橋爪紳也

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。WCCbot (会話 | 投稿記録) による 2016年3月25日 (金) 20:21個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (WP:BOTREQ#民主党 (日本 1998-2016)の改名に基づくリンク変更依頼 (oldid=59086345)による)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

橋爪 紳也(はしづめ しんや、1960年12月6日 - )は日本の建築史家である。大阪府立大学特別教授。建築史・都市文化論専攻。工学博士大阪大学1990年)。大阪市中央区島之内生まれ。兄は美術史家の橋爪節也

概要

狭義の建築史にとどまらず、広く大阪・関西の都市政策と都市文化について研究している。 その知識と経験を生かして、自治体の委員や街づくり関連団体のアドバイザーとしても活躍している。

1999年からは大阪市立大学の教員として、地元大阪市でも数多くの公職を務めた。關淳一市長のもとでもアドバイザリーボード「元気で美しい大阪づくり有識者会議」[1]のメンバーであったが、2007年9月4日大阪市役所記者会見し、大阪市長選挙無所属で出馬することを表明した。關までの歴代市長が市役所内部出身であることや職員新規採用の完全な凍結方針などを批判、市営地下鉄の民営化方針の手順や市有地の処分に対して独自の提案を行ない、「世代交代」による大阪の再創造を掲げての出馬であった。[2][3]

2007年大阪市長選挙

橋爪が大阪市長選挙に出馬した背景には、自由民主党公明党の一部市議や市議OB、市OBが關の市政改革の手法に反発していたことがあった。[4]橋爪は、まちづくり団体の有力者や一部市議の支援を受けつつ、両党に推薦を要請したが、最終的に両党は現職の關の推薦を決定した。選挙戦では、若手選挙プランナー松田馨らの助力を得る。市民とのタウンミーティングを重ねて市民の意見を取り入れる手法でマニフェストを作成し[5]、公約として市民活動活性化のための自治基本条例の制定を盛り込むなど[6][7]政党推薦を受けない「市民派」をアピールしたが、支持を広げることはできなかった。同年11月18日の投票では、知名度で劣り公約にも重なる点のあった平松邦夫民主党国民新党推薦)に票を引き離され落選した。

大阪府政策アドバイザー就任

2008年度からは大阪府立大学の特別教授となり、観光産業戦略研究所の所長を務める。同時に古巣の大阪市立大学特任教授として大学に復帰する一方、「水都」大阪の水辺を生かした街づくりに関心を持つ橋下徹大阪府知事のもとで大阪府特別顧問、政策アドバイザーに就任した。一方、選挙戦で敗れた相手の平松邦夫大阪市長に乞われて、外郭団体「大阪市都市工学情報センター」のアドバイザーにも就任した。以後、大阪のまちづくりに関わるキーパーソンとして活躍している。[8]

大阪府特別顧問・大阪市特別顧問就任

2012年、府市の特別顧問に就任。「大阪府市文化振興会議」「大阪府市都市魅力推進会議」「大阪府河川水辺の賑わいづくり審議会」などの各会長、「大阪市都市計画審議会」会長職務代行者などを歴任した。水と光のまちづくりや大坂の陣400年記念プロジェクトなど、一連の都市再生事業や観光集客プロジェクトのキーパーソンとして活躍。[9]2025年万国博覧会の大阪招致構想を検討する「国際博覧会大阪誘致構想検討会」の委員も務めた[10]

経歴

  • 1979年 大阪府立高津高等学校卒業
  • 1984年 京都大学工学部建築学科卒業
  • 1986年 京都大学大学院工学研究科修士課程修了(建築学専攻)
  • 1990年 大阪大学大学院工学研究科博士課程修了(環境工学専攻)
  • 1990年 京都精華大学人文学部専任講師
  • 1995年 京都精華大学人文学部助教授
  • 1999年 大阪市立大学文学部助教授
  • 2001年 大阪市立大学大学院文学研究科助教授
  • 2006年 大阪市立大学都市研究プラザ教授・大阪市立大学院文学研究科教授
  • 2007年 大阪市立大学を退職、大阪市長選挙に出馬
  • 2008年 大阪府立大学産学官連携機構教授、同大学観光産業戦略研究所所長、大阪市立大学都市研究プラザ特任教授、大阪府政策アドバイザー就任
  • 2009年 大阪府立大学21世紀科学研究機構教授、同大学観光産業戦略研究所所長

