田辺貞之助

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

田辺 貞之助(たなべ ていのすけ、1905年1月30日 - 1984年9月7日[1])は、日本のフランス文学者翻訳家

経歴[編集]

現在の東京都江東区に生まれる。旧制一高を経て、1928年東京帝国大学仏文科卒。暁星中学校講師、浦和高等学校教授を務め、戦後は東京大学教養学部助教授・教授、1966年に定年で退任後は、早稲田大学客員教授埼玉医科大学教授を務め、1976年に名誉教授となった。

ユイスマンステオフィル・ゴーティエほかの幻想文学、またエミール・ゾラギ・ド・モーパッサンなど自然主義文学作品を多数訳し、フランス艶笑譚の翻訳から近世小咄の研究に入って数多くの洒脱な随筆調の作品を数多く著した。

著書[編集]

  • 『フランス文章読本』(共立出版) 1954
  • 『現代フランス文法』(白水社) 1955、1978、のち改題復刊『フランス文法大全』 2007
  • 『のぞき眼鏡 随筆』(実業之日本社) 1956
  • 『ふらんす語季節の動詞』(白水社) 1957
  • 『教養フランス語』全3巻(白水社) 1957
  • 『よもやまフランス語』(白水社) 1958
  • 『ふらんす小咄大観』(青蛙房) 1958
  • 『うろか船 随筆』(青蛙房) 1959
  • 『ふらんすの故事と諺』(紀伊国屋書店) 1959
  • 『新訳江戸小咄大観』(青蛙房) 1960、のち新版 2016
  • 『こばなし末摘花抄』(高文社) 1961
  • 『東西艶笑くらべ』(実業之日本社) 1961
  • 『女木川界隈』(実業之日本社) 1962
  • 『古川柳風俗事典』(青蛙房) 1962
  • 『ふらんす風流ざんげろく』(高文社) 1962
  • 『新フランス小話集』(高文社) 1965
  • 『フランス格言集 その智恵とユーモア』(潮文社新書) 1966、のち新版 2003
  • 『世界笑談録』(高文社) 1966
  • 『人間模様 随筆』(高文社) 1966
  • 『ふらんす艶笑譚 ゆーもあコント集』(高文社) 1966
  • 『話の事典』(編著、河出書房) 1967
  • 『西洋風流故事物語』(河出書房) 1967
  • 『いろいろ処生訓 浮世のウサを忘れる本』(日本文芸社) 1967
  • 『江戸川柳夜話 躍動する人間模様』(潮文社新書) 1968、のち新版 2003
  • 『日本風流故事物語』(河出書房) 1968
  • 『ことわざの知恵』(ダイヤモンド社) 1969
  • 『笑談手帖 エスプリの花束』(潮文社新書) 1970、のち新版 2003
  • 『ふらんす民話大観』(青蛙房) 1970、のち新版 2017
  • 『ふらんす伝説大観』(青蛙書房) 1971、のち新版 2018
  • 『紳士と淑女の名言集 体のことば・心のことば』(潮文社) 1971
  • 『フランス小話傑作集 男と女の交響詩』(潮文社) 1972
  • 『江戸小話傑作集 赤裸々な人間の饗宴』(潮文社) 1972
  • 『ぐうたらユーモア雑学』(編、学習研究社) 1973
  • 『続 ふらんす小咄大観』(青蛙房) 1974、のち新版(合本) 2017
  • 『ユーモアがどんどんわいてくる 職場・商談・スピーチ・会話に役立つコント集』(ぱるす出版) 1975、のち新版 1986
  • 『続・ことわざの知恵』(ダイヤモンド社) 1976
  • 『新作世界コント傑作集』(ダイヤモンド社) 1977
  • 『夢想の詩学 フランス幻想文学散策』(牧神社) 1977
  • 『しのび笑い 田辺貞之助・長新太フランス小咄』第1・2・3集(白水社) 1977、のち新版(潮文社) 2003
  • 『男のユーモア実践学 爽快な頭をつくる292の方法』(編、ロングセラーズ) 1979
  • 『男のフランス・ユーモア入門 知的センスを盗むイキな男の本』(ロングセラーズ) 1979
  • 『ユーモア感覚に強くなる本 知的ユーモリストに贈る5章』(ロングセラーズ) 1979
  • 『フランス俗語辞典』(編著、駿河台出版社) 1980
  • 『ことわざ処世術』(ダイヤモンド社) 1980
  • 『風流粋故伝』(新門出版社) 1980
  • 『江東昔ばなし』(菁柿堂) 1984、のち新版 2016

