昆虫の構造
昆虫の構造(こんちゅうのこうぞう)では昆虫の成虫の外部、内部構造を扱う。昆虫は明瞭に頭、胸及び腹の三構造に分かれ、この三構造は体節が特定の器官を共有してまとまったものである。どのような昆虫でも頭、胸及び腹にある器官はそれほど変わりない。これらの三構造の接続部分には大概、神経や消化管など器官と器官をつなぐ器官または器官系しか入っていないのが一般的である。血管系は退化しており、体内に血液を充填させている。
外部形態
昆虫は節足動物であるから、その体は体節制からなり、それぞれの体節には付属肢などが備わっているのが基本である。しかし、昆虫では合体節(がったいせつ)が進んでおり、それぞれの部分で形態の差が大きい。付属肢は胸部のものだけが歩脚として発達し、頭部では口器の形で存在し、腹部では目立ったものはほとんどない。
前述のように頭部、胸部、腹部の三つに分かれる。三つの部分の間はごく狭くなっている場合もあれば、幅広く接続する場合もある。しかし、頭部と胸部の間は、ほとんどの例ではごく狭くなり、頭部を自由に動かせるようになっている。
頭部
頭部は体節に分かれないが、本来は3節の体節と3節の口前葉から成り立っているものと思われ、それぞれの体節の付属肢に由来する器官が備わる。感覚器官である1対の触角や三個以上の単眼と一対の複眼(複眼と単眼参照)、摂食器官としての口器、等がこれにあたる。その他、様々な感覚器官が備わり、内部には発達した脳(正式には脳神経節)などがある。
摂食器官としては大顎、小顎、下唇が一対ずつあり、口器とよばれる。種によって構造を異にしている。
歩脚
胸部に備わる三対の付属肢を歩脚という。歩いての移動のために使われる他、前足は捕獲のために鎌やハサミになっていたり(ただし、真の鋏になる例はほとんどない)、後足は跳躍用に発達していたりと、様々な適応がみられる。
幼虫の構造
幼虫も、基本的な構成は成虫と同じで、頭部・胸部・腹部に分かれ、胸部には3対の付属肢があるのが基本である。変態の様式によってやや変わる。
完全変態の昆虫では、基本構成は変わらないまでも、成虫と大きく異なった姿の場合が多い。イモムシのように腹部にも付属肢を発達させる例もある。ハエなどウジ状の無肢構造をとるものもある。翅芽は体内にあって外からは見えない。
不完全変態の昆虫では、成虫とほぼ同じ構造をとるが、カゲロウ目のように腹部に体節ごとの鰓を持つ(付属肢に由来と推定)の例もある。翅芽は体外にあるのである程度発達すると見分けられる。
無変態の昆虫では、言うまでもなく全く成虫と同じ構造をとる。
過変態の昆虫では、有肢になったり無肢になったり、ウジ構造になったり、成長段階で様変わりする。一般に一令幼虫が脱皮する構造が大きく変わる。
内部構造
発達した神経系により、かなり複雑な行動ができる。