社会的活動

  • 大阪府特別顧問
  • 大阪市特別顧問
  • 大阪府市文化振興会議会長
  • 大阪府市都市魅力推進会議会長
  • 大阪府河川水辺の賑わいづくり審議会会長
  • 京都市「京都観光振興計画2020」マネジメント会議委員長
  • 大阪市都市計画審議会会長職務代行者
  • 豊中市文化芸術振興審議会会長
  • 茨木市市政顧問
  • 奈良市政策アドバイザー
  • 高石市ブランド戦略アドバイザー
  • 大阪市住宅審議会委員
  • 堺市マスタープラン推進検討懇話会委員
  • 大阪商工会議所都市再生委員会副委員長
  • 大阪商工会議所ツーリズム委員会副委員長
  • 彦根商工会議所顧問
  • 追手門学院大学地域文化創造機構特別顧問
  • 国際日本文化研究センター客員教授
  • 浙江大学客員教授
  • 和歌山大学観光教育研究アドバイザー
  • イベント学会副会長
  • IR*ゲーミング学会理事(ギャンブリング*ゲーミング学会から改称)
  • 観光学術学会評議員
  • 公益財団法人福岡アジア都市研究所企画委員
  • 公益財団法人日本ユニフォームセンター評議員
  • 一般社団法人現代風俗研究会顧問
  • 一般財団法人大阪地域振興調査会理事
  • 一般財団法人おおさか創造千島財団理事
  • 一般社団法人日本ディスプレイ業団体連合会理事
  • 一般社団法人生活文化研究所所長
  • 一般社団法人日本イベント産業振興協会アドバイザー
  • 特定非営利活動法人伏見観光協会理事
  • 大阪検定企画会議座長
  • おおさか都市魅力・観光ネットワーク会議アドバイザー
  • 船場げんきの会代表世話人
  • その他、行政の審議会や地域のまちづくりに関わる委員を多数務める。

受賞歴

主要著作

単著

  • 『倶楽部と日本人 人が集まる空間の文化史』学芸出版社、1988年。
  • 『明治の迷宮都市 東京・大阪の遊楽空間』平凡社、1990年。
  • 『海遊都市 アーバンリゾートの近代』白地社、1992年。
  • 『化物屋敷 遊戯化する恐怖』中央公論社、1994年
  • 『にぎわいを創る 近代日本の空間プランナーたち』長谷工総合研究所、1995年。
  • 『大阪モダン 通天閣と新世界』NTT出版、1996年。
  • 『なにわの新名所』東方出版、1997年。
  • 『祝祭の<帝国> 花電車・凱旋門・杉の葉アーチ』講談社選書メチエ、1998年。
  • 『ニッポンバブル遺産建築100』NTT出版、1999年。
  • 『日本の遊園地』講談社現代新書、2000年。
  • 『人生は博覧会 日本ランカイ屋列伝』晶文社、2001年。
  • 『集客都市 文化の「仕掛け」が人を呼ぶ』日本経済新聞社、2002年。
  • 『モダン都市の誕生 大阪の街・東京の街』吉川弘文館、2003年。
  • 『飛行機と想像力 翼へのパッション』青土社、2004年。
  • 『絵はがき100年 近代日本のビジュアル・メディア』朝日新聞社(朝日選書791)、2005年。
  • 『あったかもしれない日本』紀伊国屋書店、2005年。
  • 『モダニズムのニッポン』角川選書、2006年。
  • 『ゆく都市くる都市』毎日新聞社、2007年。
  • 『京阪神モダン生活』創元社、2007年。
  • 『増補 明治の迷宮都市 東京・大阪の遊楽空間』ちくま学芸文庫、2008年。
  • 『創造するアジア都市』NTT出版、2009年。
  • 『絵はがきで読む大大阪』創元社、2010年。
  • 『「水都」大阪物語』藤原書店、2011年。
  • 『ニッポンの塔 タワーの都市建築史』河出書房、2012年。
  • 『広告のなかの名建築 関西編』鹿島出版会、2013年。
  • 『瀬戸内海モダニズム周遊』芸術新聞社、2014年。
  • 『大京都モダニズム観光』芸術新聞社、2015年。
  • 『ツーリズムの都市デザイン』鹿島出版会、2015年。

共著

※()カッコ内は編者・共著者

  • 中谷作次)『博覧会見物』学芸出版社、1990年。
  • 栗本慎一郎編)『狂気はここに始まる―日本人が「こうなった」のはなぜか〈下〉』光文社、1995年。
  • 磯村隆文編)『大阪WAY――2008年海上オリンピックへの挑戦』中央公論社、1997年。
  • 川本三郎森まゆみ)『世紀末盛り場考 にぎわいの新風景』日本経済新聞社、1997年。
  • (なにわ物語研究会編)『大阪まち物語』創元社、2001年。
  • 永井良和)『南海ホークスがあったころ―野球ファンとパ・リーグの文化史』紀伊国屋書店、2003年。
  • 三休橋筋愛好会、中谷ノボル、酒井一光)『大阪のひきだし 都市再生フィールドノート』鹿島出版会、2006年。
  • 福田アジオ編)『結衆・結社の日本史』(結社の世界史1)山川出版社、2006年。
  • イベント学会編)『イベント学のすすめ』ぎょうせい、2008年。
  • 別冊宝島編集部編)『帝都東京』宝島SUGOI文庫、2008年。
  • 石田 潤一郎佐野 正一他)『大阪の近代建築と企業文化』<新なにわ塾叢書2> ブレーンセンター、2009年。
  • 三木 理史堀田 典裕他)『熱き男たちの鉄道物語』<新なにわ塾叢書4> ブレーンセンター、2012年。
  • 笹川慶子芦屋小雁他)『大阪に東洋一の撮影所があった頃 ─大正・昭和初期の映画文化を考える─』<新なにわ塾叢書5> ブレーンセンター、2013年。
  • 中谷作次)『目で見る日本の博覧会』日本図書センター、2013年。(上記『博覧会見物』の復刻版)

