白亜紀
累代 | 代 | 紀 | 基底年代 Mya[* 3] |
---|---|---|---|
顕生代 | 新生代 | 第四紀 | 2.58 |
新第三紀 | 23.03 | ||
古第三紀 | 66 | ||
中生代 | 白亜紀 | 145 | |
ジュラ紀 | 201.3 | ||
三畳紀 | 251.902 | ||
古生代 | ペルム紀 | 298.9 | |
石炭紀 | 358.9 | ||
デボン紀 | 419.2 | ||
シルル紀 | 443.8 | ||
オルドビス紀 | 485.4 | ||
カンブリア紀 | 541 | ||
原生代 | 2500 | ||
太古代(始生代) | 4000 | ||
冥王代 | 4600 | ||
白亜紀(白堊紀、はくあき、Cretaceous period)とは、地球の地質時代のひとつで、およそ1億4550万年前から6550万年前を指す。ジュラ紀に続く時代であり中生代の終わりの時代でもある。次の時代は新生代古第三紀の暁新世である。
白堊の堊(アク; アとよむのは慣習)は粘土質な土、則ち石灰岩のことであり、石灰岩の地層から設定された地質年代のため白堊紀の名がついた。白堊を白亜とするのは常用漢字にないからで、亜(亞)には土の意味は無い。
概要
白亜紀は温暖な気候と高海水準で特徴付けられる時代である。他の地質時代と同様に白亜紀の開始と終了の地層には際立った特徴があるものの、正確な年代については、数百万年程度の誤差が見受けられる。白亜紀の終わりを示すK-T境界においては、イリジウムが大量に含まれた粘土層が世界中に見つかっている。これは、6,568万年前にユカタン半島およびメキシコ湾にある巨大なチクシュルーブ・クレーターを作った隕石の衝突によりその破片が地上に降り積もった物と考えられている。この隕石の落下が引き起こした気候変動が、白亜紀末の大量絶滅に関係あるという学説は、現在では地質学者、古生物学者らの間で広く支持されている。
白亜紀は以下のように11の時代に分けられている。
周辺の時代 | ||||
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新生代 | 第四紀 | |||
新第三紀 | ||||
古第三紀 | 漸新世 | |||
始新世 | ||||
暁新世 | ||||
中生代 | 白亜紀 | マストリヒシアン(マーストリヒト期) | 7060万年 - 6550万年前 | |
カンパニアン(カンパン期) | 8350万年 - 7060万年前 | |||
サントニアン(サントン期) | 8580万年 - 8350万年前 | |||
コニアシアン(コニアク期) | 8930万年 - 8580万年前 | |||
チューロニアン(チューロン期) | 9350万年 - 8930万年前 | |||
セノマニアン(セノマン期) | 9960万年 - 9350万年前 | |||
アルビアン(アルブ期) | 1億1200万年 - 9960万年前 | |||
アプチアン(アプト期) | 1億2500万年 - 1億1200万年前 | |||
バレミアン(バーレム期) | 1億3000万年 - 1億2500万年前 | |||
オーテリビアン(オーテリーブ期) | 1億3640万年 - 1億3000万年前 | |||
バランギニアン(バランジュ期) | 1億4020万年 - 1億3640万年前 | |||
ベリアシアン(ベリアス期) | 1億4550万年 - 1億4020万年前 | |||
ジュラ紀 | ||||
三畳紀 | ||||
古生代 |
気候と生物
気候
ジュラ紀から白亜紀の境目に大きな絶滅などはなく、白亜紀も長期にわたり温暖で湿潤な気候が続いた。前期白亜紀において、一時的な寒冷化が見られるものの、同時期の表層海水温に関する研究では、低緯度地域で32 ℃、中緯度地域で26 ℃と現在より高い海水温で安定していたことがわかっている[1]。末期には気候帯が現われ、植物相にも変化が見られた。
植物
植物は主流であった原始的な裸子植物やシダなどが減少し、被子植物が主流となって進化、繁栄を遂げた。スギなどの針葉樹は現代と同じ形まで進化し、イチジクやスズカケノキ、モクレンなどが現在とほぼ同じ形となった。
地上動物
地上の動物は恐竜やワニなどの爬虫類が支配的地位を占め、ジュラ紀に続いて全盛期であった。地上、海洋、空を含め多種多様な進化を遂げている。代表的な種は、ティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドンなど。しかし末期には恐竜は衰退を始める(後述)。また、白亜紀後期には鳥類の発展と対照的に中・小型の翼竜類が衰え、プテラノドンやケツァルコアトルスなど大型種だけが残った。有鱗目 においてヘビ類が地中性もしくは水中性のトカゲ類から進化したのも、白亜紀であるとされる。
