江戸を斬る 梓右近隠密帳

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江戸を斬る 梓右近隠密帳
ジャンル 時代劇
ドラマ
制作 C.A.L
放送局 TBS
放送期間 1973年9月24日 - 1974年3月25日
話数 全26話
テンプレート - ノート

江戸を斬る 梓右近隠密帳』(えどをきる あずさうこんおんみつちょう)は、1973年9月24日から1974年3月25日まで、TBS系で毎週月曜20:00 - 20:55(JST)の『ナショナル劇場(後にパナソニック ドラマシアター→現在の月曜ミステリーシアター)』で放送された時代劇のタイトル。本項では、『江戸を斬る』シリーズの中から、竹脇無我が主演した第1部について説明する。なお、第2部以後は江戸町奉行遠山金四郎の物語となり、本作の世界観とのつながりはない。

概要

徳川家光の異母弟、梓右近(竹脇無我)を主人公とする時代劇。また右近は保科正之の双子の弟との設定もなされている。右近は、普段は浪人暮らし(瓦版づくりや荷運びなど)をしているが、必要な場合は、家光より渡された懐剣で身分を明かす(「『水戸黄門』の印籠」と同様の効果)。松坂慶子が柳生奈美(柳生十兵衛の妹)役で出演している。松坂はその後第2部~第6部でヒロインを演じている。第1部を通した宿敵として、成田三樹夫演ずる由井正雪が登場する。講談・史実(『鍵屋の辻の決闘』の荒木又右衛門八百屋お七)などで著名な人物・事件が各エピソードに取り入れられ[1]、その背後で由井正雪が暗躍しているとの設定でストーリーが展開される。同シリーズ第1部のみ、音楽は山下毅雄が担当している。第1部に主題歌は存在せずメインテーマのみで『大岡越前』(山下が第1部より音楽を担当)第14部第16回「兄が願った妹の幸せ」の劇中BGMに流用されているほか、他の劇中BGMも『大岡越前』第4部以降に流用されている。なお、「ねがい」は第2部以降の主題歌であり、作曲は第2部以降同シリーズの音楽を担当したいずみたくである。また逆に『大岡越前』メインテーマも、第5回「和蘭陀囃子の謎」の劇中BGM(オルゴール音)として流用されている。同シリーズの第1作目であるが、第2部以降は、設定が一新されたため、本作の続編は製作されていない。1990年代以降の再放送では所々音声が途切れたりや場面の切り替わりが一部不自然な部分がある。2010年代以降は2012年ごろBS-TBSにて再放送、TBSチャンネルでは2015年1月29日より再放送が行われた。TBSチャンネルのCMでは「これが初放送である」との旨の宣伝が行われた。2016年4月5日から、BS-TBSでさらに再放送されている。

