富谷宿

富谷宿（とみやじゅく）は、奥州街道の72番目の宿場である。江戸時代初期の元和4年（1618年）に設置され、現在の宮城県黒川郡富谷町しんまち地区にあった。

概要

仙台市と富谷町の境、国道4号の大沢峠から北へ約5km富谷町のしんまち地区、宮城県道256号（県道西成田宮床線）しんまち通り全長約400mの往還に、旧家が建ち並ぶ。かつて富谷新町宿とも呼ばれており江戸時代には宿場であった^[1]。この界隈には江戸時代に肝入を務め本陣を仰せ付けられた内ヶ崎家^[2]がある。元本陣の内ヶ崎家別邸、本陣跡の近くに「恋路の坂」があり、この坂を上ると茶の畑がある。往時は一帯で茶が栽培され、富谷茶として知られていた。

歴史

慶長5年12月24日（1601年1月28日）、仙台平野西部の河岸段丘に仙台藩祖・伊達政宗が仙台城（青葉城）および仙台城下町の建設を開始すると、城下町を通るようになった道路は奥州街道と呼ばれ仙台以北のルートが大きく変更され、富谷町を通るようになった。吉岡宿までの距離も遠くなり、往来する大名や旅人のために新たな宿場が必要となった。
吉岡黒川氏の家老だった内ヶ崎筑後^[3]が、伊達政宗に宿場の開設を命ぜられると、元和4年（1618年）に富谷宿が誕生した。当時、宿駅の戸数はわずか13戸しかなかった。しかし、2年ほどで戸数が倍くらいになった。
元和6年（1620年）に正式に富谷宿として発足した。内ヶ崎織部^[4]は検断と本陣を仰せつかり、富谷宿の発展に尽力した。
参勤交代をする奥州諸藩や松前藩の大名の宿泊所となる本陣を務めたのは内ヶ崎家。
天保13年（1842年）には、宿屋、呉服屋、酒屋、醤油屋など25業種、75軒もの店が街道沿いに軒を連ねていた。