砂の十字架

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Katsuya (会話 | 投稿記録) による 2016年1月25日 (月) 13:05個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

砂の十字架
やしきたかじんシングル
B面 スターチルドレン
リリース
ジャンル ポップスアニメソング
レーベル キングレコード
スターチャイルド(再発売)
チャート最高順位
やしきたかじん シングル 年表
Walking on
1980年
砂の十字架
1981年
かりそめのパートナー
1981年
テンプレートを表示

砂の十字架」(すなのじゅうじか)は、やしきたかじんの7枚目のシングル。1981年発売。

谷村新司の作詞・作曲。アニメ映画『機動戦士ガンダム』(劇場版3部作の第1作)の主題歌で、当時のたかじんのシングルとしては最大の13万枚[2]を売り上げるヒットとなる。

カップリング曲の「スターチルドレン」はたかじん自身の作曲である。作詞の井荻麟は『機動戦士ガンダム』の総監督富野喜幸(現・富野由悠季)のペンネームである。

2006年、歌入りの音源に加えてオリジナルカラオケを収録したシングルとして再発売された。

発売までの経緯

当時鳴かず飛ばずのたかじんを担当していたディレクターが、キングレコードの部長に涙ながらに土下座し、たかじんにレコードを出す機会を与えるよう直訴した。その結果、キングレコードは発売の条件として、たかじんに『機動戦士ガンダム』の主題歌を歌うよう指示する[3]。たかじんも歌詞に「ガンダム」という固有名詞が含まれないことを条件に、土下座をしたディレクターに対し恩義を感じていたこともあり、渋々ながら承諾する。歌詞が気に入らなかった(いわく「ライリー ライリー」と繰り返す部分の意味がわからん」等)ことと、ジャケットが(安彦良和描き下ろしによる)「ガンダム」の主人公のアムロ・レイのイラストのみで構成されており、自分の写真がなかったことにたかじんがクレームをつけたため一旦発売は延期されたが、結局そのまま発売された。

その後のたかじん

この曲のヒット以降、たかじんは「あんた」「やっぱ好きやねん」などのヒット曲を出すようになるが、上述の事情からたかじんはこの歌のことを「人生最大の汚点」と語り、「この歌が話題に出ると機嫌が悪くなる」とも語っていた。たかじん自身は上記のような苦い思い出もあってかガンダムの話題(必ず及ぶであろう主題歌の話題)を毛嫌いしていたものの、そもそも同作品を見たことがなく、ガンダムそのものに嫌悪感を示していたわけではない。

谷村もあるインタビューで「ここまで売れる曲だとは思っていなかった」との感想を話した。たかじんは通常、半日で終わるレコーディングが、この曲の時は二日かかったといい、中でも、繰り返し歌詞の中に出て来る「ライリー」という言葉の意味がまったく理解できず、苦労した挙句、歌詞の作詞者である谷村に意味を尋ねたところ、民謡の合いの手である「アラエッサッサー」のようなものだといわれ、ますます意味がわからなくなったと語っている。ちなみに後年谷村は、自身が歌う『∀ガンダム』のEDテーマ「AURA」で再びガンダムシリーズに関わることとなる。

なお、たかじんの公式ウェブサイト上のプロフィールには、この曲について「卓越した歌唱力故に起用され、ビッグヒットを放つ」という記述があり、汚点と語ってきた一方で、完全には否定していない部分もある。

カップリングの「スターチルドレン」については、自ら作曲を手がけたにも関わらず、たかじん自身はメディア上でほとんど見解を述べたことがない。

収録曲

  1. 砂の十字架
    作詞・作曲:谷村新司 編曲:青木望
  2. スターチルドレン
    作詞:井荻麟 作曲:やしきたかじん 編曲:飛澤宏元

脚注

  1. ^ たかじんさんベスト盤、部門別で首位 デイリースポーツonline
  2. ^ 角岡伸彦『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』小学館、2014年、80頁。ISBN 978-4-09-389752-5
  3. ^ のちに富野由悠季が自著で懐述したところでは、谷村新司のファンであった富野の意向で主題歌オファーを行ったものの、契約等の事情で谷村は曲の提供しかできず、歌ってもらうことは叶わなかったとしている。

関連項目

  • アニメタル - 「スターチルドレン」をヘヴィメタル風にカバーしたバンド。
  • 週刊ファミ通 - 1996年ごろ、たかじんが営業先で「砂の十字架」を歌っているところを録音したらガバス(同誌でゲーム機などと交換できるポイント)を大量にプレゼントするという企画があった。
  • Gackt - 自身9枚目のアルバム『0079-0088(ダブルオーセブンティーナイン ダブルオーエイティーエイト)』でこの曲をフルアレンジし、カバーした。ただし、ギターによるインストゥルメンタルバージョンにアレンジされており、Gackt自身が歌唱している訳ではない。