出演

梓右近 - 竹脇無我
保科正之の双子の弟。本来ならば、双子のため忌み嫌われ『畜生腹』として始末されそうになるが、大久保彦左衛門に助けられ市井で生活する。家光より、徳川重大の宝刀『葵の御紋入りの懐刀』を拝領し、隠密として諸悪に立ち向かうべく活動する。
剣術に通じ、十兵衛、荒木又右衛門とは柳生新陰流の同門。
保科正之 - 竹脇無我(二役)
右近の双子の兄で会津藩主。時には右近の依頼により、家光へ直言もする。
柳生奈美 - 松坂慶子
宗矩の娘であり、十兵衛の妹。右近を慕っている。右近の活動を補佐する。右近の正体を知る一人。
葵小僧新助 - 松山英太郎
義賊。普段は行商人。元は長崎・海産物屋『但馬屋』の家人。右近に捕縛されたが命拾いし、以降は右近の活動を補佐する。太助の兄。
一心太助 - 松山省二(現・松山政路)
魚屋。彦左衛門の一の子分。新助の弟。
お艶 - 鮎川いずみ
芸者。 元は長崎・海産物屋『但馬屋』の娘。右近を慕っている。時折、間者として右近の活動を助ける。
小夜 - 榊原るみ
長兵衛の娘で、父と同じ目明しとして働く。お転婆な性格で右近を慕っている。
仏の長兵衛 - 大坂志郎
目明し。人情派の為「」とあだ名される。
右近を気に入っており、その正体を知る前は、右近に目明しの株を与えて、娘(小夜)と結婚させ跡継ぎにしようと思っていた。
柳生十兵衛 - 若林豪[2]
右近とは同門で旧知の仲。正雪の動静を探っている。右近の正体を知る一人。
松平伊豆守 - 神山繁
幕府老中。別名『知恵伊豆』と呼ばれるほど有能な人物。浪人同様に頼宣や忠長も力ずくで追い込もうとする武断派であり、そのため大目付の柳生とは対立することもあった。
徳川家光 - 長谷川哲夫
徳川将軍(三代目)。右近、保科正之の兄。
がってん竹 - 高橋元太郎
長兵衛の部下。小夜にも使われている。
金井半兵衛 - 川辺久造
正雪の配下。正雪や戸右衛門らと共に逃亡するも大阪で捕らえられる。
林戸右衛門 - 伊吹総太朗
正雪の配下。物事を独断で決することも多いため、時折、正雪や半兵衛から窘められる。挙兵に失敗し逃走するも右近に斬られた。
笹尾喜内 - 牟田悌三
大久保家の用人。無謀な主人を心配する場面もある。
由井正雪 - 成田三樹夫
幕府転覆を企む。深慮遠謀の持ち主。右近に捕まりそうになった配下の者は必ず暗殺し、なかなか尻尾をつかませなかった。挙兵に失敗し逃走するも自害。
のっそり松 - 浅若芳太郎
長兵衛の部下。小夜にも使われている。
お仲 - 津山登志子[2]
太助の女房。彦左衛門宅に奉公している。
石谷十蔵貞清 - 中村竹弥
北町奉行。右近の正体を知らされている。正雪の画策で窮地に陥ることもあった。
本多正純 - 葉山良二
かつての幕府重臣。正雪と組み、家光暗殺を謀るも阻止され、右近に斬られる。
徳川頼宣 - 江原真二郎
紀州藩主。反家光の急先鋒で、正雪を支援するが自身を諫めるため付家老の安藤帯刀が自害したことにより正雪との関係を断ち切って紀州に帰っていく。
柳生但馬守 - 志村喬
幕府大目付。十兵衛と奈美の父。右近の剣術の師でもある。
丸橋忠弥 - 加東大介
槍の名人で、道場を開いていた。心優しい人物で、右近とも仲が良い。
妻の治療に関して正雪から恩を受けたため、やむなく正雪の配下となる。そのため、正雪に盲目的に従っているわけではなく、第15話で笹野権三郎を手助けするなど右近に同調することもあった。挙兵に失敗し正雪を逃がすため、殿を引き受け、右近の説得を振り切り炎に投ずる。
大久保彦左衛門 - 片岡千恵蔵(特別出演)
天下の御意見番。右近の正体を知る一人。旗本衆の総大将として右近を手助けし、逆に助けられることもあった。

