濱野智史

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濱野 智史
人物情報
生誕 (1980-08-08) 1980年8月8日(43歳)
出身校 慶應義塾大学(学士、修士)
学問
研究分野 情報社会学社会思想
主要な作品 『アーキテクチャの生態系』
(第25回(2009年)テレコム社会科学賞)
影響を
受けた人物
東浩紀宮台真司ローレンス・レッシグなど
影響を
与えた人物
宇野常寛黒瀬陽平小林よしのり福嶋亮大
公式サイト
https://shamano.hatenadiary.org/
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濱野 智史(はまの さとし、1980年8月8日 - )は、日本社会学者、批評家、元アイドルプロデューサー[1]

専攻は情報社会論メディア論インターネットコミュニティ情報環境など。

人物[編集]

東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2005年より国際大学GLOCOM研究員。2006年より株式会社日本技芸リサーチャー。2011年から千葉商科大学商経学部非常勤講師[2]

インターネットコミュニティの研究を専門としており、大学院在学中の2004年東浩紀主催のメールマガジン「波状言論」に「アメリカのblog・日本の2ちゃんねる―テキストサイトの現在 (3)」を発表しデビュー。

その後、ised@glocomのスタッフを務め、2008年NTT出版より著書『アーキテクチャの生態系』を上梓した。同書ではミクシィツイッターセカンドライフ2ちゃんねるなどの様々なネットサービスに触れながらそれらをアーキテクチャという観点から分析し、第25回テレコム社会科学賞を受賞した[3]ニコニコ動画の動画やケータイ小説といったコンテンツについての考察(N次創作、操作ログ的リアリズムなど)も行われ、それらは大塚英志の物語消費論や東のデータベース消費論を発展させた議論といえる[4]

造語[編集]

N次創作
起点となるコンテンツを構成要素としてその派生作品を制作することを二次創作というが、それに続いて二次創作された作品を構成要素としてその派生作品が作られ、さらにそれが構成要素となり…という連鎖が続いていくことをN次創作と呼ぶ。動画投稿サイトのニコニコ動画で顕著に見られる[5]
操作ログ的リアリズム
ケータイ小説の『恋空』において、作品中に埋めこまれた「登場人物が行う携帯電話の操作ログの集積」が、(近代文学とは異なる形で)リアリティを担保しているという議論[注 1]
キャラクラシー(キャラクター民主制)
ネット空間の匿名的集合知を政治の場に生かす新しい民主政治のあり方として、通常のように生身の身体を持った人間を政治家にするよりも、インターネット上での有志の協議によって作成された公約を持った何らかの虚構のキャラクター(例えば初音ミク)を選挙に出馬させて政治に参加させた方がよいという構想・思考実験のこと[6]

アイドル[編集]

2011年夏頃から、宇野常寛小林よしのり中森明夫らの影響によりアイドルグループAKB48(およびそのメンバーである島崎遥香)のファンとなり[7][8]、同一CDを数十枚単位で購入するほどに至っている[9]。以降、彼らとともにAKB48について評論した『AKB48白熱論争』やAKB48と宗教の関係について論じた『前田敦子はキリストを超えた 宗教としてのAKB48』を出版するなど、アイドルに関する論評を行っている。

AKB評論家の中でも宇野と並び指原莉乃を擁護する意見を言う『親指原』としても知られている[要出典]

2014年6月に「アイドルを作るアイドル」をコンセプトとしたアイドルグループPlatonics Idol Platform (PIP)」を結成し、プロデューサーとして活動する[10][11]

2015年9月に登壇したトークイベントで、「アイドルって糞だなーってわかったんで」「辞めていったメンバーは本当にバカだと思う」と発言、またニコ生で「在宅は死ね」と発言し炎上を招いた[12]

2016年2月28日、PIPは定期公演を最後に山下緑以外の全員のメンバーが卒業[12]

2017年2月11日に配信されたニコニコ生放送の番組『濱野智史の告解と懺悔--PIPとは何だったのか』で「アイドルはもちろんクソなんかじゃありません。僕がクソなだけです」と謝罪した[13]

出演[編集]

  • NEWS WEB第2期生(水曜日 2013年度)

著書[編集]

  • 『アーキテクチャの生態系 情報環境はいかに設計されてきたか』NTT出版 2008年10月。ちくま文庫 2015年7月。ISBN 978-4480431837
  • 前田敦子はキリストを超えた 宗教としてのAKB48』ちくま新書、2012年12月。ISBN 978-4480067005

共編著[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 詳細は恋空#評価を参照。

出典[編集]

  1. ^ 社会学者・濱野智史、アイドルグループのプロデュースは”辛かった”」ABEMA TIMES2018年2月7日
  2. ^ 濱野 智史(はまの さとし)”. 2019年5月7日閲覧。
  3. ^ 電気通信普及財団賞(テレコム社会科学賞)受賞論文 - 歴代受賞者一覧
  4. ^ 円堂都司昭『ゼロ年代の論点 ウェブ・郊外・カルチャー』ソフトバンククリエイティブ、2011年、30-31頁。
  5. ^ 濱野智史「ニコニコ動画の生成力」『思想地図 (vol.2) 特集・ジェネレーション』日本放送出版協会2008年、319頁。ISBN 978-4140093412
  6. ^ 濱野智史・宇野常寛『希望論-2010年代の文化と社会』NHK出版2012年、164頁。ISBN 978-4140911716
  7. ^ 『前田敦子はキリストを超えた 宗教としてのAKB48』124頁。
  8. ^ 濱野智史「あとがき1」『AKB48白熱論争』幻冬舎、2012年、253頁。ISBN 978-4344982734
  9. ^ 宇野常寛・小林よしのり・中森明夫・濱野智史『AKB48白熱論争』18頁。
  10. ^ “濱野智史プロデュース「PIP」が目指すものは? インディペンデント・アイドルの可能性を探る”. リアルサウンド. (2014年6月17日). https://realsound.jp/2014/06/post-715.html 2023年2月5日閲覧。 
  11. ^ アイドル業界、運営側とメンバーのトラブル頻発で縮小…崩壊寸前グループ、奇跡の物語始動」Business Journal2015年9月26日
  12. ^ a b 「PIP」事実上の解散か 濱野智史プロデュースのアイドルグループ」KAI-YOU.net2016年1月25日
  13. ^ 「アイドルはクソ」発言で大炎上した濱野智史が「僕がクソ」と涙の公開生謝罪…アイドル共産党宣言とは何だったのか」LITERA/リテラ2017年2月17日

外部リンク[編集]