共著[編集]

  • 『フランス語教養講座』 第1・2巻(朝倉季雄共著、河出書房) 1951
  • 『実習フランス文典』改訂版(内藤濯共著、白水社) 1966
  • 『世界ことわざ名言辞典』(監修、モーリス・マルー編、島津智編訳、講談社) 1982、のち講談社学術文庫 1999(監修)
  • 『フランス文学とわたし』(大高順雄編、平凡社) 1985 : 遺稿となった回想を収録

翻訳[編集]

テオフィル・ゴーティエ[編集]

  • 『ミイラ物語』(テオフイル・ゴーティエ、白水社) 1942
  • 『キャピテン・フラカス』(テオフィル・ゴーティエ、白水社 上下) 1948、岩波文庫(上中下) 1952、復刊1986、2001
  • ボードレール論』(テオフィル・ゴーティエ、創元選書) 1948
  • 『或る夜のクレオパトラ』(ゴーティエ、斎藤書店) 1948
  • 『モーパン嬢』各・上下(テオフィル・ゴーティエ、白水社) 1949、新潮文庫 1952
  • 『廃墟の恋』(ゴーティエ、創芸社) 1953
  • 『テオフィル・ゴーチェ小説選集』(全3冊、森開社) 1976 - 限定出版(全10冊予定だった)
  • 『ミイラ物語』(ゴーティエ、国書刊行会世界幻想文学大系7) 1981
    他に「ある夜のクレオパトラ」
  • 『死霊の恋・ポンペイ夜話 他3篇』(ゴーティエ、岩波文庫) 1982
  • 『スピリット』(テオフィル・ゴーティエ、沖積舎) 1986

ギ・ド・モーパッサン[編集]

  • 『死の如く強し』(モオパッサン、創芸社、モオパッサン全集3) 1950、のち新潮文庫
  • 『山鴫物語』(モオパッサン、創芸社、モオパッサン全集10) 1950
  • 『初夜』(モーパッサン、名曲堂) 1950
  • 脂肪の塊』(モーパッサン、河出書房、世界文学全集) 1951
  • 『ベラミ』(モーパッサン、新潮文庫) 1953
  • 女の一生』(モーパッサン、河出文庫) 1955
  • 『モーパッサン全集』 第1・2・3巻(モーパッサン、春陽堂書店) 1955 :短編数編の訳

エミール・ゾラ[編集]

  • 居酒屋』(エミール・ゾラ河内清共訳、三笠文庫) 1952、のち岩波文庫(上・下) 1955
  • 『大地』全3巻(エミール・ゾラ、河内清共訳、岩波文庫) 1953
  • 『ナナ』(エミール・ゾラ、河内清共訳、岩波文庫) 1955
  • 『ごった煮』(エミール・ゾラ、角川文庫) 1958

ユイスマンス[編集]

  • 『彼方』(カルル・ユイスマン、弘文堂書房) 1940
  • 『腐爛の華 スヒーダムの聖女リドヴィナ』(ユイスマンス薔薇十字社) 1972、のち国書刊行会 1984、のち新版 1994
  • 『幻想礼賛譜 - ある幻想家の進化』(ユイスマンス、桃源社) 1975
  • 『出発 - 苦悩と高邁の神秘神学』(ユイスマンス、桃源社) 1975、のち光風社 1985
  • 『彼方 - 悪魔と神秘の人工地獄』(ユイスマンス、桃源社) 1976、のち光風社 1984、のち創元推理文庫 1975、のち改版 2002

脚注[編集]