編著

  • 心斎橋筋の文化史』心斎橋筋商店街振興組合、1997年。
  • 『アジア都市文化学の可能性』清文堂、2003年。
  • 『大阪新・長屋暮らしのすすめ』創元社、2004年。
  • 『「大大阪」絵はがき集』創元社、2010年。
  • 『大阪府謎解き散歩』中経出版、2013年。
  • 『光のまちをつくる 水都大阪の実践』創元社、2015年。

共編著

※()カッコ内は共編著者

  • 鳴海邦碩)『商都のコスモロジー 大阪の空間文化』TBSブリタニカ、1990年。
  • 斎藤光)『KYOTO恋愛空間』学芸出版社、1994年。
  • 角野幸博)『大阪の表現力』パルコ出版、1994年。
  • 田中貴子)『ツーリズムの文化研究』京都精華大学創造研究所、2001年。
  • 川添裕木下直之)『別冊太陽 見世物はおもしろい』平凡社、2003年。
  • 『にっぽん電化史』社団法人日本電気協会新聞部、2005年。
  • 『災害と電気 にっぽん電化史2』社団法人日本電気協会新聞部、2012年。
  • 『未来へ紡ぐ電化史 にっぽん電化史3』社団法人日本電気協会新聞部、2015年。
  • 『生きた建築 大阪』140B、2015年。

監修

  • 『ディスプレイ100年の旅』乃村工藝社、1994年。
  • 『飛田百番 遊郭の残照』創元社、2004年。
  • 『大阪力事典』創元社、2004年。
  • 『別冊太陽 日本の博覧会 寺下就コレクション』平凡社、2005年。
  • 『万国びっくり博覧会』大和書房、2005年。
  • 『大大阪モダン建築』青幻舎、2007年。
  • 『近代建築画譜 近畿篇(復刻版)』不二出版、2007年。
  • 『都市美(復刻版)』不二出版、2007年。
  • 『大阪の教科書』創元社、2009年。
  • 『成功する「地域ブランド」戦略』PHP研究所、2009年。
  • 『第1回 大阪の問題集』創元社、2010年。
  • 『EXPO70パビリオン』平凡社、2010年。
  • 『大大阪写真帖(復刻版)』不二出版、2010年。
  • 『第2回 大阪の問題集』創元社、2011年。
  • 『増補改訂 大阪の教科書』創元社、2012年。
  • 『第3回 大阪の問題集』創元社、2012年。
  • 『大阪新名所新世界・通天閣写真帖』創元社、2012年。
  • 『明治天皇大喪儀写真: 縮刷複製版 』新潮社、2012年。
  • 『第4回 大阪の問題集』創元社、2013年。
  • 『第5回 大阪の問題集』創元社、2014年。
  • 『第6回 大阪の問題集』創元社、2015年。
  • 『都市を変える水辺アクション』学芸出版社、2015年。

脚注・出典

  1. ^ 2006年9月19日 大阪市長会見要旨
  2. ^ JANJAN:大阪市長選に出馬の橋爪紳也氏に聞く (2007年9月5日)
  3. ^ 大阪市長選マニフェストを読む(3・終)橋爪紳也氏 大阪の監督(市長)交代を呼びかけフレッシュさ前面に インターネット新聞JANJAN 2007年10月13日
  4. ^ 【混沌】(上) 「身の丈」か「大大阪」か 迫る大阪市長選 MSN産経ニュース 2007年10月10日
  5. ^ もう黙ってられへん!はしづめ紳也マニフェスト(PDFファイル)
  6. ^ 同上、17頁。
  7. ^ 大阪市長選公開討論会・政務調査費や職員削減などで議論深める インターネット新聞JANJAN 2007年10月31日
  8. ^ 平松市長、選挙で争った橋爪氏を外郭団体アドバイザーに asahi.com 2008年9月6日
  9. ^ 府市の特別顧問に橋爪氏が就任 asahi.com 2012年01月12日
  10. ^ 国際博覧会大阪誘致構想検討会委員名簿

関連項目

研究・社会的活動の対象
2007年大阪市長選挙の対立候補

外部リンク