放映リスト

話数 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト 放送日
1 江戸を斬る 葉村彰子 山内鉄也 三田村外記:小林勝彦、田島源兵衛:五味竜太郎、お類:本山可久子、戸田家の家臣:中村錦司 1973年9月24日
2 将軍の密使 お直:大森不二香、田島屋八右衛門:永井秀明、千太:平沢彰 10月1日
3 天下の一大事 川添丹波守:滝田裕介、兵頭内記:稲葉義男、お紋:二本柳俊衣、水俣軍太夫:小田部通麿、興津源兵衛:外山高士 10月8日
4 忠弥 槍の別れ 三浦孫太郎:森次晃嗣、美津:金井由美、お類:本山可久子、お高:露原千草、工藤右馬介:高森玄、大河原左源太:柳生博、平川泰次郎:原田清人、高木嘉右衛門:北原義郎、戸賀崎将監:永野達雄、吉田法玄:岩田直二、武蔵屋:市川男女之助 10月15日
5 和蘭陀囃子の謎 さわさかえ 小沢茂弘 淡路屋政五郎:内田朝雄、但馬屋嘉兵衛:美川陽一郎、又蔵:江幡高志、丸茂平八:中井啓輔、馬淵源八郎:波田久夫 10月22日
6 曲垣流霞隠れ 葉村彰子 山内鉄也 曲垣平九郎:中丸忠雄、向井蔵人:村井国夫、大坪玄蕃:山本麟一、石渡藤造:五味竜太郎、見聞役:中村錦司 10月29日
7 二人葵小僧 山内鉄也 村越兵衛:南原宏治、嘉平:平井昌一阿部対馬守堀雄二、馬場和泉守:幸田宗丸土井遠江守永田光男、藤三:山本一郎 11月5日
8 喜内のにわか彦左 葉村彰子 内出好吉 袴田又十郎:福田豊土、落合権九郎:松本克平、大草壱岐守:宇佐美淳也、お節:沢久美子、角谷平馬:竜崎勝、後藤半右衛門:横森久、坂巻小平太:須藤健 11月12日
9 決闘鍵屋の辻 宮川一郎 小沢茂弘 荒木又右衛門夏八木勲、河合又五郎:中田博久、渡辺靭負:加賀邦男阿部四郎五郎川合伸旺池田宮内大輔高野真二、近藤登之助:中村孝雄、渡辺数馬:小川真司、彦坂源七:森章二藤堂高次不破潤、お谷:佃和美、落合段十郎:国一太郎 11月19日
10 辻斬り将軍 内出好吉 紀伊頼宣江原真二郎、川瀬平八郎:柳生博、水谷長八郎:城所英夫土井大炊頭水島道太郎 11月26日
11 小坊主剣客 大西信行 山内鉄也 田宮坊太郎:長田伸二、つじ:月丘千秋、大谷段右衛門:田島義文、堀源太左衛門:深江章喜、赤川治助:内田稔生駒将監東大二朗 12月3日
12 浪人非情 津田幸夫 内出好吉 木塚弥九郎:大山克巳、志乃:八木孝子、遠州屋藤蔵:神田隆、番頭義助:有川正治 12月10日
13 巷談・八百屋お七 さわさかえ 筆頭与力:高橋悦史、生田吉三郎:太田博之、お七:村地弘美、了雲房(朝倉典膳):藤岡重慶、市左衛門:浜田寅彦、徳三:岡部征純 12月17日
14 忠長卿謀叛 稲垣俊 山内鉄也 駿河大納言忠長中村敦夫天海僧正石山健二郎、お妙の方:松坂慶子・二役 12月24日
15 笹野権三誉れの仇討ち 葉村彰子 笹野権三郎:加藤剛、八重:金井由美、種田五郎左衛門:今井健二、隈部将監:永井秀明、佐分利左内:原健策堀尾山城守原聖四郎 1974年1月7日
16 悲願の直訴状 安藤日出男 木内宗五郎木村功、大目付・土岐甲斐守:水島道太郎、おさん:岩本多代、むかでの弥蔵:砂塚秀夫堀田加賀守竜崎一郎、金沢勘解由:永野達雄 1月14日
17 飛竜祈願 津田幸夫 倉田準二 左甚五郎:樋浦勉、弥平次:早川保、お紋:町田祥子、山根丹波:戸浦六宏、楠原広常:小堀明男秋元但馬守安井昌二 1月21日
18 大奥に挑む 宮川一郎 春日局北城真記子、松島:長谷川待子、お縫:松木聖、お袖:松平純子、桜井要之助:亀石征一郎、堺屋伊兵衛:山岡徹也、大黒屋利兵衛:小栗一也、おしの:紅景子、日置:阿波地大輔、蝮の辰:山本一郎、水田:波田久夫 1月28日
19 盗人ざんげ 安藤日出男 山内鉄也 猫目の伝吉:工藤堅太郎、おまさ:有吉ひとみ、越後屋佐平:西山辰夫、くちなわの紋次:鮎川浩、土井大炊頭:宇佐美淳也 2月4日
20 将軍家謀殺 さわさかえ 河村靱負:辰巳柳太郎本多正純葉山良二、河村志保:岩井友見、稲葉正永:外山高士、棟梁:堀正夫、房吉:松田明、笹川平造:千葉敏郎 2月11日
21 凧々あがれ 木下亮 石川義寛 奥村仁斎:大友柳太朗、綾:青柳三枝子、伊之助:石山律雄、原田主水:南原宏治、清水兵馬:玉川伊佐男、城田:五味竜太郎 2月18日
22 闇のなかの狼[3] さわさかえ 進藤伝八郎:夏八木勲、又蔵:富田仲次郎、銀三:江幡高志 2月25日
23 浪人無惨 葉村彰子 内出好吉 加古川長八郎:本郷功次郎、前田栄之進:島田順司、藤乃:佐野厚子、塚本新兵衛:穂高稔、仙造:小林勝彦、多之助:平井昌一、川崎小左衛門:日下武史 3月4日
24 狙われた秘薬 野々村玄碩:御木本伸介、鉄五郎:草薙幸二郎、正吉:梅津昭典、仲代通成院:谷口完、筆頭与力:不破潤、源太:野口貴史 3月11日
25 反乱前夜 山内鉄也 安藤帯刀島田正吾、紀伊頼宣:江原真二郎、土井大炊頭:水島道太郎、お多美:上村香子、木塚八九郎:本郷淳、関口隼人正:谷口完、権蔵:牧冬吉 3月18日
26 対決 安藤帯刀:島田正吾、紀伊頼宣:江原真二郎、関口隼人正:谷口完、供頭:最上龍二郎 3月25日

脚注

  1. ^ ただし、第20回「将軍家謀殺」で登場する本多正純の父が本多忠勝であるという設定がされているが、史実では正純の父は本多正信であり、明らかな誤りである。
  2. ^ a b 徳川三国志』でも同役を演じている。
  3. ^ 本作の番組製作会社C.A.Lのサイトでは「闇のかなたの狼」と表記されている。

関連項目

外部リンク