納谷六朗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。2400:2653:e2e0:a600:e5b7:f498:55c9:c3d6 (会話) による 2016年4月6日 (水) 10:27個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎生涯)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

なや ろくろう
納谷 六朗
プロフィール
性別
出生地 日本の旗 日本東京府東京市
(現東京都
死没地 日本の旗 日本・東京都大田区
生年月日 (1932-10-20) 1932年10月20日
没年月日 (2014-11-17) 2014年11月17日(82歳没)
血液型 B型
身長 165
職業 声優俳優ナレーター演出家
配偶者 納谷光枝(2014年没)[1]
著名な家族 納谷悟朗(2013年没)
声優活動
活動期間 1960年代-2014年
ジャンル アニメ、ゲーム、吹き替え、ナレーション
俳優活動
活動期間 1960年代-2014年
ジャンル テレビドラマ、映画、舞台
声優テンプレート | プロジェクト | カテゴリ

納谷 六朗(なや ろくろう[2]1932年[3]10月20日 - 2014年11月17日[4])は、日本声優俳優ナレーター演出家

東京府東京市(現東京都)出身。最終所属はマウスプロモーション東京都立西高等学校立命館大学法学部卒業。

兄は同じく俳優・声優の納谷悟朗火野カチ子は義姉。妻は元マウスプロモーション代表取締役社長の納谷光枝。

2014年、第8回声優アワード「功労賞」を受賞[5]

人物

年齢不詳のちょっと神経質な声が特徴[6]。男性の話す京都弁に堪能。

趣味は読書。

生涯

7人兄弟の六男。「納谷兄弟で名前に数字が付くのは、五男の悟朗と六男の六朗だけ」と本人は語っている。

大学卒業後、出版関係の仕事をしていた別の兄を手伝い[7]、悟朗の所属していた劇団稲の会の手伝いから芝居を始める。なお、悟朗は「自分が六を引きずり込んだ」と述べたこともある。

劇団現代劇場「河の会」を経て[8]1974年江崎プロダクション(現・マウスプロモーション)へ所属。筒井康隆大一座などの結成にも参加している。晩年も『クレヨンしんちゃん』をはじめ、声優活動を続けていた。また舞台の傍ら、マウスプロの後進の育成にも励んでいた。マウスプロ自主公演では、主役を張ることもあった。

納谷の所属事務所によれば、2014年10月22日に自宅で体調不良を訴えて東京都大田区内の病院に入院、検査の結果、肺炎脳梗塞を発症していた為、治療を受けていた[9]。しかし11月17日午前10時28分、肺炎のため東京都大田区の病院で死去[4][9][11]。満82歳没(享年83)。

兄とのかかわり・共演

六朗が業界に入るきっかけとなった芝居は、悟朗の記憶では『坊つちやん』であり、六朗は主役だったという。だが、その芝居はほとんど赤シャツにスポットを当てて改変されており、六朗は舞台中央に立っていればよいという形で出演していた。なお、新聞では「赤シャツ物語とタイトルを変えた方が良い」と皮肉られていたという。

六朗が所属していた劇団で電話番をしていると、悟朗から「おい、六か」と突然電話がかかってきて「え、何、何?」と返すとしばらくして「似てねえってよ」と返された。当時、悟朗が1959年に日本テレビで放映されていた『ウィリアム・テル』でテル役の吹き替えをやっており、テルの偽物の登場する回でいっそ悟朗と似た声のやつにやらせてみようということで、六朗の声を確かめようと電話をかけてきたとのこと。このことがきっかけで、端役で呼んでもらうようになったことがアテレコデビューとなり、デビュー作からいきなりの兄弟共演だったという[8]

悟朗が銭形警部役を務めていた『ルパン三世』シリーズにも複数出演しており、銭形警部が変装した役を演じたことがある。また、『ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜』ではジョーダン役で悟朗と競演した他、『超電磁ロボ コン・バトラーV』14話では、悟朗の演じた南原博士の胸像のメッセージボイスも演じている。映画『人生狂騒曲』では体調不良で収録に参加できなかった悟朗の代役として、彼の持ち役であったジョン・クリーズの吹き替えを務めた。

映画『アマデウス』のスペシャルコレクション盤レーザーディスクの特典である監督と脚本家によるオーディオ・コメンタリーで、監督ミロシュ・フォアマンの吹替えを担当し、対する脚本家ピーター・シェーファーを兄である悟朗が吹替え、兄弟共演となった(DVDには未収録)。対話シーンは無いがテアトル・エコー所属俳優が多数参加した1985年の映画『オズ』の劇場公開、ポニー版・バンダイ版の日本語吹き替えも兄弟揃った出演作である。

