大都会 PARTIII
大都会 PARTIII | |
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ジャンル | テレビドラマ |
企画 |
小林正彦 加藤教夫(日本テレビ) |
脚本 | 永原秀一 他 |
監督 | 村川透 他 |
出演者 |
渡哲也 寺尾聰 星正人 高品格 小野武彦 石原裕次郎 他 |
オープニング | 高橋達也と東京ユニオン「大都会 PARTIIIのテーマ」 |
エンディング | 渡哲也「日暮れ坂」 |
製作 | |
製作総指揮 | 石原裕次郎 |
プロデューサー | 山口剛 他 |
制作 |
石原プロモーション 日本テレビ |
放送 | |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 1978年10月3日 - 1979年9月11日 |
放送時間 | 火曜 21:00 - 21:54 |
放送枠 | 日本テレビ火曜9時枠連続ドラマ |
放送分 | 54分 |
回数 | 49 |
ドラマ |
『大都会 PARTIII』(だいとかい パートスリー)は、1978年10月3日から1979年9月11日まで日本テレビ系列で毎週火曜日21:00 - 21:54に全49話が放送された、石原プロモーション制作の刑事ドラマである。『大都会』シリーズの第三作。
概要
前作『大都会 PARTII』終了から半年を経て製作されたシリーズ第三弾にして完結篇。舞台は前作と同じく城西署捜査課であるが、前作スタート時と同様に人物設定などに変更も見られ、続篇ではなく独立した作品として位置付けられている。黒岩を中心とする刑事チームには新たに「黒岩軍団」という呼称が設定され、タイトルロゴのデザインも賀茂牛道人による前2作の毛筆体からゴシック体に変更されている[1]。
さらに大掛かりな爆破やカースタント、自動小銃やバズーカ砲などを用いたアクションシーンは前作以上のスケールアップが図られ、全3シリーズ中最高の平均視聴率を記録した。
登場人物
城西署捜査課[2]
- 黒岩 頼介 -くろいわ らいすけ-(演:渡哲也)
- 部長刑事。人物設定は基本的に前作を踏襲しているが、より寡黙かつ非情な性格がクローズアップされ、捜査中は常にサングラスを着用。拳銃は主に2インチリボルバーを使用しているが、#16より状況に応じてレミントンショットガンも使用。このサングラスにショットガンというスタイルは本作の代名詞となり、後の『西部警察』へとそのまま受け継がれた。
- 32歳のA+B型。愛称は「クロさん」「デカ長」。現住所は“東京都渋谷区代官山3-7-20フジマンション”。
- 牧野 次郎 -まきの じろう-(演:寺尾聰)
- 刑事。メカや重火器の知識に長け、狙撃の名手でもある。普段は比較的物静かで常識的な言動を装っているが、卑劣な犯罪者に対しては拷問まがいの暴力捜査も辞さない。愛銃はS&W M29。愛称は「ジロー」。
- 企画段階での役名は「牧野長太」。第1話と第2話の脚本では「牧野丈」という名前であり、愛称は「ジョー」であった。[3](関係者談では、寺尾聰本人のアイデアで牧野次郎になったという。)
- 虎田 功 -とらだ いさお-(演:星正人)
- 刑事。捜査課では最年少の若手刑事。美青年で、強面揃いの軍団では異色の存在である。前半期はパーマ・サングラスというチンピラ的なファッションであったが、後半期は長髪・パンタロンスーツというホスト的ファッションになった。権威や権力を嫌い、上司に真っ向から反発することも。黒岩と丸山以外の先輩刑事とは平然とタメ口で話す。コルト M1911を使用。愛称は「トラ」。
- 企画段階では「村田功」という役名であり、愛称は「ムラ」だった。[3]
- 丸山 米三 -まるやま よねぞう-(演:高品格)
- 刑事。現場叩き上げの大ベテランで、長年の経験で培われた勘の鋭さは捜査課随一。愛称は「マルさん」。一人娘の扶美子(演:工藤美奈子)と二人暮らし。拳銃はコルト・ポリスポジティブスペシャルを使用
- 大内 正 -おおうち ただし-(演:小野武彦)
