武器貿易条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。DarafshBot (会話 | 投稿記録) による 2012年5月1日 (火) 23:47個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.7.1) (ロボットによる 変更: pl:Traktat o handlu bronią)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

武器貿易条約(ぶきぼうえきじょうやく、英語: Arms Trade Treaty, 略称ATT)構想は、国際人道法上の重大な侵害行為などに使用される恐れのある武器移譲を規制する条約構想である。無差別に文民を殺傷する兵器の移譲規制が含まれ、武器の仲介やライセンス生産に関する議定書も策定が予定されている。その目的は「通常兵器の輸出入及び移譲に関する国際的な共通基準を確立する国際約束の作成を通じて、通常兵器の国際的な移譲の管理の強化を目指すもの。」(武器貿易条約ボストン・シンポジウム(結果概要)より)とされている。2012年の国連会議での条約作成を目指して、2009年より国連の枠組みにおいて本格的な政府間議論が開始された。

1990年代後半に、オスカル・アリアス・サンチェス元コスタリカ大統領を含む、ノーベル賞受賞者およびNGOや国際法学者らが提起したもので、2006年7月24日ケニアコスタリカフィンランドオーストラリアアルゼンチンイギリス、そして日本の7カ国による共同提案が国連総会に提示された(米国は反対、24国は棄権)。

目的

通常兵器の国際的な移譲を規制するための諸原則を定める条約を作成する。

概要

  • 武器の不正使用に繋がる移譲を規制することを主目的とする。
  • 約50カ国の政府が公式に支持を表明している。(2006年7月26日現在)
  • 小型武器だけでなく重火器も含めた通常兵器全般を規制する条約構想である。

定義

  • 通常兵器とは、大量破壊兵器以外の武器、すなわち地雷、自動小銃、戦車、軍艦、戦闘機、大砲、ミサイル等を示す。
  • 小型武器とは、以下のものを指す。
  1. 一人で携帯・使用が可能な小火器(Small Arms)
  2. 数名で運搬・使用が可能な軽兵器(Light Weapons)
  3. 爆薬および爆発物

沿革

外務省及び国際キャンペーン公開情報に基づく)

  • 1990年代後半 コスタリカのアリアス元大統領をはじめとするノーベル平和賞受賞者らの呼びかけで、NGOや国際法学者らが参加し、条約案を形成。
  • 2001年、国連小型武器会議で提起される。
  • 2003年9月 「コントロール・アームズ」キャンペーンが開始され、武器貿易条約(Arms Trade Treaty: ATT)として提唱される。
  • 2004年、フィンランド主催のワークショップで、国際NGO作成の条約案が配布される(ただし、この時が初めてではない)。
  • 2005年、G8外相会議後に発表されたイギリスの議長国声明で言及される。
  • 2006年、国連総会でイギリス主導で提出されたATT決議案(A/RES/61/89)が採択される(賛成153、反対1、棄権24)。
  • 2008年2月、国連での第1回政府専門家グループ(GGE)において初めて具体的な議論が行われる。(参加28カ国)
  • 2008年5月、国連での第2回GGEにおいて通常兵器の輸入・輸出・移譲に関する国際基準の確立を目指す議論が行われる。
  • 2008年8月、国連での第3回GGE(最終会合)において最終報告書が採択される。
  • 2009年3月、国連オープンエンド作業部会(OEWG)第1回会合が開催される。これまでATT関連決議に反対又は棄権した国々(米国ロシア中国等)も議論に参加。(参加100カ国以上、NGOはオブザーバー参加)
  • 2009年7月、OEWG第2回会合が開催される。ATTが対象とすべき武器や行為の範囲、武器移譲の許可基準の内容、条約を実施する上で必要なメカニズム等について議論がなされる。
  • 2010年7月、外務省サイトに「武器貿易条約(ATT)構想」ページ掲載
  • 2010年10月、マサチューセッツ大学ボストン校主催でATTボストンシンポジウムが開催される。2012年の条約交渉会議に向け、条約の主要な要素について議論が深められた。(参加34カ国、NGO関係者他専門家100名)

関連項目

外部リンク