出演作品とのかかわり

『聖闘士星矢』

聖闘士星矢』では、当時すでに50代半ばに達していたにもかかわらず、美形の青年である水瓶座のカミュ役に抜擢された。

このことは役者仲間にからかわれたが、カミュは根強いファンを持つ人気キャラクターとなり、若い層にも六朗ファンを増やす結果となった。当人もこのキャラクターを気に入り、「これまで演じた代表キャラクターの五指に入る」と述べ、『メモリアルCDBOX』におけるインタビューでは、カミュに対する想いを語ると共に「また演じたい」とも述べていた。

『星矢』への六朗の出演は非常に注目され、古谷徹他、出番の無いレギュラー陣出演者も、こぞって彼の演技を見学するためスタジオに来ていたという。

『仮面ライダー』の代行アフレコ

初代仮面ライダー役の藤岡弘が撮影中のバイク転倒事故で重傷を負い、撮影済みの映像素材のアフレコが不可能になった時、六朗が代役に呼ばれている。録音演出の太田克己は、ショッカー首領の声を担当している納谷悟朗の実弟とは知らずにキャスティングしたという[12]

当時は、芝居はできてもアフレコが苦手、という俳優に代わり、声質の似た声優が吹き替えをすることは珍しいことではなかった。六朗自身も後に『仮面ライダーSPIRITS』コミックス第7巻のインタビューで「アクション作品の事故でアフレコの代役というのも珍しくなかった。藤岡さんの芝居は自分に似ていたので、癖がつかみ易くスマートにアテられた」と語っている。また、仮面劇の吹き替えにおいても特に問題はなかったという[8]

なお、劇中では納谷悟朗演じるショッカー首領と納谷六朗のライダーが対決する兄弟共演のシーンもあったが、本人は「記憶にない」と語っている[8]

『仮面ライダー』は、テアトル・エコーが仕切っていた作品だったが、テアトル所属ではない六朗が出演することになったのは、所属していた事務所がテアトルと仲が良かったからと語っている[8]

その他の作品

OVA『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』ではサブキャラクターの一人である鎮三山・黄信を演じたが、六朗が配役になったため、主人公・大作を叱咤する大きな見せ場が新たに作られた。

星獣戦隊ギンガマン』では、巨大パペットキャラクター・モークを演じた。この際、特撮作品特有の実写映像に合わせてのアフレコに苦労する若手俳優のレコーディングのアシストに大々的に協力した。

『ジュラシック・パーク』シリーズの吹替え版には3作目までに出演した。スピルバーグが監督の2作品では、どちらもティラノサウルスに食べられる役となった。『III』でようやく最後まで生き残る役となったが、この際吹き替えた役は『ER緊急救命室』で持ち役にしていたウィリアム・H・メイシーが演じたものだった。

ソニークリエイティブプロダクツ版の『きかんしゃトーマス』出演者では唯一、81プロデュース以外の事務所に所属している人物であった。なおキャスティングを仕切っているのは81プロデュースである。

キョロちゃん』では、マツゲール博士、ナレーション、シバシバなどの声を勤めていたが、塩沢兼人の死後、塩沢の持ち役である、ニラミ警視役を引き継いだ。

長年レギュラーの高倉園長役で出演していた『クレヨンしんちゃん』では、2015年10月9日放送分で森田順平が2代目として起用されている。園長は六朗の死後、森田が後任に決まるまでの間、2つの話に登場しているが、姿のみの出演で台詞はなかった。『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』では、過去の音源を用いてのライブラリ出演になった[13]

後任

納谷の没後、持ち役を引き継いだ人物は以下の通り。

出演作品

テレビアニメ

1968年

1969年

1970年

1971年

1972年

1973年

1974年

1976年

1977年

1978年

1979年

1980年

1981年

1982年

1983年

1984年

1985年

1986年

1987年

1988年

1989年

1990年

1991年

1992年

1994年

1995年

1996年

1997年

1998年

1999年

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2014年

OVA

1985年

1987年

1988年

1989年

1990年

1991年

1992年

1993年

1994年

1996年

1999年

2000年

2002年

  • 魔法のスターマジカルエミ 雲光る(香月順一)

2005年

2008年

2010年

劇場アニメ

1983年

1986年

1988年

1991年

1993年

1994年

1995年

1996年

1997年

1998年

1999年

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2012年

2013年

2014年

2015年

Webアニメ

2001年

2008年

ゲーム

1992年

1994年

1995年

  • キリーク・ザ・ブラッド(ドクター・キム)
  • キリーク・ザ・ブラッド2(カルロス)
  • 幽☆遊☆白書FINAL 魔界最強列伝(仙水忍)

