日本人論
日本人論(にほんじんろん)とは、日本人について論じる論、著作、報告のこと。
概要
日本人論の起源としては古くは安土桃山時代や江戸時代の宣教師の母国への報告書や、海難・漂流体験からロシアやカナダなどを見る経験を得た日本人漁師や船頭の経験譚が挙げられる。幕末から明治にかけては日本からの海外視察団による報告や、来日外国人による文化人類学的な観察記録やエッセイなどに日本人論を見ることができる。
日清・日露戦争、そして二度の世界大戦を経て、海外で日本人の戦略や戦術、道義心、忠君愛国の背景にあるものへの関心が深まると、ルース・ベネディクトの『菊と刀』やオイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』といった日本研究が進んだ。
第二次世界大戦後には、日本経済の驚異的な躍進から再びその成功を支える社会的基盤に対する関心が高まって、様々な日本人論が著されることになる。日本人を包括的に均一な集団としてとらえ、外国・異文化との比較を通してその独自性を論じるところを共通項とする論が多い。ベストセラーもいくつか出るほどの人気分野となっている。このような現象は日本を除いて世界にあまり類がない、という見方をする論者は、日本が「辺境」であるからと主張している[1]。
ただ、トルコ、韓国、マレーシアなど他の国でも自民族論は盛んである。よって日本人論が特殊であるという考えそのものが他国でも見られる自民族論の典型ともいえる。
文化人類学、社会学的研究としての日本人論もある一方で、民族主義的心情に基づく日本人自身による自国、自民族の特殊性を殊更強調するように書いた論考も数多く出版されている。そのため、Peter N. Dale(1986年)やハルミ・ベフ(1987年)[2]、吉野耕作(1992年)ほか、日本人論を文化的ナショナリズムの現れの一形態として批判的に研究する学者もいる[3]。小谷野敦は、学問的ではないから、アカデミズムの世界では日本文化論はあまり生み出されていないとする[4]。
日本人論研究
日本人論を研究した著作報告
- 1978年 野村総合研究所「日本人論―国際協調時代にそなえて」『レファレンス』第2号。
- 1982年 杉本良夫、ロス・マオア共編著『日本人論に関する12章』ちくま学芸文庫 ISBN 4480085912
- 日本で法学を学び、米国で歴史社会学を学んだ社会学者で文化人類学者が、日本人論について考察する。
- 1984年 ハルミ・ベフ『イデオロギーとしての日本文化論』 思想の科学社 ISBN 4783600899
- 日米貿易摩擦の環境下で、日系アメリカ人で文化人類学者の著者が、“日本はこんなに立派なんだ”という類の日本人論について、体制に役に立つために作られたものだ、文化人類学的な視点で作られたものではないと批判した[5]。
- 1987年 佐伯彰一、芳賀徹『外国人による日本論の名著―ゴンチャロフからパンゲまで』中公新書 ISBN 4121008324
- 1990年 青木保『「日本文化論」の変容―戦後日本の文化とアイデンティティー』中公文庫 ISBN 4480085912
- 文化人類学者で米国の大学などで客員教授を務めた著者が、戦後日本の文化とアイデンティティーについて考察する。
- 1991年 Peter N. Dale『The Myth of Japanese Uniqueness』 Macmillan ISBN 0312046294
- 1994年 南博『日本人論-明治から今日まで』岩波書店 ISBN 4-00-001707-1、のち岩波現代文庫全2巻
- 1914年生まれで京都大学、コーネル大学で学んだ社会心理学者が、日本人論500点について論考する。
- 1995年 杉本良夫、ロス・マオア共著『日本人論の方程式』筑摩書房:ちくま学芸文庫 ISBN 4480081798
- 1995年 吉野耕作『Cultural Nationalism in Contemporary Japan: A Sociological Enquiry』 Routledge ISBN 0415120845
- 上巻 ザビエルから幕末の日本人論について ISBN 4061594494
- 下巻 福沢諭吉から現代の日本人論について ISBN 4061594508
- 2002年 森貞彦『「菊と刀」再発見』東京図書出版会 ISBN 4434020277
- 2003年 大久保喬樹『日本文化論の系譜-「武士道」から「『甘え』の構造」まで』中公新書 ISBN 4-12-101696-3
- 2003年 船曳建夫『「日本人論」再考』日本放送出版協会 ISBN 4-14-080830-6
- 2009年 内田樹『日本辺境論』 ISBN 978-4-10-610336-0
