定期保険

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定期保険(ていきほけん)とは、生命保険のうち保障期間を契約時に定め、契約終了時の返戻金のないものを言う。いわゆる「掛け捨て保険」

概要[編集]

短期間のものは貯蓄性をほとんど有さないため、保険料は貯蓄性のある保険と比較して安い。 期間は1~15年といった短期のものから、50~80年のような長期に及ぶものもある。後者の場合、保険金支払のための責任準備金が積み立てられる形になるため、一定の貯蓄性を有する。また定期保険の契約者が法人、または個人事業主の場合、保険料の一部が損金、あるいは必要経費として計算できる場合があるため、長期の定期保険の契約者には法人や個人事業主が多い。

なお1~15年といった短期の保険の場合、一定の年齢になるまでは、契約満了時に被保険者の当時の健康状態に関わらず、同じ期間で保険を更新できるようにしたものが多い。この場合、保険料は更新時の年齢で計算するため(年齢が上がるほど、一般的に死亡率が上がることから保険料は高くなる)、増加する。特に1~5年程度の短期保険は、自然保険料の増加曲線に沿った形で保険料が増えていく。

種類[編集]

定期保険の種類には、以下のようなものがある。

平準定期保険(普通定期保険)
  • 契約時の保険金額が、契約満了時まで変動しないもの。
逓減定期保険
  • 契約時の保険金額が、年を経るごとに一定金額まで減少していくもの。子供の養育費用、住宅ローン団体信用生命保険等)等の借金といった、責任・債務の減少に沿って保険金額を減らす事ができるため、合理的とみなされることもある。保険料は一定であり、平準化が図られているため、加入初期のうちは平準定期保険よりも保険料が割安になる。
逓増定期保険
  • 契約時の保険金額が、年を経るごとに一定金額まで増加していくもの。逓減定期保険同様、保険料は平準化が図られているため、加入初期は平準定期保険より割高となるが、保険期間の終了間際には割安となる。また、責任準備金が積み立てられる形になるため貯蓄性も有する。

定期保険特約[編集]

定期保険は単独で加入するものの他、終身保険養老保険アカウント型保険などの特約としてセットで加入する方法もある。終身保険とセットにしたものは定期保険特約付終身保険、養老保険とセットにしたものは定期保険特約付養老保険と呼ぶ。

定期保険特約付終身保険は、扶養家族のための一時的な高額保障と、終身の死亡保障を同時に確保でき、長らく生命保険会社の主力商品。

収入保障保険[編集]

定期保険の新しいパターンとして、保険金を分割(年金)形式で支払うようにしたものもある。おおむね2種類あり、平準定期保険の保険金を10年~15年など一定期間分割払いにするものと、保険期間満了時まで毎月または毎年一定の保険金額を受け取れる、というものがある。