無線局免許証票

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無線局免許証票(むせんきょくめんきょしょうひょう)とは、電波法に基づき無線局が免許を与えられた時に交付される無線局免許状とともに移動する無線局で総務省令 電波法施行規則(以下、「施行規則」と略す。)第38条第3項に規定するものに発給されるものである。

概要

対象

次の無線局に発給される。

ただし、

は除く。

様式

総務省告示 [2]による。

  1. 施行規則により、同一日に有効期間が満了する無線局に発給される証票
    • 縦13mm×横15mmの長方形で、「R」の字(Radioより)を図案化した枠内に、上から順に「無線局」、「免許証票」、「総務省」と記載されている。証票の地色は免許の有効期間の満了する日によって異なり、平成8年5月31日または平成9年11月30日の場合は緑色、平成10年5月31日または平成11年11月30日の場合は青色、以降、赤色、灰色、黄色、紫色となり、その次は、緑色、青色…と順番に繰り返される。文字の色は黒色である。ただし、陸上を移動する地球局であって停止中にのみ運用を行う電気通信業務用のものに発給された証票は、再免許を受けた場合は継続して使用できる。
  2. アマチュア局及びパーソナル無線を除く簡易無線局に発給される証票
    • 縦13mm×横15mmの長方形で、「R」の字を図案化した枠内に免許の有効期間満了年の下1桁を表す数字が記載され(例:有効期間満了の年が平成23年の場合、3が記載されている)、枠外の上に「無線局免許証票」、枠外の下に「総務省」と記載されている。アマチュア局の証票の場合、地色は赤色、文字は白色である。ただし、「R」の枠内は白色、数字は赤色である。簡易無線局の証票の場合、地色は白色、文字は黒色である。
  3. 上記以外の局に発給される証票
    • 縦25mm×横30mmの長方形で、「R」の字を図案化した枠内に、上から順に「無線局」、「免許証票」、「総務省」と記載され、「R」の枠外に0から9までの数字が記載されている。無線局の有効期間満了年の下一桁は、この数字の部分を切ることによって表す。証票の地色は白色で、文字は黒色である。

証票はシールになっているが、シールにすることは告示で定められていない。また、地色以外の色についても定められていない。

取扱い

証票は送信装置のある場所に備え付けなければならない。証票は、無線機の筐体に貼り付けることができる。

証票が効力を失った場合は、その無線局の免許人であった者は、速やかにその証票を再使用できないように廃棄しなければならない。

沿革

1960年(昭和35年) 郵政大臣が告示した証票を発給したときは指定の場所に貼付するもの [3] とされた。

1961年(昭和36年) 27Mc(メガサイクル、MHzに相当)帯を使用する簡易無線局(市民ラジオ)に「簡易無線局の証」が発給された。 大きさは縦2.5cm、横1.5cm。無線設備の外から見えるところに貼付するもの [4] とされた。

1967年(昭和42年) 簡易無線局の証は廃止された。事実上の制度廃止である。

1970年(昭和45年) 陸上移動局と携帯局は、常置場所に備え付ける免許状とは別に、送信装置のある場所に郵政大臣が告示した証票を備え付けること [5] となった。 大きさは縦54mm、横90mmのいわゆる名刺大である。様式は、

免許番号

有効期限
無線局免許証票

発給者は郵政省。免許が効力を失ったときは、無線局免許状と同様に1ヶ月以内に返納することとされた。

各種の事業で無線機を車載または携帯して利用することが普及し始めたが、無線局免許状はその大きさから掲示その他の取扱いが不便なものであり、一方で不法無線局も問題になりつつあった。この対策として証票が復活した形となった。

  • 車載機の場合はダッシュボード上に置き外部から見やすく掲示すること
  • 携帯機の場合は筐体を収めるケースにポケットをつけ収めるなどして掲示すること

が想定されていた。

1973年(昭和48年) 移動する簡易無線局が発給の対象 [6] になった。 この内、26MHz帯及び27MHz帯の周波数の電波を使用する簡易無線局(市民ラジオ)の様式は、

呼出名称

有効期限
無線局免許証票

と様式が2種類となった。

以後、発給の対象となる無線局は増加し、

1982年(昭和57年)  様式が

免許番号

有効期限
無線局免許証票

に一本化された。この時の対象 [7] は船上通信局、陸上移動局、携帯局、無線標定移動局(ラジオ・ブイの無線局を除く。)、移動する実験局(宇宙物体に開設するものを除く。)、移動する簡易無線局(パーソナル無線を除く。)、移動する気象援助局であった。 また、車載の場合はダッシュボード上に置き外部から見やすく掲示することが義務とされた。

1984年(昭和59年)  自動車公衆無線電話通信、沿岸無線電話通信、コードレス電話通信を行う公衆通信業務用の無線局に発給されるものの様式は、

免許番号

無線局免許証票

となり再免許されたときには返納の義務が無くなり、施行日の3月21日に発給されているものは、新様式によるものとみなされた。その他の無線局に発給するものは従前のままであり、様式が2種類となった。

  • 公衆通信業務(翌年の電気通信事業法施行後は電気通信業務)用のものから有効期限の表示が削除されたことになる。

1990年(平成2年) 告示が全面改正 [8] され、小形化、シール状になるなど様式、取扱いが大きく変更した。施行は翌年の6月1日。

  • 技術の進歩により携帯機などには従来の証票でも大きすぎるものとなり、前年には特定小電力無線局が法制化され免許を要しない無線局も増加し、対外的に免許の存在を示すものという意義が低下した。そこで、もっぱら免許の有効期限を管理するためのものに特化したこととなった。

1992年(平成4年) 人工衛星に開設するもの以外の移動するアマチュア局が対象 [9] となり様式が新規制定され3種類となった。

1994年(平成6年) 平成6年郵政省告示第76号が告示された。以後はこの告示の一部改正による。

電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局は対象外 [10] となった。

2000年(平成12年) 中央省庁再編に伴い表示の「郵政省」が「総務省」となった。施行は翌年の1月6日。

2006年(平成18年) パーソナル無線以外の移動する簡易無線に対する様式が、アマチュア局に対するものと同様の様式に変更となった。施行は翌年の4月1日。

2009年(平成21年) アルゴスシステムの実験試験局は対象外となった。

脚注

  1. ^ 平成21年総務省告示第324号 電波法施行規則第38条第3項ただし書の規定に基づく証票を備え付けることを要しない無線局(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
  2. ^ 平成6年郵政省告示第76号 電波法施行規則第38条第3項の規定に基づく総務大臣又は総合通信局長が発給する証票の様式等 (同上)
  3. ^ 昭和35年郵政省令第8号による施行規則改正
  4. ^ 昭和36年郵政省告示第516号
  5. ^ 昭和45年郵政省令第29号による施行規則改正
  6. ^ 昭和48年郵政省令第14号による施行規則改正
  7. ^ 昭和57年郵政省令第61号による施行規則改正
  8. ^ 平成2年郵政省告示第720号 電波法施行規則第38条第3項の規定により地方電気通信監理局長(沖縄郵政管理事務所長を含む。)が発給する証票等の様式を定める件制定
  9. ^ 平成4年郵政省令第53号による施行規則改正
  10. ^ 平成6年郵政省告示第301号により平成6年郵政省告示76号改正