出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。MerlIwBot (会話 | 投稿記録) による 2012年5月14日 (月) 20:10個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (ロボットによる 追加: pl:Shō (instrument muzyczny))であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

各言語での名称
Shō
Shō
Shō
Sho
笙
(岐阜城資料館)
分類

リード

関連楽器
笙の演奏
笙を炭火で暖める

(しょう)とは、雅楽などで使う管楽器の1つ。フリーリード類に属する。同様の楽器が東アジア各地に見られる。中国名・ション (Sheng)。

概要

日本には奈良時代ごろに雅楽とともに伝わってきたと考えられている。雅楽で用いられる笙は、その形を翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれる。匏(ふくべ)と呼ばれる部分の上に17本の細い竹管を円形に配置し、竹管に空けられた指穴を押さえ、匏の横側に空けられた吹口より息を吸ったり吐いたりして、17本のうち15本の竹管の下部に付けられた金属製の簧(した:リード)を振動させてを出す。 音程は簧の固有振動数によって決定し、竹管で共鳴させて発音する。パイプオルガンのリード管と同じ原理である。いくつかの竹管には屏上(びょうじょう)と呼ばれる長方形の穴があり、共鳴管としての管長は全長ではなくこの穴で決まる。そのため見かけの竹管の長さと音程の並びは一致しない。屏上は表の場合と裏の場合があるが、表の場合は装飾が施されている。指穴を押さえていない管で音が出ないのは、共鳴しない位置に指穴が開けられているためである。 ハーモニカと異なり、吸っても吹いても同じ音が出せるので、他の吹奏楽器のような息継ぎが不要であり、同じ音をずっと鳴らし続けることも出来る(呼吸を替える時に瞬間的に音量が低下するのみ)。押さえる穴の組み合わせを変えることで11種類の合竹(あいたけ)と呼ばれる和音を出すことができる。通常は基本の合竹による奏法が中心であるが、調子、音取、催馬楽、朗詠では一竹(いっちく:単音で旋律を奏すること)や特殊な合竹も用いる。 その音色は天から差し込むを表すといわれている。

構造上、呼気によって内部が結露しやすく、そのまま演奏し続けると簧に水滴が付いて音高が狂い、やがて音そのものが出なくなる。そのため、火鉢コンロなどで演奏前や間に楽器を暖めることが必要である。

現代では雅楽だけでなく、クラシック音楽の作曲家によって管弦楽や室内楽のなかで、あるいは声楽の伴奏楽器として活用されることもある。

笙より1オクターブ低い音域が鳴る(う)という楽器もある。これは雅楽の伝統では一度断絶したものの、正倉院の宝物等を参考に、戦後になって復元された楽器の一つである。現代において蘇演(復曲)された作品や、新作の現代雅楽、例えば黛敏郎の「昭和天平楽」などで用いられている。

中国には北京語でシェン(shēng)、広東語でサンという、同じ「笙」の字を書く楽器がある。これは笙より大型で、音域は日本の笙の倍以上あり、素早い動きにも対応している。もともと奈良時代に日本に伝わった時点では、日本の笙もパイプのような吹き口が付属していたが、現在ではそれをはずし、直接胴に口をあてて演奏する形に変わっている。

ラオスタイ王国北東部では笙と同じ原理のケーンen:Khene)という楽器があり、一説では、これが中国の笙の原型であると言われる。

竹の順番

音程は竹の長さとは無関係で、吹き口から向かって右側から時計回りに、以下の通りとなる。

名称
読み せん じゅう おつ いち はち ごん しち ぎょう じょう ぼう こつ もう
近似音 F#6 G5 F#5 E5 C#5 G#5 B4 E6 (G6) C#6 B5 A5 D6 D5 A4 (D#5) C6
十二律 下無 双調 下無 平調 上無 鳧鐘 盤渉 平調 (双調) 上無 盤渉 黄鐘 壱越 壱越 黄鐘 (断金) 神仙

也・毛は、奈良時代の笙では簧(した)が付けられていたが、現行の笙では簧が付けられておらず、無音であり、外観を整えるために竹が残されている。この也・毛から「野暮」という言葉が発生したという説もある。

著名な笙奏者

外部リンク