- フランスの思想を研究した著者が、すぐれた日本文化論のアーカイブ[6]であることを願う本。
- 2010年 小谷野敦『日本文化論のインチキ』 幻冬舎新書 ISBN 978-4-344-98166-9
- 比較文化論を研究する著者が、「あらゆる日本文化論がインチキだと言っているのではない」[7]が、人文学は学問ではない[8]とし、個々の論[9]個々の説[10]を取り上げ、これらは評論であって学問ではないと論ずる。
野村総合研究所の調査による日本人論の出版数・分類
1978年の野村総合研究所の調査によると、1946年から1978年の間に「日本人論」というジャンルに分類される書籍が698冊出版されている。このうち58%が1970年以降、25%以上が1976年から1978年の3年間に出版された。内訳は以下の通りである:
【一般書籍(著者のプロフィール別)】 |
【調査レポート(テーマ別)】
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井上光貞による日本文化論の特徴
1979年版の和辻哲郎『風土』岩波文庫 ISBN 4-00-331442-5 の解説の中で、井上光貞は日本文化論を次の3つに分類して例をあげ考察している。
- 他文化との比較の中で、日本文化を位置づける試み。
- 和辻哲郎『風土』、梅棹忠夫『文明の生態史観序説』、エドウィン・O・ライシャワー『日本歴史の特異性』、中根千枝『家族の構造』
- インド・中国・ヨーロッパなど、時代時代の中心国から文化を摂取する、その「仕方」を考察することで、日本文化を理解しようとする試み。
- 「漢意が影響するより以前の時代」の、あるいは「外来文化の影響を受ける度合いが比較的少ない地域」の 日本を考察・観察することによって日本文化を理解しようとする試み。
杉本良夫とマオアによる日本人論の特徴
1982年、杉本良夫とロス・マオアは、日本人論の多くは以下の3つの根本的主張を共有していると指摘している:
- 個人心理のレベルでは、日本人は自我の形成が弱い。独立した「個」が確立していない。
- 人間関係のレベルでは、日本人は集団志向的である。自らの属する集団に自発的に献身する「グルーピズム」が、日本人同士のつながり方を特徴づける。
- 社会全体のレベルでは、コンセンサス・調和・統合といった原理が貫通している。だから社会内の安定度・団結度はきわめて高い。
青木保による戦後日本人論の変容
1990年、青木保は、「戦後日本」の「文化とアイデンティティー」を整理して振り返りたいとして[11]、『「日本文化論」の変容 戦後日本の文化とアイデンティティー』を著した[12]。青木は戦後の時代を4つに区分し、その時期を代表する著作を「選択」[13]し、戦後日本人論の変容として提示する[14]。そして、すべての戦後日本文化論に影響を与えた著作として、ルース・ベネディクトの『菊と刀』(1948年)を挙げ[15]、ベネディクトの、自身(欧米人)の偏見から逃れようとする文化相対主義の慎重な態度と複眼的アプローチを評価する[16]。
- 第1期「否定的特殊性の認識」(1945年-1954年)[17]
- 坂口安吾『堕落論』(1946年)、きだみのる『気違い部落周遊紀行』(1946年)、桑原武夫『現代日本文化の反省』(1947年)、川島武宜『日本社会の家族的構成』(1948年)、南博『日本人の心理』(1953年)
- 第2期「歴史的相対性の認識」(1955年-1963年)[18]
- 加藤周一『雑種文化』(1956年)、梅棹忠夫『文明の生態史観序説』(1967年)、ロバート・ベラー『日本近代化と宗教倫理』(1956年)、エドウィン・O・ライシャワー
- 第3期「肯定的特殊性の認識」前期(1964年-1976年)、後期(1977年-1983年)[19]
- 中根千枝『日本的社会構造の発見』(1964年)、中根千枝『タテ社会の人間関係』(1967年)、作田啓一『恥の文化再考』(1964年)、尾高邦雄『日本の経営』(1965年、ジェームズ・アベグレン『日本の経営』1958年についての考察)、土居健郎『甘えの構造』(1971年)、木村敏『人と人との間』(1972年)、三島由紀夫『文化防衛論』(1968年)、濱口恵俊『「日本らしさ」の再発見』(1977年)、村上泰亮・公文俊平・佐藤誠三郎『文明としてのイエ社会』(1979年)、エズラ・ヴォーゲル『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(1979年)、フランシス・シュー『比較文明社会論-クラン・カスト・クラブ・家元』(1971年)、村上泰亮『新中間大衆の時代』(1984年)、山崎正和『柔らかい個人主義』(1984年)
- 第4期「特殊から普遍へ」(1984年-1990年)[20]
