新宿警察

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

新宿警察(しんじゅくけいさつ)は、藤原審爾による日本の警察小説のシリーズ、また、それを原作とするテレビドラマ。

概説[編集]

東京新宿にある警察署を舞台に、根来刑事を初めとする刑事たちの活躍を描いた警察小説『新宿警察』を第1作とする一連のシリーズ作品。昭和30年代から30年にわたって書き続けられ、長編『夜だけの恋』『あたしにも殺させて』2作の他、100編を越える[1]作品がある。エド・マクベイン87分署シリーズのように複数の刑事達の行動が並行して描かれるスタイルで、「日本の87分署」とも、「日本の警察小説の先駆的作品」[2]とも言われる。執筆当初は実際には新宿の警察署は淀橋警察署という名前で、新宿警察署というのは実在しない架空の警察署だった。自身では「ある時会った所轄の刑事たちが〜燃えるような情熱をもっていることを知って、わたしはそれにうたれた」のを契機に書き始めたと述べている[1]

刊行リスト[編集]

  • 『若い刑事』 彌生書房 1960年(短編集) - 表題作「若い刑事」のみシリーズ作品(シリーズ第1作)
  • 『新宿警察』 報知新聞社 1968年(短編集) - 非シリーズ作品を含む
  • 『新宿広場』 報知新聞社 1969年(短編集)
  • 『新宿その暗黒の恋』 実業之日本社 1970年(長編)
  • 『マリファナ』 双葉社 1972年(短編集)
  • 『新宿真夜中ソング』 桃園書房 1974年 (短編集)
  • 『新宿警察』 双葉社 1975年(短編集) - 報知新聞社版とは収録作品が異なる
  • 『続新宿警察』 双葉社 1975年(短編集)
  • 『愛しながら殺せ』 グリーンアロー出版社 1975年(短編集)
  • 『マリファナ殺人事件』 実業之日本社 1977年(短編集)
  • 『新宿心中』 実業之日本社 1978年(短編集)
  • 『真夜中の狩人』 実業之日本社 1978年(短編集)
  • 『真夜中の狩人』 角川文庫 1981年(短編集) - 実業之日本社版とは収録作品が異なる
  • 『あたしにも殺させて』 双葉社 1984年(長編)
  • 『新宿警察』『慈悲の報酬』『所轄刑事』『新宿生餌』 双葉文庫 2009年(短編集) - 双葉社版『新宿警察』『続新宿警察』を分冊化したもの

これ以外にもシリーズ作品を収録した短編集が存在する他、非シリーズ作品である『女の性の精』(1970年)『わが国おんな三割安』(1970年)『よるべなき男の仕事・殺し』(1975年)の舞台も「新宿署」の管轄で、シリーズ中の刑事が登場する。

テレビドラマ[編集]

新宿警察
ジャンル 刑事ドラマ
原作 藤原審爾
製作
制作 フジテレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
第1話 - 4話
放送期間1975年9月6日 - 9月27日
放送時間土曜 22:00 - 22:55
放送分55分
第5話以降
放送期間1975年10月4日 - 1976年2月28日
放送時間土曜 22:00 - 22:54
放送分54分
回数全26

特記事項:
製作:フジテレビ東映
テンプレートを表示

フジテレビ東映の制作により、テレビドラマ化。フジテレビ系で放送された。

新宿の裏社会の人間模様と、それに挑む警視庁角筈(つのはず)警察署(架空の署)の刑事たちの活躍を描く。

当初は1975年の4月から放映を開始する予定で製作が進められていたが、諸事情により放送開始が約5か月遅れた[3][4]

放送データ

メインキャスト[編集]

ゲスト[編集]

