殿さまキングス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
殿さまキングス
出身地 日本の旗 日本 兵庫県
ジャンル コミックソング
ムード歌謡
活動期間 1967年 - 1990年
レーベル ビクター音楽産業
メンバー 長田あつし
宮路オサム
尾田まさる
多田そうべい

殿さまキングス(とのさまキングス)は、日本の音楽グループ。愛称は「殿キン」(とのきん)。コミックバンドから歌謡コーラス・グループに転向して成功を収める。「なみだの操」の大ヒットで知られる。次作「夫婦鏡」もミリオンセラーになり、連続ミリオンは史上初の快挙であった[1]

概要[編集]

前身は1960年6月に結成のファンキーガイズというボーイズ物であった。結成時のメンバーは5人でのちに4人となった、メンバーはリーダー長田あつし、宮路おさむ、尾田まもる、戸沢清の4人であった。

大ヒット曲「なみだの操」の影響で、歌謡曲が主流になったが、元々はコミックバンドとしてお笑い番組に多数出演していた。ちなみに「殿さま」という名前は「キング」を日本風に言い換えようとして思いついたという。

1967年に結成。『大正テレビ寄席』(NET)などバラエティ番組に多数出演していた。その後、歌謡曲を歌うバンドに転身、1973年にリリースした「なみだの操」は300万枚近い爆発的なヒットとなった。1975年にリリースした「夫婦鏡」もミリオンセラーになった。連続ミリオンは史上初[1]。演歌系の楽曲に限らず、「恋は紅いバラ」「けい子のマンボ」などのリズムもの、「ハワイ音頭」「ブラジル音頭」などのワールドものにも意欲的に取り組んだ。その後もバンド活動などしていたが、昭和天皇の病状悪化を受けた“自粛ムード”によって、いわゆる「営業」の数が激減したこともあり、1990年に解散。メンバーはその後ソロで活躍、懐メロ番組などで不定期に再結成をした。1970年代は演歌系が中心だったが、1980年代にはポップスの要素も織り交ぜている。

小西良太郎ぴんからトリオ二番煎じと評している[1]。殿さまキングスの所属レコード会社ビクターで、ぴんからの所属コロンビアとは、昭和初期から追いつ追われつの老舗同士で、意地でもこのジャンルを独走させたくなく、その面子の突っ張り合いが天下を取った[1]

メンバー[編集]

ディスコグラフィ[編集]

シングル[編集]

# 発売日 A/B面 タイトル 作詞 作曲 編曲 規格品番
1 1970年
9月1日
A面 競馬ソング 京まさと 荒井英一 クニ河内 DR-1549
B面 天国と地獄 信楽潤
2 1973年
3月25日
A面 北の恋唄 千家和也 彩木雅夫 藤田はじめ SV-1137
B面 男の嘘
3 1973年
7月25日
A面 北の宿 鳥井実 竹村次郎 SV-1148
B面 無情の雨 森山としはる
4 1973年
11月5日
A面 なみだの操 千家和也 藤田はじめ SV-1162
B面 裏町人情 竹村次郎
5 1974年
5月25日
A面 夫婦鏡 藤田はじめ SV-1178
B面 別れ椿
6 1974年
11月5日
A面 おんなの運命 山田一芳 SV-1205
B面 おとこ酒 神保正明
7 1975年
3月5日
A面 浮草の宿 SV-1218
B面 こんな女もいるのです
8 1975年
6月25日
A面 なみだ心 円山千津子 井上忠夫 山田一芳 SV-1234
B面 さすらい心 山口洋子 猪俣公章 竹田由彦
9 1975年
9月25日
A面 女の純情 千家和也 彩木雅夫 山田一芳 SV-1251
B面 男の酒場
10 1975年
12月25日
A面 わたしは新妻 SV-1263
B面 別れの終列車 神保正明
11 1976年
3月5日
A面 裏町ブルース 川内康範 北原じゅん SV-1284
B面 激情 前田俊明
12 1976年
7月5日
A面 これしかないわ 小谷充 SV-6026
B面 ふたり暮し 前田俊明
13 1976年
9月5日
A面 恋は紅いバラ 千家和也 佐瀬寿一 船山基紀 SV-6099
B面 遅すぎた手紙
14 1977年
3月25日
A面 殿キンの新東京行進曲 高田ひろお 井上忠夫 竜崎孝路 SV-6185
B面 わかれ未練
15 1977年
6月5日
A面 恋まくら 千家和也 徳久広司 竹村次郎 SV-6231
B面 女の覚悟
16 1977年
9月5日
A面 女のまごころ 彩木雅夫 馬場良 SV-6278
B面 来たぜこの町へ
17 1978年
1月25日
A面 あなた捜して 徳久広司 竹村次郎 SV-6356
B面 あなた知らない恋ごころ
18 1978年
5月5日
A面 メロメロ東京 信楽順三 伊藤雪彦 SV-6413
B面 夜汽車に乗って 千家和也 徳久広司 竹村次郎
19 1978年
8月1日
A面 浮草の宿 彩木雅夫 神保正明 SV-6459
B面 (カラオケ) -
20 1979年
2月25日
A面 ふたりのクラブ[注 1] なかむらまちこ 平尾昌晃 馬飼野康二 SV-6546
B面 秘恋[注 1]
21 1979年
7月25日
A面 もっと抱いてよ 中山大三郎 船村徹 栗田俊夫 SV-6610
B面 古い女と言われても 西沢爽
22 1979年
11月25日
A面 泪の波止場 三佳令二 黄善友 伊藤雪彦 SV-6660
B面 北国からあなたへ 千家和也 徳久広司 竹村次郎
23 1980年
3月21日
A面 千歳発愛の最終便 落合幸郎 彩木雅夫 湯野カオル SV-6698
B面 契りの指輪 千家和也
24 1980年
5月21日
A面 ハワイ音頭 井田誠一 利根一郎 寺岡真三 MV-3001
B面 気を抜いちゃだめね 剱持貴司 松木優
25 1980年
7月21日
A面 けい子のマンボ たかたかし 吉田正 SV-7025
B面 北からの手紙
26 1981年
3月21日
A面 東京無情 吉岡治 岸本健介 伊藤雪彦 SV-7102
B面 倖せ半分 臼井ひさし 清野友英
27 1981年
6月21日
A面 黒潮ヤッサ 井田誠一 渡久地政信 寺岡真三 MV-3034
B面 奄美旅情 大島実 こまつ美穂
28 1982年
4月21日
A面 おまえの涙 宇山清太郎 新井利昌 伊藤雪彦 SV-7207
B面 放浪列車 臼井ひさし 伊藤雪彦
29 1982年
9月21日
A面 あんた 吉田旺 徳久広司 斉藤恒夫 SV-7248
B面 おまえ
30 1983年
2月21日
A面 火遊び蝶々 高田弘 SV-7286
B面 下北半島 平山忠夫 岸本健介 神保正明
31 1983年
3月5日
A面 ブラジル音頭 井田誠一 利根一郎 寺岡真三 MV-3063
B面 殿キンのおめでた音頭
32 1983年
10月21日
A面 係長5時を過ぎれば 大谷キヨコ モーツァルト 前田俊明 SV-7339
B面 おまえはピューマ 石川すみ子 スッペ 伊戸のりお
33 1984年
1月21日
A面 道行き 鳥井実 浜圭介 前田俊明 SV-7359
B面 裏町哀歌 水木れいじ 竹村次郎
34 1984年
11月5日
A面 女のいきがい 宇山清太郎 四方章人 前田俊明 SV-7437
B面 港の無情 千家和也 彩木雅夫 神保正明
35 1985年
7月5日
A面 雪国 たかたかし 市川昭介 斉藤恒夫 SV-9035
B面 恋あかり
36 1986年
6月21日
A面 可愛いおまえ 池多孝春 SV-9132
B面 雪国 (新録音) 斉藤恒夫
37 1986年
9月21日
A面 デュオ雨あがり[注 2] 吉岡治 岡千秋 近藤進 SV-9159
B面 情熱のルンバ 千家和也 たきのえいじ 高田弘
38 1987年
5月21日
A面 あまのじゃく 秋元康 彩木雅夫 伊戸のりお SV-9239
B面 港町まっさかさま 鈴木宗敏
39 1988年
2月21日
A面 ありがとうおまえ 岸本健介 斉藤恒夫 SV-9314
B面 風子 坂口照幸 岸本健介
40 1989年
5月21日
A面 北の酒場にいた女 大谷明裕 伊戸のりお SV-9425
B面 ふたりのクラブ[注 3] なかむらまちこ 平尾昌晃
41 1989年
10月21日
01 愛のともしび たかたかし 市川昭介 斉藤恒夫 VDRS-10006
02 雨降れば…愛 多田宗之介 彩木雅夫 伊戸のりお

