登坂車線
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
登坂車線(とうはんしゃせん、とはんしゃせん、英:Slower Traffic、Truck Lane)は、上り勾配の道路において速度が著しく低下する車両(例えば重量の大きな車両や特殊車両など)を他の車両から分離して通行させることを目的とする車線をいう。
以下、日本における事例について記述する。
概要
一般に本線車線(走行車線)の左側路肩を拡幅して設置されている。起点付近にはその旨が書かれた標識のほか「遅い車は登坂車線」など利用を喚起する標識が併設されることも多い。
道路構造令[1]第21条において、「普通道路の縦断勾配が5%(100mの水平移動に対して5mの高さを昇る勾配)を超える車道、または設計速度が時速100km/hを超える高速道路(またはそれに準じた道路)の縦断勾配が3%を超える車道については、必要に応じ登坂車線を設けることとする」とされており、新設される道路ではおおむねこの基準が適用されている。なお、過去に建設された道路についてはこれらの基準が適用されることは少なかったため、道路改良が行われるさいに登坂車線が付加されるというケースが多い。また、新設される道路であっても、当面は交通量が少ないことが予想される場合や、小型道路として建設される場合には登坂車線が設けられないこともある。
道路交通法によれば登坂車線は本線車道ではないので、高速自動車国道の本線車道(暫定2車線を除く)における最低速度(法定50km/h未満)の規制も適用されないので、本線車道の最低速度未満の速度となる場合には事実上、登坂車線の利用が必須となる。
類似の事例
登坂車線と類似のものとして「ゆずり車線」(ゆずりゾーンの場合もあり)というものがある。これは近年増加している種類の車線であるが、道路構造令などにおいて基準は存在せず、ほとんどの場合は登坂車線と同様の目的で登り坂以外に便宜的に設けられるものである。
また、付加車線として本線車線の右側に「追越車線」を設置することもある。暫定2車線区間におけるインターチェンジ前後に設けられる事例が多い。
なお、走行車線を走行している車両を登坂車線やゆずりゾーンに車線変更して追越そうとする行為は「追い越しの際は(一部の例外を除き)左から追い越してはならない」と定めた道路交通法第28条違反であり、取り締まりの対象となる。