温根沼

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温根沼
所在地 北海道根室市
温根沼の位置(日本内)
温根沼
位置 北緯43度15分 東経145度31分 / 北緯43.250度 東経145.517度 / 43.250; 145.517座標: 北緯43度15分 東経145度31分 / 北緯43.250度 東経145.517度 / 43.250; 145.517
面積 5.72[1] km2
周囲長 15 km
最大水深 7.3 m
淡水・汽水 汽水
プロジェクト 地形
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温根沼(おんねとう)は、北海道根室市根室半島の付け根にあるである。野付風蓮道立自然公園に含まれ、2001年平成13年)には日本の重要湿地500に選出されている[2]

地理

温根沼北部、水底の澪筋が空中からも確認出来る。
1978年の国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

北海道東部根室振興局・根室半島の付け根に位置する。西隣にある風蓮湖と同様の汽水湖で直接根室湾に面しており、風蓮湖とともに縄文海進によって形成された海跡湖と考えられている[3]。主な流入河川はオンネベツ川。湖底には最大流入河川のオンネベツ川から続く周辺より深い澪筋(最深部は7.3メートル)が根室湾まで続いており[4]、澪筋以外は全体的に平坦で最深部でも1.8メートルほどしかない[4]。干潮時には沼の北東半分が干潟となり[5]アサリホッキガイが取れる潮干狩りスポットとなっている[6]

周辺はアカエゾマツの森林が多く残る丘陵地で[7][8][9]、北岸には1954年昭和29年)に「温根沼式土器」が発掘されたことから標識遺跡とされている関江谷竪穴群[9](温根沼貝塚とも呼ばれ、縄文時代貝塚竪穴式住居擦文時代の竪穴式住居などが検出されている[10])がある。

生物相

澪筋と北部浅部を除く大部分にアマモコアマモが分布し、藻場を形成している。干潟にはキタユムシアナジャコキタイソメなどが多く生息しており[5]、アサリやカキホッカイシマエビなどの漁場または養殖場ともなっている。干潟の後背地にはハマニンニクシバナハマルリソウウミミドリハマオグルマツルキンバイなどの植生が見られる[5]オオハクチョウタンチョウの飛来地としても知られており[11]、タンチョウやシマフクロウエゾライチョウなどについてここでの繁殖が確認されている[11][12]

ヒグマ溺死事件

2000年8月23日カレイ漁の刺し網にかかって溺死しているヒグマが発見された。温根沼は周囲約15キロメートルの汽水湖で、干潮時には沖合まで砂州が開け、アサリホッキガイなどが豊富に採れることで知られている[13][14]。温根沼にはオンネベツ川が流入してくる他に海水も入ってくるため、カレイなどの漁も行われていた[14]

2000年8月23日の早朝、地元のカレイ刺し網漁船船長の男性(当時49歳)は、仕掛けた網の様子を見まわっていた。午前7時頃、男性は岸から約50メートル沖に仕掛けておいた網の一つから「手」が突き出ているのを発見した。男性がその網を引き揚げてみたところ、カレイならぬ「ヒグマ」が網にかかっていた[14][15][16]

届け出を受けた根室警察署が調べたところ、ヒグマは推定年齢2-3歳の若いオスの個体で、体長は137センチメートル、体重は約150キログラムあり、すでに溺死していた[14]。地元の漁師の話によると、漁網にクジラや人がかかることがあっても「クマ」がかかったのは初めてだったという[16][17]。刺し網にはかかったカレイを食いちぎった痕跡が見受けられ、このヒグマは干潮時にカレイを盗み食いに現れて網に絡まってしまい満潮になって溺れたか、魚を捕っているうちに深みにはまって流されてしまったものと推定された[14][17]。この事件は、テレビや新聞などで全国的に報道された[14][15][16]。ヒグマはその後剥製にされて、根室市が保管している[18]

交通

沼の北の流出部には1995年に完成した国道44号の全長141mの温根沼大橋がかかっており、橋の根室側に駐車場がある。

出典

  1. ^ 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積” (PDF). 2015年3月7日閲覧。
  2. ^ 風蓮湖・春国岱・温根沼および周辺湿原群”. 環境省 インターネット自然研究所. 2013年10月21日閲覧。
  3. ^ 第13回特別展名古屋大学博物館・南山大学人類学博物館合同企画「縄文のタイムカプセル─貝塚─」の記録”. 新見倫子 (2011年4月26日). 2013年10月21日閲覧。
  4. ^ a b 湖沼湿原調査「風蓮湖周辺及び温根沼地区」の成果の概要”. 国土地理院 (2011年1月25日). 2013年10月21日閲覧。
  5. ^ a b c 第7回自然環境保全基礎調査 海域生物環境調査報告書(干潟、藻場、サンゴ礁調査)第1巻 干潟”. 環境省自然環境局 生物多様性センター (2007年9月14日). 2013年10月21日閲覧。
  6. ^ 【景観】温根沼(おんねとう)”. ぐうたび. 2013年10月23日閲覧。
  7. ^ 生物多様性保全のための国土区分(試案)及び区域ごとの重要地域情報(試案)について - 重要地域(群集)”. 環境省 (1998年1月14日). 2013年10月21日閲覧。
  8. ^ 根室支庁データベース表示システム 温根沼”. 北海道根室振興局. 2013年10月21日閲覧。
  9. ^ a b 根室市 関江谷竪穴群”. 北海道教育委員会. 2013年10月21日閲覧。
  10. ^ 根室市 関江谷1竪穴群”. 北海道教育委員会. 2013年10月21日閲覧。
  11. ^ a b 北海道自然保全指針”. 北海道立総合研究機構 環境・地質研究本部 環境科学研究センター (2003年2月28日). 2013年10月23日閲覧。
  12. ^ おすすめ自然七景 温根沼”. 根室市役所. 2013年10月23日閲覧。
  13. ^ 根室見所情報室 根室十景・温根沼 2011年6月12日閲覧。
  14. ^ a b c d e f 2000年8月24日(木)あわれヒグマ おぼれて漁網に? 北海道根室市 2000年8月24日 - 中日新聞(CHUNICHI Web) インターネットアーカイブ、2011年6月11日閲覧。
  15. ^ a b 根室市役所 広報ねむろ(平成12年12月)photoマップ 2011年6月12日閲覧。
  16. ^ a b c 2000-8-24 刺し網にヒグマ 根室 2011年6月12日閲覧。
  17. ^ a b 根室2000 2011年6月12日閲覧。
  18. ^ 広報ねむろ 平成15年11月号 学芸員日誌 2011年6月12日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク