日産・パラメディック
パラメディック (PARAMEDIC) は、日産自動車が製造している高規格救急車である。
歴史
初代(1992年-1998年)
日産・パラメディック(初代) | |
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概要 | |
販売期間 | 1992年 - 1998年 |
ボディ | |
ボディタイプ | 4ドア1ボックス(トラックベース改造車) |
駆動方式 | FR/4WD |
パワートレイン | |
エンジン | FD42型 直4 OHC 4214cc 125PS |
変速機 | 4速AT |
車両寸法 | |
全長 | 5,510mm |
全幅 | 1,995mm |
全高 | 2,770mm |
車両重量 | 4,540kg (2WD) |
その他 | |
備考 | スペックはエルフOEM前 |
ベース車 | 日産・アトラス20 |
- 1992年
- アトラス20をベースとして発売。
- 電動でストレッチャーを車内に格納するシステムは初代から設定され、患者を車内に搬入する際に隊員の身体への負担を軽減することからパラメディックの特徴的な装備として知られた。この装備は後のパラメディック-IIと2代目にも引き継がれることとなった。
- 初代トヨタ・ハイメディックと同様で現在は多くの車両が第一線から退いており、予備車への降格や廃車にされていたり、消防学校で実習用に使われたり、民間に払い下げられて劇用車としてテレビドラマや映画に登場することが多い。
- 1995年
- アトラス20がいすゞ自動車のエルフのOEMとなったため、シャーシをアトラス20(エルフOEM版)に変更。なお、いすゞはエルフをベースに艤装したスーパーメディックも発売したが、艤装メーカーや装備・構造などが異なることから関係は無い。
2代目(1998年-)
日産・パラメディック(2代目) | |
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前期型(1998年5月-2005年12月) | |
後期型(2006年1月-) | |
リア | |
ボディ | |
ボディタイプ | 4ドア1.5ボックス |
駆動方式 | FR/4WD |
パワートレイン | |
エンジン |
VG33E型 3.3L V6 OHC 170PS VQ35DE型 V6 3.5L DOHC 240PS |
変速機 | 4速AT (E-ATx) |
車両寸法 | |
全長 | 5,640mm |
全幅 | 1,900mm |
全高 | 2,480mm |
車両重量 |
2,600kg (2WD) 2,680kg (4WD) |
その他 | |
姉妹車 | いすゞ・スーパーメディックII |
- 1998年5月15日
- 初代パラメディックとパラメディックIIを統合する形で登場。日本の高規格救急車市場においては18年という異例の長寿モデルとなっている。販売台数も非常に多いため全国の消防本部において大量に導入されている。初代エルグランドのフロントセクションとBピラーより後ろはE24型日産・キャラバンのリアを流用してつくられた。ただ単にキャラバンのボディを流用するだけでなく、フロントドアより後ろをエルグランド比で125mm、キャラバン比で210㎜拡幅した専用ボディとなっている。このボディは「エルグランド ジャンボタクシー」や前席以外のシートがすべて取り払われてキャンピングカーのベース車として一時期に大量に供されたこともある「エルグランド特装車」のベースにもなった。2011年現在はパラメディック以外は生産中止になっている。
- 搭載するエンジンはV型6気筒2カムOHC3274cc VG33E型のみ。
- 駆動方式は、これまでの2WDだけでなく初代には設定されていなかった4WD(オールモード4X4)の両方が設定された。
- エクステリアのデザインはワンモーションフォルムの2代目・ハイメディックに対し、パラメディックは角型のデザインを用いた。
- OEM車としていすゞ自動車に「いすゞ・スーパーメディックII」を供給開始。だがスーパーメディックIIの販売台数は、パラメディックに比べて少なく少数派となっている[1]。
- 2000年秋頃
- 小改良を実施。フロントタイヤの位置にオーバーフェンダーが装着された。
- 2001年8月6日
- マイナーチェンジによりエンジンをVG33Eから3,498ccのVQ35DEに変更、カーナビゲーションは従来のCDナビゲーションからDVDナビゲーションに変更された。また、専用オルタネータ容量140Ahから150Ahに向上し、電動巻上げ装置付防振ベッドをオプション設定し、仕様向上を図った。
- 2002年頃
- いすゞ自動車の国内における乗用車市場撤退や事業の見直しにより、スーパーメディックIIの供給を終了。[2]