- 刑事。軍団の若頭的存在で、黒岩と加川の間でしばしば板挟みにあい苦悩する。愛称は「坊さん」「坊主」。独身。都内の2階建てボロアパートに一人住まい。4話から頭を坊主頭にするも、中盤から元に戻している[4]。
- 上条 巌 -かみじょう いわお-(演:峰竜太)
- 刑事。捜査課では虎田に次ぐ年少者。『PARTII』からの続投組の中ではキャラクター変化が特に顕著であり、前作での二枚目半的な雰囲気は影を潜め、タフな肉体派としての性格が強まっている。服装は黒尽くめ[5]。常に筋力トレーニングに余念が無く、蹴り技を駆使する格闘技の心得もある模様。愛称は「サル」。柔道の有段者。
- 宮本 兵助 -みやもと ひょうすけ-(演:苅谷俊介)
- 刑事。九州出身で、怪力・石頭が自慢の自称「弁慶」。AB型。柔道の有段者。捜査中“ワシが城西署のベンケイじゃっ!!”とよく啖呵を切る。愛国主義者らしく、署のロッカーには日の丸を掲げている。
- 加川 乙吉 -かがわ おときち-[6](演:高城淳一)
- 捜査課長。黒岩に対して強い嫉妬心を抱いており、しばしば洒落にもならない嫌味を吐く毒舌家だが、刑事魂はまだ失っていない。黒岩の不在時には自ら前線に立って捜査の指揮を執ることも多い。
- 清水 英子 -しみず えいこ-(演:大森不二香)
- 捜査課事務員。憤慨する加川にお茶を渡しながら「課長、怒ると血圧が上がりますよ」と一言添えるシーンが定番。第45話では自ら囮を志願し、捜査に直接協力した。第23話及び第45話の言動から、虎田に気がある節がみられる。
渋谷病院
- 宗方 悟郎 -むなかた ごろう-(演:石原裕次郎)
- 救急指定の渋谷病院外科医師。かつては大学病院でエリートコースを歩んでいた。人望が厚く腕は抜群で、ヤクザや凶悪犯にも分け隔てがない。第40話では、インベーダーゲームをプレイしている場面が見受けられる。40歳。
- 白井 智子 -しらい ともこ-(演:青木英美)
- 渋谷病院の看護婦。第10話までの出演。
- 三田 典子 -みた のりこ-(演:舛田紀子)
- 渋谷病院の看護婦。刑事たちのマスコット的存在。
- 佐藤 リエ -さとう りえ-(演:美田麻紗子)
- 渋谷病院の看護婦。
その他
- 戸倉 綾子-とくら あやこ-(演:金沢碧)
- 東都日報城西署記者クラブの若手記者。クラブでは唯一の女性記者で、スクープを狙い、黒岩としばしば張り合うものの協力的。第13話までの出演。
- 原田 源二-はらだ げんじ-(演:森正親)
- 刑事たち行きつけの小料理屋「五万石」の板前。愛称は「源さん」。
- みっちゃん(演:志麻いづみ)
- 小料理「五万石」店員。
- バーの女性歌手(演:牧村三枝子)
- 劇中のバーで『みちづれ』などを歌う女性歌手。役名もセリフもなく、ストーリーと直接関係することはないが、捜査の途中、黒岩が束の間の安息を得る描写などでたびたび登場した。
放送リスト
スタッフ
- 制作 - 石原裕次郎
- 企画 - 加藤教夫(NTV)、小林正彦
- プロデューサー - 山口剛(NTV)、石野憲助
- 撮影 - 金宇満司、仙元誠三、宮川弘、山崎敏郎、宗田喜久松(J.S.C)
- 照明 - 椎葉昇、椎野茂
- 録音 - 佐藤泰博、塩原政勝
- 美術 - 小林正義
- 整音 - 高橋三郎、橋本文雄、紅谷愃一、熊谷良兵衛、酒匂芳郎、福島信雄
- 編集 - 渡辺士郎
- 助監督 - 天間敏広、丸久夫、荻原達
- 音楽 - 高橋達也と東京ユニオン
- 作編曲 - 荒川達彦
- 選曲 - 鈴木清司
- 音楽ディレクター - 山口光昭(ポリドール)
- 音楽協力 - ポリドール
- 音響効果 - 小島良雄、柴崎憲治(東洋音響)
- 番組宣伝 - 山口晋(日本テレビ)
- プロデューサー補 - 岩崎純、高山正彦、仲川幸夫
- 衣裳 - 波多野芳一(第一衣裳)
- 美粧 - 榊原辰己(山田かつら店)
- 小道具 - 高津映画装飾
- 現像 - 東洋現像所
- 録音スタジオ - にっかつスタジオセンター
- 医事指導 - 斉藤喜好
- 協力 - インテリア井門、大丸百貨店
- 撮影協力 - 朝日ヘリコプター、フクダ電子
- 制作協力 - 日産自動車
