妖怪大戦争 (2005年の映画)

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妖怪大戦争
監督 三池崇史
脚本 三池崇史
沢村光彦
板倉剛彦
製作 井上文雄
製作総指揮 角川歴彦(製作総指揮)
黒井和男(製作)
出演者 神木隆之介
音楽 遠藤浩二
主題歌 忌野清志郎 with 井上陽水
「愛を謳おう」
撮影 山本英夫
編集 島村泰司
制作会社 角川映画
製作会社 『妖怪大戦争』製作委員会
配給 松竹
公開 日本の旗 2005年8月16日
上映時間 124分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 13億円
興行収入 20億円[1]
次作 妖怪大戦争 ガーディアンズ
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妖怪大戦争』(ようかいだいせんそう)は、2005年に公開された日本映画。監督は三池崇史。主演は神木隆之介

概要[編集]

1968年に公開された大映の同名作品『妖怪大戦争』のリメイク作品である。登場する妖怪の一部は旧作に準じており、特に旧作で主役級の役割を果たした河童は今作品でも同様に扱われているが、時代設定・登場人物・筋立てなどは全く異なっており、リメイクとは言うものの旧作との関連はほとんど見られない。

水木しげる京極夏彦荒俣宏宮部みゆきが「プロデュースチーム『怪』」として製作に参加している。荒俣の代表作『帝都物語』の登場人物加藤保憲が登場するほか[2]、『ガメラ[注 1]水木の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』に言及する台詞も存在する。

主題歌は同映画で妖怪ぬらりひょんとしても出演している忌野清志郎井上陽水サントラCDと主題歌&挿入歌のCDは同年7月27日に発売。

テレビでの地上波初放送は2006年8月11日であるが、物語の重要なキーワードである「真っ白な嘘」およびそれに絡む多くの部分、そして「本当の結末」が電波に乗らなかった他、妖怪(くだん)や一つ目小僧の登場場面をはじめ多くのシーンやカットが削除されており、劇場公開時とはかなり異なった内容となった。

製作の経緯[編集]

角川グループ60周年を記念して製作された。2002年11月、作家の宮部みゆきと雑誌『怪』編集部の、68年の『妖怪大戦争』に関する雑談がきっかけになり、同じころ設立された(株)角川大映映画の企画として取り上げられた。2004年7月13日にロケ地である鳥取でクランクイン、9月1日に調布市の角川大映スタジオで製作記者発表が行なわれた。11月21日には火災によりセットの一部が焼失する事件があったが、2005年1月16日にクランクアップ(撮影終了)となり、8月6日に全国松竹東急系劇場にて公開に至った。

角川大映映画の処女作として13億円の制作費をかけ、スタジオ内に森・沼・吊り橋などの大規模なセットを設け、コンピュータグラフィックも用いているが、全面的に頼ることはせず、手作業やアナログの映像にもこだわりを見せている。妖怪は3000人ものエキストラを動員して撮影した。著名な芸能人が妖怪役を務めたことも話題となった[2]

あらすじ[編集]

主人公、稲生タダシはひ弱な都会っ子。両親の離婚に伴って母方に引き取られ、母の故郷・鳥取で、ボケの始まった祖父と3人で暮らしている。しかし、田舎暮らしになじめず、学校では都会育ちゆえに悪ガキたちにいじめられる、うんざりな毎日を送っていた。そんなタダシが夏祭りの夜、この世が危機に陥った時に人々を救うという「麒麟送子」に選ばれる。「麒麟送子に選ばれた子どもは、大天狗が住む山へ伝説の聖剣を取りに行かなければならない!」そう悪ガキたちにはやし立てられ、バカにされたタダシは意を決して山へ行く。が、恐ろしさのあまり逃げ帰ってしまう。すねこすりを拾ったのもこの時だ。しかし、行方知れずになった祖父の助けを求める声が山から聞こえ、否応無しに再び山に足を踏み入れる。怯えるタダシを待ち受けていたのは、恐しくも愉快な妖怪たちだった。

彼らとの出会いによってタダシは、歴史の闇に追いやられた古代日本の先住民族の怨念をまとった魔人・加藤保憲率いる悪霊軍団との戦いに巻き込まれてゆく。

キャスト[編集]

その他の登場妖怪[編集]

エンドロールおよび『写真で見る日本妖怪大図鑑』より。キャストが判明しているものは#妖怪のみなさん 参照。

麒麟一反木綿傘化けたくろう火輪入道雲外鏡徳利転がし目目連化け提灯洗濯狐手伝い鬼青面鬼芝天座敷殿寺猪髭囃子正眼猿巻子の翁分銅鬼赤鴉柿男否哉田植え坊野唇鉄瓶齧りカジカ爺龍だまし御金坊油搾り頭山遠野河童鬼童子鴉坊水神どん灰汁坊主漆壺おらび鮹オジーマジムン目一つ五郎桶長大まなぐ木っ葉天狗つん太郎目一つ坊一角どんなめくじら大豕布絡み鉄腕猿転晩子蜘蛛親爺猫魈釜鳴龍もどき桶ぽっくん化け墨壺なめら笑い獅子大手様笑い口青天狗岩ぶくれ、赤髪、鬼娘かわん太郎古箪笥山人十二坊三つ目蜘蛛家鳴まきざっぽう蟹坊禰々子[注 5]水天坊伊草の袈裟坊九千坊越辺の平四郎東司嘗め次第高二尺坊夢枕八日僧ミンツチ土天狗塗坊紅蟷螂磯天狗瘤爺籠男聖天もどき三角どん木蓮の精がふう下がらごんぼこおんぶの安注連鬼壺頭ピーシャーヤナムン水天翁山犬駒王病田の霊袖切り軒納豆画精笊ノ目十貫棒つるべ火賽の一六どん

そのほか、台詞での言及だけだが鬼太郎の名が出る。

スタッフ[編集]

DVD[編集]

2006年2月3日に発売。販売元は角川エンタテインメント。スペシャル・エディション(2枚組)とコレクターズ・エディション(3枚組)が同時発売された。完全受注生産による「怪」愛蔵版もある。

また、映画公開に先駆けて2005年7月29日に見所を紹介したDVD『妖怪大戦争 〜ある夏の冒険記〜』が発売された。

受賞歴[編集]

メディアミックス[編集]

妖怪大戦争
小説
著者 荒俣宏
出版社 角川書店
レーベル 怪books / 角川文庫
漫画
原作・原案など 荒俣宏
作画 水木しげる
出版社 角川書店
掲載誌
レーベル 怪books / 角川文庫
発表期間 2004年10月 - 2005年7月
テンプレート - ノート
水木しげるロードに設置されている「魔女花子」のブロンズ像。

漫画版は、雑誌『』 Vol.17 (2004年10月刊)から Vol.19 (2005年7月刊)に連載された後、終末部分を追加して単行本にまとめられたものが2005年8月1日に刊行された。鳥刺し妖女アギが『河童の三平』や水木の短編作品などに登場する魔女花子(『ゲゲゲの鬼太郎』の猫娘を思わせる容姿)に置き換えられ、川姫の役割の重要度が小さくタダシとの心的交流も無く、機怪の代わりにナンジャラモンジャラという怪物が出て来るなどの相違があるが、特に前半部分は映画の筋に忠実である。

小説版は2005年5月30日に初版が出ている。細部が映画と異なるが大筋は同じである。全体的に説明不足な映画の内容を補完する部分が多く、映画ではほとんど説明が無く、解り難かった川姫と加藤保憲の関係やアギの過去などが綿密に描かれている。映画では既に離婚していたタダシの両親は物語の終末で離婚し、その際父母のどちらを選ぶか決断を迫られたタダシが本心を隠して母を選択したことが「真っ白な嘘」であるとされる。また、映画ではあまり出番の無いタダシの姉タタルが重要な役割を担っている。

この他、本作品に登場する妖怪や機怪を写真と解説文で紹介した『写真で見る日本妖怪大図鑑』が『妖怪大戦争』全日本妖怪推進委員会編集名義で2005年7月に刊行された(ISBN 4-04-853901-9)。「はしがき」は、映画の登場人物である佐田が書いたことになっている。

よみうりランドでは映画を基にした歩行(ウォークスルー)型アトラクション『妖怪屋敷』が開業した。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 東京に向かうヨモツモノが城を破壊する場面で、目撃者の一人がヨモツモノを「ガメラ」と呼んでいる。
  2. ^ タダシの姉と2役、顔以外は姉にそっくりな外見である。
  3. ^ エンドロールではそれぞれ立山蛙1・立山蛙2〜。
  4. ^ 水木しげるが描いた、マンガ日本の古典8『今昔物語』(上)の表紙を飾った物語に由来する妖怪である。
  5. ^ 禰の偏は「ネ」(フォントにより「示」か「ネ」で表示される)。

出典[編集]

  1. ^ 2005年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
  2. ^ a b 宇宙船』Vol.118(2005年5月号)、朝日ソノラマ、2005年5月1日、pp.44-45、雑誌コード:01843-05。 

外部リンク[編集]