1996年

1997年

1998年

1999年

2000年

2001年

2002年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

  • クレヨンしんちゃん ショックガ〜ン!伝説を呼ぶオマケ大ケツ戦!!(高倉文太)

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

吹き替え

俳優

洋画

海外ドラマ

海外アニメ

人形劇

特撮

1967年

1971年

1973年

1976年

1996年

1998年

2007年

2009年

CD

テレビドラマ

映画

舞台

  • ワイルド「幸福な王子」(王子の像)※初舞台
  • 夏目漱石坊つちやん
  • 小林信彦唐獅子株式会社
  • オニール「ヒューイ」
  • 筒井康隆「ジーザズ・クライスト・トリックスター」
  • 筒井歌舞伎「影武者騒動
  • 藤本義一迷子の天使たち
  • シアターΧ名作劇場 第一回から第二十回まで出演
  • 劇団K-Show 6th.PRODUCE 公演「気になる病は気から出たマコト」(梅沢慎之介)
  • 劇団K-Show 7th.PRODUCE 公演「かかしのうた」(米倉玄左衛門)
  • 中日劇場特別企画新春公演 「身代わり 若様 お姫様」【熱唱!ビッグスリー】
  • 筒井康隆大一座「12人の浮かれる男
  • 筒井康隆大一座「スタア」
  • マウスプロモーション「桜の田」
  • マウスプロモーション「新版・相続税概説」
  • 座☆吉祥天女「五鞭の椿」
  • 劇団大樹「ひめごと」

CM

その他

  • ノベルアプリ『RENT HEAD』(鈴白清司[17]
  • 野生のプレデター(VHS) ユキヒョウが住むモンゴル高地(ジョージ・シャラー博士)

音響監督作品

出典

  1. ^ 池田政之の(ま)な生活 2014年1月19日
  2. ^ 『声優名鑑』成美堂出版、1999年、573頁。ISBN 978-4415008783 
  3. ^ 納谷 六朗|@nifty タレント図鑑”. 2012年4月28日閲覧。
  4. ^ a b “声優の納谷六朗さん死去…兄は銭形警部役、兄弟共演も多数”. スポーツニッポン. http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/11/18/kiji/K20141118009305440.html 2014年11月18日閲覧。 
  5. ^ 第八回声優アワード 一部先行発表!”. 声優アワード. 2014年2月19日閲覧。
  6. ^ 小川びい 1997, p. 105より引用。
  7. ^ 納谷六朗 (2008-03). "極 声魂 こえだま" (Interview). Interviewed by 内田雅志. 大学卒業後、出版関係の仕事をしていた別の兄を手伝っていて、悟朗が立ち上げた劇団「稲の会」の公演パンフレットを作る機会がありました。 {{cite interview}}: |date=の日付が不正です。 (説明); 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
  8. ^ a b c d e 仮面ライダーSPIRITS第7巻 巻末特別インタヴュー
  9. ^ a b 【訃報】声優の納谷六朗さんが… ANNニュース(テレビ朝日) 2014年11月18日付
  10. ^ taketora0131のツイート(534502734276210688)
  11. ^ この日は兄の悟朗の誕生日だった[10]
  12. ^ 「仮面ライダースタッフ・キャスト人名録」『宇宙船別冊 仮面ライダー怪人大画報』ホビージャパン〈ホビージャパンMOOK 228〉、2007年12月18日、94頁。ISBN 978-4-89425-638-5 
  13. ^ 「またね、しんのすけくん」(小原篤のアニマゲ丼)”. 朝日新聞デジタル (2015年4月20日). 2015年4月20日閲覧。
  14. ^ キャラクター”. 新・世界樹の迷宮2 公式サイト. 2014年9月20日閲覧。
  15. ^ 週刊ファミ通』2015年6月4日号、エンターブレイン、2015年5月21日。 
  16. ^ ダイドードリンコ株式会社 プレスリリース 2013.08.19 10:30
  17. ^ APPLICATION”. ノベルアプリ「RENT HEAD」公式サイト. 2013年11月25日閲覧。

参考文献

  • 小川びい 著、アニメージュ編集部 編『ロマンアルバム アニメ声優ハンドブック こだわり声優辞典'97』徳間書店、1997年3月10日。ISBN 4-19-720012-9 
  • 『宇宙船別冊 仮面ライダー怪人大画報』ホビージャパン〈ホビージャパンMOOK 228〉、2007年12月18日。ISBN 978-4-89425-638-5 

外部リンク