- 制作 - 石原プロモーション
音楽
『闘いの日々』『PARTII』では複数の作曲家・アレンジャーないしバンドによる競作というスタイルが採られていたが、本作の音楽は挿入歌を除いた全曲を荒川達彦が作曲。演奏には高橋達也と東京ユニオンが起用され、シリーズ中最も大掛かりなビッグバンド編成による録音が敢行された。
スタッフ(音楽)
- 演奏者
テーマ曲
- 『大都会PARTIIIテーマ』作曲・編曲:荒川達彦
使用楽曲
- 挿入歌
- 『みちづれ』作詞:水木かおる、作曲:遠藤実、編曲:斉藤恒夫、歌:牧村三枝子
- 元々は渡の持ち歌だったものを当時同じレコード会社(ポリドール)に所属していた牧村がカバーしてミリオンセラーを記録、彼女の代表曲ともなった。
「エンディングに主演俳優の歌を使う」、「刑事の行きつけの店で若手歌手が歌う」、というフォーマットは『西部警察』にも受け継がれる。
撮影中の事故
第36話「密告屋」の撮影中、宮本刑事役の苅谷俊介が転倒、頭部を強打するという事故が発生。番組でロケ地として使用されていた渋谷病院へ救急搬送されたが、一時は意識不明の危篤状態に陥った。その後の第40話からの撮影は苅谷を外した状態で続行されたが、苅谷自身も奇跡的な回復を見せ、最終話「黒岩軍団抹殺指令」で復帰を果たした[7]。
再放送・ソフト化
1986~87年の地上波再放送(関東地区)以来、地上波、衛星放送でも再放送の機会もなく、ビデオやDVD等のソフト化も一切行われなかったため、視聴が困難な状態であったが、2009年より、前2作に続いてCS放送局の日テレプラスで再放送が行われ、全シリーズ共に再放送が実現した。
2012年10月、11月にポニーキャニオンから本作のDVD-BOXが発売された。BOX1には第1話~第26話。BOX2には第27話~第49話が収録されている。またCS放送局のチャンネル銀河では、HDリマスター版が2013年4月15日より放送開始された。
そのほか、トーラスレコードから発売された「日暮れ坂」のレーザーディスクカラオケなどで、第8話と第13話の本編一部とメイキング映像をBGVとして見ることが出来る。
備考
- 関東地区での再放送は1979年11月~80年1月に月~金16時、再々放送は1981年10月~12月に月~金15時。
- 日本テレビでは1986年春(2~3月頃)、『闘いの日々』『PARTII』『PARTIII』をすべて夕方16時台に放送する予定だったが、結局は『PARTIII』のみ深夜のナイトスクリーン枠で再放送された。
- 30数台のパトカーが坂を上り下りし、ヘリコプターが飛ぶという本作のオープニング映像は、現・横浜市青葉区のあざみ野の幅の広い道路で撮影された[8]。
- 本作の当初の予定終了後に、放送延長もしくは、新シリーズ(『新大都会』『大都会IV』『にっぽんFBI』などの仮題)の制作が日本テレビ側から希望されていた[9]。しかし石原プロがテレビ朝日系で放映された『浮浪雲』を制作したことをきっかけに、テレビ朝日から石原プロに対し破格の条件(広告代理店を介しない、テレビ朝日との直接契約)で『西部警察』の制作を打診されたことで『大都会』シリーズは終了した。この時は円満な“移籍”であり、気持ち良く送り出してくれたとのことで、第一制作部長になった井原高忠からも「ダメだったら半年後でも一年後でもすぐ戻って来い」とも言われたという[10]。
- ちなみに『西部警察』第1話時点で本作からスライドして出演しているのは石原・渡・寺尾・苅谷・武藤の5人である(後に峰と高城も出演する)。このうち石原は医者から軍団をサポートする捜査課長に、武藤は新聞記者から鑑識課員に役柄が変わる。
- 『大都会』シリーズを取り上げられる形になった日本テレビではその後、『大都会 PARTII』で徳吉刑事を演じた松田優作主演による『探偵物語』を制作するが、この作品には『大都会』シリーズや『西部警察』シリーズでもメガホンを取った村川透がメイン監督の一人として起用されている。また松田も第3話の中(カーチェイスシーン)で「おいおい、これじゃまるで『大都会PARTIII』じゃねえか」と突っ込むセリフがある。
