日南町

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にちなんちょう ウィキデータを編集
日南町
日南町旗 日南町章
日南町旗 日南町章
日本の旗 日本
地方 中国地方山陰地方
都道府県 鳥取県
日野郡
市町村コード 31401-3
法人番号 3000020314013 ウィキデータを編集
面積 340.96km2
総人口 3,777[編集]
推計人口、2024年3月1日)
人口密度 11.1人/km2
隣接自治体 西伯郡南部町日野郡日野町
島根県安来市仁多郡奥出雲町
岡山県新見市
広島県庄原市
日南町役場
町長 中村英明
所在地 689-5292
鳥取県日野郡日南町霞800
北緯35度09分48秒 東経133度18分22秒 / 北緯35.16325度 東経133.30619度 / 35.16325; 133.30619座標: 北緯35度09分48秒 東経133度18分22秒 / 北緯35.16325度 東経133.30619度 / 35.16325; 133.30619
地図
役場庁舎位置

日南町役場
日南町役場
外部リンク 公式ウェブサイト

日南町位置図

― 市 / ― 町・村

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菅沢ダム

日南町(にちなんちょう)は、鳥取県の南西の内陸部にあるである。日野郡に属す。町名の由来は、日野郡の南部に位置していることから。若年層の流出と出生数減少による人口減少が止まらず、消滅可能性都市となっている[1]。町全体が豪雪地帯に指定されている。

地理[編集]

隣接市町村[編集]

地区[編集]

以下の7の大地区、32の小地区より日南町は構成される。

石見[編集]

  • 花口(はなぐち)
  • 神戸上(かどのかみ) - 『和名抄』に見える日野郡六郷の1つ神戸郷から転化したもの、宮内にある楽々福神社の神戸の上の郷の意。
  • 上石見(かみいわみ)
  • 中石見(なかいわみ)
  • 下石見(しもいわみ)
  • 三吉(みよし)

福栄[編集]

  • 豊栄(とよさかえ) - 1877年明治10年)、大坂村、上坂村が合併し誕生した村名(地名)。
  • 神福(かみふく) - 明治10年、神戸村、飛時原村、中野村、井原村が合併し誕生した村名(地名)。
  • 福塚(ふくつか) - 明治10年、白谷村、宮田村、高代村が合併し誕生した村名(地名)。

日野上[編集]

  • 河上(かわかみ)
  • 宮内(みやうち)
  • 矢戸(やと)
  • 三栄(みさかえ)
  • 丸山(まるやま)
  • 霞(かすみ)
  • 生山(しょうやま) - 『伯耆民談記』によれば「当社(生山神社)の山上に柴瀧というあり。孝霊天皇の皇女福姫命爰(ここ)に誕生ありしによりて後世これを生山と号しまた村名に及ぶ」という。

多里[編集]

  • 新屋(にいや)
  • 多里(たり) - 戦国期に見える地名。永禄12年(1569年)9月10日、月山富田城の奪還を目指す尼子勝久の家臣興幸から美作の住人原又太郎に送られた感状に「今度多里表於度々及合戦」とある。
  • 萩原(はぎはら)
  • 湯河(ゆかわ)
  • 上萩山(かみはぎやま)

山上[編集]

  • 笠木(かさぎ)
  • 茶屋(ちゃや)
  • 福万来(ふくまき)
  • 福寿実(ふくすみ)
  • 佐木谷(さぎだに)

阿毘縁[編集]

  • 阿毘縁(あびれ)
  • 下阿毘縁(しもあびれ)

大宮[編集]

  • 折渡(おりわたり)
  • 印賀(いんが)
  • 宝谷(たからだに)
  • 菅沢(すげさわ)

標高(地域振興センター所在地より)[編集]

  • 石見 455m
  • 福栄 472m
  • 日野上 337m
  • 多里 439m
  • 山上 506m
  • 阿毘縁 557m
  • 大宮 427m

気候[編集]

ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)に属する。日本海側気候でもある。

茶屋(1991年 - 2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 15.3
(59.5)
19.1
(66.4)
22.5
(72.5)
29.7
(85.5)
31.7
(89.1)
31.6
(88.9)
33.9
(93)
34.9
(94.8)
32.9
(91.2)
28.8
(83.8)
24.8
(76.6)
18.2
(64.8)
34.9
(94.8)
平均最高気温 °C°F 3.9
(39)
5.1
(41.2)
9.7
(49.5)
16.4
(61.5)
21.4
(70.5)
24.3
(75.7)
27.8
(82)
28.8
(83.8)
24.3
(75.7)
18.9
(66)
13.2
(55.8)
6.9
(44.4)
16.7
(62.1)
日平均気温 °C°F −0.2
(31.6)
0.3
(32.5)
3.9
(39)
9.6
(49.3)
15.0
(59)
18.9
(66)
22.9
(73.2)
23.4
(74.1)
19.0
(66.2)
12.9
(55.2)
7.3
(45.1)
2.2
(36)
11.3
(52.3)
平均最低気温 °C°F −4.5
(23.9)
−4.7
(23.5)
−1.8
(28.8)
2.7
(36.9)
8.6
(47.5)
14.0
(57.2)
18.8
(65.8)
19.1
(66.4)
14.6
(58.3)
7.3
(45.1)
1.9
(35.4)
−2.1
(28.2)
6.2
(43.2)
最低気温記録 °C°F −17.4
(0.7)
−17.7
(0.1)
−14.0
(6.8)
−6.9
(19.6)
−2.5
(27.5)
3.2
(37.8)
6.3
(43.3)
10.3
(50.5)
1.0
(33.8)
−3.2
(26.2)
−9.2
(15.4)
−14.5
(5.9)
−17.7
(0.1)
降水量 mm (inch) 137.1
(5.398)
114.2
(4.496)
138.2
(5.441)
121.4
(4.78)
131.9
(5.193)
194.1
(7.642)
253.9
(9.996)
162.7
(6.406)
234.4
(9.228)
147.2
(5.795)
110.8
(4.362)
150.7
(5.933)
1,894.1
(74.571)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 19.2 15.6 15.4 11.6 11.0 12.5 14.1 12.0 12.5 10.8 13.3 18.6 166.5
平均月間日照時間 57.7 72.2 129.8 178.0 195.1 139.4 139.4 172.1 120.0 133.0 104.0 67.3 1,508.5
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[2]

歴史[編集]

行政[編集]

日南町 歴代町長
氏名 就任日 退任日 備考
井川喜八郎 1959年4月1日 1959年4月30日 町長職務執行者(元伯南町長)
初代 木下太郎 1959年5月1日 1974年2月26日 4期目途中で病気のため退職
2代 高橋篤史 1974年3月18日 1990年3月16日 4期16年 任期満了
3代 岸郁男 1990年3月17日 1998年3月16日 2期8年  任期満了
4代 矢田治美 1998年3月17日 2010年3月16日 3期12年 任期満了
5代 増原聡 2010年3月17日 2018年11月3日 3期目在任中に病気のため逝去
6代 中村英明 2018年12月16日 現職 前副町長(無投票当選)

町長選は2010年の選挙戦が最後で、以後の2014年、2018年2月、12月に3連続無投票当選となった[3]

国の機関[編集]

人口&面積[編集]

人口[編集]

日南町と全国の年齢別人口分布(2005年) 日南町の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 日南町
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

日南町(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より


2015~2020年までの人口増減率-11.94%[4]

2020年時点高齢化率 (65歳以上の人口)52.20%[4]

面積[編集]

  • 総面積 34,096 ha
  • 総林野面積 30,461 ha 
  • 広葉樹面積 10,177 ha[5]

教育[編集]

中学校[編集]

町立

小学校[編集]

町立
  • 日南町立日南小学校(2009年4月に日野上、山の上、多里、石見東、石見西、福栄の町内6校が統合)

一般財団法人[編集]

  • にちなん中国山地林業アカデミー - 日南町多里に2019年4月開校。実践的な現場研修による技術と知恵、専門家の講義による最新の林学と教養を学ぶことができる。

交通[編集]

鉄道路線[編集]

生山駅
日南町営バスさつき号(生山駅前にて)

路線バス[編集]

道路[編集]

高速道路[編集]

一般国道[編集]

県道[編集]

史跡・観光[編集]

景勝地[編集]

  • 石霞渓
  • 旧日野上小学校グラウンドの大イチョウ

産業遺産[編集]

史跡[編集]

[編集]

  • 常福寺(じょうふくじ) - 日南町多里にある曹洞宗の寺。本尊は釈迦如来(明治2年まで十一面観音)。永禄2年(1559)備後徳雲寺(現広島県東城町)五世木中圭抱が開山となり、開基の亀尾山城主宮盛祐が父森忠の追福のため父の持仏十一面観音を本尊として創建したという。のち焼失したが宮氏の家臣増原清定が再建、当寺第二開基となったとされる。元文元年(1736)大庄屋古都源八は山城万福寺(現京都府宇治市)の鉄眼版一切経全巻を購入、境内に貫華蔵を建てて納めた。蔵の扁額は京都宝鏡寺(現京都府上京区)尼宮の真筆といわれ、同時に菊桐紋免許状・幕・提灯を与えられた。境内の殿様墓は天正18年(1590)8月7日銘をもつ宝篋印塔で、開基宮氏の墓と伝える。当時の鎮守愛宕堂では旧暦6月24日夕に石段両側に蝋燭を献灯する愛宕祭の行事が続けられている。
  • 神宮寺 - 日南町宮内にある709年に開創された寺院。5月中旬には樹齢50年を超える大木から、薄紫色の藤が無数に下がる。

[編集]

[編集]

  • 権現滝 - 閉鎖中
  • 聖滝滝 - 木花咲耶姫邇邇芸命が結婚の儀をあげたという伝説がある大小4段からなる滝。滝へと続く遊歩道は渓流に沿って整備されており、傾斜はほとんどない遊歩道を800mほど進んだ所にある。シーズンには渓流側にゲンジボタル、山側にヒメボタルが見られる。
  • 若松滝
  • 清滝 - 日南町湯河にある滝、2018年7月の豪雨により道が断裂。閉鎖中。

