渋谷駅駅員銃撃事件

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渋谷駅駅員銃撃事件(しぶやえき えきいんじゅうげきじけん)とは、2004年6月23日渋谷駅東京渋谷)で発生した強盗事件[1]ラッシュアワーの時間帯に発生したこともあり、駅の内外がパニック状態となった[2]

概要

2004年6月23日午前8時45分頃、東京メトロ半蔵門線東急田園都市線渋谷駅で、夜勤明けの東京メトロ渋谷駅駅員が事務所へ戻る途中、拳銃による銃撃を受け、に持っていた洗面道具が入った袋を奪われた[1]。後に出頭した容疑者の男Kによれば、売上金の強奪をねらって待ち伏せていたところに袋を持った被害者が通りかかったことから、現金の運搬役と誤解し、駅員を銃撃するに至ったという。Kは、後述の事件を含めて強盗殺人・同未遂・銃刀法違反・建造物侵入強盗未遂・放火未遂罪で起訴された。

他の事件

また、Kは今回の事件の他にも事件を起こしていることが発覚した。

東京駅放火未遂事件
2004年5月6日JR東京駅の地下3階の機械室に灯油をまいてライターで放火しようとした事件。
横浜中華街料理店主射殺事件
2004年5月29日横浜中華料理店経営者を経営者宅前で射殺し、現金を奪った事件。

裁判経過

2006年4月17日東京地裁は事件後出頭したことを自首と認めるなどとして無期懲役判決を言い渡した。

2007年4月25日東京高裁は渋谷駅の被害者が大きな後遺症を負っていること、自首した事由を酌む程度には限度があることなどから東京地裁の判決を破棄し、死刑判決を言い渡した。

2011年3月1日最高裁は、関連した「横浜・中華街の料理店主射殺」も含め、「至近距離から発砲するなど、いずれも確定的殺意に基づいており冷酷で残忍」として上告棄却、これによりKの死刑が確定した[3]。死亡者が1人の事案で加害者殺人前科がなく、身代金誘拐でない場合において死刑を言い渡すケースは現在までのところ特に例外的な事例である。

また、1人だけを殺害した殺人犯に対しては身代金目的誘拐ではなく、殺人の前科がない場合は死刑判決を回避する傾向が長らく続いてきたが、近年は厳罰化の世論の影響で、身代金目的誘拐以外で殺人の前科がなく被害者が1人であっても死刑判決が確定されるケースが見られるようになった(三島女子短大生焼殺事件奈良小1女児殺害事件闇サイト殺人事件、横浜中華街店主射殺事件)。また、地下鉄サリン事件横山真人は自身が散布した車両では1人の死者も出さなかったが、サリン散布計画の内容全体を熟知し関与したことを裁判所は重視して、地下鉄サリン事件全体の関与者の1人として殺人罪が適用されて死刑が確定している。

犯人のその後

Kは「奈落 ピストル強盗殺人犯の手記」を出版している。

2013年9月12日東京拘置所でKの死刑が執行された[4]

その他

事件当時、半蔵門線・田園都市線渋谷駅は東京メトロ管轄駅であったが、2007年12月2日より東急管轄駅へと移管されている。

出典

以下の出典において、死刑囚の実名が使われている場合、この箇所をイニシャルとする

  1. ^ a b “渋谷駅で発砲、駅員重傷”. 朝日新聞(夕刊) (朝日新聞社): p. 1. (2004年6月23日) 
  2. ^ “通勤客ら、逃げ惑う”. 日本経済新聞(夕刊) (日本経済新聞社): p. 23(社会). (2004年6月23日) 
  3. ^ “K被告の死刑確定へ 横浜中華街店主射殺”. 日本経済新聞. (2011年3月2日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0103D_R00C11A3CC1000/ 
  4. ^ “法相「慎重な検討を加えた上で命令」 1人に死刑執行”. 日本経済新聞. (2013年9月12日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1201G_S3A910C1CC0000/ 

関連書籍

K・菅野国春 『奈落 ピストル強盗殺人犯の手記』 展望社 2006年