氷上川継
氷上 川継（ひがみ の かわつぐ、生没年不詳）は、奈良時代から平安時代にかけての貴族。天武天皇の男系の曾孫で、中納言・氷上塩焼の子。官位は従五位下・伊豆守。
略歴
父は新田部親王の子・塩焼王。母は聖武天皇の娘不破内親王。塩焼は天平宝字2年（758年）に氷上真人姓を与えられて臣籍降下しているが、川継の誕生がその以前か以後かは明らかでない。
天平宝字8年（764年）9月に父・塩焼は藤原仲麻呂の乱で天皇に擁立されようとするも殺害されたが、不破・川継母子は連坐を免れている。神護景雲3年（769年）1月に不破が称徳天皇を呪詛したとして皇親の身分を奪われた時も、川継は関係していない。ただし、このとき不破が天皇に擁立しようとした兄・志計志麻呂は実は川継と同一人物であり、母が不破から「厨女」へと改名させられたのと同様、「川継」から「志計志麻呂」へと改名させられたのではないかという説[1]もある。なお、古語で「しけし」は、穢れる・荒れるなどの意味がある。
宝亀10年（779年）従五位下に叙せられ、天応2年（782年）正月因幡守に任じられた。同年閏正月、川継の資人である大和乙人が武器を持って宮中に侵入して捕縛され、尋問の結果、川継が謀反を計画していたことが発覚した。川継は逃亡したが大和国葛下郡で捕らえられて伊豆国に配流となり、母の不破と川継の姉妹たちも連坐して淡路国へ配流された。また、大宰員外帥として大宰府に赴任していた舅の藤原浜成は兼任していた参議と侍従を解任され、左大弁・大伴家持、右衛士督・坂上苅田麻呂らも一時解任された（氷上川継の乱）。
桓武朝末の延暦24年（805年）3月赦免され、翌大同元年（806年）3月には従五位下に復す。その後、大同4年（809年）典薬頭、弘仁3年（812年）伊豆守を歴任した。以後の消息は不明。
家族構成
脚注
- ^ 林陸朗