流動体について

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流動体について
小沢健二シングル
初出アルバム『So kakkoii 宇宙
B面 神秘的
リリース
ジャンル J-POP
時間
レーベル Virgin Music
作詞・作曲 小沢健二
プロデュース 小沢健二
チャート最高順位
小沢健二 シングル 年表
  • 流動体について
  • (2017年)
So kakkoii 宇宙 収録曲
彗星
(1)
流動体について
(2)
フクロウの声が聞こえる (魔法的オリジナル)
(3)


アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)
(6)
神秘的
(7)
高い塔
(8)
ミュージックビデオ
「流動体について (Lyric Video)」 - YouTube
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流動体について」(りゅうどうたいについて)は、日本シンガーソングライター小沢健二の楽曲。彼の19作目のシングルとして、2017年2月22日にVirgin Musicから発売された。シングルとしては2010年に配信された『シッカショ節』以来6年半ぶり、CD作品では1998年『春にして君を想う』以来19年ぶりであり[1]、初のマキシシングルである。「流動体について」は、2016年に行われた全国ツアー『魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ』で披露された新曲のうちの1曲である[2]。発売に関する告知は前日2月21日の公式サイトで行われた[3]

背景[編集]

2017年2月20日、ポップカルチャー・ニュースサイト音楽ナタリー内の特設ページで開催されたウェブイベント「小沢健二AMA 私の並行世界」で、1998年以来19年ぶりのシングル「流動体について」の発売が発表された。同年2月21日、朝日新聞朝刊に全面広告「言葉は都市を変えていく」が掲載される。本人デザインによる巨大な新聞広告であり、「流動体について」「神秘的」の歌詞や発売記念モノローグ連作が掲載されている。2月26日、その全文がオフィシャルサイトで公開された[4][5]

評価[編集]

音楽評論家の宗像明将はニュースサイト「リアルサウンド」内のコラムにて、本楽曲の音楽性を「服部隆之によるストリングス・アレンジが鮮やかで、パーカッションの音色も一癖あるものになっているため、1990年代の小沢健二までしか聴いていなかった人々でも受け入れられるものだろう」と述べ、2002年の『Eclectic』や2006年の『Ecology of Everyday Life 毎日の環境学』といった1990年代の方向性とは異なるアルバムの収録曲よりもポピュラー音楽寄りであると評した[6]。宗像は歌詞の内容について、「前半は小沢自身を思わせる内容だが、後半は2011年から2012年に小沢が公式ウェブサイト『ひふみよ』の「読み物」コーナーで掲載したテキスト類を連想させる内容であり、歌詞の中で主人公が自分自身に問いかけているように、小沢も利き手に問いかけているように感じた」と述べ、「多層的な構造の歌詞を、聞き心地の良いポップスとして成立させたところがすごい」と評した[6]

チャート成績[編集]

Billboard JAPANの総合チャートJapan Hot 100では、『ミュージックステーション』出演や新聞出稿などのメディア露出も効果を上げて、ラジオ6位、シングル3位、ルックアップ5位、Twitter14位となり、2017年3月6日付けで初登場5位。セールス・チャートTop Singles Salesでは初登場3位[7][8]

オリコンチャートでは、2017年3月6日付けの週間チャートで初登場2位。1995年発売の『カローラIIにのって』と並び、シングル自己最高タイ記録となった。また、シングルトップ10入りは、1996年10月14日付けで『大人になれば』が7位を記録して以来、20年5か月ぶり。男性ソロアーティストによるシングルトップ10入りのブランク期間の長さは、北島三郎(40年半ぶり)、山本譲二(29年2か月ぶり)、五木ひろし(21年7か月ぶり)に次ぐ4番目となる[9]

ミュージック・ビデオ[編集]

「流動体について」のミュージック・ビデオの監督は「さよならなんて云えないよ」など、小沢の様々なミュージックビデオを手掛けてきたタケイグッドマンが務めた。ビデオはドキュメンタリー風であり、歌詞に登場する「並行する世界」を体現したような映像になっている。テレビ番組の収録リハーサルに臨む小沢の様子や、よゐこ有野晋哉でんぱ組.inc夢眠ねむHALCALIのHALCAといった著名人や一般人など様々な人々が楽曲の一部を口ずさむ様子などで構成されている[10]。現在、このミュージック・ビデオは非公開となっている。

2018年8月31日に本作と「シナモン (都市と家庭)」「強い気持ち・強い愛」のリリックビデオが同時公開された[11]

ライブ・パフォーマンス[編集]

タイトル曲「流動体について」は、2016年5月から6月にかけて行われた全国ツアー「魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」で披露された[12]テレビ朝日系列の音楽番組ミュージックステーション』(2017年2月24日放送回)に約20年ぶりに出演し、「流動体について」と代表曲「ぼくらが旅に出る理由」を歌唱。歌唱前のタモリとのトークでは、フジロックフェスティバルへの出演をサプライズ発表した[13]日本テレビ系『スッキリ!!』(同年3月1日放送回)に出演し、生披露[14]

