特別警備隊 (海上保安庁)
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特別警備隊(とくべつけいびたい)は、海上保安庁における警備・治安維持部隊。海上における警備業務を主目的としており、日本の警察の機動隊に相当する[1]。略称は「特警隊」[1]。
概要
主に海上デモの規制や暴動対処、港湾や重要施設の警備を目的として創設された[2]。各管区本部の警備実施等強化巡視船に配備されており[2]、1隻につき2個小隊が編成されている。部隊としての出動・訓練時以外は、一般巡視船乗組員と同様に船舶運航・海難救助等に従事している[3]。
事件や事故の対処以外にも、警察の機動隊と同様に各種の警備任務を担任している。全国の海上や港湾において市民デモや祭礼等の催し物があれば随時出動し、交通規制やデモ規制を行い、事故や参加者の暴徒化に対する未然防止を行っている。ただし、海上保安庁は緊急車両を保有しておらず、陸地における活動にも法的な制約があるため、デモ規制には警察からの協力を要する場合がある。
なお、海上自衛隊にも同名の特別警備隊という部隊があるが、海上保安庁の特別警備隊とは任務は異なる。
装備
暴動や凶悪犯に対応するため、制圧術・逮捕術の訓練も積極的に行っている[2]。装備は警察の機動隊に準拠している。暴力団や外国の犯罪組織が関与していた場合には銃器による抵抗が懸念されるため、2000年以降、拳銃としては、装弾数が多いM5906が導入された。その他の武装は基本的に海上保安庁の標準的な装備品を用いており、64式7.62mm小銃や89式5.56mm小銃、また特殊弾発射用およびドア破砕用としてレミントンM870 マリンマグナムが装備されている[4]。
機動隊と合同訓練を行っており、港湾で暴動が発生した際には、協力して鎮圧する。
過去の対応事件
特別警備隊が対応した主な事件は以下のとおりである。
- 1983年3月21日、アメリカ海軍の原子力空母「エンタープライズ」が佐世保に入港した際、日米安保に反対する極左過激派(中核派等)による海上暴動が発生。活動家の投擲した火炎瓶等により、第七管区へ応援派遣され海上警備に従事中であった巡視船「いず」の特別警備隊員が負傷した。また、「いず」特別警備隊が乗船していた巡視艇等に対し[要出典]、活動家が乗船している漁船数隻が激しい衝突を繰り返したため、接舷移乗により、公務執行妨害容疑で活動家5名及び漁船乗組員1名を現行犯逮捕した。
- 2004年、尖閣諸島の領有権を主張する中国人活動家7名が尖閣諸島の領海内に侵入。海上保安庁の制止を振り切って魚釣島に不法上陸後、尖閣神社を破壊したため、特別警備隊が沖縄県警察の警察官とともに合同捜査を敢行し[要出典]、活動家を密入国(入管難民法違反)の現行犯で逮捕した。逮捕後、犯人らは沖縄県警察に引き渡されたが、尖閣諸島を日本固有の領土として領土問題を否認した小泉純一郎内閣の意向を受けて検察が不起訴処分を決定。犯人は処分の確定と同時に入国管理局を通じて中国へと強制送還され、事件は終結した。