哺乳類はこの時代に形態を大きく進化させ、胎生を持つようになり、また有袋類と有胎盤類への分化を遂げた。中には恐竜の幼体を襲っていた種もある。ただし形態は小さな形の種にとどまっていたものが多い。有胎盤類は白亜紀後期には既に多くの系統へと分岐していたようである。
前時代に恐竜から分岐した鳥類ではこの時代に真鳥類が出現している。しかし大勢を占めたのは古鳥類であり、陸上性では孔子鳥やエナンティオルニス類 (反鳥類,Enantiornithes) が繁栄した。なお、海鳥では真鳥類のヘスペロルニス・イクチオルニスなどが栄えた。しかし白亜紀に全盛を迎えたこれらの鳥類のグループは白亜紀末期にほとんどが絶滅した。この時期に現生鳥類の直系の祖先も出現している。多くの目は白亜紀後期には分化していたようだ。
海洋動物
海洋では1億2000万年前に現在のオントンジャワ海台を形成した大規模な海底火山噴火が南太平洋で発生した。魚竜、海生ワニ類が絶滅したのは、この影響ともされる。代わってモササウルス類、首長竜などが繁栄した。軟骨魚類では現在見られる型のエイやサメ、硬骨魚類ではニシン類が現れ、軟体動物では狭義のアンモナイトなどが進化を遂げた。
ジュラ紀中期に誕生した浮遊性有孔虫およびココリスなどのナンノプランクトンは、この時期に生息域を大きく拡大させ、その遺骸は白亜紀の名称の元となった石灰岩層を形成した。
K-T境界の大量絶滅
地上・空・海で繁栄していた爬虫類も、白亜紀の末には減り始めた。
白亜紀末には、地球史の上で5回目の、規模としては古生代ペルム紀末期の大絶滅(P-T境界)に次ぐ大規模な絶滅が起きた(K-T境界)。この大量絶滅では、陸上生物の約50%、海洋生物の約75%[2][3]、生物全体で約70%が絶滅した[4]と考えられている。哺乳類・爬虫類・鳥類の多くが絶滅し、特に恐竜は(現生種につながる真鳥類を除いて)全てが絶滅した。また、海洋においても、カメ、カンプソサウルス(チャンプソサウルス)類以外の全ての海棲爬虫類、すべてのアンモナイト類が絶滅している。しかし、アメリカで、この大量絶滅から70万年後とされる地層からアラモサウルスの化石が発見され、議論を呼んでいる。この発見は、カナダのアルバータ大学などの研究により確認され、論文がアメリカ地質学協会の専門誌に掲載された[5]。
現在では絶滅の直接の原因は隕石(小惑星)の衝突によるものであるという説が広く知られており、2010年3月5日には12ヶ国の研究機関による研究チームが同説が絶滅の直接の原因であると結論づけた。ただし、それ以外の説も依然として存在する。
地質
白亜紀の終わりにかけて、パンゲア大陸は完全に分かれ、配置は異なるものの現在ある大陸と同じ構成になった。北アメリカとヨーロッパがわかれ大西洋が広がり、ゴンドワナ大陸は南極大陸、オーストラリア大陸、アフリカ大陸、南アメリカ大陸に分割した。インドやマダガスカルはまだアフリカと陸続きであった。北アメリカ大陸に食い込むようにしてあった浅い海は石炭層に挟まれて陸地となり、海の堆積物を多く残した。この他で重要な白亜紀の地層の露出は中国とヨーロッパで見られる。また、インドのデカントラップにある大量の溶岩の地層は白亜紀から暁新世にかけての物ということがわかっている。
脚注
参考文献
- Thierstein, H.R. (1982). “Terminal Cretaceous plankton extinctions: A critical assesment.”. Geol. Soc. Am. Special Paper 190: 385-399.
- Sheehan, P.M.; Fastovsky,D.E. (1992). “Major extinctions of land-dwelling vertebrates at the Cretaceous-Tertiary boundary, eastern Montana.”. Geology 20: 556-560.
- ジェームズ・ローレンス・パウエル 著、寺嶋英志・瀬戸口烈司 訳『白亜紀に夜がくる-恐竜の絶滅と現代地質学』青土社、2001年。ISBN 4791759079。
- Littler, Kate; Robinson, Stuart A., Bown, Paul R., Nederbragt, Alexandra J., Pancost, Richard D. (2011). “High sea-surface temperatures during the Early Cretaceous Epoch”. nature geoscience 4 (3): 169-172. doi:10.1038/NGEO1081.
関連項目
外部リンク
- 仲田崇志 (2009年10月29日). “地質年代表”. きまぐれ生物学. 2011年2月14日閲覧。