※出演はクレジットタイトルの表記順。

話数 ゲスト
1 夏夕介高品格佐藤京一鷲尾真知子小林千枝愛田純伊達弘沢田浩二不知火艶大村千吉佐野哲也城海峰高橋康司八木喬木島あかね青木卓司司欣也山口智子上田博鹿地史郎大塚秀宜神山繁:小池朝雄(ナレーター)
2 山本昌平荒砂ゆき水沢有美鈴木正幸久米勳夫土山登士幸、大塚秀宜/藤倉悦典二家本辰巳:小池朝雄(ナレーター)/深江章喜
3 伊佐山ひろ子富田仲次郎高木門笹一平・八平池田鴻小泉郁之助大堀早苗片山由美子鍋谷孝喜奈良富士子原田君事大山豊右京考雄三島一郎伊藤あつ子加川真規足立義夫根本節子大北隆志清郷秀人:小池朝雄(ナレーター)
4 三ツ木清隆小林稔侍関根世津子太刀川寛宮井えりな野呂圭介橘真紀東大二朗高月忠清水照夫和久井節雄山崎猛塚田末人徳永正人大島剛長谷川弘谷口香:小池朝雄(ナレーター)
5 金田龍之介上野山功一梅津栄伊達三郎林靖子田中久子神ひろし川崎あかね須賀良亀山達也山川弘乃五月晴子高月忠船渡伸二朝倉一/伊達弘、司欣也、島康二岡本安代尾形とも子原啓子笠井心:小池朝雄(ナレーター)
6 大門正明内田勝正大森不二香佐山俊二曽我廼家一二三轟謙二北城寿太郎小笠原まりこ加納健司、須賀良、土山登士幸、石田国松/三島一郎、岸井あや子相原巨典太古八郎溝口久夫司欣二北見あつ子水木京一吉中正一大島久雄霞涼二(刺青):小池朝雄(ナレーター)
7 新克利佐々木孝丸田口計森秋子姫ゆり子市地洋子江幡高志大泉滉潮健児五代勝也石山克巳多田幸雄浜田東一郎渡辺義文豊岡晋:小池朝雄(ナレーター)
8 郷鍈治睦五郎藤里まゆみ堀内香横山あきを町田幸夫小野川公三郎/鍋谷孝喜、樋口京子原田あけみ田中清一平沢信夫、足立義夫、鹿地史郎/大橋志郎瀬尾脩:小池朝雄(ナレーター)
9 林ゆたか吉野あい江角英明丘奈保美秋津令子小園蓉子奥野匡堺左千夫里見たかし水多優雄石津康彦豊川晋伍古川登志夫瀬戸山秀樹永瀬光ながいゆうこ幸英二中川明よぎ英一佐竹祥一石井啓一松風敏勝新山くるみ漆沢政子(振付):小池朝雄(ナレーター)
10 香野百合子広瀬昌助浅茅陽子武智豊子幸田宗丸田畑孝笠井一彦坂上千恵子水町千代子大矢兼臣益子隆充、鹿地史郎/吉行和子:小池朝雄(ナレーター)/江幡高志[注 1]
11 芹明香白石奈緒美所雅樹西本裕行高杉哲平西尾啓相馬剛三影山丈二、清水照夫/飯田悦子高野隆志入江正徳山浦栄八百原寿子山田博幸:小池朝雄(ナレーター)
12 夏純子東龍明相沢治夫松田章槙ひろ子石川珠美長浜鉄平石部稲子/小池朝雄(ナレーター)/勝部演之[注 1]
13 緑魔子根岸一正テレサ野田平凡太郎弘松三郎直木みつ男横井豊丹古母鬼馬二片桐陽子、笹一平、笹八平、太古八郎/安達由紀松尾リッチちほひろみ風間杜夫佐藤蛾次郎:小池朝雄(ナレーター)
14 藤田みどり堀内正美岩城滉一風間千代子奥村公延笠井うらら折尾哲朗影山みのる岡崎夏子安達勇次近藤剛史山岡洋子前川広一佐藤のぼる木村栄作:小池朝雄(ナレーター)
15 山谷初男瀬戸山功祐樹秀幸加藤和夫池田忠夫田島義文白石浩司、小泉郁之助、沢田勝美西沢武夫西田昭市山本緑山田光一比良元高畑中猛重/大島剛、大塚秀宜:小池朝雄(ナレーター)
16 山本麟一加藤小夜子藤山律子渥美国泰神山勝玉村俊太郎大阪憲進藤幸田中久子、小泉郁之助、吉水慶小山武彦五野上力、足立義夫、大北隆志、司恵子高土新太郎谷本一:小池朝雄(ナレーター)
17 赤座美代子蟹江敬三浜田晃人見きよし渚健二萩原信二寄山弘浅見小四郎沢美鶴鳥井忍大野富久代峰洋子福原三男:小池朝雄(ナレーター)
18 荒木道子藤江リカ千波丈太郎川原洋一郎遠藤孝子椎谷建治里木佐甫良井上博一佐藤明美石垣守一松坂雅治岡田京子黒瀬領二曽我寶文矢島洋子:小池朝雄(ナレーター)
19 中原ひとみ河村弘二絵沢萠子肥土尚弘上月左知子、小泉郁之助、/中井美樹鈴木治郎中井美奈寺泉哲章田畑喜彦近江大介佐藤了一/高月忠、劇団ひまわり:小池朝雄(ナレーター)
20 小原秀明河原崎次郎近藤宏柴田英子、吉野あい、三戸部スエ角友司郎、安達由紀、清川元夢木村修林義一工藤武小松方正:小池朝雄(ナレーター)
21 木内みどり下條アトム蜷川幸雄/江幡高志、高宮啓二宮田光紅理子高品正広山本良々松田真理水上竜子:小池朝雄(ナレーター)
22 佐藤佑介早田みゆき中原早苗北原義郎小峰千代子竹田将二九重ひろ子真咲美岐瀬良明猪俣猛(ドラム指導):小池朝雄(ナレーター)
23 横山リエ/小松方正/田中浩中村俊男中村方隆吉原正浩若尾義昭麻生竜、清川元夢:小池朝雄(ナレーター)
24 根岸明美堀井永子エンゲル・ラーソン八名信夫福山象三清水理絵森みつる大坪日出代木田三千雄野地きくみ西川敬三郎/肥土尚弘、亀山達也、佐々木一哲、須賀良/鈴木治郎、中井美奈:小池朝雄(ナレーター)
25 佐藤友美古今亭圓菊由利徹今井健二柴俊夫片桐夕子/エンゲル・ラーソン、藤山浩二小高まさる鮎川浩和田健一郎井上正広、山田光一、福地悟郎尾形とも子松本敏男薗部優子山形政彦桐島好夫河野洋子/峰洋子、足立義夫、立花ひろあき:小池朝雄(ナレーター)
26 室田日出男春川ますみ南城竜也松原光二生田くみ子松尾文人たゆみあき、青木卓司、邦創典北島マヤ山口譲、遠藤孝子、佐藤仁哉古能成二柴田徹謝秀容芝さなえ岩井松二郎美原亮三城貴子打越正八、高月忠、山田光一、足立義夫:小池朝雄(ナレーター)