- 第19話「警官ギャング」は当初、第17話として1979年1月30日に放送される予定だったが、銀行強盗を扱った内容が同年1月26日大阪で発生した三菱銀行人質事件の影響を受け、「誘拐」と差し替えられた。「警官ギャング」は2週間後の2月13日に放送された。
- 上記のような、銀行を襲撃した犯人グループが立てこもるシーンを撮影するために、調布市内にある石原プロの得意先の銀行にロケ協力を申し込んだが、銀行の上層部はこのストーリーの内容に難色を示して協力を渋ったところ、制作の陣頭指揮を執っていた小林正彦は石原プロの預金や口座をすべて引き揚げ、これが支店長の進退問題になるほどの騒ぎになり、銀行上層部が丁重にお詫びし、この銀行でのロケが実現した、ということがあった[11]。
- 企画段階では、牧野役に郷鍈治、虎田役に沖雅也と永島敏行の名が上がっていた。また、舘ひろしのレギュラー出演が検討されたが、音楽活動に専念するという理由で本人が辞退している(後に『西部警察』に出演し、『PARTI』の初回から第30話で一旦降板したが、第109話から『PARTIII』の最終回まで別の役で再出演した)[12]。
- 第37話「頭取集団誘拐」のプロットは、後に1996年の映画『あぶない刑事リターンズ』(脚本:柏原寛司、大川俊道 / 監督:村川透)へ流用された。[13]
- 静岡県では1978年10月~1979年6月末(第1話~38話)までは当時テレビ朝日系と日本テレビ系とのクロスネット局だった静岡けんみんテレビ(現・静岡朝日テレビ)にて6日遅れで月曜22時から放送されていたが、1979年7月に日本テレビ系フルネット局の静岡第一テレビ開局により第39話より同局に移行し同時ネットとなった。
脚注
- ^ 番宣資料やサントラ盤などで用いられたロゴキットではゴナ、タイトルバックでは逆台形構造に立体処理を加えた手書きロゴを使用。
- ^ シナリオ上は「捜査一課」。作中では「捜査課」だが、#24「冷血」での丸山の名刺では、「刑事課 捜査係」と表記されている。
- ^ a b DVD-BOX付属の解説書より。
- ^ 当時、小野は映画『天平の甍』の出演が重なり坊主頭にしていたが、撮影スケジュールの都合から、スキンヘッドの状態から急に髪が伸びていたり、またその逆といった不思議な現象が起こっていた。
- ^ 夏場は繋ぎ服、冬場は黒のスラックスに白セーターに黒の革ジャン
- ^ ネーミングは前々作『闘いの日々』で中条静夫が演じた加賀見乙吉に由来しているが、これは企画当初、中条のキャスティングを想定して加賀見の再登場が予定されていたため。なお、『PARTII』の企画時も捜査課長役として、加賀見=中条のスピンオフが予定されていた。
- ^ 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』(2015年、DU BOOKS)第四章「大都会 PARTIII」(p.247 - 248)
- ^ 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』第四章「大都会 PARTIII」(p.210)
- ^ 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』第四章「大都会 PARTIII」(p.253 - 254)。ただ、この中では、これについては「今回取材した限りでは、そういった事実は一切確認できなかった」とある。
- ^ 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』第四章「大都会 PARTIII」(p.254。元記事は『シネアルバム 石原裕次郎…そしてその仲間 』(1983年、芳賀書店)より。)
- ^ 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』第四章「大都会 PARTIII」(p.228)
- ^ 『NTV火曜9時 アクションドラマの世界 「大都会」から「プロハンター」まで』第四章「大都会 PARTIII」(p.215 - 216)
- ^ 洋泉社『映画秘宝』2012年11月号