ミニLP[編集]

  • FX-3005 殿キンの静聴!日本民謡 フィリップスレコード

アルバム[編集]

  • FS-8114 宴会のうた 民謡編その1 (1971年)
  • FX-5005 殿様キングス民謡に挑戦!
  • 2OA-1 殿キンの日本全国うかれ旅 上記全て日本フォノグラム
  • 北の恋唄(1974年)
  • グランド・デラックス(1974年)
  • 有線ベストヒット(1975年)
  • 流行歌(1981年)
  • パロッタ・クラシック(1983年。楽曲と演奏はクラシック音楽、歌詞とヴォーカルはド演歌、という意欲作。2007年、『殿キン・カンタービレ〜パロッタ・クラシック』のタイトルでCD化)
  • エッセンシャル・ベスト(2007年)
  • ウラ・ベスト集〜ブラジル(2007年。「ハワイ音頭」「ブラジル音頭」など、通常のベスト盤には収録されなかったコミカルな楽曲を中心に構成。そのほか未発表曲、初期の楽曲も収録)
  • 殿キンのスーダラ外伝〜クレイジーキャッツを歌う(2007年。1970年ごろ録音された、ミュージック・テープ用音源のCD化。ブックレットには長田あつしインタビューを掲載)

ほか。

主なテレビ出演[編集]

NHK紅白歌合戦出場歴[編集]

年度/放送回 曲目 出演順 対戦相手
1974年(昭和49年)/第25回 なみだの操 07/25 梓みちよ
1975年(昭和50年)/第26回 2 女の純情 08/24 佐良直美
1976年(昭和51年)/第27回 3 恋は紅いバラ 15/24 藤圭子

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b 共演:高野恵子
  2. ^ 共演:小椋幸子
  3. ^ 共演:加倉井えり

出典[編集]

  1. ^ a b c d 小西良太郎「歌は世につれ世は歌につれ 歌謡特集(2) 『不況の中の'74年歌謡曲やぶにらみ考』」『スタア』1975年1月号、平凡出版、227–231頁。 
  2. ^ “演歌歌手の長田あつしさん死去 殿さまキングスを結成”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2014年8月6日). オリジナルの2014年8月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140831105557/http://www.asahi.com/articles/ASG866HCKG86UCVL00T.html 2014年8月31日閲覧。 

関連項目[編集]

  • 1973年の音楽#デビュー - (本格デビュー)同じ年にデビューした歌手
  • ぴんからトリオ - 漫才から歌謡コーラスグループに移行した先駆者。1972年「女のみち」「女のねがい」、1973年「女のゆめ」とヒットを連発。

外部リンク[編集]