岡谷公二

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

岡谷 公二(おかや こうじ、1929年4月9日 - )は、日本フランス文学美術研究者、翻訳家跡見学園女子大学名誉教授。

経歴[編集]

東京生まれ。岡谷鋼機創業者一族の出。父の岡谷順之助は岡谷商店副社長で岡谷鋼機取締役。外祖父の高松定一は堀川貯蓄銀行取締役。

慶應義塾幼稚舎慶應義塾普通部を卒業[1]

父親の指示で慶應義塾予科医学部に進学するが、医学を放棄して東京大学文学部に進学する[1]。1952年東京大学文学部美学美術史学科卒業。大学時代は『第15次新思潮』に参加。

その後ゴーギャンアンリ・ルソーなど、熱帯に魅せられた画家たちの翻訳、研究を著し、柳田國男の青春期を研究し、友人であった田山花袋の初期作品が、ほぼ柳田自身の悲恋をモデルとしていることをつきとめた。

1964年杉野学園女子大学助教授、1965年跡見学園女子大学助教授、1970年に同教授、定年退任後は名誉教授[2]

2009年『南海漂蕩』で第21回和辻哲郎文化賞受賞。

著書[編集]

共編著ほか[編集]

  • 『独身者の箱』(編、筑摩書房、澁澤龍彦文学館9) 1990
  • 『「青」の民俗学 谷川健一の世界』(山下欣一共編、三一書房) 1997
  • 『柳田国男 さゝやかなる昔〈抄〉 / 故郷七十年〈抄〉』(編、日本図書センター、作家の自伝61:シリーズ人間図書館) 1998
  • 『創作集 騎士来訪』(私家版) 2000
  • 『回想集 夢の顔』(私家版) 2000
  • 『シュヴァル 夢の宮殿をたてた郵便配達夫』(山根秀信絵、福音館書店、たくさんのふしぎ傑作集) 2016

翻訳[編集]

  • 『タヒチからの手紙』(ポール・ゴーガン、昭森社) 1962
  • 『古代イランの美術 1・2』(ロマン・ギルシュマン、新潮社、人類の美術) 1966
  • 『黒人アフリカの美術』(ミッシェル・レーリス、ジャックリーヌ・ドランジュ、新潮社、人類の美術) 1968
  • 『ギリシア・アルカイク美術』(ジャン・シャルボノー、ロラン・マルタン、フランソワ・ヴィラール、新潮社、人類の美術) 1970
  • 『暴力の義務』(ヤンボ・ウオロゲム、新潮社) 1970
  • 『エルサレムの乞食』(エリー・ヴィーゼル、新潮社) 1974
  • 『石が書く』(ロジェ・カイヨワ、新潮社) 1975
  • 『ギリシア・ヘレニスティク美術』(ジャン・シャルボノー、ロラン・マルタン、フランソワ・ヴィラール、新潮社、人類の美術) 1975
  • 『シュルレアリストたち』(フィリップ・オードワン、笹本孝共訳、白水社) 1977
  • 『アフリカの印象』(レーモン・ルーセル白水社) 1980、新版 2001、平凡社ライブラリー 2007
  • 『オヴィリ 一野蛮人の記録』(ポール・ゴーギャン、みすず書房) 1980
  • 『ロクス・ソルス』(レーモン・ルーセル、ペヨトル工房) 1988、平凡社ライブラリー 2004
  • 『グリューネヴァルト イーゼンハイムの祭壇画』(クリスチャン・エック、新潮社) 1993
  • ユイスマンス伝』(ロバート・バルディック、学習研究社) 1996

ミシェル・レリス[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 山川方夫『親しい友人たち』解説 岡谷・「山川方夫のこと」
  2. ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
  3. ^ 全4巻で、Ⅲは千葉文夫訳、Ⅳは谷昌親訳