- 2003年9月17日
- マイナーチェンジにより良ー低排出ガス車に認定される。同時にフロントグリル・リアゲート用のLED方式の点滅警光灯をオプション設定に追加。ルーフに貼り付けられる「NISSAN PARAMEDIC」の標準ロゴの文字色を初代から採用している青色から日産自動車のコーポレートカラーである赤色に変更し、ハイメディックとの差別化を図った。(オプションで青色にも変更可能)
- 2004年9月
- メーカーオプションのカーナビゲーションをE50エルグランドから装備されていたポップアップ型モニター搭載のDVDナビゲーションから据え置き型モニター搭載のHDDナビゲーションに変更する
- 2005年4月
- オートワークス京都が同社の湘南事業所で製造を開始する。
- 2006年1月
- マイナーチェンジを実施。新灯火器規制などに対応するため、フォグランプ(ビルトインタイプ)とサイドウィンカーランプが追加。同時にフロントヘッドランプ、フロントグリルのデザインをベースとなったE50型エルグランド後期型の顔つきに変更した。
- 2007年9月
- 一部改良。平成17年排出ガス規制適合。
- 2008年7月4日
- 一部改良。平成17年基準排出ガス50%低減レベル、八都県市低公害車指定制度平成17年優低公害車、京阪神七府県市低排出ガス車指定制度の17LEVに適合。
-
車内
パラメディックII
日産・パラメディックII | |
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ボディ | |
ボディタイプ | 4ドア1.5ボックス(改造車) |
駆動方式 | FR/4WD |
パワートレイン | |
エンジン | VG30E型 V6 OHC 2960cc 155PS |
変速機 | 4速AT (E-AT) |
車両寸法 | |
全長 | 5,195mm |
全幅 | 1,690mm |
全高 | 2,500mm |
車両重量 | 2,610kg (2WD) |
その他 | |
ベース車 | 日産・キャラバン |
- 1994年
- E24型キャラバンをベースにしたパラメディック-IIが登場。
- 4ナンバーサイズの全幅と短い全長を持ったコンパクトな車体とギリギリのスペースを有効に活用して作られた。なおこのサイズはすべての高規格救急車において一番小さく、この記録を抜いた車種はまだ存在していない。
- 大都市を中心に配備された。現在は車両更新などにより予備車への降格や廃車などにより、見られる数も減少傾向にある。いすゞにも「スーパーメディックII」としてOEM供給されたが、こちらは極少数である。なお、こちらも配置換えや廃車が進み、殆んど見られなくなったもようである。
- なお製造終了後は同じベースの2B救急車と患者搬送車のみ販売・製造は継続されたが、2001年にキャラバンのフルモデルチェンジを契機にオーテックジャパンが2B救急車の開発・製造・発売を中止[3]。その後、日産車体の子会社であるオートワークス京都の手により、キャラバンを架装した救急車を販売。小型サイズの救急車のコンセプトは引き継がれており、2012年に再度フルモデルチェンジされた現行のNV350キャラバンでも同社の手による救急車が引き続き販売されている。
車名の由来
「paramedic」(パラメディック)とは救急救命士等の(医師を除く)医療従事者のことである(日本では和製英語の「コ・メディカル」が浸透している)。また、「paramedic」は米国などでは高度な救命・緊急医療処置が可能である救急隊員(日本でいう救急救命士だが、日本の救急救命士と比べても行える圧倒的に処置が多い)を指す事が多く、さらに日本の救急救命士の英語訳に使われる。詳細はパラメディックを参照。
艤装・製造・販売
- 製造・艤装 - オートワークス京都湘南事業所(神奈川県平塚市、2005年4月より。それ以前はオーテックジャパン。)
- 販売 - 日産自動車ディーラー(レッドステージ・ブルーステージ・日産・レッド&ブルーステージ)
リコール
日産自動車はパラメディックなど4車種・1,946台を、エンジンがかからなくなる可能性があるとしてリコールした[4]。
脚注
- ^ 静岡市消防局や横浜市消防局などに配備されていた。現在は廃車もしくは予備車となっている。
- ^ 同時期に、トラックのエルフベースであるスーパーメディック、ベースのエルグランドのOEM車であるフィリーも販売終了となった。
- ^ 同時にいすゞにOEM供給していたファーゴベースの2B型も販売終了となった。
- ^ “日産、救急車に使われる「パラメディック」など対象にリコール”. FNNニュース. (2016年2月19日16時56分). オリジナルの2016年2月19日時点におけるアーカイブ。 2016年2月19日閲覧。