- 尾高邦雄『日本的経営 その神話と現実』(1984年)、小沢雅子『『新・階層消費の時代―所得格差の拡大とその影響』(1985年)、チャルマーズ・ジョンソン『通産省と日本の奇跡』(1982年)、ピーター・デール(Peter N. Dale)『日本的独自性の神話』(1986年)、ハルミ・ベフ『イデオロギーとしての日本文化論』(1984年)、対日貿易戦略基礎理論編集委員会『公式日本人論-『菊と刀』貿易戦争篇』(1987年)、山崎正和『文化開国への挑戦 日本の世界史的実験』(1987年)、カレル・G・ファン・ウォルフレン『日本問題』(米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』、1986年)、カレル・G・ファン・ウォルフレン『日本 権力構造の謎』(1989年)、ジェームズ・ファローズ『日本封じ込め-強い日本 vs 巻き返すアメリカ』(1989年)
大久保喬樹による戦後日本文化論の特徴
2003年、大久保喬樹は『日本文化論の系譜-「武士道」から「『甘え』の構造」まで』の中で、戦後日本文化論の特徴的なタイプとして、次の2つのタイプを挙げる[21]。
- 丸山真男『日本の思想』岩波新書 1961年 ISBN 4-00-412039-X
- 西欧近代市民社会とは異質な日本社会の在り方を再検討し、再評価を目指した日本文化論
- 土居健郎『「甘え」の構造』弘文堂 1973年 ISBN 4335651066
内田樹による日本人論の特徴
2009年の『日本辺境論』にて、内田樹は、アメリカ人はアメリカ人なりの、中国人は中国人に固有の仕方で病を持っている[22]なかで、私たち日本人は「どういう固有の文化をもち、どのような思考や行動上の『民族誌的奇習』」[23]をもっているかを確認するために本書を書く[24]とし、日本人の「民族誌的奇習」の理由は日本が「辺境」であることがすべてであると述べ、その主張と結論は、梅棹忠夫『文明の生態史観序説』(1967年)[25]、丸山眞男『日本文化のかくれた形』[26]で言い尽くされている[27]と述べる。「辺境」とは「中華」の対概念[28]で、「外来の知見を『正系』に掲げ、地場の現実を見下す」[29]日本で反復されてきた思想状況[30]を「辺境人にかけられた呪い」[31]とする[32]。
主要な日本人論の著作
年代順・主な日本人論
- 1790年『古事記伝』(本居宣長)
- 1806年『国意考』(賀茂真淵)
- 1819年『古史徴』(平田篤胤)
- 1886年『将来之日本』(徳富蘇峰)
- 1887年『日本道徳論』(西村茂樹)
- 1891年『偽悪醜日本人』(三宅雪嶺)
- 1804年『日本風景論』(志賀重昴)
- 1894年『知られざる日本の面影』(ラフカディオ・ハーン)
- 1894年『代表的日本人』(内村鑑三)
- 1899年『武士道』(新渡戸稲造)
- 1906年『茶の本』(岡倉天心)
- 1911年『善の研究』(西田幾多郎)
- 1925年『山の人生』(柳田國男)
- 1928年『集団心理学』(入谷智定)
- 1928年『国語と国民性』(芳賀矢一)
- 1932年『新日本主義』(大場喜嘉治)
- 1933年『陰翳礼讃』(谷崎潤一郎)
- 1935年『風土』(和辻哲郎)
- 1939年『日本美の再発見』(ブルーノ・タウト)
- 1942年『日本文化私観』(坂口安吾)
- 1946年『菊と刀』(ルース・ベネディクト)
- 1956年『日本の伝統』(岡本太郎)
- 1982年『「縮み」志向の日本人』(李御寧)
外国文化との比較
- マルティン・ハイデッガーの『有と時間』および外国滞在の経験に触発されて、モンスーン・砂漠・牧場の気候・風土に(時間軸に対して空間軸に)主眼に置いた比較文化論。
- ルース・ベネディクト『菊と刀』 1946年
- 文化人類学者であるベネディクトは、人々の行動が一定のパターン(行動の型)に落ち着いていくすじ道(the way)を注視し、そのすじ道を支配する文化の型を追究した。『菊と刀』の基礎となった研究は第二次世界大戦中、アメリカの日本占領政策を検討するために試みられたもので、西欧文化は自分が善いと信じたことは他者が何と言おうと曲げない「罪の文化」であるのに対し、日本文化は自分が善いと思ったことでも他者がこぞって否認すれば実行しないという「恥の文化」であることを明らかにした。しかしそれだけでは真に日本的なものを知ったことにならないので、さらに進んで禅の思想を追及するとともに日本人の嬰児、幼児、青少年に対する育て方、教育の仕方を調査して、光り輝く、錆びさせてはならない刀によって象徴される「自己責任の態度」と、輪台の上に整列させられる花弁の集合としての菊によって象徴される「偽装された意志の自由」が日本文化の型であるとの結論を得た。1948年、日本でも刊行されベストセラーとなり、日本文化論、日本人論の古典となった。