カップリングの「神秘的」は、2012年に東京東京オペラシティで行われたコンサート「東京の街が奏でる」で演奏された[12]

テレビ出演[編集]

収録曲[編集]

全作詞・作曲・編曲: 小沢健二。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「流動体について」(ストリングス・アレンジ:服部隆之)小沢健二小沢健二
2.「神秘的」(ストリングス・カルテット&ヴォーカル・オーヴァー・ダブズ・アレンジ:服部隆之)小沢健二小沢健二
3.「流動体について (instrumental)」小沢健二小沢健二
4.「神秘的 (instrumental)」小沢健二小沢健二
合計時間:

パーソネル[編集]

神秘的

脚注[編集]

  1. ^ “小沢健二が19年ぶりシングルを明日発売、「Mステ」ほかテレビ出演も”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2017年2月21日). https://natalie.mu/music/news/221571 2017年2月24日閲覧。 
  2. ^ “小沢健二、新曲満載の全国ツアー開幕!美術館ライブ×2も発表”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2016年5月25日). https://natalie.mu/music/news/188541 2018年1月27日閲覧。 
  3. ^ 2月22日(水)19年ぶりニュー・シングル「流動体について」発売決定!”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2017年2月21日). 2017年2月24日閲覧。
  4. ^ “小沢健二、19年ぶりシングル!最近気になるのはcero、neco眠る、かまってちゃん、ぼくりり?Mステ、NEWS ZERO、スッキリ!!にも出演”. Qetic. (2017年2月21日). https://qetic.jp/music/ozawakenji-170221/235922/ 2017年3月12日閲覧。 
  5. ^ 小沢健二、新聞掲載全面広告が全文WEB公開!NHK-FMクラシック番組への出演も”. Qetic (2017年2月26日). 2017年3月12日閲覧。
  6. ^ a b 宗像明将 (2017年3月5日). “宗像明将のチャート一刀両断! 小沢健二『流動体について』の歌詞は何を伝える? 宗像明将が“多層的な構造”を読む”. リアルサウンド. 株式会社blueprant. 2017年3月12日閲覧。
  7. ^ “Hey!Say!JUMP「OVER THE TOP」28.3万枚セールスでJAPAN HOT100総合首位 19年ぶりのオザケンは総合5位に”. Billboard JAPAN (阪神コンテンツリンク). (2017年3月6日). https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/48164/2 2017年3月9日閲覧。 
  8. ^ “Hey! Say! JUMP『OVER THE TOP』283,090枚を売り上げシングル・セールス1位、オザケンは3位まで順位アップ”. Billboard JAPAN (阪神コンテンツリンク). (2017年3月6日). https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/48063/2 2017年3月9日閲覧。 
  9. ^ 【オリコン】小沢健二、20年半ぶりTOP10”. オリコン (2017年2月28日). 2017年3月12日閲覧。
  10. ^ 小沢健二「流動体について」MVに有野晋哉、夢眠ねむ、HALCA登場”. 音楽ナタリー (2017年3月7日). 2017年3月12日閲覧。
  11. ^ “小沢健二リリックビデオ“Official 魔法的字幕”、3曲同時公開”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2018年8月31日). https://www.barks.jp/news/?id=1000159289 2019年10月13日閲覧。 
  12. ^ a b 小沢健二が19年ぶりシングルを明日発売、「Mステ」ほかテレビ出演も”. 株式会社ナターシャ (2017年2月21日). 2017年3月12日閲覧。
  13. ^ 小沢健二、20年ぶりMステ歌唱 「フジロック出演」サプライズ発表”. オリコン (2017年2月24日). 2017年3月12日閲覧。
  14. ^ 小沢健二、米国に渡った理由語る「出る出る出す出す…無理だった」”. デイリースポーツ (2017年3月1日). 2017年3月12日閲覧。
  15. ^ “RADWIMPSが「Mステ」出演のために新曲制作、小沢健二らはリモート出演”. 音楽ナタリー. (2020年5月7日). https://natalie.mu/music/news/378102 2020年5月9日閲覧。 
  16. ^ Ozawa Kenji 小沢健二 [@iamOzawaKenji] (2020年5月8日). "さっき #Mステ でこんな朗読をしました。". X(旧Twitter)より2020年5月9日閲覧
  17. ^ 小沢健二 流動体について うちからうちへ Music Station 見逃した方に! -りーりーのTシャツはガリガリ君です。 -ギターは24年前にタモリさんの前で弾き語りしたのと同じ物です。 #小沢健二 #ozkn”. Instagram (2020年5月8日). 2020年5月9日閲覧。

外部リンク[編集]