生き物[編集]

行事・祭礼[編集]

公共施設[編集]

宿泊施設・キャンプ場[編集]

  • 清水屋 鈴の道
  • 井谷旅館
  • 古民家かつみや
  • 深津旅館
  • イチイ荘
  • ふるさと日南邑ファームイン
  • ゆきんこ村 四季彩
  • 出立山キャンプ場
  • オートキャンプあびれ
  • YMCA呼子高原センターキャンプ場

出身人物[編集]

ゆかりの人物[編集]

  • 松本清張 - 作家(父が日南町矢戸の出身)
    父・峯太郎は矢戸村(現在の矢戸)の生まれ。峯太郎から故郷の話を聞いて育った清張は、1948年(昭和23年)1月に初めて矢戸を訪れ、峯太郎の生家[9]を写真に収め、風景をスケッチした[10]。清張はこの時を含め、生涯で少なくとも4回、矢戸を訪問しており、清張の自伝的小説である「父系の指」「半生の記」にも、矢戸は登場する[11][12]。1966年(昭和41年)7月、清張は自ら希望して日南町を訪れ、講演した。この時、清張はこう語っている。「あなたは九州だときいたが、どうして山陰とつながりがあるのかとよく聞かれます。9月には私の自叙伝[13]が出版されるから、私の故郷は山陰であり、この日南町であることが一般にわかると思います」[11]。矢戸には、峯太郎の生家が見える場所に松本清張文学碑があり、自然石にはめ込まれた銅板には、清張の直筆で次のように書かれている。「幼き日 夜ごと父の手枕で聞きし その郷里 矢戸 いまわが目の前に在り 松本清張」[11]
  • 井上靖 - 作家(1945年(昭和20年)に家族が日南町福栄に疎開)
    家族が疎開していたのは1945年6月から12月までであるが、その間、何度か福栄を訪れている。「通夜の客」の舞台は当時の福栄村である[14]。福栄には井上靖が命名した「野分の館」(井上靖記念館)があり、「天体の植民地」と刻んだ文学碑がある[14]
  • 小早川秋聲 - 日本画家(日野町出身。作品が日南町美術館に所蔵・寄託されており、定期的に展覧会が開かれる。)
  • 前原誠司 - 政治家・元民主党代表(母が日南町出身)
    前原によると「私は京都生まれの京都育ちなんですが、父親が鳥取県の境港、母親は上石見[注釈 1]伯備線の最も岡山寄りのところの出身」という[15]

その他[編集]

  • 市外局番は、0859である。
  • 郵便番号は以下の通りである。2006年10月16日の再編に伴い、変更された。
    • 日南郵便局:689-52xx、689-55xx、689-56xx
  • リアリズムの宿 - 2004年公開の映画のロケ地となった。
  • 2018年8月31日、町内唯一の鳥取銀行生山支店を2019年1月に隣接する日野町の支店に移転(窓口機能を廃止し、ATMのみ利用できる)という事に対し、日南町が対抗措置として鳥取銀行に預けていた預金約5億6千万円を全解約し町内の別の金融機関に預金を移したと報じられた[16]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ なお上石見駅は日南町大字中石見字寺ノ前にある。

出典[編集]

  1. ^ a b 第6次 日南町総合計画 日南町
  2. ^ 茶屋 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2023年11月26日閲覧。
  3. ^ 鳥取)日南町長に中村英明・前副町長 無投票で初当選:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2018年12月11日). 2022年9月11日閲覧。
  4. ^ a b 鳥取県 日南町|地域医療情報システム(日本医師会)”. jmap.jp. 2022年9月11日閲覧。
  5. ^ 平成28年度版 林業統計 
  6. ^ 日南町役場があぶない?(広報にちなん 2000年版11月号)
  7. ^ にちなんゆかりの人物 池田亀鑑」日南町図書館
  8. ^ にちなんゆかりの人物 佐武林蔵」日南町図書館
  9. ^ 足羽隆『松本清張と日南町 父の故郷への熱い思い』2013年に詳しい。
  10. ^ スケッチ画は北九州市立松本清張記念館に収蔵されている。
  11. ^ a b c 『松本清張と山陰』鳥取県交流人口拡大本部観光戦略課編集・発行、2022年
  12. ^ 「「百円硬貨」と旧倉吉線新日本海新聞社、2023年3月24日付け
  13. ^ 1966年9月に出版された「半生の記」のことを指す。
  14. ^ a b 井上靖文学碑を訪ねて」日南町
  15. ^ 小沢さんとの関係たっぷり話します。 Archived 2012年1月11日, at the Wayback Machine.
  16. ^ “鳥取・日南町、鳥取銀行の預金約5億6000万円全額解約 支店移転に抗議”. SANSPO.COM. (2018年8月31日). https://www.sanspo.com/geino/news/20180831/sot18083120340012-n1.html 2018年9月16日閲覧。 

外部リンク[編集]