- ユダヤ人の眼から見るとこう見える、という設定で、日本人は安全と水はタダだと思っている、不思議だ、と論じた。
- ロバート・ホワイティング『菊とバット』サイマル出版会 1977年
- 野球を通して日米の文化について比較考察する。書名はルース・ベネディクトの『菊と刀』より。
- ピーター・ミルワード『イギリス人と日本人』講談社 1978年
- グレゴリー・クラーク『ユニークな日本人』講談社現代新書 1979年 ISBN 4061455605
- イギリス生まれで外交官としていくつかの国・文化と接した著者が、いくつかの国と日本との体感する違いを把握しようとして、感性主義と知性主義、個別主義と普遍主義という概念での認識に行き着き、これを提示・提案する。
- フランス人の眼にはこう映る、という設定で、日本のあれこれを 不思議だ、と論じた。
- 金容雲『韓国人と日本人 双対文化のプリズム』サイマル出版会 1983年
- シーラ・K・ジョンソン著 鈴木健次訳 『アメリカ人の日本観』サイマル出版会 1986年 ISBN 4-377-30708-8
- 池田雅之『イギリス人の日本観 来日知日家が語る"ニッポン"』河合出版 1990年
- 綾部恒雄編著 『外から見た日本人』 朝日新聞社(朝日選書) 1992年 ISBN 4-02-259543-4
- 篠田雄次郎『日本人とドイツ人 猫背の文化と胸を張る文化』光文社 1997年
- クライン孝子『お人好しの日本人 したたかなドイツ人』海竜社 2001年
- リチャード・E・ニスベット『木を見る西洋人 森を見る東洋人』ダイヤモンド社 2004年
日本文化論
- 谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 1933年
- 加藤周一『雑種文化』 1956年
- 岡本太郎『日本の伝統』 1956年(縄文文化論)
- 谷川徹三『縄文的原型と弥生的原型』 1971年
- 内田義彦『社会認識の歩み』岩波新書 1971年 ISBN 4-00-411063-7
- 長谷川三千子『からごころ』中公叢書 1986年 ISBN 4-12-001489-4
- ロナルド・フィリップ・ドーア『国際・学際研究システムとしての日本企業』NTT出版 1995年、『江戸時代の教育』岩波書店 1996年
経済的な成功の背景
1970年代後半頃から、終身雇用・年功序列などの「日本的経営」が日本の経済発展の基盤にあるという論調が多く見られるようになった(日本的経営論)。
- エズラ・ヴォーゲル『ジャパン・アズ・ナンバーワン』 1979年
- 深田祐介、ロナルド・フィリップ・ドーア『日本型資本主義なくしてなんの日本か』光文社 1993年
- カレル・ヴァン・ウォルフレン『人間を幸福にしない日本というシステム』 1994年
日本社会の構造
- 川島武宜『日本社会の家族的構成』 1948年
- 親分子分といった擬制家族関係から日本社会の封建制を批判した。
- ペンギン文庫で『ザ・ジャパニーズ・ソサエティ』として出版され、世界中で日本研究の基礎的な文献となった[34]。
- 河合隼雄『母性社会日本の病理』
- 石原慎太郎・盛田昭夫共著『「No」と言える日本』 1990年
- 土居健郎『続「甘え」の構造』 2001年
- 山岸俊男『心でっかちな日本人…集団主義文化という幻想』2002年
- 日本人の「集団主義」について、社会心理学の立場からアプローチする。
思想
- 丸山真男『日本の思想』岩波新書 1961年 ISBN 4-00-412039-X
外国人による日本紹介
- マルコ・ポーロ(1254年 - 1324年)『東方見聞録』
- アーノルダス・モンタヌス(Anoldus Montanus van Bergen、1625年 - 1683年、オランダ人)『日本誌』(別名『日本遺使紀行』『東インド会社遺使録』『オランダ東インド会社日本帝国遺使紀行』『オランダ連合東インド会社の日本皇帝への主要なる遺使』) 1669年
- エンゲルベルト・ケンペル(Engelbert Kaempfer、1651年 - 1716年、ドイツ人)『廻国奇観』 1712年、『日本誌』 1727年
- 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、Lafcadio Hearn、1850年 - 1904年)『知られざる日本の面影』 1894年
- "Across America and Asia" Raphael Pumpelly, 1870 - アメリカ人冒険家による1860年初期の日本