スタッフ[編集]

作品リスト[編集]

話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督
1 1975年9月6日 新宿・24時 江里明 真船禎
2 9月13日 地下水道 尾中洋一 竹本弘一
3 9月20日 新宿ろくでなし 永原秀一 真船禎
4 9月27日 銀行ギャング・わが夢 池田一朗 江崎実生
5 10月4日 華麗なる用心棒 真船禎 真船禎
6 10月11日 純情無頼 永原秀一 江崎実生
7 10月18日 帰らざる街 尾中洋一
塩田千種
真船禎
8 10月25日 汗まみれの逆転 永原秀一
峯尾基三
斎藤武市
9 11月1日 新宿はやり唄 尾中洋一
真田喜助
10 11月8日 一発の銃弾 尾中洋一 原田雄一
11 11月15日 殺しの録音テープ 江里明 村山新治
12 11月22日 娼婦の罠 広沢栄 斎藤武市
13 11月29日 新宿マリーの怨み節 永原秀一 長谷部安春
14 12月6日 再会 佐伯孚治
15 12月13日 脅迫電話 池田一朗 原田雄一
16 12月20日 理由なき殺人 永原秀一 長谷部安春
17 12月27日 新宿哀歌 永原秀一
佐治乾
吉川一義
18 1976年1月3日 お茶汲み刑事 江里明 原田雄一
19 1月10日 新宿 エロチカ 尾中洋一 真船禎
20 1月17日 ひとりぼっちの追跡 池田一朗 原田隆司
21 1月24日 新宿心中 尾中洋一 真船禎
22 1月31日 新宿・初恋 原田雄一
23 2月7日 その暗黒の恋 田上雄
藤森隆明
原田隆司
24 2月14日 青い目の傷痕 (きずあと) 池田一朗 原田雄一
25 2月21日 さよならも言わないで… 野上龍雄
猪又憲吾
原田隆司
26 2月28日 長くて暑い日曜日 池田一朗 佐藤純弥

媒体・再放送[編集]

2015年12月・2018年1月より東映チャンネルで全話が再放送された。

レコード[編集]

オープニング曲はレコード化もされ、レコードバージョンは後にオムニバスアルバム『テレビ狂時代 Vol.1 '69〜'77』(徳間ジャパン、2003年1月22日発売)などに収録されている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b ノンクレジット

出典[編集]

  1. ^ a b 『真夜中の狩人』作者のことば(双葉社 1980年)
  2. ^ 細谷正充「私と藤原審爾」(『新宿警察』双葉文庫、2009年)
  3. ^ 朝日新聞 1975年9月6日付テレビ欄の番組紹介より。
  4. ^ 週刊TVガイド 1975年9月5日号 p.168

前後番組[編集]

フジテレビ系 土曜22時台
【当番組より国産ドラマ枠】
前番組 番組名 次番組
新宿警察