停車駅は「鹿児島本線#駅一覧」参照
普通列車は省略。各駅に停車
*印は転換後に設置された新駅
たのうら御立岬公園駅と海浦駅をのぞいて列車交換が可能。なお、川内駅は鹿児島本線へ直通できる線路が1線のみであるため、直通列車に関しては交換不可と言ってよい。
駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 門司港
からの

営業
キロ
快速
スーパー
おれんじ
快速
オーシャン
ライナー
さつま
観光列車
おれんじ
食堂
接続路線 所在地
九州旅客鉄道鹿児島本線
直通運転区間       熊本      
新八代駅 - 2.8 229.5 九州旅客鉄道:■ 九州新幹線・鹿児島本線 熊本県八代市
肥薩おれんじ鉄道線
八代駅 2.8 0.0 232.3 九州旅客鉄道:鹿児島本線・肥薩線えびの高原線 熊本県 八代市
肥後高田駅 4.8 4.8 237.1  
日奈久温泉駅 5.3 10.1 242.4  
肥後二見駅 3.6 13.7 246.0  
上田浦駅 4.3 18.0 250.3   葦北郡
芦北町
*たのうら御立岬公園駅 4.1 22.1 -  
肥後田浦駅 1.5 23.6 255.9  
海浦駅 3.1 26.7 259.0  
佐敷駅 3.1 29.8 262.1  
湯浦駅 3.9 33.7 266.0  
津奈木駅 8.7 42.4 274.7   葦北郡
津奈木町
*新水俣駅 3.4 45.8 - 九州旅客鉄道:■ 九州新幹線 水俣市
水俣駅 3.8 49.6 281.9  
袋駅 5.8 55.4 287.7  
米ノ津駅 5.9 61.3 293.6   鹿児島県 出水市
出水駅 4.3 65.6 297.9 九州旅客鉄道:■ 九州新幹線
西出水駅 2.7 68.3 300.6    
高尾野駅 3.8 72.1 304.4    
野田郷駅 3.2 75.3 307.6    
折口駅 5.4 80.7 313.0     阿久根市
赤瀬川信号場 - (83.6) -    
阿久根駅 5.5 86.2 318.5    
牛ノ浜駅 6.0 92.2 324.5    
薩摩大川駅 3.5 95.7 328.0    
西方駅 3.9 99.6 331.9     薩摩川内市
薩摩高城駅 2.7 102.3 334.6    
草道駅 5.0 107.3 339.6    
上川内駅 6.4 113.7 346.0    
川内駅 3.2 116.9 349.2   九州旅客鉄道:■ 九州新幹線・鹿児島本線
直通運転区間         鹿児島
中央
   

駅名標は日奈久温泉駅、新水俣駅、牛ノ浜駅の3駅が2004年の開業と同時に肥薩おれんじ鉄道のものに変更されたが、それ以外の駅は開業からしばらくはJR九州時代のものがそのまま使われていた。その後2005年中に全ての駅が現在の駅名標に取り替えられた。

脚注および出典

参考文献

関連項目