- "Japan through American Eyes:The Journal of Francis Hall, Kanagawa and Yokohama, 1859-1866" edited by F. G. Notehelfer - ウォルシュ商会のアメリカ人商人フランシス・ホールによる日本滞在記
- アブデュルレシト・イブラヒム『ジャポンヤ:イスラム系ロシア人の見た明治日本』 (小松香織、小松久男訳) 第三書館、1991年 - イスラム教徒による明治後期の日本人考
- エリアノーラ・メアリー ダヌタン『ベルギー公使夫人の明治日記』(長岡祥三訳)、原著Fourteen years of diplomatic life in Japan; leaves from the diary of Baroness Albert d'Anethan1912年、ベルギー公使アルベール・ダヌタンの妻(1858-1935)[36]による滞日記
日本人による日本紹介
海外向けに英語で書かれた著書。後に日本語訳された。
- 内村鑑三『代表的日本人』(『Japan and Japanese』 1894年、改訂版『Representative Men of Japan』 1908年)
- 新渡戸稲造『武士道』(『BUSHIDO:THE SOUL of JAPAN - Another of the History of the Intercourse between the U.S. and Japan』 The Leeds and Biddle Company 1900年)
- アーネスト・フェノロサに付いて日本美術の調査をしたのをきっかけに日本に目覚めた著者が、帝国主義全盛時代の欧米に、茶を通して自己充足の在り方を投げかけた書。
日本を描いた文芸
映画で描かれたもの
外国映画
- 戦場にかける橋 - アメリカ・イギリス映画(1957年)
- 007は二度死ぬ - イギリス映画(1967年)
- 1941 - アメリカ映画(1979年)
- SHOGUN(将軍) - アメリカ映画(1980年)
- ライジング・サン - 香港映画(1980年)
- 戦場のメリークリスマス - 日、英、オーストラリア合作(1983年)
- ガン・ホー - アメリカ映画(1986年)
- 太陽の帝国 - アメリカ映画(1987年)
- ラストエンペラー - イタリア・中国・イギリス合作(1987年)
- ダイ・ハード - アメリカ映画(1988年)
- ブラック・レイン - アメリカ映画(1989年)
- ライジング・サン - アメリカ映画(1993年)
- ロボコップ3 - アメリカ映画(1993年)
- WASABI - フランス映画(2001年)
- ラストサムライ - アメリカ、ニュージーランド、日本合作(2003年)
- キル・ビル Vol.1 - アメリカ映画(2003年)
- ロスト・イン・トランスレーション - アメリカ映画(2003年)
- ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT - アメリカ映画(2006年)
- バベル - アメリカ映画(2006年)
- 終戦のエンペラー-アメリカ映画(2013年)
日本映画
- 家族
- 萌の朱雀
小説・評論
小説
- 横光利一『旅愁』改造社、講談社、新潮文庫など 1950年
- 遠藤周作『沈黙 改版』 1966年 (新潮文庫 2003年)
- 司馬遼太郎『菜の花の沖』 1979年 - 1982年(「産経新聞」夕刊での連載) (新装版1〜6 文春文庫 2000年)
- C・W・ニコル『勇魚(いさな)』上下 文春文庫 1992年
評論
インターネット上にある日本人論(外部リンク)
- ほぼ日刊イトイ新聞 - 婦人公論 井戸端会議 いまやご近所で国際交流の時代。日本人、ここがヘンだよ! から、自分たちでは気づかない長所まで 2001年
- 森貞彦『菊と刀』の勉強をしましょう 2003年-2005年
- 森貞彦『「菊と刀」注解 増補改訂版』について 2010年
- 杉井昭夫「菊と刀」と日本人 2006年-2015年
脚注
- ^ 『日本辺境論』p.22
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.134 - 165
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.134 - 165
- ^ 『日本文化論のインチキ』 pp.223 - 224
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.145 - 148, 134 - 165, 166 - 183
- ^ 『日本辺境論』p.23
- ^ 『日本文化論のインチキ』 p.90
- ^ 『日本文化論のインチキ』 pp.51 - 88
- ^ 『日本文化論のインチキ』 pp.89 - 120
