大山 (鳥取県)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Zazanasawa (会話 | 投稿記録) による 2016年3月30日 (水) 03:26個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎外部リンク)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

大山
西方より望む
標高 1,729 m
所在地 日本の旗 日本
鳥取県大山町琴浦町江府町など
位置 北緯35度22分16秒 東経133度32分24秒 / 北緯35.37111度 東経133.54000度 / 35.37111; 133.54000座標: 北緯35度22分16秒 東経133度32分24秒 / 北緯35.37111度 東経133.54000度 / 35.37111; 133.54000
山系 大山山系
種類 成層火山溶岩ドーム
大山 (鳥取県)の位置(日本内)
大山 (鳥取県)
大山の位置
プロジェクト 山
テンプレートを表示
大山 (鳥取県)の位置
大山 (鳥取県)の位置
大山の位置
大山 (鳥取県)の位置
伯耆大野より見た大山(歌川広重画)

大山(だいせん)は日本鳥取県にある標高1,729mの火山で、鳥取県および中国地方の最高峰である。角盤山(かくばんざん)とも呼ばれるほか、鳥取県西部の旧国名伯耆国であったことから伯耆大山(ほうきだいせん)、あるいはその山容から郷土富士として伯耆富士とも呼ばれる。古来より日本四名山に数えられた。[要出典]日本百名山日本百景にも選定され、鳥取県のシンボルの一つとされている[1]

概要

大山は中国山地から離れた位置にある独立峰で、主峰の剣ヶ峰や三鈷峰などの中央火口丘の峰とと、烏ヶ山船上山などの外輪山の峰の総称である。山体は東西約40km、南北約35km、総体積120km3を越える。[要出典]岡山県側にある擬宝珠山蒜山(上蒜山、中蒜山、下蒜山)・皆ヶ山なども含むことが多く、専門家には同じ山系とされる[要出典]西日本火山帯に属す[2][注釈 1]。最高点は剣ヶ峰であるが、剣ヶ峰に至る縦走路が通行禁止とされていることや、古くから第二峰の弥山(1,709m)で祭事が行われたことから、一般には弥山を頂上としている[4]

一帯は大山隠岐国立公園に指定されていて、標高800mから1,300mは西日本最大のブナ林に覆われ、その上部には亜高山針葉樹林帯がなく、低木林や草原の高山帯になっている[5]。山頂付近に見られるダイセンキャラボクの純林は国の特別天然記念物に指定されている[6]。また、国の鳥獣保護区(大規模生息地)に指定されている(面積5,156ha、うち特別保護地区2,266ha)[7]

周辺の地域では古来からの大山信仰が根強い[8][9][10]。現存する最古の記述は『出雲国風土記』の国引き神話で、三瓶山と同様に縄を引っ掛けて島根半島を引き寄せたとある。『出雲国風土記』では「火神岳」(ほのかみだけ)または「大神岳(おおかみのたけ)」と呼ばれ[9][要検証]奈良時代養老年間に山岳信仰の山として開かれたとされる。山腹には大神山神社奥宮や大山寺阿弥陀堂があり、明治廃仏毀釈まで大山寺の寺領とされ[要出典]、一般人の登山は禁止されていた[10]

形成過程

約100万年前から約50万年前にかけて噴火形成された成層火山である古期大山の上に、約50万年前から約1万年前にかけて成長した巨大な溶岩ドームである新期大山が被さって成る[11]。裾野は広大で日本海に達している[11]。新期大山は過去数回にわたり破滅的な大噴火を起こしている[11]。中でも約5万年前に発生した噴火は大規模なプリニー式噴火では、大量の火山灰軽石火砕流を噴出した[11](総噴出量 12 DRE km3、VEI 6)。この時の火山灰は偏西風に乗って遠く福島県まで降り注いでおり、関東地方でも目立つ広域テフラとして大山倉吉軽石(DKP)と呼ばれ、地層の地質年代を特定する指標となっている[11]。2万年前の噴火では弥山、三鈷峰、烏ヶ山の3つの溶岩ドームが形成され、再び大量の火砕流が噴出した[11]。最後の噴火は約1万年前とされ、有史以後の噴火記録は残されていないが[11]、奥野充・井上剛両氏の研究では3000年前に小噴火をした可能性が指摘されている。