- ^ 『日本文化論のインチキ』 pp.121 - 182
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.11, 12, 15
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.7 - 16
- ^ 『「日本文化論」の変容』p.26
- ^ 『「日本文化論」の変容』p.26
- ^ 『「日本文化論」の変容』pp.31 - 55
- ^ 『「日本文化論」の変容』pp.35 - 36, 162 - 164
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.56 - 67
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.68 - 85
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.86 - 133
- ^ 『「日本文化論」の変容』 pp.134 - 165, 166 - 183。1990年刊行の本。
- ^ 『日本文化論の系譜』 pp.207 - 237 VI 西欧近代社会モデル対伝統日本心性
- ^ 『日本辺境論』p.101
- ^ 『日本辺境論』p.4
- ^ 『日本辺境論』pp.3 - 10
- ^ 『日本辺境論』p.21
- ^ 『日本辺境論』pp.24, 26
- ^ 『日本辺境論』pp.23, 26 - 27
- ^ 『日本辺境論』p.57
- ^ 『日本辺境論』p.246
- ^ 『日本辺境論』p.246
- ^ 『日本辺境論』p.250
- ^ 『日本辺境論』p.22
- ^ 「100分 de 日本人論」NHK, 2015年1月2日放送
- ^ 『「日本文化論」の変容』 p.89
- ^ 『日本の思想』 p.187, pp.181 - 192
- ^ Eleanora Mary, Baroness d’Anethan (née Haggard) (1858-1935), Author; wife of Baron Albert d’Anethan; daughter of William Meybohm Rider HaggardNational Portrait Gallery, London
参考文献
- 青木保『「日本文化論」の変容 戦後日本の文化とアイデンティティー』中公文庫。ISBN 4480085912
- 杉本良夫、ロス・マオア共著『日本人論の方程式』筑摩書房[ちくま学芸文庫]ISBN 4480081798
- 杉本良夫、ロス・マオア共編著『日本人論に関する12章』ちくま学芸文庫。ISBN 4480085912
- ロビン・ギル『日本人論探険 ユニークさ病の研究』TBSブリタニカ、1985年 ISBN 4484852276
- 田村圭司『再び「日本人」たれ!』宝島社新書、2001年 ISBN 479662273X
- 築島謙三『「日本人論」の中の日本人』講談社(講談社学術文庫)。全2巻(ISBN 4061594494、ISBN 4061594508)。
- Peter N. Dale『The Myth of Japanese Uniqueness』(Macmillan、1991年)ISBN 0312046294
- 野村総合研究所「日本人論--国際協調時代にそなえて」『レファレンス』第2号。
- ハルミ・ベフ『イデオロギーとしての日本文化論』(思想の科学社、1987年)ISBN 4783600899
- ましこ・ひでのり『イデオロギーとしての「日本」―「国語」「日本史」の知識社会学』(三元社、増補新版、2003年)ISBN 978-4883031221
- 吉野耕作『Cultural Nationalism in Contemporary Japan: A Sociological Enquiry』(Routledge、1995年)ISBN 0415120845
- 吉野耕作『文化ナショナリズムの社会学―現代日本のアイデンティティの行方』(名古屋大学出版会、1997年)ISBN 978-4815803155
- 和辻哲郎『風土』岩波文庫 ISBN 4-00-331442-5
- 大久保喬樹『日本文化論の系譜-「武士道」から「『甘え』の構造」まで』中公新書 2003年 ISBN 4-12-101696-3
- 内田樹『日本辺境論』 2009年11月 ISBN 978-4-10-610336-0
- 丸山眞男『日本の思想』岩波新書 第1刷1961年 第83刷2006年 ISBN 4-00-412039-X
- 小谷野敦『日本文化論のインチキ』 幻冬舎新書 ISBN 978-4-344-98166-9