登山

登山コースは複数あり、北側斜面を登る「夏山登山コース」と「ユートピアコース」が地元自治体により一般に紹介されている[12]。夏山登山コースは佐陀川の源流となっている行者谷の西側尾根を登り、弥山に至るルートで、初心者向きとされている[12]。ユートピアルートは行者谷の東側尾根を経て、標高1,516mの三鈷峰付近にあるユートピア避難小屋に至るルートで、上級者向けとされている[12]。弥山から三等三角点地点(1,709.3m)や剣ヶ峰、天狗ヶ峰(1,710m)を経てユートピア避難小屋に至る旧縦走路は、稜線が両サイドとも崩落しており通行が禁止されている。これは特に2000年に発生した鳥取県西部地震以降、山肌の崩落が激しくなって危険なためであり、死傷事故も発生している[13]

これらの登山口まではJR米子駅やJR大山口駅から大山寺行きのバスが定期運行されている。また、自家用車で登山口付近まで行く場合、鳥取県立大山自然歴史館の近くに駐車場があり、米子自動車道溝口インターチェンジから鳥取県道45号を経由しておよそ10kmである。

気候

大山(標高875m)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
降水量 mm (inch) 219.7
(8.65)
198.6
(7.819)
193.0
(7.598)
161.0
(6.339)
194.0
(7.638)
257.9
(10.154)
332.8
(13.102)
224.7
(8.846)
342.7
(13.492)
264.1
(10.398)
229.5
(9.035)
220.9
(8.697)
-
(111.768)
降雪量 cm (inch) 288
(113.4)
268
(105.5)
194
(76.4)
45
(17.7)
2
(0.8)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
1
(0.4)
25
(9.8)
187
(73.6)
1,003
(394.9)
出典:気象庁

関連画像

注釈

  1. ^ かつては、石川県白山から九州北部まで連なる火山群(大山火山帯)に属すとされていたが、現在はこの区分は使われていない[3]

脚注

  1. ^ 近畿中国森林管理局『森のひろば』No.1020 p3-4
  2. ^ Question #67”. 火山についてのQ&A. NPO法人 日本火山学会. 2014年10月29日閲覧。
  3. ^ Question #1826”. 火山についてのQ&A. NPO法人 日本火山学会. 2014年10月29日閲覧。
  4. ^ 不思議だいせん大山観光局、2015年9月9日閲覧。
  5. ^ 環境省による現地案内板より
  6. ^ ダイセンキャラボク純林(大山登山・大山山頂)”. NPO法人大山中海観光推進機構. 2014年9月2日閲覧。
  7. ^ 国指定鳥獣保護区一覧”. 環境省. 2014年9月30日閲覧。
  8. ^ 「第九番 大神山神社」(出雲國神仏霊場公式ホームページ)
  9. ^ a b 「国立公園大山ってどんなとこ? 大山とは」(大山町公式観光サイトD-Club、大山町役場観光商工課)
  10. ^ a b あの噂って本当? 大山の「なるほど」を発掘”. 一般社団法人大山観光局. 2015年4月14日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g 『伯耆大山の生い立ち』加藤智二(好日山荘ガイドコラム、2010年8月19日)
  12. ^ a b c 全コース詳細ガイド 大山登山マニュアル”. 大山町役場 観光商工課. 2014年9月9日閲覧。
  13. ^ 大山山系での遭難状況 鳥取県警察、2015年9月9日閲覧。

関連項目

外部リンク

  1. ^ 『境港市史 下巻』昭和61年 393頁